加賀屋 復興ECサイト刷新 台湾セブンとコラボも

2025年12月31日(水)配信

能登半島復興応援 オンラインマルシェ

 加賀屋(石川県・和倉温泉)のグループ会社である加賀屋ゼネラルフーヅ(渡辺崇嗣社長、石川県七尾市)は12月3日、能登半島地震で被災した地元事業者を支援する目的で、加賀屋オンラインショップと加賀屋楽天市場内に設けた特設ページ「能登半島復興応援 オンラインマルシェ」の商品を拡充させ、リニューアルオープンした。

 今回は「地域との福幸」をテーマに、能登の“たからもの”を改めて探求。煮アワビやイカ刺し、イカそぼろなど、能登ならではの商品を新たに加えた。

 また、自社でホームページを制作できない、商品を製造しても販売チャネルがないといった悩みを持つ事業者にも声を掛けることで、取り扱う事業者はリニューアル前から14社増え、計16社になった。商品も輪島塗や水産加工品、総菜、スイーツ、飲料、雑貨など46品に拡充した。

 今回の取り組みは、能登半島地震及び奥能登豪雨により経営環境が変化した事業者の新たなチャレンジを支援する石川県の「令和6年能登半島地震等チャレンジ支援補助金」に採択されている。

 また、同社は11月下旬から、台湾セブンイレブンにおいて、第3弾となる加賀屋監修商品の販売も始めた。

 今回は、加賀屋総料理長の宇小藤雄氏が台湾に渡って指導・監修。白だし入り牛肉うどん、鶏の照り焼き弁当、海鮮天丼おにぎらずなど、全商品に奥能登で製造された「いしる」を隠し味に使った加賀屋監修の“白だし”もしくは“みそ”を使用。能登の味や彩りにこだわった商品に仕上げた。冬ならではのメニューとして、初めて加賀屋監修おでんも販売する。

 加賀屋監修商品は、ハイクオリティブランド「星級饗宴」として計6商品を展開。台湾国内約7200店舗で5月ごろまで販売を予定する。

鳥羽シーサイドホテル 汀館7階を改装 なごみ(和海)フロアに

2025年12月30日(火)配信

なごみ(和海)フロア客室

 三重交通グループの鳥羽シーサイドホテル(村田陽子社長、三重県鳥羽市)は11月1日、汀館7階の全8室を和の趣と海の眺めが調和した「なごみ(和海)フロア」としてリニューアルオープンした。

 同ホテルは、汀館、望館、岬亭の3つの館で構成されており、汀館は広々としたハイグレードタイプの全63室からなる客室棟。

 新客室は、12・5畳+3・5畳+広縁で構成。2台備えたベッドは、畳の温もりを感じる空間になるよう和ベッドを導入。ベッドで横になりながら窓の向こうに広がる穏やかな鳥羽湾の景色を眺め寛げることから「なごみ(和海)フロア」と名付けた。同フロアは、フロント階(7階)に位置し、レストランや大浴場「汀の湯」にも、エレベーターでスムーズに移動することができる。

 基本料金は、大人2人1室利用の場合、1泊2食(夕朝食バイキング)で1人2万8550円から(税・サ込、入湯税別)。

 3月31日までは、リニューアル記念として、基本料金にて、飲み放題や各種館内サービスが利用できる特別プラン「オールインクルーシブプラン」を販売する。

 同プランでは、夕朝食バイキングに加え、①「ラウンジ カーボ」のドリンクやスイーツ、軽食②夕食バイキングのアルコール飲み放題が三重の銘酒やご当地ソフトドリンクも含めたプレミアム仕様③湯上り処「いっぷく」のメニュー④貸切家族風呂「五島の湯」⑤ゴルフシミュレーター体験1時間⑥その他アクティビティ⑦夜食「あおさしょうゆラーメン(小)」――の7つを無料で楽しむことができる。

梅酒づくり体験 進撃の巨人とコラボで おおやま夢工房

2025年12月29日(月)配信

コラボ仕様の梅酒 ©諫山創/講談社

 おおやま夢工房(土橋泰輔社長、大分県日田市)は12月6日、人気漫画「進撃の巨人」とコラボした「『進撃の巨人』仕様 梅酒づくり体験」を始めた。漫画の原作者・諫山創氏の故郷・同市大山町にある「梅酒蔵おおやま」で実施している。

 諫山氏の実家は同町で長年にわたり梅農家を営んでおり、梅を通じた地域振興や観光連携に取り組んできたという。

 梅酒蔵おおやまでは、従来から梅酒づくり体験を実施してきた。地元産の南高梅や鶯宿梅を使用し、梅の実・氷砂糖・アルコールを実際に仕込みながら梅酒が完成するまでの工程を学ぶ。所要時間は約30分。完成後は約1年間熟成させ、自宅で味の変化を楽しむことができる。アルコールが苦手な人や子供向けに、梅シロップづくり体験も用意している。

 「進撃の巨人」コラボ仕様では、体験で仕込んだ梅酒(Mサイズ420㍉㍑)を、漫画のキャラクターをデザインした化粧箱に入れて持ち帰ることができる。また主要キャラクターを配置した日田杉の特製台座もセットする。

 毎日午後2、3時からの2回実施。各回定員6人。梅酒づくり4500円、梅シロップづくり4300円。前日までの予約制。

再生の軌跡書籍化 長門湯本と星野リゾート

2025年12月28日(日)配信

 山口県長門市の長門湯本温泉で2014年から進められてきた温泉街再生の取り組みについて、約10年間の軌跡をまとめた書籍「温泉街リノベーション ~公民連携&星野リゾートで挑む『オソト天国』長門湯本温泉の10年~」(旅行読売出版社刊)が、12月3日に発売された。

 同温泉では、老舗旅館の破綻を機に「まちをまるごとリノベーション(再生)する」という挑戦が15年にスタート。16年1月、星野リゾート(星野佳路代表、長野県・軽井沢町)が「長門湯本温泉マスタープラン」の策定を受託し、20年3月に温泉旅館「界 長門」を開業。施設を温泉街の一部として機能させるため、界ブランドとして初めて宿泊者以外も利用できる「あけぼのカフェ」を併設するなど街に人流を生み出す仕掛けを展開している。

 本書は、旅ジャーナリストののかたあきこ氏と、同温泉エリアマネージャーの木村隼斗氏による共著。のかた氏はプロジェクト発足当初から取材を重ねており、再生のリアルを丹念に描き出す。木村氏は行政と地域、民間をつなぐ当事者としての視点から、観光地経営の実像を語る。

神戸でセミナー 観光の未来などを学ぶ 全旅連女性経営者の会

2025年12月27日(土)配信

斎藤元彦兵庫県知事はじめ約80人が参加

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会女性経営者の会(JKK、会長=山田佐知・ほてるISAGO神戸女将)は12月10日(水)、神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ(兵庫県神戸市)で「JKKオープンセミナーin神戸」を開いた。オープンセミナーの開催は6年ぶり。会場には兵庫県の斎藤元彦知事や全旅連の井上善博会長をはじめ、会員や協賛企業関係者など約80人が集まった。

山田佐知会長

 山田会長は「JKKは20周年を迎え、30周年に向けたスタートを切ったところ。このタイミングでJKKのメンバーが真摯に宿の経営に向き合っていることを、皆様に知っていただく良い機会になればと、今回の場を設けた」と6年ぶりの開催に至る経緯を説明。そのうえで「2025年は、初の女性総理が誕生したが、これから女性がますます活躍する時代がやってくると手応えを感じている。JKKも研鑽を重ね、業界の地位が向上していける一助となれるよう、邁進していきたい」とあいさつした。

 井上会長は「我われ宿泊・観光産業は、温泉文化・宿文化の継承、人手不足、デジタル化など、多岐にわたる課題を抱えている。全旅連としても8つの部会が中心となり、これらの問題に取り組んでいるが、全旅連、JKK、青年部が連携して課題解決に取り組むことが重要だ。その意味でも、今日は活発に意見交換を行い、有意義な場としてほしい」と呼び掛けた。

 セミナー冒頭に駆け付けた斎藤知事は「兵庫県の『女将の会』とは毎年、意見交換させていただいているが、兵庫県にとって観光は地域を支える大事な産業。人手不足やDX対応、物価高騰など、業界を取り巻く課題は多いが、県として、しっかり対応していく所存。今後も皆さんと連携を組み、観光業界を盛り上げていきたい」と述べた。

 勉強会は、社会起業家でジャパンデザイン代表理事の山下太郎氏がファシリテーターとなり、ひょうご観光本部のツーリズムプロデューサー、古田菜穂子氏を講師に「兵庫県の観光と今後の日本の観光の未来について」をテーマに行われた。

 古田氏は、今後の観光について、観光はすべての産業とつながっている、国内誘客とインバウンド対応は一体的に、量より質を目指すなど、いくつかポイントを挙げ、「目指すのは地域の魅力を再発見すること。それが地域の『光』を『観る』こと、地域の人が主役の『観光』のはじまりとなる。最後は『人』。それが観光のキーワードになる」とした。

 ワークショップは、後継問題、直販増大、人材不足時代の働き方改革、宿泊業界におけるAIの影響の4つのテーマに分かれ、それぞれ活発に議論を繰り広げた。

【塩野 俊誉】

【FIXER・松岡社長に聞く】市民の相談に注力を 文書作成はAIで効率化

2025年12月26日(金) 配信

松岡清一社長

 2009年創業のIT企業、FIXER(松岡清一社長、東京都港区)は23年に、生成AIのプラットフォーム 「GaiXer(ガイザー)」を開発した。中央官庁はじめ地方自治体、金融、医療機関など実証実験を含め120以上の公的機関にサービスを提供し、業務効率化を推進してきた。松岡社長に話を聞いた。

                 ◇

 ガイザーは、急速に発展した「ChatGPT」や「Gemini」などの技術を活用した行政・医療・企業向けの生成AIサービスだ。複数の大規模言語モデル(LLM)の中から最適な一つを選択し質問することで、必要な回答を得られるのが特徴だ。

 「ISMAP-LIU」の特別措置サービスリストに登録されており、政府のセキュリティ基準を満たすクラウドサービスとして評価されている。

 松岡社長は同社がガイザーを開発した経緯について、「OpenAIの誕生で、爆発的にユーザーを獲得していくのを見て、それまで細々と取り組んでいたAI事業を中心事業に据えた。嫌な仕事はAIにやってもらい、人は自分の好きな仕事ができる社会を作りたいと考えた」と振り返る。

 これが顕著なのは、行政の業務だ。自治体ではメール返信から議事録作成、発表資料など文書作成がとても多く、それに業務時間の大部分が費やされる。これをAIが担うことで、業務効率化がはかれ、生産性の向上が期待できる。ガイザーが最も得意とする作業でもある。

「本来の業務に注力できる環境を作りたい」と語る松岡社長

 病院でも、医師の業務のなかでカルテや診断書など、文書作成が負担になっていることが多いという。松岡社長は「市民のため、また目の前の患者に向き合うなど、本来の業務に使える時間を生み出すことに貢献したい」と意気込む。

 一番初めにガイザーを導入した自治体は、三重県伊賀市。同社は2015年に三重県の企業誘致第1号として、津市に開発拠点を設立しており、現在は津市と四日市市に事業所を構えるなど、三重県内の自治体とのつながりが強い。

 伊賀市では実証実験から始まり、現在はさまざまな業務でガイザーを活用している。例えば、他部署の職員に連絡したい場合、以前は内線番号を探す手間があったが、ガイザーに名前を打ち込むだけで簡単に表示できるようになった。これは、ガイザーにその団体固有の情報をインプットすることで、そこから回答を引き出せる機能があるため。情報は外部からはアクセスできないようになっており、安全だ。

 こうした簡単なデータサーチから、観光イベントの企画アイデアなど、幅広い活用ができる。今後はガイザーでの動画の作成も視野に入れる。利用する自治体の職員からは、「優秀なアシスタントがいる感覚」「強い武器を得た」など好評だ。

 一方、松岡社長は「自治体が抱える課題の本質的な解決はできていない」と語る。「人口減少で職員の数も減っていくなかで、しっかり行政サービスを提供していくためにはまだ不十分だ」と捉えている。

 文章作成はガイザーの得意とするところだが、100%ではないため、今後は一切修正せずに済むレベルまで、技術的進歩をしていかなければならない。また、ガイザー導入自治体のなかで、活用していない職員もいることから、利用率を上げることも課題だ。「垂直と水平の2つの方向へ広げていくことに愚直に取り組んでいく。この結果、パソコン作業がなくなり、市民のための相談やイベントなどに集中できる未来を作っていきたい」と展望する。

 問い合わせはHP(https://www.gaixer.com/ja-jp/)へ。

東武動物公園に隣接、グランピングリゾート誕生(東武トップツアーズなど)

2025年12月25日(木) 配信 

アドベンチャー・ドーム(イメージ)

 東武鉄道、東武トップツアーズ、にしがきの3社は、東武動物公園(埼玉県白岡市)隣接地に、埼玉県最大級となるグランピングリゾート「グランフィルリゾーツ東武―GRANPHIL RESORTS TOBU―」を2026年3月にオープンする。

 同施設は、主にファミリー層やグループを対象としたドームテントタイプと、愛犬家向けのプライベートドッグランを併設するヴィラタイプの宿泊棟による計15棟で構成する。同公園に隣接する立地を生かし、宿泊者限定で夜の動物生態を感じられるアクティビティ体験や、愛犬と寛げるゆとりあるプライベート空間などを提供する。

 アドベンチャー・ドーム(ドームテントタイプ)は、定員6人のプライベートガーデン7棟と、同10人のサプライズガーデン1棟の計8棟。各宿泊棟に、プライベートサウナや専用BBQ設備などを併設する。

 滞在中、東武動物公園を自由に入退場できる入園券付き。別料金のオプションで、同園閉園後の園内を電動カートに乗って飼育係の音声ガイドで巡る「アドベンチャー・ナイト(仮称)」や、同園開園前の園内で動物を間近で見学しながら朝食を楽しめるアクティビティを用意する。

 シンフォニー・ヴィラ(ヴィラタイプ)は、愛犬と宿泊可能な最大約950平方メートルのプライベートドッグランや、専用BBQ設備を併設した定員4人の計7棟。愛犬と寛げる約73平方メートルのゆとりあるプライベートな客室と愛犬用の宿泊アメニティを用意している。

 また、グランピング敷地内で、定期的に愛犬家と愛犬がともに楽しむイベントを開催予定。

 宿泊料金は、アドベンチャー・ドームが1万8400円から(税込、1室4人利用、素泊まり、1人)、シンフォニー・ヴィラは2万4200円から(同)を想定する。

 宿泊申し込みは、同施設ホームページで26年3月20日(金・祝)分から受け付けている。今後、「リゾートグランピング」や「いぬやど」でも受付予定。

クルーズ人口100万人を目指す取り組み開始 JATAら3団体がロゴ作成で機運醸成

2025年12月25日(木) 配信

ロゴマーク

 日本旅行業協会(JATA)と日本外航客船協会(JOPA)、日本国際クルーズ協議会(JICC)はこのほど、2030年までに日本人クルーズ人口100万人を目指す取り組みを協働で開始すると発表した。広くクルーズへの興味を持ってもらえるよう、機運醸成をはかることを目的に、船会社と旅行会社が連携。「Let’s CRUISE 1M(Million)~100万人で行こうよ!船旅へ~」のキャッチフレーズのもと、旗印となるロゴマークを作成した。

 国土交通省の「日本のクルーズ市場の持続的発展に向けた有識者検討会」は今年7月、日本人のクルーズ人口を100万人とする新たな目標を定めた。現況、日本のクルーズ人口は2024年が22万4000人と、ピーク時の19年35万6000人へ届かず、欧米と比較しても拡大の余地は大きいとみる。

 100万人の目標数値は高いが、JATAらは「新たな客船のデビューなど話題性もあり、シニア層だけでなく、若い世代にも拡大していくことで、100万人達成も可能であると考えられる」と期待。関係者が共通のロゴを広く活用するなどで、取り組みを広く一般消費者に認知してもらい、クルーズの楽しさを体験してもらうとともに、若年層を中心とした新たなマーケットを開拓することを目指す。

 今後は、新船就航などと連動し、どのような施策が効果的かを協議しながら、キャンペーンの実施など活動の範囲を広げていくとしている。取り組みの期間は2030年12月までの予定。

今治港「せとうちみなとマルシェ」、地域づくり表彰で最高位・国土交通大臣賞受賞

2025年12月25日(木)配信

カラフルなテントも特徴的な「せとうちみなとマルシェ」

 愛媛県今治市の今治港で定期開催されている「せとうちみなとマルシェ」が、国土交通省の令和7年度「地域づくり表彰」で最高位の国土交通大臣賞を受賞した。港湾空間を活用した交流拠点づくりと、官民連携による持続可能な運営態勢などが高く評価され、全国32事例の中から総合的に最も優れた3事例の1つに選ばれた。

 国交省は11月20日(木)に審査結果を発表し、12月22日(月)に東京・霞が関で表彰式を行った。

 せとうちしまなみマルシェは、瀬戸内海としまなみ海道を望む今治港で、毎月第2・4日曜日の月2回、ご当地グルメや地物魚の競り市、スイーツやクラフト雑貨など多彩な店舗が出店するイベント。

 1999年の瀬戸内しまなみ海道開通以降、航路利用者の減少とともににぎわいを失っていた今治港を、「交通の港」から「交流の港」へと再定義し、2022年11月にスタート。3年が経過した現在、年間(24年11月~25年10月)来場者数は約24万4000人。来場者の消費支出や出店者の売り上げ、主催者事業費などによる経済波及効果は約13億5400万円と試算され、前年から約1億3200万円増加しているという。登録店舗数は700を超え、毎回100店舗前後が出店、1開催あたり1万人以上が訪れる集客力を誇る。

 通常は午前9時から午後2時までの開催だが、夏場は土曜日の午後4時から9時の夜間営業として開催。夜の時間帯はアルコールを提供する出店者が多く、大人の雰囲気が漂う空間に様変わりするという。港に隣接する商店街の「土曜夜市」とも連動し、海辺から商店街一帯の回遊性向上にも寄与している。

 今回の受賞では、①港湾空間の再定義による新たな価値創出②多種多様な出店者によるリピーター創出型の運営方法③市民ボランティアや学生、商工団体が参画する官民連携態勢――が主な評価ポイントとなった。

 せとうちマルシェ実行委員会の原竜也運営委員長は「港が『交通の港』から『交流の港』へ生まれ変わり、そのにぎわいが日常へと広がることを目指したい」と話している。

夏場は夜開催で大人の雰囲気に

【第36回北前船フォーラムin信州まつもと ~初の内陸開催 「塩の道」で地域連携を一層拡大~】 北前船伝統的工芸品ネットワーク 設立に向け発起人会開く

2025年12月25日(木) 配信

発起人会のようす

 「北前船伝統的工芸品ネットワーク(仮称)」の発起人会が11月21日(金)、ホテルブエナビスタ(長野県松本市)で開かれた。参画予定の各自治体が連携し北前船寄港地・船主集落の歴史的つながりを生かし、保有する伝統的工芸品の魅力を国内外へ発信やブランド化などを行い、新たな販路の拡大と価値の向上を目指す。今回は今年1月下旬に予定する設立総会に向けて活動方針や規約、来年度の事業と予算案などについて協議した。

 発起人代表として高橋邦芳新潟県村上市長は「世界に冠たる日本工芸を共有する自治体が、北前船の歴史的キーワードで再びつながる意義は大きい。歴史と文化、工芸を結びつけ、自治体連携で世界発信する強力なプラットフォームにしたい」と意気込みを述べた。

高橋邦芳市長

 同ネットワークには、北前船日本遺産推進協議会に加盟する52自治体のうち、伝統的工芸品を有する17自治体が参画する。会長1人、副会長若干名、幹事1人を置く。さらに、専門家や関係機関を顧問に迎え、産地支援や海外展開に必要な知見を広く取り込む体制を整える。

 今後の活動方針として、①北前船ゆかりの伝統工芸品の周知と体系的な情報発信②国内外の展示会やイベントを通じ、産地の魅力を効果的なプロモーション③工芸を核に据えた「工芸ツーリズム」の展開による交流人口の拡大――などが掲げられた。

 北前船交流拡大機構の浅見茂専務理事は、イタリア・ミラノで開かれたミラノ・フォーリーサローネでの出展事例を踏まえ、「現地の反応を次の作品づくりに生かし、その学びをほかの産地とも共有する循環が必要だ」と地域間連携の意義を述べた。

 跡見学園女子大学の篠原靖准教授は工芸ツーリズムについて、「PR型から、販路形成へとステージが変わりつつある。課題整理とモデル形成をこのネットワークで担ってほしい」と期待を寄せた。

 前EU日本政府代表部参事官で財務省大臣官房の二宮悦郎企画官は、EU日本政府代表部参事官だった経験を踏まえ、「日本の伝統工芸は欧米の超富裕層に届く唯一無二の文化資源。政府に専任の担当部署がないため、仲介機能が不足していた。自治体の広域連携が欠落していた部分を補う」と話した。

 発起人である石川県輪島市の坂口茂市長は「震災からの復興において、工芸文化は地域の誇りであり、未来を切り拓く力。全国の仲間と共に一歩を踏み出したい」と述べた。

伝統的工芸品の可能性を聞く

 発起人会終了後には、工芸が直面する課題と今後の可能性などについて意見を交わす座談会が開かれた。発起人代表である高橋市長と、発起人の坂口市長と渡辺市長、有識者として二宮企画官と、浅見専務理事が参加した。進行役は篠原准教授が務めた。

 冒頭、篠原准教授は「地域だけでは解決しきれない課題が増えている。広域で知恵を持ち寄る時期に来ている」と指摘した。

 高橋市長(村上市)は「市の伝統的工芸品が後継者不足によって技術喪失の危機にある状態だ。さらに、多くが少量生産かつ高付加価値型で、地域だけの努力では維持が難しい」と危機的状況を語る。

 そのうえで、「販路開拓に向けた広域での取り組みが欠かせない」と今回のネットワーク必要性を示した。

 渡辺市長(佐渡市)は「時代とともに、家業を継がない選択をする若者が増え、産業が維持できない状況になっている」と話す。「日本文化への関心は海外で確実に高まっている。今、スタートしなければ間に合わない。優れた文化資源であっても伝えなければ届かない。国内外へ積極的に発信し、その反応を職人へと返すことが必要だ」と強調した。

渡辺竜五市長

 坂口市長(輪島市)は、能登半島地震で約85%の工房が被災したことを説明。「技術は繊細で、期間が空くことで落ちる」と危機感を示す。また、「復旧による需要がピークを過ぎたあと、市場が縮む可能性もある。このため、全国の産地と横連携し、販路を拡大させたい。海外展開に踏み出すことで、デザインや価値提案が革新され、国内市場にも新しい波が起きる」との考えを述べた。

坂口茂市長

 二宮企画官は「日本の工芸が欧州で品質が高く実用品で芸術品でもある独自性を高く評価されている。作り手がその価値を十分に理解していないケースも多い」と指摘する。

二宮悦郎企画官

 そのうえで、「意欲ある自治体がまずモデルをつくり、成功例を横展開すべきだ。今回の取り組みはプラットフォームとして最適だ。一自治体で海外へ販路を開拓することが難しいなか、連携のためのネットワークを発足する意義は大きい」と語った。

 浅見専務理事は「現地の反応を次の制作に生かし、産地間でも共有できる循環型の仕組みを構築したい。若手デザイナーの感性と工芸技術が結びつく商品は、確かな手応えがある。広域ネットワークを発足させることで、経験を蓄積し共有する仕組みを大きく育てることができる」と同ネットワークの意義を強調した。

浅見茂専務理事

 最後に篠原准教授が、「北前船は人と物と文化をつないだ。今回の取り組みは、その『つなぐ力』を工芸の世界で再現する試みだ。地域単独では難しい課題も、連携することで未来を描ける」とまとめた。

篠原靖准教授