喜泉閣(宇奈月温泉)、自己破産申請へ(帝国データバンク調べ)
2025年3月12日(水) 配信
喜泉閣(坂井泉代表、富山県黒部市)は2月28日(金)に事業を停止して、弁護士に一任し、自己破産申請の準備に入った。帝国データバンクによると、負債は約8億円。
同社は1926(大正15)年2月創業。52(昭和27)年8月に法人改組された。黒部市の宇奈月温泉で旅館を運営していたが、「従前より設備資金が負担となり、2010~11年にかけて一部金融機関の債権がサービサーに譲渡されるなど、厳しい資金繰りを余儀なくされていた」(帝国データバンク)。
その後一部金融機関から支援を得て営業面の強化に努め、18年6月に「グリーンホテル喜泉」から「お酒のお宿喜泉」に変更。懐石料理とともに日本酒を多数そろえ、銘柄の飲み比べが可能な宿泊プランを販売するなど差別化が奏功。19年8月期の年間収入高は約2億8500万円を計上していた。
しかし、新型コロナの影響で宿泊客数が減少。23年以降はコロナ禍の落ち着きとともに宿泊客数が増加に転じ、24年8月期の年間収入高は約2億600万円を計上したものの、「食材や光熱費などの高騰による売上原価と販管費の上昇分を宿泊単価に転嫁しきれず、従前からの借入金も重荷となり事業の継続を断念した」(帝国データバンク)としている。