オートキャンプ白書2021、参加人口は約3割減の610万人 ソロキャンプは「流行語」に
2021年7月16日(金)配信
日本オートキャンプ協会(明瀬一裕会長)が7月15日(木)に発表した「オートキャンプ白書2021」によると、20年のオートキャンプ参加人口はコロナ禍により前年比約3割減の610万人だった。しかし、日帰りを含む国内旅行者数は同約5割減で、オートキャンプに対する影響は比較的少なかったとみている。一方、20年は話題となった新語・流行語を決める「流行語大賞」のトップ10に「ソロキャンプ」が入るなど、1年を通じてキャンプが注目を集めた。
20年はコロナ禍で外出が自粛された一方で、明瀬会長は「アウトドアに対するニーズが自ずと高まった。『おうちキャンプ』『ソロキャンプ』『ワーケーション』などこれまであまり見掛けなかった、新しい形態のキャンプが行われるようになった。まさに昨年は、オートキャンプにとって逆風と追い風が同時に吹いたような状況となった」と振り返った。
20年の始まりは、前年から引き続き冬キャンプ人気の高まりからキャンプ場はにぎわい、好調の滑り出しをみせていた。しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大したことで状況が一変。この結果、20年のオートキャンプ参加人口は、前年860万人から約3割減の610万人となった。
一方で、比較的「3密」にならないとの見方から、外出や移動が制限されたこともあり、多くのメディアでキャンプが取り上げられたと報告。日常生活でキャンプ道具を使う「おうちキャンプ」や、自宅のベランダでグランピング気分を味わう「ベランピング」などが誕生した。コロナ禍で移動が制限されているなか、「キャンプに行きたい」という気持ちが醸成されたとみている。
□キャンプ行った回数、泊数とも前年上回る
キャンプに行く頻度はコロナ禍でも上昇傾向をみせた。「1年間でキャンプに行った回数」は平均4.6回で、19年の4.4回から0.2回増。「1年間でキャンプ場に泊まった泊数」は平均6.1泊で、19年の5.8泊、18年の5.5泊、17年の5.0泊とこの4年で最多の数値となった。
好調な数字の一方で、20年の大きな特徴は「キャンプをした月」にハッキリと出た。例年、最初のピークとなるゴールデンウイークを含む4・5月が、緊急事態宣言による移動の自粛などで前年を大きく下回った。20年5月に至っては、前年から22.8ポイント減の22.4%と大幅な減少となった。
キャンプの同行者に関しては、流行語大賞にも入った「1人(ソロキャンプ)」は11.1%と19年の9.4%から1.7ポイント増となった。この影響もあり、「今回のキャンプの人数」は、平均で3.6人と19年の4.3人から0.7人のマイナスとなっている。
20年のキャンパーの特徴に対して、20代の増加と、ビギナー増加によるキャンプ経験年数の減少をあげた。20代が占める割合は10.2%と前年比2.7ポイント増となり、17年の6.3%、18年の6.6%、19年の7.5%と年々増加傾向にある。
□コロナ禍で稼働率微減、ソロキャンパーは増加
オートキャンプ場はコロナ禍により、4月85.0%、5月には97.7%が休業。再開後もテントサイトの間隔を空けるため、キャンプ場の41.8%がサイト数を減らすなど制限されたなかで営業を行ったという。そのため、11年から前年を上回っていたキャンプ場の稼働率は、19年の17.5%から1.2ポイント減の16.3%となった。
来場者傾向では、「ソロキャンパーが増えた」が65.6%(19年51.7%)と最も多く、次点で「初心者が増えた」が45.0%(同33.9%)。新規調査項目の「平日の利用者が増えた」は37.6%で、3番目に高かった。また、キャンプ場の料金は家族3~4人を想定した設定が多く、増加傾向のソロキャンパーには割高感がある。より多くのソロキャンパーを獲得するため、7.9%のキャンプ場でソロキャンパー割引が導入されていることもわかった。
□最多の事故は「焚火」、初心者の増加が一因
20年の「キャンプ場内事故」で最も多かったのは、「焚火」にまつわるもの。「オノやナタを使って薪割りをする際のケガ」や、「焚火による火傷」が最も多く報告されたと伝えた。焚火人気の高まりと、初心者の増加からこうした事故が多くなったとみられる。
キャンプ場から見たキャンパーの「マナー」では、「良くなってきた」が15.3%(19年18.1%)の2.8ポイント減少。これに対して、「悪くなった」は21.2%(同12.8%)の8.4ポイントの増加と、マナーが守られなくなっていると感じているキャンプ場が増えた。
□キャンプ用品は好調、秋冬も年間通じて購入
テントの輸入金額は、前年から9.5%増の129億7000万円となり、キャンプ用品の販売は好調だった。購入時期を見ると、20年は1~3月までは19年を上回り、緊急事態宣言が発令された4月は19年を下回ったものの、5月以降は前年を上回った。とくに夏から秋に掛けて前年を大きく上回り、ほぼ1年を通じて購入が活発だったようすが見て取れた。
そのほか、キャンプに使用する車のタイプは、「ミニバン(ワンボックスカー含む)」が最も多く31.5%。「ソロキャンプ」で使う車は、30.8%が「軽自動車」。1人分の荷物を車に積み込み、1人のキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」が増えているようすが表れているとみられる。