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夏の温泉 ― 灼熱地獄とは別世界の「涼感」も

2017年7月1日
編集部

 夏休みを目前に控え、「この夏どこに旅しようかなぁ」と計画を練っている人も多いだろう。しかし、「行ってみたい」と思う人気エリアは割高感があるし、最近は外国人観光客も増え、旅館やホテルも予約が取りづらい。つまり、人気観光地の集中度がさらに進んでいる。一方、素晴らしい環境でありながら知名度がそれほど高くないため、旅人には幸運なことに、閑散としているエリアもある。

 先日、東北方面の取材で、岩手、秋田、青森の3県をクルマで移動した。平日だったこともあるが、一般道路は対向車線も含め、前後クルマの姿が見えないことが度々あった。これまでは並行して敷かれている素っ気ない風景の高速道路を利用していたのだが、随分ムダなお金を費やしてきたと後悔した。

 クルマを走らせながら何を感じたかといえば、一般道でありながら、信号の少なさである。

 私は日々、東京都と神奈川県の境目で生活をしているため、その交通量と、信号機の多さにうんざりしている。ストレス解消のためにオートバイに跨っていたはずなのに、マニュアル操作は1速→2速→ニュートラルの繰り返しで、ちっとも楽しくない。楽しくないどころか、ストレスを余計に感じることも少なくない。だからこそ、北東北ののんびりとした信号のない、何気ない道路に、心地よさを感じたのである。何も東北だけではなく、大都市部から離れた日本中のエリアでは、信号のない道路は多く存在する。

 東日本高速道路と中日本高速道路は、7月14日から11月30日まで、高速道路で初めてETCを備えた二輪車限定の高速道路乗り放題プランがスタートする。対象となるのは、「関越道・上信越道・東北道コース」「東北道・常磐道コース」「東関東道・館山道コース」「東名道・中央道コース」の4つ。いずれも2500円で、2日間対象エリア内を自由に乗り降りできる。通常よりも最大で50%以上もお得に移動できるシステムだ。まずは首都圏中心の実施となるが、全国的に広がることも想定されている。

 これによって、かなり割安な料金で首都圏の雑踏を抜け出し、信号の少ない風光明媚な〝ストレスフリー〟の道路に入ることができる。

 今年の夏も、きっと暑い。とくに東京の夏は、強烈なエアコンがなければ生命の危機を感じるレベルだ。

 幸い、日本は南北に長い。東北には豊かな自然と、夏に涼しい山々がたくさんある。北の大地・北海道には、他のエリアにはない広大な土地と、まだ知られていない魅力的な場所がまだまだある。日本各地の山の宿や、海辺の宿も、「避暑地」として滞在できるプランで、埋もれている需要を喚起してほしい。冬の温泉もぽかぽかして気持ちいいが、実は、夏の温泉は入浴後に浴衣で涼めば、都会の灼熱地獄とは別世界の「涼感」を味わえることを、もっとアピールしたいと思っている。

 これからは、信号だらけの渋滞の道を避けて、自然豊かな道をのんびりと走る旅が脚光を浴びるはずだ。その先にある温泉宿に宿泊し、心身ともに元気になる旅だ。誰もが同じ時期に、同じ場所に訪れる〝一極集中〟の旅を卒業したら、今度は、まだ誰も気づいていない道を通って、自分の好きな場所や宿でリフレッシュする旅を創っていこう!

(編集長・増田 剛)

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