〈旅行新聞3月1日号コラム〉――お土産 大切な人への「思いやり」の心の表れ

2025年3月1日(土) 配信

 日本交通公社が発行した「旅行年報2024」によると、23年の日本人の旅行平均回数は、「国内宿泊旅行」全体では1人当たり2・26回とのこと。この中には、観光・レクリエーションや、帰省・知人訪問、出張・業務も含まれている。これを見ると私は職業上、旅行回数は平均値を大幅に上回っている。

 旅行回数が増えると、旅行に対する姿勢が多少なりとも日常に近づいていく。「旅慣れている」といえば熟練度が高まったように聞こえるが、「感動の度合いが平板化している」と表現し直すと、寂しく感じる。  

 旅先ではあまりお土産を買わない性質だ。「荷物を増やしたくない」というのが、わりと大きな理由であるが「感動の度合いが平板化している」からなのだろうと思う。旅先で土産物店に入って、あちこち見回すのだが、今一つ熱くなれない。

 先日北九州に行った息子が、明太子や筑紫もち、小倉銘菓「ぎおん太鼓」など、山のようにお土産を買って帰ってきた。北九州には私の実家があり、明太子やぎおん太鼓は慣れ親しんでいるのだが、お土産として手に取ると、やはり美味しい。「荷物も増えて重たかっただろうに、よくこれだけのお土産を買って来たなぁ」と感心した。

 先週は小田原に日帰り旅行をした。「鈴廣かまぼこの里」でかまぼこを買うのが目的の一つだったので、箱根ビール3本セットや、わさび漬けなども買って、家でお酒と一緒にかまぼこを楽しんだ。

 鈴廣で目にしたのが、買い物カゴが山になるほど商品を詰め込む観光客の姿だった。男性よりも女性の方が断然勢いがあった。彼女たちが1年間にどれくらい旅行をしているのか知る由もないのだが、その熱量に圧倒され、清々しい心地よさを感じた。私は他人の豪快な買い物に感動する人間なのだ。

 人はそれぞれ価値観が違う。だから他人と自分の欲しいものは一致しない。「そんなものにそれほどお金を使う?」という場面に出会うたびに、無上な面白さを感じる。

 旅先の飲食店でも、あまり思い切った料理メニューを選ぶことができない。

 新鮮な魚介類の産地であったとしても、「旅先だから豪勢にいこう!」という勢いが足りない。最近は観光地の飲食店も高い。それも意を介さぬように、隣の席でハレの「特上」御膳などを豪快に楽しんでいる観光客を横目に、「並」か「上」の寿司で満足してしまう。「せっかく旅をしているのだから……」と奮発して「特上」を注文する熱量が不足しているのだ。

 「自分は旅に一体何を求めているのだろう」と思うことがある。安宿に泊まり、美味しいものにもそれほど興味を示さず、土産物店も素通りしてしまう。通りすがりの観光客が山ほどお土産を買い込んでいる姿を見ると、身を乗り出すほど感動してしまう、つまらぬ旅の者。

 旅先で自分のために食べる料理メニューなど、この際どうでもいい。しかし、ようやくこの歳になって分かったのは、お土産は大切な人への思いやりの心の表れだということだ。そういえば小学校の修学旅行では、私も純粋な気持ちで家族へのお土産を選んだ。この気持ちは旅への純真さにもつながっている。そうすると、山ほどお土産を買って帰る人が、妙に輝いて見えてくる。心を入れ替えようと思う。

(編集長・増田 剛)

東武鉄道など3社、旅行グッズを貸出 沿線の観光体験向上へ

2025年2月28日(金) 配信

実証期間は3月1日午前9時~5月31日午後5時まで

 カメラなど旅行グッズのレンタルサービスに関する実証実験「トレンタル」が、栃木県日光市の東武日光駅と鬼怒川温泉駅の各ツーリストセンターで3月1日(土)から開始する。実証は東武鉄道と東武トップツアーズ、シェアリングプラットフォームを運営するアリススタイルの3社が手掛ける。

 トレンタルは、デジタル一眼カメラや高級ドライヤーなど、旅先での観光体験や利便性を向上させるアイテムを駅構内で貸し出し、レンタルサービスの需要や本実施に向けたオペレーションを検証する。旅行者の「電車移動では荷物をなるべく減らしたい」「使ってみたいが高額で気軽に買えない」というニーズに応え、東武鉄道沿線の観光地での利便性や満足度の向上を目指す。

 利用者は、専用Webサイトで利用日の前日までに申し込みと決済を行う。利用日の当日には、東武トップツアーズが運営する「東武日光駅ツーリストセンター」または「鬼怒川温泉駅ツーリストセンター」でレンタル物品を受け取れる。

 実証期間は3月1日(土)午前9時~5月31日(土)午後5時まで。予約は同30日(金)終日まで受け付け、翌31日(土)は当日貸出と返却のみ。

 レンタル料金は当日利用980~1980円、1泊以降は追加料金が発生する。専用Webサイトではインスタントカメラ用フィルムやSDメモリーカードも販売する。

「JAL特製オリジナルビーフカレー」販売累計100万食突破! 記念キャンペーンを実施へ

2025年2月28日(金) 配信

「JAL特製オリジナルビーフカレー」100万食突破で松下奈緒さんがトークイベント

 日本航空(JAL、鳥取三津子社長、東京都品川区)とJALUX(高濱悟社長、東京都港区)は3月3日(月)から、「JAL特製オリジナルビーフカレー」販売累計100万食突破を記念して、さまざまなキャンペーンを開始する。商品購入やマイルの特典交換でオリジナルスプーンがもらえるほか、特別イベントを実施する。

 キャンペーンは3月3日~5月6日までの対象期間に「JALショッピング JAL Mall店」や「JALとっておきの逸品」でJAL特製オリジナルビーフカレーを10食分購入、またはマイルでの特典交換ごとに非売品のオリジナルカレースプーンを1本プレゼントする。さらに抽選で10人にラウンジカレー皿JALロゴ付きペアセットが当たる。

 また、同期間中にJAL公式Xアカウントをフォローし、「#JALカレー」「#JALカレー100万食記念」の2つのハッシュタグをつけて、同カレーの写真と感想をXに投稿した人のなかから抽選で10人に「JAL特製オリジナルビーフカレー&JAL LOUNGEカレーまん」をプレゼントする。

 記念イベントとして、JALに搭乗する機会が多いという俳優の松下奈緒さんが同カレーの魅力などを語るトークイベントを3月末日に東京都内で開催する。観覧募集などは3月6日にキャンペーンWebサイトで案内する予定という。

 このほか、3月27日(木)、28日(金)の2日間限定で、東京都世田谷区の二子玉川蔦屋家電で、カレーのほか「JAL SELECTION」で人気の商品を販売する。

グランプリは「劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』×北海道函館市」 観光振興の功績評価 第15回ロケーションジャパン大賞表彰式開催

2025年2月28日(金) 配信

グランプリの表彰を受けた永岡智佳監督(前列左から2番目)や大泉潤市長(同3番目)

 第15回ロケーションジャパン大賞の表彰式が2月20日(木)、東京都内で行われ、「劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』×北海道函館市」がグランプリに選ばれた。

 2024年の映画興行収入が158億円を超えてトップとなったことや、函館市と共にグッズ販売、ロケ地マップの作製、スタンプラリーの実施などでさまざま施策を展開し、観光振興に貢献したことが高く評価された。

 大泉潤函館市長は「大変精密に函館の風景が描かれており、何度も映画を見た市民が多い。聖地巡礼で訪れた人も大変楽しんだと思う」と喜びを語った。

 同賞は、地域活性プランニング(藤崎慎一社長、東京都港区)の発行するロケ地情報誌「ロケーションジャパン」が主催するもので、①支持率②撮影サポート③行楽度④地域の変化――4つの指標と約2万人の一般投票を基に審査された。今年は、2023年11月1日~24年10月31日に公開、放送された映画・ドラマ・アニメ40作品・61地域がノミネートされた。

 部門賞のうち、支持率部門では「大河ドラマ『光る君へ』×京都府宇治市、福井県越前市、滋賀県大津市」が選ばれた。

 NHKの番組をインターネットで視聴できるサービスNHKプラスの平均視聴数が、37.9万ユニークブラウザと歴代の大河ドラマで最高だったことや、「#光る君へ」がXの国内トレンドで1位になったことが評価された。

 表彰式では松村淳子宇治市長と山田賢一越前市長、佐藤健司大津市長に壇上で表彰状が授与された。

 藤崎社長はロケーションジャパン大賞について、「(受賞で)メディアが取材に来る。これによって、地元をはじめ全国に成果が知れ渡る」とさらなる地域活性化につながることを強調した。

 同日、「ロケツーリズムアワード」の授賞式も行われ、地域大賞に千葉県旭市、企業大賞に北海道中央バスがそれぞれ輝いた。

 同アワードはロケツーリズム協議会に参画する地域・企業のなかからロケ実績を活用し成果を上げた地域と企業を観光庁が選定・表彰している。

 旭市は、ドラマ「孤独のグルメ」で特産品を紹介されたこと、全国初の「ロケ弁グランプリin旭市」で市の魅力の認知度向上に取り組んだほか、ドラマなどの露出で23年のふるさと納税寄付額が前年比で約2倍だったことが受賞につながった。

ロケツーリズムアワード地域大賞を受けた米本弥一郎市長(前列左から4番目)など

 米本弥一郎市長は「ロケツーリズム事業には、官民一体となりオール旭で取り組んできた。これが評価され、非常に嬉しい」と感想を述べた。また、「市を紹介する際は、『銚子市の隣の街』と説明し、理解してもらっていた。ロケの町『旭』といわれるよう力を尽くす」と力を込めた。

 北海道中央バスは、グループで運営する小樽天狗山(北海道小樽市)において撮影されたドラマ「First Love 初恋」などさまざまなロケ実績を活用し、国内外からの観光客増加につなげた点や、グループ連携で聖地づくりに注力し、小樽市の活性化に貢献した点が受賞につながった。

 総評で、山田実希編集長は「受賞した制作者と地域は作品公開後の再開の場として、関係をより深めてほしい」と呼び掛けた。さらに、「(授賞式に出席している)地域は撮影の対応力が抜群に高い。(表彰式が)制作者と地域は交流をはかり、新たな作品の誕生に向けた出会いになれば」と話した。

日本旅行、「新潟県と北陸の復興へ」義援金贈呈

2025年2月28日(金) 配信

小谷野悦光社長(左)と、花角英世会長(新潟県知事)

 日本旅行(小谷野悦光社長)は2月25日(火)に新潟県庁で、昨年3月に発表した能登半島地震復興応援企画「旅して応援 北陸・新潟」を通して集まった義援金の贈呈式を行った。

 赤い風船「旅して応援 北陸・新潟」は、旅行代金の収益の一部(1人当たり500円)を義援金として、新潟県観光協会、石川県の和倉温泉観光協会、輪島市への寄付を目的とした企画。

 販売開始の2024年3月から約3カ月で256万7000円が集まった。新潟県と北陸の復興に役立ててもらうため、同社の小谷野社長が新潟県観光協会の花角英世会長(新潟県知事)に手渡した。

 小谷野社長は「これからもお客様と共に、旅を通して地域活性化や復興支援に貢献していきたい」とコメントしている。

北海道室蘭市が地域おこし協力隊を募集中 新たな観光企画でまちおこしを!

2025年2月28日(金) 配信

室蘭市地域おこし協力隊の活動のようす

 北海道室蘭市(青山剛市長)は3月24日(月)まで、観光によるまちおこしを担う人材、「地域おこし協力隊」を1人募集している。業務は新規観光コンテンツの企画や既存観光コンテンツの磨き上げ、室蘭市の各種SNSでの観光情報発信などで、任期は3年間。

 同市は工場群の景観「工場夜景」が人気を集めているほか、「地球岬」など自然の景勝地も多く、外海ではイルカウォッチングも楽しめる。ご当地グルメでは、「室蘭やきとり」や「室蘭ラーメン」などがおすすめという。

 一方、登別と洞爺湖に挟まれる立地のため、通過型観光が主流になっているのが課題。そこで、新たな地域おこし協力隊とともに、滞在観光を促進していきたい考え。

 主な活動計画は、新しい観光プログラムの企画立案と実現に向けた外部交渉や運営、既存体験型観光コンテンツ「手ぶらdeフィッシング」や「白鳥大橋主塔登頂クルーズ」などのPR強化、周辺自治体などと連携した観光プロモーションなど。

 求める人材は、人との関わりやコミュニケーションを取ることを大切にし、積極的に地域住民や団体と協力しながら、地域協力活動に取り組む意思がある人で、SNSなどを活用した業務に携わっていた経験などを歓迎する。

 応募条件は生活の拠点を三大都市圏や札幌市など都市地域から室蘭市に移し、住民票を異動できることや、活動期間終了後も室蘭市に定住する意思があること、普通自動車免許を持っていることなど。

 任用期間は採用日~2026年3月31日まで。年度末までを1区切りとし、最長36カ月を超えない範囲で会計年度ごとに任用する。身分は室蘭市会計年度任用職員で月額給与は17万4700円。家賃補助や通勤手当相当分なども用意する。賞与は6・12月で、24年度の基準は4・6カ月。勤務時間は週30時間で、週5日勤務か週4日勤務。土・日曜日、祝日は休日となる。共済組合、厚生年金、雇用保険に加入する。なお、協力隊の活動に支障がない範囲で副業も認められている。

 詳細や応募方法などは室蘭市移住情報サイトへ。

【南三陸キラキラ春つげ丼】今年も町内8店舗で提供 3月1日(土)~4月30日(水)まで

2025年2月28日(金) 配信

キラキラ春つげ丼(イメージ)

 宮城県・南三陸町内でキラキラ丼加盟店の飲食店8店舗は3月1日(土)~4月30日(水)まで、旬の食材を利用した期間限定の海鮮丼「キラキラ丼」を販売する。

 南三陸町の沿岸部は、暖流と寒流が交わり、多彩な海の幸が味わえる地域。同町は地域活性化の取り組みの一環として、2009年11月に始まった「南三陸キラキラいくら丼」のシリーズが、震災後の12年秋に再開され、復興の象徴となった。

 南三陸町には、季節ごとに異なる旬の食材を取り入れた「春つげ丼」「うに丼」「秋旨丼」「いくら丼」の4種類があり、今春も3~4月にかけて、「南三陸キラキラ春つげ丼」が登場する。町内8店舗がそれぞれ工夫を凝らし、見た目にも華やかな海鮮丼を提供する。

 提供8店舗は次の通り。

 創菜旬魚 はしもと▽食事処 松原▽食楽 しお彩▽季節料理 志のや▽かいせんどころ梁▽弁慶鮨▽鮨処 えんどう▽山内鮮魚店

【対談】観光庁の地域観光魅力向上事業 持続的な地方誘客と販路開拓へ

2025年2月28日(金) 配信

 観光庁は、将来にわたって持続的に地方誘客が促進されるよう、地域資源を活用した収益性が高く独自性・新規性のある観光コンテンツの開発から、適切な販路開拓や情報発信の総合的な支援を行い、中長期にわたって販売可能なビジネスモデルづくりを支援する「地域観光魅力向上事業」を開始する。具体的な内容と地方への期待について、観光庁観光資源課新コンテンツ開発推進室の豊重巨之室長と、内閣府地域活性化伝道師・跡見学園女子大学観光コミュニティ学部の篠原靖准教授が対談した。

中長期的な販売計画支援、優先採択で地方部80%以上に

 篠原 2024年の訪日外国人旅行者数(1~12月)は3687万人となり、日本のインバウンド市場で過去最高を記録しました。コロナ禍前19年の壁がなかなか壊せなかったが、非常に大きな成果と言えます。同様に国内旅行に関しても好調に推移しています。

 消費額も順調に伸びてきている一方、オーバーツーリズムをはじめとして、3大都市圏から地方への誘客拡大が広がっていない現状もあり、まだまだ課題はあります。このような背景があるなか、観光庁全体の戦略と今回の事業予算について教えてください。

 豊重 24年はインバウンドの旅行消費額が8兆円を超え、訪日外国人旅行者数と共に史上最高となったが、政府は目標として20年に8兆円、30年に15兆円、6000万人と目標を定めています。20年はコロナ禍で8兆円に達しなかったが、昨年は8兆円を超したことで、30年に15兆円という目標は夢ではなくなりました。観光庁としては基本計画に基づいて、引き続き「持続可能な観光地域づくり」「インバウンド回復」「国内交流拡大」に取り組んでいきます。

 補正予算については543億円。当初予算は一般財源で89億円、国際観光旅客税財源で441億円を要求しています。そのなかで今回の「地域観光魅力向上事業」は40億円を確保し、しっかりと地方誘客に資する事業を取り組んでいきます。

 篠原 第4次「観光立国推進基本計画」では、とくに観光消費額の拡大や地方誘客の促進戦略が示されているが、地域が稼ぐ仕組みができていない。前身の令和5年度補正予算である「地域観光新発見事業」は、そうした礎になるものでしたが、さらに今回の地域観光魅力向上事業では新たな目標を立てて取り組まれています。

 豊重 地域観光魅力向上事業は、さらなる地方誘客の促進と、観光コンテンツの販売強化を目指し、事業設計を行いました。インバウンドの宿泊先が東京、京都、大阪などの都市部で全体の7割を占め、地方に観光客が足を運んでいない状況のため、その点をしっかりと取り組んでいきます。

 新発見事業の後継事業ということで、引き続きインバウンドに限らず、国内観光客の地方誘客に資する観光コンテンツの造成も行える。ただし、モニターツアーを実施して終わりや、一過性のイベントの運営経費で終わってしまっては持続的な観光にならない。今回の事業では、観光コンテンツの販売強化を集中的に取り組みたいです。

 地域の観光資源を掘り起こしてさまざまな観光コンテンツを作ってほしいという「新発見」から、そうした観光コンテンツをさらに高めて、より魅力あるものを目指す思いから「魅力向上」とネーミングしました。

 篠原 全国各地の伝統工芸品も観光資源として活用が必要でありますが、後継者不足で危機的状況に置かれています。

 豊重 日本文化の象徴でもある伝統工芸品の価値を観光資源とし、地域経済の活性化支援も重要です。海外マーケットの販路拡大、工芸品を目的としたインバウンド客の受入態勢の確立をはかる地域も支援したいです。

 篠原 新発見事業では地域に眠っている新しいものを発見しようという動きでしたが、さらに販路を明確にしてつなげていける体制を強化する。より販路開拓を支援できるように、大きく事業展開を変えられました。

 そうは言いながらも、モニターツアーを実施して終わってしまうというケースは多いです。何が原因だと思いますか。

 豊重 収支バランスを鑑みた適切な価格設定ができていないことが一因と考えています。また、受入態勢を含めて継続的に地域で事業を取り組んでいく関係者間の合意形成ができていないことも一因と考えています。

 篠原 初年度は補助金が付きますが、次年度に向けて補助金がなくなることを前提に価格設定や受入態勢を整備しなければならない。今回の補助事業を通して、長年にわたっての事業計画をつくり、持続的に地方誘客が促進されるように取り組んでもらいたいです。

 豊重 新発見事業と同様に、地域観光魅力向上事業では「販売型」「新創出型」の2つの類型を設けます。販売型は、事業実施期間内に造成した観光コンテンツを販売することを目的にしています。新創出型は、新たな観光コンテンツ造成および販路構築を行い、事業終了後に速やかに販売開始することを目的にした取り組みとなります。

 最低事業費は600万円となっており、補助額は400万円までは定額でそれ以上は2分の1で補助します。事業費600万円の場合、補助額500万円、自己負担100万円で事業が行えます。補助上限は1250万円となります。

 篠原 販売型、新創出型のどちらの事業についても、地域と連携した受入態勢に加え、観光コンテンツの販売や継続的な提供を前提とした販売計画を整えていかなければならないのですね。

 豊重 伴走支援を行いながらビジネスモデルづくりと、地域で自走するための後方支援をしっかりと行っていきます。申請前支援として、地域観光魅力向上事業スタートアップセッションを開催し、観光分野の専門家によるセミナーにより、事業計画などのブラッシュアップにつながる情報を提供しました(後日、事業サイト上でアーカイブ配信予定)。

 採択後には、①専門家によるオンラインセミナーの開催②地域観光サポーターによるアドバイス③SNSなどを活用した情報発信支援④旅行会社などとの商談会の開催⑤事業に関する個別相談の実施――といった主に5つの事業実施支援を行います。これまでの類似の事業での取り組みの課題を整理し、反省を踏まえて、丁寧に対応しながら手厚い事業にしていきます。より明確に分かりやすく、申請者や採択事業者に今回の事業を活用いただきたいです。

 篠原 申請手続きや採択事業者の選定についてはいかがですか。

 豊重 提出書類は、①事業計画書②費用積算書③事業実施スケジュール④事業概要⑤市区町村の同意書――の5つの様式を、すべて事業サイトの申請ページから提出してもらいます。引き続き様式①―③はシステム上への入力となります。また、前身の新発見事業で提出を求めていた様式⑥の「連携先の同意書」は不要となり、様式①において連携先の同意の有無を記載してもらう形式に変更し、少しでも皆様の手間を掛けないように進めていきます。

 採択事業者の選定については、提出された書類から①持続可能な観光地域づくりへの寄与②独自性・新規性③具体性・計画性④実施体制・持続性⑤収益性――の5つの観点から審査します。80%以上は地方部となるよう優先採択します。

 篠原 提出書類をなるべく簡素化し、提出された事業がいかに継続性を保てるか見極めるわけです。採択事業といえば今年1月に「『地域観光新発見事業』成果発表会」が開かれ、新発見事業を活用した好事例の取り組みが披露されました。SNSの活用成果についても発表されましたが、評価はどうですか。

 豊重 実施主体から反響が多いと驚きの声をいただきました。新発見事業のインフルエンサー派遣では、プロのインフルエンサーによる情報の拡散力が良く、販売までの導線をインスタグラム内で設けました。ただ見て終わりではなく、そのあとの販売にもつながるため、インスタグラムなどのSNS活用は引き続き支援していきたいです。

 篠原 観光の世界もインスタグラムでのPRから一歩進み、申し込みまでの導線をつなげられる仕組みを設け、継続的な受入態勢をつくっていく流れが必要になります。

 豊重 地域観光魅力向上事業の1次公募の期間は、3月3日(月)~4月18日(金)正午まで。5月下旬に採択通知を行い、事業は交付決定後の6月下旬~7月目途から26年2月28日(土)まで実施できます。多くの魅力的な観光コンテンツをお待ちしています。

英・ビジネスコンペ優勝チームが訪日旅行促進案を提案 観光庁やANA社員と活発な意見交換

2025年2月28日(金) 配信

観光庁での意見交換のようす(奥側の中央4人が優勝チーム、手前が観光庁)

 イギリス・ロンドン大学が運営するMBAスクール、ロンドンビジネススクール(LBS)の日本人生徒を中心とした組織「Japan Club」は昨年末、「ビジット・ジャパン・マーケティング戦略コンペティション」を開催した。コンペで優勝したチームの4人は2月26日(水)に観光庁を訪れ、観光地域振興部の長﨑敏志部長らを前に訪日観光促進案のプレゼンテーションを行った。同日は、全日本空輸(ANA)の施設でも同様のプレゼンを実施し、ANAグループ社員と活発な意見を交わした。

 同コンペはANA総合研究所(㓛刀秀記社長、東京都港区)がメインスポンサーとして参画しており、ANAロンドン支店と連携して企画・運営を支援している。今年度はLBS側と協議を重ねるなかで、「北陸地域の震災・豪雨からの復興を観光で後押しするアイデア」をテーマに設定。参加者を募ったところ、今年度は新たにオックスフォード大学とケンリッジ大学のチームも含めた132人・35チームが参加し、6チームが最終選考に進んだ。

 昨年11月の最終選考会で優勝したのはケンブリッジ大学のジャッジ・ビジネススクールのチーム。北陸の海の幸や日本酒に焦点を当て、魅力を最大限に引き出すための「インタラクティブ・マップ」を提案した。同マップでは、おすすめのレストランや観光地、体験など厳選された旅行ルートを紹介するほか、ユーザーが興味に合わせてカスタマイズできるようにし、マップから直接予約サイトに接続して予約することや、またレビューを保存して他ユーザーと共有できるようなアイデアを盛り込んだ。

 優勝チームは2月24日から訪日し、実際に北陸エリアを訪問。石川県の北前船の里資料館や九谷焼美術館などを視察したほか、加賀市長への表敬訪問や山代温泉・瑠璃光で能登半島震災に関する講話などを受けたという。

 意見交換のなかで、参加メンバーは事前調査や現地視察を含め、圧倒的に英語での情報発信が少ないことを指摘。現地でも英語表記が不足しており、今回のようにアテンドがなければ個人ではたどり着くのが難しい面もあるのではないかと感想を述べた。また、ベジタリアンだというメンバーは、何が食べられるのか見極めるのに苦慮した点なども明かした。

 一方で、魅力的な素材が多いと評価し、「情報にたどり着けさえすればもっと多くの人が訪れるのではないか」と潜在能力の高さに期待した。

ANA Blue Baseでのプレゼン風景

 ANAグループ社員との意見交換は東京都大田区のANA訓練施設「ANA blue Base」で行われた。ANAグループから約20人が会場で参加したほか、オンラインでは100人を超える社員が参加。社員から「北陸を訪れる外国人のなかで、イタリア人が比較的多いとのことだがなぜか」などの質問があり、メンバーは「イタリアではSNSでの拡散がとくに盛んで、それが効いていると思われる」と答えるなど、積極的に交流をはかった。

「いちごいっぱい!さいたまスイーツまつり」 3月1、2日に大宮で開催

2025年2月28日(金) 配信

まるまるひがしにほんで「さいたまスイーツまつり」を開催

 埼玉県さいたま市は、3月1日(土)、2日(日)の2日間、大宮駅東口から徒歩1分の「まるまるひがしにほん(東日本連携センター)」で、「いちごいっぱい!さいたまスイーツまつり」を開催する。

 さいたまスイーツ人気店のいちごケーキを数量限定で販売するほか、さいたまスイーツとバリスタ厳選のコーヒーの美味しい組み合わせが楽しめるコーヒーのペアリングも実施。さいたま市産いちごの「あまりん」「べにたま」も数量限定で販売する。

 同会場2階ではワークショップ「クッキーデコ体験」や、さいたま観光大使「大宮セブン」によるお笑いライブ(観覧無料、各回先着40人限定)も同時開催。さまざまな企画が盛りだくさんの2日間限定イベントとなる。

 開催時間は午前11時~午後7時(2日目は午後6時まで)。

さいたまスイーツ人気店のいちごケーキを数量限定販売

 会場では、さいたまスイーツ人気店のいちごのケーキ等を各店30個限定で販売。3月1日は①埼玉県産ブランドいちご「あまりん」を贅沢に使用した、パティスリーアプラノス(さいたま市南区)の「あまりんタルト」②ミルキーな生ショートと溢れんばかりの苺の組み合わせが楽しめる、Kazu Bake(さいたま市北区)の「純生、こぼれ苺ショート」――、同2日は③カスタードクリームをサンドし、生クリームで覆った、パティスリーポルトボヌール(さいたま市浦和区)の「いちごショーとスペシャル」④コクのあるバタークリームとたっぷりいちごが大人気のケーキ、パティスリーアンフィーユ2016(さいたま市見沼区)の「フレジェフレーズ」――を数量限定販売する。

 さいたま市産のいちご(あまりん、べにたま)も各日2種合計70パック限定販売する。「あまりん」は酸味がおだやかで、そのまま食べても驚くほど甘いいちご。「べにたま」は2021年に品種登録出願されたばかりで、まだ生産者も少ない「幻のいちご」。

 このほか、さいたま市内の人気スイーツが大集合。あまりんを使ったプリンなど、絶品プリンの食べ比べや、自慢の焼菓子、和菓子など多数用意。「鉄道のまち大宮」コラボスイーツも販売する。