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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(148) 細部にこだわることで意識が変わる 強い意思で輝く行動

2023年5月14日(日) 配信

 

 細部に「魂」は宿ると言われます。先日利用した飛行機の中で、CAの行動に大変感動しました。飛行機がボーディング・ブリッジを離れる前に、CAが客席を確認して回るときのことです。私の座席に来たとき「シートベルトの確認をさせていただけますか」と声を掛けられました。シートベルトは着用していましたが、膝にコートがあったのでCAから確認ができなかったようです。

 最近のシートベルト確認は、音声やモニターで着用を促すだけで、CAの確認行動も減ってしまい残念に思っていました。以前は今回のように声掛けと、目視で確認されていました。音声案内のように、機械化が進みCAの人数も減り、出発前の業務がタイトになったことは分かります。ただ、効率化された業務については、「本当にそれで良いのか」と違和感を持っています。

 「何をする」かではなく、「何のために」という強い「根っこ」を持って経営すれば、現場力は高まります。シートベルトの着用は、アナウンスをすれば良いというだけではなく、お客様の安全な空の旅を守ることです。

 毎日の繰り返しではありますが、この瞬間の気持ちが薄れると大きなミスやトラブルにつながります。CAの仕事は、お客様の安全なフライトを守り、確実な再利用者を創造するために、高い満足度を生み出すサービス提供にあります。

 こうした、細部へのこだわりが、何のために仕事をするかという意識を高め、安全とリピートにつながる感動サービスを生み出すのです。私もその一声がフライトへの安心感と、その後の満足度を高める大きなきっかけとなったのです。

 あるクライアント企業のホテルに宿泊して、朝食を食べているときのことです。テーブルには感染予防のプラスチックボードがセットされていました。食事を終えたあと、テーブルを片づけるスタッフの行動に、このホテルのお客様を想う「根っこ」の強さを見ました。それは、食器を片付けた後にテーブルだけでなく、感染予防のボードを丁寧に拭いていたのです。その姿に大きな安心感が生まれました。

 その行動を取り続けることで、自らの仕事が安全を守ることと、お客様に気持ちよくお過ごしいただき、「またここで食事をしよう」と思っていただくお客様を創り続けることになる、というやりがいと誇りを生み出すのだと考えます。

 その行動そのものが感動サービスであったかということ以上に、その細部にこだわる想いと意識こそが、お客様の心を掴むより大きな感動行動を創り出すのです。一見無駄だと感じる行動にも、強い意思を持って取り組めばその行動は輝くのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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