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「辻のや」(粟津温泉)など2社破産 負債は合計約12億1000万円(帝国データバンク調べ)

2022年8月30日
編集部:増田 剛

2022年8月30日(火) 配信

 辻のや(辻井祐紀恵社長、福井県小松市粟津町)と関係会社の粟津観光金閣(同社長、小松市井口町)は8月16日(火)、金沢地裁小松支部から破産手続き開始決定を受けた。帝国データバンクによると、負債は2社合計で約12億1000万円。

 辻のやは、1956(昭和31)年10月創業、59年4月に法人改組し、加賀温泉郷の1つ粟津温泉内で温泉旅館「辻のや花乃庄」を経営していた。74年10月に温泉旅館「金閣」を買収したほか、段階的に旅館施設の大型増築投資を実施して業容を拡大していった。

 源泉を利用した温泉や、こだわりの料理、四季折々の風情が楽しめる広大な庭園などにより、地元上位規模の温泉旅館として、全国的に一定の知名度を獲得。95年4月期には年間収入高約14億1700万円を計上していた。

 しかし、その後は景気後退や、消費者志向の変化などにより、収益は低調に推移。北陸新幹線の開業効果で一時的に業況は改善したが、赤字決算が続き「2020年4月期の年間収入高は4億円を割り込んでいた」(帝国データバンク)。

 コロナ禍で経営環境が急激に悪化したため、20年6月末には従業員を解雇し、以降は休館状態が続いていた。

 こうしたなか、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)が推進する「ホテル・旅館再生支援」プロジェクトの第1号案件として、旅館施設の再生が行われることとなり、このスキームの下で施設不動産は21年6月にHISグループに売却されていた。その後、実質休眠状態となっていたが、最終的な債務整理のため、今回の措置となった。

 粟津観光金閣は、辻のやが運営していた別館「金閣」の運営を分離するかたちで、1982(昭和57)年5月に設立。幅広い価格設定により、「辻のや花乃庄」とは客層を分けて「露天のゆ 金閣」を運営していたが、減収傾向で推移していた。

 15年9月以降は、辻のやと予約管理を統一し、団体メインの対応で予約がない日は休館とするなど、経営の合理化をはかっていたが、辻のやと同様、新型コロナの影響で20年6月末以降は休館状態となっていた。

 負債は、辻のやが約5億3400万円、粟津観光金閣が約6億7600万円。

 なお、辻のやが経営していた旅館施設は、施設を購入したH.I.S.ホテルホールディングスの運営により、21年7月から「満天ノ辻のや」として営業されている。

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