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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(132)「いつも」の言葉に想いを載せて 目の前へ想いを寄せる

2021年12月25日
編集部:馬場遥

2021年12月25日(土) 配信

 

 空港で靴を磨いてもらおうと、久しぶりに靴磨きコーナーを訪ねました。

 「お願いします」と言うと、笑顔で「どうぞお掛け下さい」。この短い会話のやり取りが好きで、よく利用していました。

 コロナ禍で約1年半利用できず、その場所もスタッフも変わっていました。利用方法も券売機でチケットを購入するようになりましたが、とりあえず2脚あるイスの1つに座り、靴磨きが始まりました。

 時間は約10分ですが、黙々と靴を磨く姿に「最近はどうですか」と声も掛けられません。

 ところが、疲れた靴を美しく磨き上げると「いつもありがとうございます」と突然お礼を言われました。

 そこから、「前に磨いてもらっていましたか」と会話が始まったのです。

 その人のことは覚えていませんでしたが、「いつも」の言葉が大変うれしく感じられ、一生懸命に靴を磨く姿にも好感が持てました。

 話を聞くと、彼の先輩が過去に私の靴を磨いたようです。

 「印象的な色の靴で、黒と白のクリームしかないなか、先輩が磨き方をご相談しているのを隣で聞いていました」。

 「お客様の靴が同じ色でしたので、ついお声を掛けてしまいました。間違っていたら申し訳ありません」と話してくれました。

 「いつも」は短い言葉ですが、強い力を持っています。たくさんのお客様のなかから、いいお客を「個」と捉え、馴染み客と認識していることを伝える。お客様にとっては、本当にうれしい言葉です。

 しかも、自分の目の前のお客様だけではなく、靴磨きコーナーを利用するほかのスタッフのお客様にも関心を寄せる姿勢、チームで利用客に喜んでもらおうとする行動とそのすべて
に、感動した瞬間でした。

 ただ、「いつも」は誰にでも使えるものではありません。初めての利用者には、言われて逆に不快に感じる人もいるかもしれません。

 しかし、恐れず言ってみても、「間違っていたら申し訳ありません」と続ければ大丈夫です。

 さらに、「いつも」という魔法の言葉を発するまでの対応が良ければ、不快に思う人は少なくなります。

 恐れて言わないことが、リピーターにはとても残念な選択なのです。

 この言葉を発するために、日ごろから利用いただくお客様に寄せる関心を高める意味でも、積極的な声掛けをする準備にも力を入れましょう。

 苦情を恐れずに、目の前にいるお客様に想いを寄せて、勇気を持って考動することこそが感動を生むおもてなしなのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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