蒲郡市の老舗旅館「鈴岡」、破産手続き開始決定受ける(帝国データバンク調べ)

2026年2月2日(月) 配信

 昭和28年創業の旅館「鈴岡」(岡本豊代表、愛知県蒲郡市)は1月19日(月)、名古屋地裁豊橋支部から破産手続き開始決定受けた。帝国データバンクによると、負債は約8億9000万円。

 同社は1953(昭和28)年創業、73(昭和48)年6月に法人改組され、蒲郡市内の形原温泉で旅館「鈴岡」を運営していた。観光スポットが点在する立地で、三河湾が一望できる展望露天風呂や、三河湾で収穫された新鮮な魚介類を使った料理などが好評を博し、2006年5月期には年間収入高約3億3000万円を計上していた。

 しかし、新型コロナの影響によって利用者が大幅に減少。コロナ禍が収束したあとも、「旅行スタイルや趣味の多様化などで回復せず、25年5月期の年間収入高は約1億5000万円にとどまり、欠損計上を強いられていた」(帝国データバンク)としている。

〈観光最前線〉大阪で大原美術館の名画を

2026年2月2日(月)配信

泰西名画を巡る旅へ「いってらっしゃい」

 3月29日まで、中之島香雪美術館(大阪市)で特別展「大原美術館所蔵 名画への旅―虎次郎の夢」が開かれている。改修工事で大原美術館(岡山県倉敷市)が休館することから、企画が実現した。

 目玉の1つ、エル・グレコの「受胎告知」は、聖母マリアが大天使ガブリエルからイエスを身ごもったことを告げられる、聖書の場面を描いたもの。昨年、黄ばんだ古いニス層や後世の加筆部分を取り除く修復が行われ、当初の姿を取り戻した。その過程では、他者が描いたとされる、マリアの頭上に描かれた12の星の冠をあえて残すなど、修復作業への興味は尽きない。

 企画展では1900年代初頭、単身欧州に渡り絵画や彫刻を買い付けた洋画家・児島虎次郎の足跡を辿りながら、西洋絵画の傑作を紹介している。

【鈴木 克範】

日本専門新聞協会、新春講演会開く 十七世名人・谷川浩司氏「まずは自分で考え、AIと共存を」

2026年2月2日(月) 配信

谷川浩司氏

 日本専門新聞協会(積田朋子理事長)は1月29日(木)、東京都内で新春講演会を開いた。将棋棋士で十七世名人の谷川浩司氏が「ビジネスに活きる勝負のこころ―AIと藤井竜王・名人の活躍で進化する将棋界―」をテーマに講演を行った。

 谷川氏は、AIの普及によって戦略研究や対局精査などの分野で、将棋界も変化していることを紹介した。共存に向けて、「まずは自分自身で考え、結論を導き出すことが大事。そのうえでAIの力を借り、最後にもう一度、自分の頭で結論を出すべきだ。考えることを放棄したとき、人間の成長は止まってしまう」と提言した。

 講演会後には、レセプションを開いた。積田理事長は「業界の発展に向けて、時代を捉え問題提起と、その事例を取材することが、より重要になっている」と認識を示した。

積田朋子理事長

 そのうえで、「紙とデジタルのそれぞれの強みを生かした専門紙になれるよう皆様と挑戦したい」と方針を述べた。

【国土交通省】人事異動(2月1日付)

2026年2月2日(月) 配信

 国土交通省は2月1日付の人事異動を発令した。

 大臣官房付(公益社団法人2025年日本国際博覧会 協会施設維持管理局担当部長)有村真二

 航空局安全部付(運輸安全委員会事務局次席航空事故調査官)久保宏一郎

 出向〈運輸安全委員会事務局次席航空事故調査官〉(航空局安全部航空機安全課航空機技術基準企画室長)山村肇

根室の魅力をまるごと発信 2月6~8日まで新宿西口でイベント

2026年2月2日(月) 配信

北海道根室まるごとフェア開催

 北海道根室市と水産物普及推進協議会は2月6日(金)~8日(日)の3日間、東京都新宿区の新宿駅西口広場イベントコーナーで「~世界に誇る『根室の自然・歴史・食』に魅せられる~『北海道根室まるごとフェア2026』」を開く。

 根室市の特産品の対面販売や、観光プロモーション動画「DEEP HOKKAIDO NEMURO」はじめ各種観光PR動画の放映、動物のはく製展示などを行い、市の魅力を発信する。

 物産ブースで販売するのは、「花咲ガニ」や「北海しまえび」「ほたて」などの水産物や、地元の銘菓「オランダせんべい」、「ココチーズ」など。

 各ブースで実施するクイズラリーやアンケートに答えた人のなかから、1日先着500人限定で景品をプレゼントする。

 また、7日と8日の2日間限定で、根室市出身者による落語や芸能パフォーマンスなど、ステージアトラクションを実施する。

憧れのバルセロナに4連泊! ジャルパック、1つの都市を満喫する旅を提案

2026年2月2日(月) 配信

サグラダ・ファミリア (写真:Adobe Stock)

 ジャルパック(平井登社長、東京都品川区)はこのほど、ツアーコンダクターと巡るスペインの旅「【日本航空利用】充実の4連泊!魅力あふれるバルセロナ満喫の旅6日間」を売り出した。慌ただしく移動するツアーではなく、1つの街に滞在して魅力を深く、贅沢に味わう旅を提案する。

 ガウディの未完の傑作「サグラダ・ファミリア」のメインタワー「イエス・キリストの塔」が2026年に完成予定となり、注目が集まっている。同社は「今しか見られない姿、そして新たな歴史の1ページをその目に焼き付けてください」とアピールする。

 宿泊は、ガウディ建築の代表作「カサ・ミラ」や「カサ・バトリョ」が立ち並ぶ、バルセロナの目抜き通り「グランシア通り」からすぐのAグレードホテル「グラン・ホテル・ハバナ」に4連泊する。落ち着いて滞在できることで、ショッピングやナイトタイムも堪能できる。

 ツアーの設定は4~9月出発で、ゴールデンウイークやお盆、シルバーウイークなど大型連休に合わせた出発日を設定している。出発地は羽田空港で、料金は1人54万9900円~74万9900円。

【国土交通省】人事異動(1月31日付)

2026年2月2日(月) 配信

 国土交通省は1月31日付の人事異動を発令した。

 辞職(大臣官房会計課公共事業予算執行管理室長)関義行

 大臣官房会計課公共事業予算執行管理室長(大臣官房会計課企画専門官)福田一貴

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(1-2月号)」

2026年2月2日(月) 配信

https://zoomjapon.info

特集&主な内容

 今号の特集は、昨年11月に環状運転開始100周年を迎えた山手線です。新宿や渋谷、秋葉原といった駅名は、東京を象徴するスポットとして世界的に知られています。本誌では環状線完成に至る歴史とともに、東京の都市自体の変遷を解説しています。「山手線から見る東京」と題した特集記事では、東京・日本橋・銀座・神田に広がる旧江戸の下町エリア、独自の情緒が残る御徒町から日暮里までの北東エリア、そして都市変遷の最前線である原宿・渋谷エリアを重点的に取り上げています。文化面では、12月公開の李相日監督「国宝」、1月公開の三宅唱監督「夜明けのすべて」、3月公開予定の藤元明緒監督「ロストランド」という、今注目の日本映画3作品を紹介しています。旅行ページでは昨年戦後80年を迎えた平和都市広島を取り上げました。

〈フランスの様子〉餅はmochiでも

「日本:新年を祝って食べたお餅で80代女性が窒息死」(1月6日付)20 Minutes紙のウェブサイトより

 ここ数年、フランスで人気の日本食品の一つがお餅だ。フランス語でも「le mochi」として普通にメディアで使われている。◆もち米自体はベトナムやタイの料理にもあるが、日本のお餅特有の食感はグルメなフランス人にとって新鮮で、好意的に受け入れられているようだ。◆ただし、フランス人にとっての「mochi」とは大福を指すことが多く、美味しい物が好きなフランス人には、甘いあんこともち肌の食感が生み出す「マリアージュ」が好まれている。◆今年の年明けに仏メディアが取り上げたのが、日本ではある種の風物詩となっている、お餅を喉に詰まらせる高齢者のニュース。◆フランス人にとっては、この柔らかい食べ物が命に関わる危険を孕んでいることや、騒がしく祝う欧米とは対照的に、厳かに新年を迎える日本が興味深く見えるようだ。◆ところで、フランスでは焼き餅やお雑煮はまだほとんど知られていないのが実状だが、すでにお米の「koshihikari」が浸透し始めているように、大福以外のさまざまなお餅の食べ方もいずれ伝わっていくことだろう。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旅行新聞 編集部〉

観光庁「地域・日本の新たなレガシー形成事業」活用した大山阿夫利神社の挑戦 文化財を利用した新たな地方誘客へ

2026年2月2日(月) 配信

鼎談は1月16日に大山阿夫利神社で行われた

 観光庁は来年度も引き続き地方誘客に向けて各地の訪日旅行の拡大をはかる。今年度、将来にわたって国内外から旅行者を惹きつけ、継続的な来訪や消費額向上につながる、地域・日本のレガシーとなる新たな観光資源を形成するための支援「地域・日本の新たなレガシー形成事業」を実施。観光庁の村田茂樹長官と同事業を活用する神奈川県伊勢原市の大山阿夫利神社の目黒仁宮司、内閣府地域活性化伝道師で跡見学園女子大学の篠原靖准教授が1月16日、文化財を観光資源として活用する価値を語り合った。

【木下 裕斗】

 篠原:2025年は、好調なインバウンド需要が一層拡大し、観光振興が進んだ1年となりました。26年度に向けた観光庁の方針を教えてください。

篠原靖准教授

 村田:25年11月末における訪日客数は24年を上回っており、25年は4千万人を超えることが確実となっています。(※25年の訪日客数は約4268万人「26年1月21日公表データ」)消費額は9月末時点で、6兆9千億円(※消費額は暦年で約9兆5千億円「26年1月21日公表データ」)と力強く成長しました。我が国の旅行市場の中心である国内旅行の消費額は25年1月から9月期の累計で20兆円を超え、順調に推移しています。

村田茂樹長官

 一方で、観光客が一部地域や時間帯に集中することで、地域住民の生活への影響などへの懸念も出てきました。今後は、観光客の受け入れと住民生活の質の確保を両立していくことに重点を置きながら、地域の課題解決や、地方誘客の促進などさまざまな政策を推進していきます。観光が地域住民に裨益していく姿、観光地が持続的に発展していく姿を国民の皆様に示し、理解してもらうことを念頭に置いて、取り組んでいきます。
 今年は、観光立国基本推進計画の改定を年度内に実施する予定となっています。このなかで、①インバウンドの受け入れと住民生活の質の両立②国内交流とアウトバウンドの拡大③観光地・観光産業の強靭化――の柱を掲げます。
 そのための財源として、国際観光旅客税を拡充することが昨年末の税制改正の大綱に盛り込まれ、26年度の観光庁当初予算額は約1383億円と大幅に増額されました。関係省庁とも連携しながら、政策を推進していきます。

 篠原:訪日旅行について、国は数だけではなく質も追求する高度化した受入体制を構築することになりました。住民との協調をはかる仕組みも整えることが重要です。
 一方、コロナ禍など過去の危機的な状況で、国内旅行は観光事業者を下支えしてきました。インバウンドとの両立をどのように推進していきますか。

 村田:インバウンドは成長分野ですが、まずは旅行者数と消費額の割合の多くを占める国内旅行の振興をはかり、安定した基盤を築き、そのうえで訪日客向けの施策を進めていきたいと考えております。

 篠原:文化庁では、真の日本の魅力を訴求するため、多くの予算を確保しています。

 村田:日本各地の文化資源を活用した観光客の誘客のため、文化庁の事業として、約200億円が計上されました。観光庁では、地域資源を活用した観光まちづくりを推進する事業や、広域連携DMOの支援事業など地域の関係者同士が連携して、魅力ある観光地づくりを行うための予算も充実させています。さまざまな事業が活用され、各地域で積極的な誘客が行われることを期待しています。

 篠原:大山阿夫利神社は、日本観光の起源といわれます。約2200年の歴史を有する江戸庶民の信仰をベースに〝憧れの旅〟の目的地として繁栄し、日本の文化の発展に大きな役割を果たしてきました。

 目黒:大山阿夫利神社は、2200年以上前の崇神天皇のころに創建されたと伝えられている式内社です。

目黒仁宮司
目黒仁宮司

 また自然崇拝の元祖でもあります。山にかかる雲を眺めて、雨を予想し、農作業の日程を調整したりしていました。この雲による雨は飲料水や海の漁場の環境を整えることから、大山は日ごろの恵みに対する感謝を示されていました。
 古来では別名「あめふり山」とも呼ばれ、雨乞いや五穀豊穣の祈願の対象でした。武運が長く続くよう、源頼朝公が当社に刀を納めたことから「納太刀」という風習も生まれました。
 庶民からの崇敬も厚く、江戸の人口が100万人だったころには、年間20万人を超える人々が大山詣りを行ったと記録されています。さらに、参拝者は日々の感謝の気持ちとして、食料を収めることもありました。現代では、金銭に変わっています。
 こうした史実が重なり、1つの山にすがる文化が築かれました。

鼎談前に行われた視察で披露された宝物

 篠原:このような文化を後世に継承することの価値は高く、将来への伝承に当たって、観光は分かりやすく文化を伝える手段であり、価値があります。

 村田:山岳信仰は現代にも引き継がれています。さらに大山阿夫利神社には、先導師が参拝者に提供する宿坊や納太刀などの文化を知ることができる観光素材が多くあります。こうしたなか、大山詣りは2016年、我が国の地域の風土に根ざし世代を超えて受け継がれている、文化などを認定する日本遺産に認定され、さまざまな観光資源の一層の充実がはかられています。
 今後、多くの人を惹きつけ、文化的価値を認めてもらうことが、伝統を後世に引き継いでいくことにつながります。

 目黒:文化の継承については非常に難しく、悩みを抱えています。宿坊は明治―昭和ごろに、100軒以上ありました。現在は40軒ほどまで減少しています。地域の最大の課題である後継者不足を解決するため、宿坊の主人であり、参拝のお世話をする先導師を魅力ある職業に確立する必要があります。神前に奉納する伝統文化「神楽舞」の継承も欠かせません。

 篠原:生まれ育った地域に住み続けたいと思っても、安定した収入を得るのが難しいため生活できないと感じ、都市部に移り住む人も多いなか、各地の素晴らしい地域ならではのレガシー(遺産)を活用できる体制を整備する必要があります。
 観光庁では、「地域・日本の新たなレガシー形成事業」を展開し、将来にわたり国内外から旅行者を惹きつけ、継続的な来訪や消費額向上につながる地域のレガシー(遺産)となる新たな観光資源を形成することを目的に支援を行っています。大山の宿坊の再生と文化財登録を目指す「江戸から令和、そして未来へ ~令和版大山詣り~甦れ! 宿坊『源長坊』再活用事業」が、24年度にこの事業に採択されています。

 目黒:大山の宿坊は廃業によって空き家化が進行していることを受け、観光庁のこの事業を活用し、廃業した宿坊「源長坊」を登山者の休憩と大山ならでは歴史的体験を提供する施設としての活用に向け検討しているところです。大山全体の観光の拠点として機能させることを目指します。
 さらに、近隣の宿坊や店舗、歴史的スポットなどと連携し、観光客の周遊ルートを形成することで、地域全体の振興をはかっていきます。
 結果として日本の新たな象徴的観光地の拠点となることも目指します。

 村田:観光庁では、地域の観光資源を生かした地域活性化を支援する施策を講じています。大事なのは、観光庁の事業への応募によって、地域の方々がそのエリアの将来を考えるために集まることです。大山については、活気に満ちていた宿坊を現代で活用するための議論の場を提供することになります。
 一度に意見をまとめるのは難しいものの、丁寧な議論を重ねることで方向性が定まっていくものと考えます。地域の課題は共通なので、リーダーが具体的な計画を示したうえで、メンバーのサポートや、必要に応じて計画を修正し、合意形成をはかっていくことが重要です。
 源長坊は地域の拠点として情報を発信することや、観光の目玉になるポテンシャルを有しています。将来、新たなファンやリピーターの獲得につなげてほしいと思っています。

 篠原:長い歴史を有するレガシーのカタチを変えずに受け継ぐことは難しいなか、歴史を守りながら、時代に沿ったアイデアで消費者のニーズに応えた商品を造成することが、持続的な伝承の可能性を高めることにつながります。

 村田:新たなファンやリピーターを獲得するには、名所や景観の良さだけでなく、歴史的背景を伝えることが重要です。地域では気づきにくい価値や魅力を掘り起こすため、外部事業者ならではの視点やノウハウも活用してほしいと考えています。

 目黒:宿坊に行き、白装束を着て、編み笠をかぶりながら、大山に登ることが大山詣りの原点でした。観光客がガイドから大山詣りの歴史的背景を聞きながら山を登り、頂上で美しい眺望を楽しむ一連の体験を造成できれば、地域ならではの大変魅力的な観光商品になります。この企画の運営には地域外の協力も欠かせません。

 篠原:大山地域では日帰り観光客が多く、滞在時間が短いことが課題です。観光庁の「地域・日本の新たなレガシー形成事業」を活用して宿坊を再生し、宿泊需要のある訪日外国人など新たなマーケットの開拓を含め、地域観光のさらなるステップアップをどのように進めていきますか。

 目黒:地域らしさを体験に盛り込むため、宿坊のスタッフが一緒に同行するなど、地域の人が観光客とコミュニケーションをはかれる企画の展開を計画しています。

 篠原:観光庁はこれまで、地域・日本の新たなレガシー形成事業をはじめ、観光資源を活用した地域活性化のため、さまざまな支援を行ってきました。今後、さらなる地域の発展に向けて、どのように取り組んでいきますか。

 村田:我が国の観光地の魅力を高めるためには、既存の資源に付加価値を加えるとともに、魅力を効果的に発信していくことが重要です。こうした取り組みを進める過程で、地域の人々が話し合いを重ねることは、郷土愛の醸成にもつながります。
 観光庁は今後も、観光資源の魅力向上に必要な予算の確保やアイデア創出、体制構築などを支援しながら、観光を通じて地域住民の幸福度も向上する地域づくりを進めていきます。

 目黒:神奈川県伊勢原市の大山地区は6町から構成され、人口は1千人以下である一方、年間100万人ほどの観光客を迎えています。行政や観光事業者などとの連携を強化することで、伝統と住民の生活の質を維持しながら、大山への登山を含む大山詣りなどの観光体験の提供を通じて、さらなる地域活性化をはかりたいと考えています。

 篠原:さらなる誘客には地域内の連携を強固にしたうえで、取り組むことが不可欠です。観光庁の事業を通じて、さまざまな事業体や行政、市民など地域の関係者が協議を重ねて、地域の方向性をまとめることが、持続可能な観光地域づくりにつながります。
 多くの地域が観光庁のさまざまな支援策を活用し、一層の発展を遂げることを期待しています。

来年度の地域・日本の新たなレガシー形成事業の概要。詳細は観光庁ホームページ掲載される

〈旅行新聞2月1日号コラム〉――宿の真の実力 メンテナンス業務を自分たちで担う

2026年2月1日(日) 配信

 本紙1月1日号(前号)の新春特集で、「清掃・洗濯の内製化」をテーマに、工学博士・内藤耕氏のインタビュー記事を掲載した。これにあわせて、宿の経営者らに「清掃や洗濯の内製化」について話を伺った。すると、口をそろえて「外注コストの高騰に頭を悩ませている」と話された。さらに、「自館で洗濯の内製化を検討している」という声も幾つか聞かれた。

 物価高騰や人手不足の問題が、宿泊業界の現場に大きな影響を与えており、多くの宿泊施設ではIT化やDX化を進め、コストの削減に努めている。

 例えば、予約やチェックイン・アウトは人を介さずタッチパネルやスマートフォンで行われる施設が増えた。浴衣やアメニティグッズは、フロント近くのスペースから宿泊者が必要なものを客室に持参する。最近の傾向として、宿泊料金システムの「オールインクルーシブ」化によって、ラウンジにアルコールやソフトドリンク、お菓子やおつまみなどが並び、夕食後もコーヒーやデザートなどを楽しめるようになった。ラウンジだけでなく、大浴場近くでは冷たいハーブティーやアイスクリームなどもフリーで提供される。

 宿側はモニターなどで確認しながら補充すればよく、少人数での対応も可能となる。宿泊客にとっても、滞在中にいつでも自分の好きなものを気軽に飲食できるため、その自由度の高さから満足度も高い。このようなスタイルは今後もさらに増えていくことが予想される。

 しかし問題は、宿泊業にとって宿命的に必要な客室の清掃と、タオルやシーツ、浴衣・作務衣などの洗濯である。これはいくらIT化やAIが進展しても、省人化は難しい。東京都心のある大型ホテルでは、客室清掃が間に合わず、夜間に清掃をせざるをえず、宿泊需要はあるのに相当数をクローズしなければならないことも耳にした。極言すれば、今や清掃や洗濯業務を上手く機能させることが可能な宿のみが運営を維持できる時代になったことを感じる。

 先日、神奈川県・箱根の旅館に取材で訪れた。この宿はスタッフが増えたため、社員寮を1棟拡充した。その社員寮内に業務用の洗濯機と乾燥機を備え付け、自社が運営する2館のバスタオルやフェイスタオル、作務衣などを洗濯している。

 以前は外注していたが、稀に生乾きの匂いなどのクレームがあり、それであれば「自分たちで洗濯した方が高品質を保つことができる」と決断した。将来的には自社の宿だけでなく、近隣宿泊施設の洗濯業務を請け負うことも視野に入れている。

 この宿は、パティシエの手作りした洋/和菓子を各客室に置くサービスが、とても好評だという。バースデーケーキも自館で作り宿泊客の誕生日を祝う。ケーキも近隣のホテルや旅館に販売することも計画中だ。

 高付加価値化事業が進む旅館・ホテルの宿泊料金は軒並み高くなった。高価格帯のラグジュアリーホテルも増えた。しかし施設の素晴らしさに頼って、人の温もりが希薄な宿には虚しさが漂うのはなぜだろう。人が試行錯誤を繰り返すなかに“見えない力”が蓄積されていく。その力とは、地道なメンテナンス業務を外部に丸投げするのではなく、可能な限り自分たちで担うことではないか。宿への“想い”も培われる。これこそが宿の真の実力なのだと最近強く思う。

(編集長・増田 剛)