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【特集 No.478】はなまき朝ごはんプロジェクト 農家と連携「宿で地元野菜を」

2017年11月21日
編集部

2017年11月21日(火) 配信

 花巻温泉郷(岩手県花巻市)の温泉旅館の若旦那3人が2014年7月に、「はなまき朝ごはんプロジェクト」を始動。地元農家の青年らと協力して、花巻産の季節の野菜を共通食材に、それぞれの宿が朝食メニューとして提供している。現在は5館が参画。リピーターが増えるなど同PJの知名度は徐々に上がっている。農作業体験も人気だ。現在は花巻産の野菜を使ったカレーやジェラートなどの商品の開発を視野に、“花巻色”を一層強め、宿の売上アップにも貢献していきたい考えだ。 【増田 剛】

はなまき朝ごはんプリジェクトに取り組む5人の若旦那たち
(左から)松田氏、久保田氏、安東氏、清水氏、藤井氏
(左から)優香苑支配人 安東慎吉氏、愛隣館社長 清水隆太郎氏、藤三旅館専務 藤井大斗氏

若旦那が“花巻の魅力創ろう”

 「自分たちの世代では各宿が切磋琢磨しながら、地元・花巻の魅力を創って発信していくことも必要ではないか」――。はなまき朝ごはんプロジェクトは、湯の杜ホテル志戸平(志戸平温泉)の久保田龍介常務と、藤三旅館(鉛温泉)の藤井大斗専務、結びの宿愛隣館(新鉛温泉)の清水隆太郎社長の3人の“若旦那”世代が2014年の4月に集まったことがきっかけとなった。「何かやりたいね」という話の中で、「花巻なりの朝ごはんプロジェクトを始めよう」と久保田氏から提案があった。同年7月に「はなまき朝ごはんプロジェクト」が始動。早い展開だ。

 地産地消はどの宿も意欲はあった。「方向性が一緒だったのでスピード感を持って始めました」と愛隣館の清水氏。「地域の宿がまとまって取り組むことで大きなパワーが生まれ、発信力も大きくなる」と、単館だけの取り組みを超えるメリットを上げる。 

現在は5軒が参加

 3館からスタートして、今年6月に松田屋旅館(台温泉)の松田忠専務と、優香苑(山の神温泉)の安東慎吉支配人も加わり、現在は5館が参加している。

 優香苑の安東氏は「もともとメンバーとは顔見知りでしたが、今年の春にお声掛けをいただき、6月から正式に参加しました。花巻のエリア全体が元気になるためにスクラムを組むことはすごくいいこと」と話す。

 朝ごはんプロジェクトは、旅館だけの取り組みではなく、地元の農家と一緒に活動していることが特徴だ。「農家さんと連携して掛け算の『農商工連携』というかたちで取り組んだのが良かったと思います」と清水氏は強調する。

 県の「いわて農商工連携ファンド」の助成金を活用しながら、活動している。現在は愛隣館が事務局の役割を担うが、今後は株式会社化や、組合にするのかなど、組織のあり方を5館で検討している。3年目の今年度は助成事業の最終年度。次年度からは花巻市の助成事業に申請している。また、プロジェクトの事業によって本格的に収益を上げていけるように、今から準備を進めている。

旅館と農家をつなぐ地元商店が橋渡し役

 プロジェクトをスタートする前からメンバーは、野菜は直接農家さんから買いたいという思いがあった。人のつながりによって、花巻市農村青年クラブの若手メンバーとの連携が叶った。月に1度の会議では、同プロジェクトの取り組みをPRするタブロイド紙の内容や、農家との共同イベントなどの打ち合わせ、さらに動画での発信も準備しており、細部の確認や議論を行っている。

 旅館と農家の連携は利点も多い。農家は、農協などにも出荷しているが、旅館に出荷するメリットとしては、少々曲がっていても旅館は調理するので大きな問題はないし、利幅も大きい。一方、旅館も八百屋で購入するよりも少し安く仕入れることができる。

 各旅館が農家に野菜を取りに行くのも大変。このため、花巻南温泉峡の入り口にある「松倉商店」という小さな八百屋兼商店がすべての農家との橋渡し役になっている。各旅館が松倉商店を経由して注文し、農家が育てた野菜をダイレクトで納品している。「松倉商店の若旦那も私たちと同世代で、想いも同じ。すぐに私たちの取り組みに賛同してくれました。携わっている人が皆、花巻を盛り上げようと同じ想いを持っているのがうれしい」(藤井氏)。

農家での農作業体験も人気

「足りないときは、足りなくてもいい」

 とくに大型旅館では必要な分量の野菜が納品できないこともある。「足りないときは足りなくてもいいじゃないか。お客様に誠意を持って説明すればいいという姿勢で、気軽に始めたのが良かった」と清水氏は話す。

 朝食は、その時期に収穫できる野菜2品目を共通素材に決めて、朝食の献立を作る。ごはんはひとめぼれを使用する。

 農家とは大まかな年間スケジュールを立て、朝ごはんプロジェクトに提供する野菜を事前に決めている。朝ごはんプロジェクトの活動をPRするタブロイド紙「TSUKURU」では、野菜収穫カレンダーも掲載し、アピールしている。…

若旦那と花巻市農村青年クラブが地元を盛り上げる

※詳細は本紙1693号または11月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

 

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