英・ビジネスコンペ優勝チームが訪日旅行促進案を提案 観光庁やANA社員と活発な意見交換
2025年2月28日(金) 配信

イギリス・ロンドン大学が運営するMBAスクール、ロンドンビジネススクール(LBS)の日本人生徒を中心とした組織「Japan Club」は昨年末、「ビジット・ジャパン・マーケティング戦略コンペティション」を開催した。コンペで優勝したチームの4人は2月26日(水)に観光庁を訪れ、観光地域振興部の長﨑敏志部長らを前に訪日観光促進案のプレゼンテーションを行った。同日は、全日本空輸(ANA)の施設でも同様のプレゼンを実施し、ANAグループ社員と活発な意見を交わした。
同コンペはANA総合研究所(㓛刀秀記社長、東京都港区)がメインスポンサーとして参画しており、ANAロンドン支店と連携して企画・運営を支援している。今年度はLBS側と協議を重ねるなかで、「北陸地域の震災・豪雨からの復興を観光で後押しするアイデア」をテーマに設定。参加者を募ったところ、今年度は新たにオックスフォード大学とケンリッジ大学のチームも含めた132人・35チームが参加し、6チームが最終選考に進んだ。
昨年11月の最終選考会で優勝したのはケンブリッジ大学のジャッジ・ビジネススクールのチーム。北陸の海の幸や日本酒に焦点を当て、魅力を最大限に引き出すための「インタラクティブ・マップ」を提案した。同マップでは、おすすめのレストランや観光地、体験など厳選された旅行ルートを紹介するほか、ユーザーが興味に合わせてカスタマイズできるようにし、マップから直接予約サイトに接続して予約することや、またレビューを保存して他ユーザーと共有できるようなアイデアを盛り込んだ。
優勝チームは2月24日から訪日し、実際に北陸エリアを訪問。石川県の北前船の里資料館や九谷焼美術館などを視察したほか、加賀市長への表敬訪問や山代温泉・瑠璃光で能登半島震災に関する講話などを受けたという。
意見交換のなかで、参加メンバーは事前調査や現地視察を含め、圧倒的に英語での情報発信が少ないことを指摘。現地でも英語表記が不足しており、今回のようにアテンドがなければ個人ではたどり着くのが難しい面もあるのではないかと感想を述べた。また、ベジタリアンだというメンバーは、何が食べられるのか見極めるのに苦慮した点なども明かした。
一方で、魅力的な素材が多いと評価し、「情報にたどり着けさえすればもっと多くの人が訪れるのではないか」と潜在能力の高さに期待した。

ANAグループ社員との意見交換は東京都大田区のANA訓練施設「ANA blue Base」で行われた。ANAグループから約20人が会場で参加したほか、オンラインでは100人を超える社員が参加。社員から「北陸を訪れる外国人のなかで、イタリア人が比較的多いとのことだがなぜか」などの質問があり、メンバーは「イタリアではSNSでの拡散がとくに盛んで、それが効いていると思われる」と答えるなど、積極的に交流をはかった。