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「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(209)」市民塾と観光まちづくり (埼玉県越谷市)

2022年7月3日
編集部:長谷川 貴人

2022年7月3日(日) 配信

藍染め体験と、こしがや「まち未来創造塾」

 「観光まちづくり」という何とも曖昧な用語は、いつごろから使われ始めたのだろうか。

 その初出はともかく、2000年前後から頻繁に聞かれるようになった。

 その端緒の1つは、旧運輸省観光部による「観光まちづくり研究会」(西村幸夫氏主査・現國學院大學観光まちづくり学部長)あたりからであろうか。

 この研究会でとりまとめた「観光まちづくりハンドブック」がきっかけとなり、2000年12月の国の観光政策審議会答申でも、重要施策の1つとして「観光まちづくり」が位置付けられた。

 このハンドブックでは、観光まちづくりを「地域が主体となって、自然、文化、歴史、産業、人材など、地域のあらゆる資源を生かすことによって、交流を振興し、活力あふれるまちを実現するための活動」と定義している。

 これら活動の主体は地域であり市民である。地域づくりにとって、担い手づくりこそが、最重点課題である。こんな背景のもと、筆者も各地で観光まちづくりの「塾」を相次いで開校した。

 その端緒とも言えるのが、地元、埼玉県越谷市で15年に開校した「まち未来創造塾」である。本年5月には、第7期塾もスタートし、既に累積で140人を超える塾生たちが、地域の各分野で活躍している。

水辺活用のシンボル「レイクタウン(大相模調節池)」

 越谷市は、いわゆる「観光地」ではない。しかし、洪水調整用に拓いた周囲6㌔㍍のレイクの畔には、東洋一の大型商業施設のイオンレイクタウンが立地し、その集客数は年間5000万人を超える。数だけみれば近隣の日光や箱根などをはるかに上回る。

 しかし、問題は数ではない。首都圏のベッドタウンとして発展し、今や35万人の中核市となった半面で、地域理解や愛着の欠如、急速に進む人口高齢化、日光街道の宿場町として栄えた江戸時代からの人形、箪笥、鎧甲甲冑、染色(繊維)、せんべいなどの伝統産業の衰退など、多くの課題を抱えている。地域に残る多様な資源を磨き、新たな産業を創出し、住み続けたいと思える地域づくりの推進が何よりの課題である。

 未来塾は、新たな官民連携の実験場でもある。道路や都市計画などのハード事業は行政計画によるところが大きいが、観光まちづくりは市民・事業者などの担い手がいなければ、推進できない。

 越谷で3年前から始まった「技博」は、地域の多様な主体がもつ身近な「技」を資源として、150以上の市民団体が参加・交流する大きな事業に育ちつつある。

 これからは、こうした地域の多様な担い手が、自ら事業を育てるとともに、観光振興計画など、地域ビジョンを策定・共有し、行政に提言することもあり得る。これからの新たな官民連携の担い手としての塾の役割でもある。官民連携の実験手法としても期待したい。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)

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