全旅連全国大会 岡山で開く、860人が集結、次回は山梨へ

岡山の地で90回目を迎えた全旅連全国大会
岡山の地で90回目を迎えた全旅連全国大会

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(佐藤信幸会長、1万6093会員)は6月14日、岡山県岡山市のおかやまコンベンションセンターで第90回全旅連全国大会を開き、約860人が一堂に集結した。大会テーマは「海に山にあっ晴れおかやまへ」。

厚生労働大臣賞の咲花温泉旅館協同組合
厚生労働大臣賞の
咲花温泉旅館協同組合

 佐藤会長は「昨年の東日本大震災によって被災者の受入れや風評被害、東京電力管内の値上げなど危急存亡の危機の対応に終始した1年だった。原発事故、放射能汚染など未曽有の事態に対し、全旅連として何ができるのかを考え、まず取り組んだのが被災者の受入れで、皆さんのご協力に感謝したい。また、義援金も旅館3団体計で約4550万円の支援があり、速やかに被災県にお届けした」と語った。さらに、「固定資産税の評価見直しが決まったが、15年度からどのように見直されるか今年度の実態調査を踏まえ来年度検討される。見直し方によって減額に大きな違いが出てくるので、全旅連として一生懸命対応していきたい。また、消費税の増税が国会で議論されているが、現状の総額表示では我われ中小企業は増税分を料金に含めなければならない。外税表示を求めていくので協力をお願いしたい」と強調した。

全旅連会長賞の上山市観光物産協会
全旅連会長賞の
上山市観光物産協会

 第15回「人に優しい地域の宿づくり賞」では、厚生労働大臣賞に咲花温泉旅館協同組合(新潟県)の「水害からの復興『咲花温泉かわまちづくり』―咲花きなせ包み河床―」が受賞。全旅連会長賞には上山市観光物産協会(山形県)の「かみのやま温泉クアオルト・EVエコタウンプロジェクト事業」が受賞した。

 次期開催地は山梨県に決まった。

 当日は協賛業者展示会や岡山県物産コーナー、岡山後楽園へのエクスカーションも行われた。

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佐藤信幸会長
佐藤信幸会長

 全国大会の前日には、倉敷市の鷲羽ハイランドホテルで2012年度通常総会が開かれた。今年度は地熱発電検討委員会を設置し、勉強会を開くことで情報収集や啓蒙活動にも取り組む。温泉保護の立場と、「補助金が付くため過疎化対策に有効」などという多様な立場もあり、委員会での意見交換が必要になる。

 また、全国旅館会館建て替えについては、専門家による調査によって税務問題は解決したことを報告。今後は単独の建て替えか、耐震工事かの選択肢に絞られた。

 
 
 

No.313 地銀、観光振興に動く―後編― 顧客とともに利益追求

地銀、観光振興に動く―後編―
顧客とともに利益追求

 地元に多くの取引先を持ち、それぞれの細かなニーズを把握する地方銀行は、地域産業間のコーディネーターとして新たなビジネス創出の担い手となることが期待されている。先行きが不透明な時代、中長期的な視点から成長分野への投資が不可欠だ。なかでも観光業は成長分野の1つと位置づけられ、専門の行員や、部署を置く地方銀行が増えてきている。地銀の観光振興の取り組みにスポットを当てた。

【沖永 篤郎】

 

≪東北銀行 アグリビジネス推進部 ― 6次産業化で地産“外”消≫

 岩手県の東北銀行は、2005年から地域密着金融の柱に「アグリビジネス」支援を位置づけ、取り組みを進めている。同県は農業のほか、林業、水産業、畜産業を含む1次産業の就業人口比率が1割以上と全国平均に比して高い。かつ素材としては一級品の生産物が豊富にある。その付加価値を高めるために2次産業(加工業、製造業)、3次産業(流通業、サービス業)が連携し、6次産業化による地産“外”消を目指す。…

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≪地銀の観光振興策 アンケート ― 融資制度拡充、産学官連携など≫

 本紙は、全国の地方銀行の観光振興への取り組みについてアンケート調査を行った。

 

※ 詳細は本紙1466号または日経テレコン21でお読みいただけます。

観光地にベンチを ― 「消費」する空間づくり(6/21付)

 西洋の都市や観光地と比べると、日本には広場が少ない。街道沿いの宿場町の名残もあってか、道の両側に宿が軒を連ねている町並みが多いのが特徴だ。

 このため、滞在する宿泊客たちは、宿に到着し荷物を置いたあと外に出ても、観光地を一直線に貫く道路の端から端を歩き、目ぼしい土産屋で一つ、二つおみやげを買って、そして宿の中に吸い込まれるように帰っていくしかない。美味しそうな焼き鳥などを売っていても、食べるところもなく通り過ぎる。

 古くからの湯治場などには、共同浴場や外湯などの周りにわずかな空間があり、多少なりとも滞在客を意識した造りとなっている。しかし、そぞろ歩きをするにも、そう間が持たない。

 その最大の原因は、観光地や温泉地にベンチが少ないことだ。たとえば、城崎温泉や下呂温泉などは、適度に足を休めて温泉情緒を楽しめる場所が用意されている。このため、土産物屋で買ったお団子やソフトクリームなどを食べたり、デジカメで撮った写真をベンチに座って確認し合ったり、観光地マップを広げることだってできる。

 どこかの商店街が、シャッターが閉まったままの空き店舗を買い物客が自由に使える空間にしたところ、そこで買ったものを食べるようになり、商店街が活性化した例をテレビが紹介していた。つまり、一方的に「売る」だけでは売れないものだ。そこで「消費」する空間を作ってあげることが大切である。

 最近は減ったが、街の煙草屋さんの前には、灰皿とちょっとしたベンチがあったものだ。酒屋さんもビール箱をイス代わりにして、酒屋のつまみで飲む、北九州風にいえば「角打ち」があり、憩いの場になっている。観光地には空き店舗が多い。そこを開放して洒落たベンチを置き、大きな観光案内図を掲出していれば、くつろぎの空間に早変わりだ。「あそこに座って食べよう」と、その土地の名産物や珍味、B級グルメなどとともに、地ビールや地酒、ご当地ジュースなども売れるだろう。

 東京もベンチが少ない。都会のオアシスである公園にも意外にベンチが少ない。ニューヨークなどはそこかしこにベンチがあり、老人が眼を細めて摩天楼を眺めている。ゆっくりとベンチにくつろげる街こそ、文化の成熟を感じる。「ビジネス街に、観光地に、温泉地にベンチを!」

(編集長・増田 剛) 

5泊以上長期滞在モニター募集

  北海道観光振興機構は6月1日から、北海道以外に住む人を対象に「北海道長期滞在モニター」1000人の募集を始めた。長期滞在型観光地としての体制づくりを進めるため、長期宿泊客をモニターとして呼び込み、受入地での課題やニーズを分析・検証する。

 7―9月の期間、北海道観光を目的に対象の宿泊施設に5日以上連泊し、アンケートに答えると、大人1人3万円、3歳以上小学生以下は1万5000円を旅行実施後にキャッシュバックする。旅先は、道内32地域から選べる。

 詳細情報については、特設WEBサイト(http://longstay.visit-hokkaido.jp/)へ。

国交相に羽田雄一郎氏、「観光に積極的に取り組む」

羽田雄一郎氏
羽田雄一郎氏

 野田佳彦内閣総理大臣は6月4日、内閣改造人事を発表した。参議院で問責決議を受けた前田武志国土交通大臣に変わり、後任には羽田孜元内閣総理大臣を父に持つ羽田雄一郎参議院国対委員長が就任した。

 羽田 雄一郎氏(はた・ゆういちろう) 1967年生まれ(44歳)。92年玉川大学文学部芸術学科卒業後、伊藤忠記念財団勤務。97年4月羽田孜衆議院議員秘書、99年10月参議院議員当選、05年9月参議院国土交通委員長、07年7月参議院議員3期目当選、10年7月民主党参議院国会対策委員長。

 羽田大臣は就任会見で「被災地の観光、振興を含めて全国的な観光に積極的に取り組んでいかなければならない」と語っている。

 

<安全安心な国作りへ責任果たせる体制を ― 前田前国交相>

前田武志前国交相
前田武志前国交相

 辞職する前田武志国土交通大臣は6月4日、臨時閣議後に退任の会見を開き、「東北の復興なくして、日本の再生はない」と語り、「国土交通省の仕事である安全安心な国作りと緊急時の危機対応に、しっかりと責任を果たしていく体制を作り上げることが重要だと身にしみて感じていた」と話した。また国土交通省の仕事について「観光を含め国交省の仕事は、短期的に成果が上がるものではなく、先行きを把握し時間をかけて行う長期的な仕事」と語った。

 
 
 
 
 
 

“外出楽しむ”きっかけにも、化粧の力でサポート

肌の状態に合った美容ケアを アドバイスする
肌の状態に合った美容ケアを
アドバイスする

<資生堂 ライフクオリティービューティーセンター>

 「旅をすること」は、少なからず「人前に出ること」でもある。ときに疾患や薬の副作用による美容上の悩みは、外出の際の大きなハードルとして我われの前に立ちはだかる。化粧品の製造・販売を行う資生堂(本社・東京都中央区)は2006年、CSR活動の一環として「資生堂ライフクオリティービューティーセンター」を設立。医療機関と連携しながら専門技術を活かし、美容ケアの提供を行ってきた。〝一瞬も一生も美しく〟を掲げサポートを進める、同社の取り組みを取材した。

【森山 聡子】

 

<一人ひとりの肌に対応>

 あざや白斑、やけど、傷あとなど、一般的な化粧品ではカバーが難しい肌悩みは意外に多い。治療が長期に及んだり、完治に至らないケースも少なくない。このような声に応え「資生堂ライフクオリティービューティーセンター」(東京都品川区)では、専門の技術教育を受けたスタッフによるカバーメーキャップやアドバイスを無料で行っている(要事前予約制)。

 医療機関からの紹介や同社ウェブサイトの告知等により、子供から高齢者まで年間約500人が来所。センターでメーキャップを担当する資生堂CSR部の鈴木淑子さんは、「メーキャップで少しでも自分らしさを取り戻せるような提案を心掛けています」と話す。

 センター内にはプライバシーが保たれた個室を完備。カウンセリングに基づき、肌の状態や色見に適した化粧品によるメーキャップの施術やアドバイスを、「お客様1人に対し、基本的にスタッフ2人体制で対応しています」と鈴木さんは続ける。「1人はメーキャップを担当、1人はポイントを記したアドバイスプランの作成を行い、お客様が帰宅後もご自身でメーキャップを実践できるようサポートします」。

<化粧が持つ「心理的効果」>

 近年では治療のクオリティーをより高くするパートナーとして、カバーメーキャップを薦める医療機関も増えている。なかでも注目されるのが、美容ケアを通じた患者の「心理的効果」だ。同社では、がん治療中に化粧が及ぼす心理的効果を、医療機関とともに研究。通院で化学療法中の乳がん患者に対し実際に美容ケアアドバイスを行い、患者が自身で美容ケアを継続することで、抑うつや治療への取り組み意欲が改善されることのエビデンスを得ている。

 同社CSR部の提橋義則グループリーダーは「治療中はもちろん、治療後も薬の副作用等で肌悩みは残ってしまうこともある。本取り組みが少しでも、患者様のQOL(Quality of Life=生活の質)の向上につながれば」と力を込める。

効果的にカバーできる自社ファンデーションを用意
効果的にカバーできる自社ファンデーションを用意

<医療機関でも活動推進>

 同社では昨年10月から、抗がん剤治療の副作用に対応した無料メーキャップアドバイスの提供を医療機関でも開始。現在、東京近郊の計63のがん診療連携拠点病院を対象に病院からの依頼に基づき、院内で医療関係者の立ち会いのもと実施することとしている。

 化粧療法という言葉もあるが、鈴木さんは「直接的にメーキャップで疾患が治るわけではない」と冷静に分析する。「ただ患者様の治療に対するモチベーションが上がったり、何よりメーキャップ後『あきらめていたが、来てよかった』と晴れやかな表情で帰られる姿を見ると、化粧の持つ力を感じます」と語る。

 年齢や病に関係なく「美しくありたい」という思いは、多くの人の本心として存在する。資生堂では今後も、美容ケアアドバイスを行う地域や医療機関数を広げていく予定だ。

 問い合わせ=電話:03(3494)8090。※利用に際し治療中の方は、事前に主治医の許可が必要です。

中東のファッションショーを開く

吉永 恵(よしなが・めぐみ)さん
吉永 恵 さん
(よしなが・めぐみ)

 7月15日に、東京の日本橋三井ホールで、本格的(500人規模)な中東のファッションショーを開く。実行委員長の吉永恵さんは、19歳の早稲田大学の学生。

 日本にとって中東やアラブは遠い存在。石油以外のイメージはあまりない。加えて、9・11以降はネガティブな印象が強い。吉永さんは、今年2月から約1カ月間かけて、アラビア半島を1周する旅をした。イスラム文化と、もてなしの素晴らしさに魅了され、この感動を何らかの形で日本で発信したいと思った。その切り口として、若者に関心の高いファッションショーを通じて発信しようと考え、即実行に移した。「中東のファッションショーは、日本では初めての開催で、非ムスリム(イスラム教信者)では世界で初めてなんです」と語る。

 ファッションショーはすべて、学生だけで運営。40人のモデルはレッスン中で、衣装はドバイの高級ブランドから直輸入する。当日は、中東と日本の学生による文化をテーマとしたパネルディスカッションも予定している。

 「国家ではなく、草の根レベルの国際交流が目的。日本の若い世代に中東のことを知ってもらえるきっかけになればいい。中東の方々は日本に対してとても友好的なんです」。

 生まれは中国・ハルビンで両親とともに日本国籍を取得。「色々な方々の援助を受けて育った。だから、その恩返しとして国際機関で働くことが夢でした」。でも、今回のイベントを企画してから、「自分がファッションがこんなにも好きだったと改めて気づいた」と話す。「将来はファッションブランドを立ち上げたいですね」。

【増田 剛】

 吉永 恵(よしなが・めぐみ)=早大とWディグリー(双方向学位制度)を行う北京大学に今年8月から学ぶ。「出発前に日本で何らかの形で社会貢献したい」。

カード型旅行券、旅行業界初の販売

 JTB(田川博己社長)はこのほど、旅行業界では初となる切符の購入や宿泊、国内・海外旅行などの支払いに利用できるカード型旅行券「JTBトラベルギフト」の販売を始めた。取扱目標は2012年度が15億円、16年度が90億円。

 販売金額は1―50万円まで自由に設定可能。有効期限は発行開始日から2年間で有効期限内であれば残高の範囲で繰り返し利用できる。同カード券は、JTBグループ販売店や電話販売での旅行代金の支払いに充当でき、今後はWebサイトで取り扱う旅行商品の支払いにも利用できるようにするという。

 カードデザインは基本デザインとオーダーメイドデザインの2種類。オーダーメイドでは贈るシーンに合わせてカード券面に手持ちの写真やメッセージを添えたオリジナルのデザインで作れる。購入は、JTBグループ店舗をはじめとする全国の販売店や、JTBホームページから。 

移住・交流センター開設、首都圏の受け入れ拠点に

移住・交流センター開設

 長野県は5月25日、東京交通会館(東京都千代田区)の長野県東京観光情報センター内に「長野県移住・交流センター」を開設した。「職」と「住」の相談にワンストップで対応できるよう、移住専門相談員とIターン相談員をほぼ常駐で配置。首都圏における信州・長野への移住・交流の拠点として、移住希望者と市町村や各関係団体を横断的につないでいく。

 長野県観光部の野池明登部長は、開設にあたり「ふるさと回帰の傾向もあるなか、長野には自然や温泉、人情などさまざまな魅力がつまっている。移住に向けた情報を発信し、具体的な要望に応えていきたい」と意気込みを述べた。また移住推進にあたり、本年4月からは県観光部内に移住・交流課を新設。既設の「楽園信州」推進協議会とともに、市町村や民間団体など幅広いネットワークによるフォローを強化していく。

 2010年度、長野県及び市町村の移住相談対応の移住者・Iターン就職者実績は396人(240件)。5年後の17年度に1千人を目指す。

 開設時間は日曜、祝日を除く午前10時から午後6時。

 問い合わせ=電話:03(3214)5655。 

旅行作家の会、年に一度の大集会開く

高峰温泉の後藤英男社長
高峰温泉の後藤英男社長

 旅行作家の会(代表=野口冬人氏、竹村節子氏)は6月5日、東京・池袋のホテルメトロポリタンで第27回「年に一度の大集会」を開き、80人を超える旅館経営者らが一堂に会した。

 開会のあいさつで野口冬人氏は「昨年は東日本大震災の影響で中止となったが、『今年はぜひ開いてください』という声を全国の皆さんからたくさんいただき、開くことができた。今後も互いに協力しながら旅行業界の発展に尽くしていきたい」と語った。

 講演会では、長野県・高峰高原の「ランプの宿高峰温泉」社長の後藤英男氏が「高峰温泉再建と時代に合わせた経営」について講演した。

 後藤氏は火災により、宿も顧客名簿もすべて焼けてしまった状態から、一通のお客様のお手紙によって勇気づけられ、再建に向かった話や、現在5千人のファンづくりを行っており、「時代や景気に流されない顧客づくりに取り組んでいる」と話した。

女将も壇上にずらり
女将も壇上にずらり

 続いて桜美林大学名誉教授で観光アドバイザーの内藤錦樹氏が「最近の旅行動向」について講演した。内藤氏は「今後、付加価値のある滞在型宿泊旅行が伸びて行くのではないか」と展望したほか、「現在は女性のひとり旅が多く、宿は採算の取れるしくみづくりが必要」と述べた。