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「街のデッサン(240)」世界文化芸術大学院大学の構想 文化観光を日本がリードするために

2021年4月11日(日) 配信

司馬の著作に大きな刺激を貰った

 「離島経済新聞社」というNPO法人の情報によると日本には有人離島が418島存在するという。島に人間が住んでいる限り、何らかの文化が生きている。

 佐渡で「文化観光フォーラム」が開かれたが、佐渡の文化を知るために何冊かの本を手にした。以前から歴史家・松本健一の孤島に育まれる社会の特異性に焦点を当てた「孤島コンミューン論」などを読んでいたが、佐渡への強い想いを感じた。今回、原書房が歴史紀行シリーズの1冊として出している「佐渡」などが大いに参考になったが、私には司馬遼太郎の「街道を行く」シリーズの10巻目「羽州街道、佐渡のみち」が何か気になった。

 司馬遼太郎はいつものように、佐渡に渡る前にこの島の歴史をしっかり押さえている。佐渡に残っている奇書とされる「鼠草紙」まで目を通し、たらいに落ちて助けられた鼠を語り手として、江戸から送られた役人による佐渡奉行所の腐敗を正そうとした廉直な地役人・辻藤左衛門の謀反と自害の物語を紹介している。

 これは小比叡騒動として史実に残されているものであるが、孤島にコミューンを見た松本健一と共通の、島の持つ社会的革新性の一端を司馬も照らそうとしたのではないか。この話は歴史上の佐渡であるが、司馬は現代の佐渡についても大いに関心を持ち、1人の人間について語っている。

 その人間は、司馬がよく知っている人で、佐渡に移住して若者たちを集めて太鼓を教え始めたという。しかし、今回の佐渡の旅は火急のために、その知人に連絡することができなかった。私がふと思ったのは、その人物に会うのは少々気が重かったのでは。

 その人物の名を司馬は明かしているが、田耕(でんたがやす)という。調べてみると、早大を中退し、民俗学の宮本常一の影響を受け、日本中を放浪。分けても民俗文化の宝庫である佐渡に惹かれ、北前船の中継地でもあったこの島に環日本海文化の再興地を目指して「日本海大学」を構想した。佐渡の郷土芸能であった「鬼太鼓」をベースに演舞の担い手を育成し、世界を相手に演奏活動することで資金を集め、7年掛けて大学設立を果たしたあと、鬼太鼓座は解散する予定だったという。稀有壮大な発想をする田耕は性格も苛烈だった。立ち上げた鬼太鼓座は1981年に分裂し、事業は完成しなかった。

 私はこの構想を知ったとき、「沖縄科学技術大学院大学」のことが浮かんだ。佐渡に「世界文化芸術大学院大学」がピッタリ。文化大国日本に「文化・芸術研究」の世界拠点が必要だ。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

 

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