八ヶ岳農業大学校、約10㌶に100万株の花畑「八ヶ岳ガーデンプロジェクト」 入園無料で一般公開(9月28日まで)

2025年6月20日(金) 配信

(左から)南壮一郎理事長、塚本こなみ氏、丸山侑佑校長(6月18日、東京・渋谷で記者会見)

 八ヶ岳農業大学校(理事長=南壮一郎・ビジョナル社長、長野県・原村)は約10㌶の花畑「八ヶ岳ガーデンプロジェクト」を6月14日(土)にプレオープンし、今期中(9月28日まで)は入園無料で一般公開する。

 南理事長は「世界に誇る八ヶ岳で『農業×観光(アグリツーリズム)』をテーマに、新たな価値を生み出したい」と意気込み、「2~3年後には年間来場者30万人を目指す」考えを示した。

 八ヶ岳を背景にした広大な花畑には、ジニアやサルビアなど色とりどりの花々を約100万株準備している。7月にはワイルドフラワーやネモフィラ、ジニア、8~9月にはサルビアが見ごろを迎える。また7~9月には、1列ずつ異なる品種の花が31列のストライプに咲く「カラーズ」も目玉の1つだ。

色とりどりの花々が咲く

 同プロジェクトのプロデューサーには、「あしかがフラワーパーク」(栃木県)の来場者数を年間100万人超に、「はままつフラワーパーク」(静岡県)の来場者数を年間77万人超に急成長させた塚本こなみ氏が就任。ガーデンデザイナーには、「中之条ガーデンズ」(群馬県)や「代々木公園TPGA」(東京都)など、数々のガーデンデザインを30年以上手掛けてきた吉谷桂子氏が務める。

 5月末から6月初旬に実施したジニアとカラーズ40万株の苗植えには、地元を中心に、延べ約250人のボランティアが参加した。南理事長は「地域の方々をはじめ、多くの皆様とともに花畑を育んでいきたい」と話す。

 直売所では、花畑には同校の生乳100%の牛乳を使用したソフトクリームやアイスクリーム、ドリンクに加え、平飼いのニワトリが産んだ卵、同校の実習生が育てた高原野菜、特別農法の糖度約10度のトマト、通常の約10倍の時間をかけて燻製したベーコンなどを販売する。

 同校の丸山侑佑校長は「標高1300㍍の冷涼な八ヶ岳エリアでは、ゴールデンウイークごろに桜が咲く。外国人旅行者にもアピールできる」と語った。

 さらに、丸山氏は全国50カ所以上のフラワーパークを分析。「花で人を呼んでいるのではなく、人が動く時期に花を咲かせている」という明確な法則を導き出した。「GWや夏休みに開花する品種の選定や、勝負の7~9月に開花させる生育の実験を繰り返している」と述べた。

 塚本こなみ氏は「一品の時代は終わった」と語る。「河津桜の足元には黄色の菜の花がある。はままつフラワーパークも桜があるが、何かが足りない。そこで日本庭園の中にチューリップ50万球を植えた」と説明。「世界一が大好き。花の虹の重なりなど、八ヶ岳で森の中に囲まれた世界一美しい花畑を作りたい」と力を込めた。

高付加価値旅行が好調、訪日受入に支援継続の意向(秡川観光庁長官)

2025年6月20日(金)配信

観光庁の秡川直也長官は6月18日に会見を開いた

 観光庁の秡川直也長官は6月18日(水)に開いた会見で、2023年の訪日高付加価値旅行市場が消費額・旅行者数ともに大幅に増加した調査結果に触れ、宿泊施設を核とした面的な取り組みを支援した成果とし、今後も継続する意向を示した。一方、海外旅行の需要喚起に向けて、現在策定を進める新たな観光立国推進基本計画に、日本旅行業協会(JATA)からの提案も盛り込む方針を述べた。

 日本政府観光局(JNTO)が同月11日(水)に発表した23年の訪日高付加価値旅行市場の調査結果によると、23年の訪日高付加価値旅行者の消費額が約1兆円に達し、19年比で50.6%増と大幅に増加した。旅行者数も59万人の19年比で83.2%増と著しい伸びをみせた。

 観光庁では、インバウンド(訪日外国人旅行)における消費単価が高い傾向にある高付加価値旅行者の地方誘客を促進するため、総合的な施策を集中的に講じるモデル観光地として、14地域を選定している。秡川長官は「モデル観光地に旅行会社を招き、魅力的なコンテンツづくりや販路づくり、プロモーション、体験コンテンツ造成など、宿泊施設を核とした面的な取り組みを支援している。そうした取り組みの成果が表れている」と述べ、今後も取り組みを継続する意向を示した。

 高付加価値なインバウンド観光地づくりの推進は、6月13日(金)に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太の方針)にも明記されている。骨太の方針について、秡川長官は「地方誘客の促進、持続可能な観光地づくり、国内交流の拡大など、観光庁が3つの柱を掲げて取り組んでいる具体的なものが記載されている。新たな観光立国推進基本計画の策定も盛り込まれており、具体的な施策も含めてしっかり進めていきたい」と話した。

 海外旅行の動向について、JATAと今年3月に発出された「もっと! 海外へ宣言」や、このプロモーション施策にアーティスト・俳優の岩田剛典さんの起用を紹介。海外旅行の需要喚起に向けた取り組みとして、夏休み時期の需要回復に期待を寄せた。また、現在策定に向けて議論している新たな観光立国推進基本計画には、JATAからの提案も盛り込む方針だ。

 そのほか、訪日クルーズ船について聞かれ、24年の訪日クルーズ旅客数が前年比約4倍の143万8000人と大幅に伸び、コロナ前ピーク水準(17年)の約60%まで回復していると答えた。観光庁ではJNTOを通じて、世界最大級のクルーズ見本市への出展や、クルーズ販売旅行会社を対象とするセミナーなどを実施している。秡川長官は「拡大の余地がまだある。引き続き取り組んでいきたい」と力を込めた。

 なお、昨年7月に観光庁長官に就任してからの1年間の振り返りを問われ、観光について「これだけ好調な状態が続いている年はない」と語った。03年にビジット・ジャパン事業が開始して20年以上が経ち、継続的な取り組みの成果が出ていると示した一方で、3大都市圏に集中するインバウンドの地方誘客や、宿泊産業を中心に人材不足などを継続して解決していきたい考えを示した。

HIS、松岡修造さんと懇親会 全米オープン観戦NYツアー発売

2025年6月20日(金) 配信

ツアーのイメージ

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)はこのほど、松岡修造さんとアメリカ・ニューヨーク市内観光と懇親会がついた全米オープンテニス観戦ツアーを売り出した。

 テニス世界四大大会の1つ全米オープンテニス選手権は2025年8月24日(日)~9月7日(日)、ニューヨークで開催。松岡さんは、現役時代の1988年に出場した全米オープンで、自身初となるグランドスラムシングルスで勝利している。

 同ツアーでは、懇親会で現役時代から現在のまでのエピソードを交えながらの食事を共にし、松岡さんとの写真撮影やサイン会を予定している。全米オープンテニスのはアーサーアッシュスタジアムの3階上段にあるアッパープロムナード席で観戦する。

 出発日は8月22日(金)。2人1室利用時の旅行代金は74万8000円~88万8000円(燃油サーチャージ込)。発着地は成田空港または羽田空港となっている。

 松岡さんは「今、世界で最もエキサイティングなテニスの魅力を、皆さんに全力でお伝えします。試合はもちろん、この街の鼓動、選手の想い、テニスが生み出す本当の力を感じてほしいです。心が躍る体験を、僕と一緒に解き放ちましょう。さあ、全米オープンテニスを感じに、ニューヨークへ!」とコメントしている。

ぐんまフラワーパークがリニューアル 「Gunma Flower Park +」10月10日に開業 

2025年6月20日(金) 配信

花を見るだけではなく「あそび」を提供

 ぐんまフラワーパーク(群馬県前橋市)は10月10日(金)に「Gunma Flower Park +(ぐんまフラワーパークプラス)」としてリニューアルオープンする。1992年に開業した同園は、2023年から休園して改装を進めている。運営は、青山フラワーマーケットなどを手掛けるパーク・コーポレーション(井上英明社長、東京都港区)を代表団体とする共同事業体「ぐんまフラワーパークJV」が担う。

 ぐんまフラワーパークVJは青山フラワーマーケットで培ったノウハウを生かし、花を「見る」だけではなく、花や自然を使った「あそび」を提供。花や自然に囲まれた空間でのアクティビティや、食体験、ショッピングなどを通じて新たな楽しみ方を提案していく。

 東京ドーム約4個分に敷地に、5つの飲食施設、2つのアクティビティスタジオ、2つのマーケットを設置。メインフラワーガーデンをはじめとした「HANA」エリアやローズガーデンや池が特徴の「MINAMO」エリア、日本庭園などの「TEIEN」エリア、子供の遊び場などがある「HARAPPA」エリアで構成する。

 メインアクティビティの1つは花摘み。季節ごとに園内に咲く花を摘んで持ち帰ることができる。また、ブーケ作りレッスンやアロマづくり、小さな子供と楽しめるアクティビティも用意する。

 園内はペットの同伴入園も可能。一緒に散歩したり、テラス席で食事をしたり、ペットとも楽しいひと時を過ごせる。

山ノ内町オリジナル「山ノ内のかおり」完成 7月10日に発表会を開催

2025年6月20日(金) 配信

誰でも香りを体験できるイベント開催

 長野県・山ノ内町は、森林資源の利活用と地域の魅力発信を目的とした新たなまちづくりとして「山ノ内町のかおり=シティフレグランス」開発プロジェクトを展開している。このほど、「山ノ内のかおり」が完成し、7月10日(木)に「志賀高原ロマン美術館」で完成発表会を開く。

 同プロジェクトは、2024年10月に締結した包括連携協定(山ノ内町・エステー・瑞穂木材・北信州森林組合)に基づき、山ノ内町の自然の豊かさや魅力を“かおり”を通じて全国、世界へ発信し、町の賑わい創出・活性化を目指すもの。さまざまな試行錯誤や町民投票を経て「山ノ内のかおり」が完成した。黒川紀章氏により「自然との共生」をテーマに設計された「志賀高原ロマン美術館」を会場に、7月10日にこの香りが披露される。

 内容は協定4者代表によるあいさつ、取り組み・開発背景の説明(プロジェクトメンバーによる開発エピソードなど)、シティフレグランスの発表、今後の展開(地域ブランド・産業化に向けて)、記念撮影、質疑応答を予定。

 さらに、山ノ内町ならではの自然のめぐり、豊かさを五感で堪能できる企画を同時開催する。1日限りの香り×音×光で「かおりに浸かる」体験は、プロジェクションマッピングを用いた特別な空間演出が楽しめる。

 香りをより身近に感じるワークショップでは、各企業の担当者による香りや木材の解説を聞きながら、シティフレグランスのさまざまな楽しみ方を学ぶ。ワークショップは「エステーによるアロマスプレーづくり」と「瑞穂木材によるアロマウッドづくり」の2つ。いずれも要事前申し込み、各回定員15人。各ワークショップは2回ずつ開催する。

 問い合わせ=山ノ内町役場 未来創造課 ☎0269(33)3113。

スカイマークのチャーター便で神戸から台湾へ 阪急が4日間の周遊旅を企画

2025年6月19日(木) 配信

スカイマークのチャーター便利用

 阪急交通社(酒井淳社長、大阪府大阪市)はこのほど、2025年10月に神戸空港と台北(桃園)空港間を往復運航するスカイマークのチャーター便を利用した「雅な台湾縦断4日間の旅」を売り出した。

 神戸空港は、今年の4月に国際チャーター便の運航が開始されて以来、今後の国際線需要増への期待が高まっている。今回のチャーター便は、日系航空会社としては初の神戸空港と台湾桃園国際空港を結ぶ国際線チャーターで、出発日は10月4日(土)~7日(火)の4日間、計4往復を運航する。

 今回のツアーは、海鮮料理や点心料理などの名物料理を味わいながら、台北・十分・九ふん・日月潭・台南・高雄など台湾の人気の観光地を縦断する。高雄までバスで周遊したあと、台北へは台湾高速鉄道で移動する効率的な行程で、同社基準で全都市スーパーデラックスクラスのホテルに宿泊するという。日本語現地係員が行程1日目空港到着から4日目空港出発まで同行するため、安心して参加できるのがポイント。

 飛行機は神戸空港を午前9時25 分に出発し、復路は神戸空港午後4時45分に到着する。台湾での滞在時間が十分に取れるため、台北から台湾の複数都市を周遊する商品企画が実現した。同社は「神戸空港近辺エリアや神戸以西の居住者にとって利便性の高い国際便」とアピールしている。旅行代金は2人1室利用時、1人15万円から。

国際観光施設協会、新会長に浅野一行氏 鈴木会長は相談役名誉会長に

2025年6月19日(木)配信

浅野一行新会長

 国際観光施設協会(鈴木裕会長、237会員)は6月16日(月)、ホテルメトロポリタンエドモント(東京都千代田区)で2025年度通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、5期10年にわたり会長を務めた鈴木氏が相談役名誉会長に退き、浅野一行副会長(スターツ総合研究所理事)が新会長に就任した。

鈴木裕会長があいさつ

 鈴木会長は冒頭、観光の本質であるホスピタリティに立ち返り、協会の行動理念に「もの」「社会」「自然」への3つのホスピタリティを定めるなど、会長職のこれまでの活動を振り返った。日本人の国内旅行者やインバウンドの勢いが増していることを指摘したうえで、「それに伴うような活動を今後も進めてほしい」とエールを送った。

 さらに、鈴木会長は同協会の観光DXに向けた作業がこれから活発化していくと述べ、同作業に対して「まだ志半ば。名誉会長として“アクティブ名誉会長”と勝手に名づけ、観光DXを応援していきたい」と語った。

 来賓の観光庁観光産業課の羽矢憲史課長は、コロナ禍により顕在化した問題の解決に向けて「重要なのは競争力の高い施設づくり、環境に十分配慮された施設づくり、ホスピタリティに溢れる施設づくりである。そうした施設づくりの面は、観光立国の実現に不可欠」との考えを述べ、今後の協会に期待を寄せた。

 25年度は、観光に係る技術による観光交流空間の課題解決、国際競争力の高い魅力的な観光施設や観光交流空間の創造、横断的領域での活動の3つの軸を中心に活動をはかる。

浅野一行新会長が鈴木会長に感謝状を授与した

 最後に、今総会をもって退任する鈴木前会長と立石博巳前常務理事に感謝状が授与された。

 総会後は建築家の藤本壮介氏によるセミナーが開かれ、「大阪・関西万博」の会場デザインプロデューサーを務めるなど、現在注目される日本の建築家の一人として、「自然と建築のあいだ」と題した講演を行った。

JAL特別仕様のガンプラセットが買える! ジャルパックのツアー参加で

2025年6月19日(木)

JAL特別仕様のガンプラ

 ジャルパック(平井登社長、東京都品川区)はこのほど、JALガンダムジェット就航記念として、西日本対象空港発着限定で「JAL特別仕様のガンプラセットがオプショナルプランで買えるツアー」を売り出した。ツアー参加者限定で、希望者はオプションでガンプラが購入できる。

 さらに、大阪・関西万博開催に合わせ、伊丹・関西空港の利用客には、バンダイナムコホールディングスが出展している「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」入場予約特典を無料のオプションとして用意する。1回の旅行につき1人1回限り。入場対象時間は午後の3つの時間帯となる。こちらは、別途個人で万博のチケット手配が必要となるので要注意。

 同ツアーの出発日は6月25~10月13日(月)。全国各地から西日本エリアの伊丹、関西、但馬、南紀白浜、高松、徳島、広島、岡山のいずれかの空港着で、復路は往路と同空港着。西日本発はこれらの空港から羽田空港着、復路も同様の路線が対象。

 ガンプラの購入可能数はツアーに参加した人数分まで。予定数1万5000個に達し次第、終了となる。

【第103回全旅連全国大会】組合員ら1000人超が集結 井上会長「明るい未来を掴もう」

2025年6月19日(木) 配信

井上善博会長が主催者あいさつ

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(井上善博会長、1万4618組合員)は6月17日(火)、東京都千代田区のホテルニューオータニで第103回全旅連全国大会を開いた。1000人を超える全国の組合員らが集結し、大会スローガン「宿泊観光産業を我が国の基幹産業とし、日本の未来を支える産業としよう」などを共有する場となった。

 井上会長は「我われの業界は、生産性・収益性の向上や人手不足、自然災害、AIとの共存など新たな課題にも直面している。不確実性が漂う今だからこそ、全旅連という組織の原点に立ち返り、老・壮・青さまざまな世代が一丸となって立ち向かっていかなければならない」と語り、「皆で力を合わせ、明るい未来を掴んでいこう」と呼び掛けた。

菅義偉元首相

 来賓として元首相の菅義偉衆議院議員、「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会会長の平井伸治鳥取県知事、同事務局長の山本一太群馬県知事らが出席。石破茂首相はビデオメッセージで、「地域活性化など全旅連の大きな貢献に感謝している」と謝辞を述べた。

石破茂首相がビデオメッセージ

 大会スローガン発表では、亀岡勇紀専務理事、星永重常務理事、塚島英太青年部長、山田佐知女性経営者の会会長、山本剛史常務理事、田辺大輔常務理事の6人がプレゼンターとして登壇し、今期に取り組んでいく事業方針などを説明した。

スローガンを発表する塚島英太青年部長

 第28回「人に優しい地域の宿づくり賞」のグランプリには、島根県の「~すべてのゲストが安心できる宿づくり~『やさしさでつなぐおもてなしガイド』の作成(障害者差別解消法に基づく取り組みの宿泊施設への推進)」が輝いた。準グランプリは高知県の「地域見守りの宿」が受賞した。

グランプリの島根県理事長の植田裕一氏(左)と勝谷有史氏が受賞者プレゼンを行う

 式典後には、セミナーとして観光庁長官の秡川直也氏による講演「我が国の観光の現状と今後の展望」、リヴァンプ社長の湯浅智之氏の講演「地域を芯から元気にする」が行われた。

大懇親会で記念撮影

 大懇親会には100人近い国会議員も会場を訪れ、組合員と意見交換をした。

公への働き掛けと自助努力を両輪で JATAが25年度総会開く 

2025年6月19日(木) 配信

JATA第69回定時総会のようす

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長、1171会員)は6月18日(水)、東京都内で2025年度の通常総会を開いた。髙橋会長は今後の方針について、「社会的意義を伴った制度改正や支援策を国や地方自治体へ積極的に働きかけていくこと、自助努力で創意工夫を凝らし、自ら市場を動かすこと」の大きく2つを挙げ、「これを車の両輪として進めることが重要だ」と力を込めた。

髙橋広行会長

 髙橋会長は「旅行業界は“活況”といえる」と国内、訪日旅行の好調さに触れる一方、「毎年、この場で海外旅行の完全復活をと申し上げてきたが、実現にいたらず忸怩たる思い。外的要因は変えられるものではないが、我われが成すべきこと、成し得ることがある」と強調した。

 国への働きかけについては、現在政府が進める第5次の観光立国推進基本計画に合わせ、将来にわたる課題や解決策をまとめ、このほど提言書として観光庁や外務省などへ提出したと報告。海外旅行については、日本人の海外旅行者数拡大による、均衡のとれた双方向交流を主軸に掲げている。具体的にはパスポートの申請手数料の抜本的な見直しや高校卒業までの国際交流の必須化などを盛り込んだ。「日本人のパスポート保有率はコロナ禍を経て約17%となっており、先進国でも最低水準。パスポートを持つことが海外旅行への第一歩となる」(高橋会長)。

 自助努力の取り組みとしては、JATA海外旅行拡大プロジェクト「もっと!海外へ」を挙げ、アーティストの岩田剛典さんをアンバサダーに迎えたことを紹介。「岩田さん出演のCM動画も撮影した。会員各社においては、店頭や説明会、商品造成に紐づけて積極的な活用で販売促進に役立ててほしい」と呼び掛けた。

 国内旅行は平日旅行促進による旅行分散化と総需要の拡大を目指すうえで、「ラーケーション」に注目する。髙橋会長は「現在は愛知と茨城、熊本、山口、徳島、沖縄が導入しており、徐々に広がりを見せている」と言及。このほど、JATAと全国旅行業協会(ANTA)、日本観光振興協会が共同で47都道府県の知事に対し、ラーケーションの積極的な推進を求める要望書を提出したという。

 訪日旅行に関しては、「白バス、白タクなど違法な行為、宿泊施設から聞く客室の転売や空売りなど不正行為が目立つ」とし、市場環境の健全化を訴える。高付加価値化の鍵を握るガイドの育成や日本の旅行会社が市場に参入しやすくなる支援を求めている。髙橋会長は「今後ますます増える訪日旅行に対し、我われは魅力的な商品を造成し、地方に分散して総客していくのが役目だと思っている」と述べた。

 最後に髙橋会長は「我われの事業活動の前提はコンプライアンス。日々のコンプライアンスの積み重ねが社会から信頼され、応援される企業と業界を作り上げる。企業トップの皆さんが先頭に立ってコンプライアンスを徹底いただくことを強くお願いする」と訴えた。

 今年度の事業骨子は①会員会社の経営強化②適正な経営③協会の安定運営④人材戦略と労働環境改善⑤商環境の変化への対応⑥DX化と協調共創による生産性向上⑦情報発信、並びに渉外機能強化⑧持続可能な観光の実現⑨高付加価値化 旅行の質の向上――の8つを掲げる。

 来賓あいさつに立った観光庁の秡川直也長官は「観光分野は好調。インバウンド客数は1~5月までの推計が昨年から25%増となり、皮算用だと11月に4000万人を突破するのでは」と述べる一方、国内旅行の重要性と喫緊の課題である海外旅行の需要拡大にも触れた。「26年からの第5次観光立国基本計画を策定しているが、次の5年間で何をしていけばいいのか議論していく。JATAからいただいた提言も盛り込み、しっかり計画を作って課題に取り組んでいきたい。観光の調子はいいが、(ステージを)もう1段2段上げていきたい」と意気込んだ。