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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(131)失くしてはならない強みを知る 独自性に未来を託す

2021年12月5日(日) 配信

 

 コロナ禍で伸ばした業界の1つに通販があります。外出制限されるなかで、スマホで簡単に商品がお取り寄せできる手軽さが、多くの消費者に受け入れられたと思います。そういう私も時々利用しますが、箱を開けた瞬間「こんなもの頼んだかな」と思うこともよくあります。

 そんななかで、お世話になっている方の記念日にプレゼントを贈ろうとしましたが、以前からよく利用するメーカーが、メッセージカードを受け付けないということで、今回は利用をやめました。

 自分用であれば問題ないですが、今回はプレゼント用です。「もの」を単に買うのではなく、送る側の想いを受け取り手に届ける「こと」が最も大切なのです。メーカーに問い合わせると、利用が多くて対応できなくなったということでした。大切にすべきことを見失ってはならない、と強く感じたのです。

 「宿泊産業でも同様に大切なことを忘れてはいけない」と強く感じています。他社の価格ばかりに気を取られて、集客のために安さを大切にしていないでしょうか。ビジネス客には、価格は安く立地も仕事に便利な場所が大きな要素となるでしょう。

 ただ、家族と利用する場合は何が最も大切な要素となるのか。価格という人も、料理という人もいるでしょう。あるいは、温泉にゆったりと浸りたい人もいるでしょう。

 要素は1つではなく、複合的に考えて選択する人は多いと思います。

 しかし、忘れてならないのは、それらは単に手段であるということです。旅の目的は、楽しい時間を過ごし、思い出を創ることではないでしょうか。通販企業のように、私たちが本来持っていた強みを失くしていけません。なぜ自分の宿が選ばれているのかを、正しく知ることが大事です。

 それを知る重要なタイミングが、予約時に「何に期待をされて選ばれたのか」を伺うことです。

 価格を武器に集客してきた企業にとっては、「安かったから」の声は正解を意味しますが、次もまた安くないと選ばれないことでもあります。

 料理にあまり自信がないという企業に対して「料理」が、その答えとして多ければ、価格を上げてでもその声に応えて行くべきでしょう。いまの価格に対しての料理の価値といった中途半端な戦略ではいけないのです。

 強みを伸ばして、お客様に選ばれる理由をより強く打ち出していくことが差別化を進めるために必要な戦略です。

 なによりも「人」が選ばれる対象となった時に、その独自性は強い価値を創り出すと考えます。私たちはどんな強みに未来を託すべきなのでしょうか。

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

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