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【特集 No.491】若者よ、もっと海外へ 海旅の魅力をどうアピールする?

2018年4月28日(土) 配信

 “若者の旅行離れ”とくに“海外旅行離れ”が叫ばれて久しいが、なかなか解決の糸口は見えない。今の若者の旅行が促進されなければ、彼らが消費の主役世代となったときにレジャーの中で旅行が選ばれなくなる可能性もあり、産業にとっては大きなダメージとなる。また、インバウンドが好調に推移する一方で、インとアウトの差が広がり、バランスが崩れればいずれは成長に無理がくる。国や産業界も若者への海外旅行の消費アプローチや魅力発信などに本腰を入れる。議論の現状をまとめた。       【飯塚 小牧、平綿 裕一】

きっかけづくりを支援

 観光庁は若者の海外旅行を促進させるため、有識者会議を開いている。「若者のアウトバウンド活性化に関する検討会」は昨年12月に1回目、2回目を3月2日、3回目を3月29日に行った。5月以降に4回目を開いてとりまとめ案を提出する。その後とりまとめを公表する見通し。若者の海外旅行のきっかけづくりを進め、人材育成の観点の必要性などを提言する方向だ。 

 国の調査によると、直近3年以内で「海外旅行の経験あり」と答えた人は、約40%が次回の旅行を計画している。他方、経験無しはわずか4%にとどまり、二極化が進んでいる。ただ阻害要因を取り除くだけではなく、体系的な調査なども行い「国として戦略を立て、やっていく必要がある」(有識者)とする。

 「パスポートの申請や価格を優遇することで、若者の海外旅行が増えるといったエビデンスはない」(観光庁国際観光課)。旅行に出かけたきっかけは「家族や友人に誘われた」が最も多いという。誘い・誘われやすい環境づくりが全体の底上げにつながっていく。

 若くに海外経験を積むことで異文化に触れ、多様な価値観を得ることができる。「インバウンドだけでなく、アウトバウンドもしっかりと取り組むべき。相互理解を深めることが重要」(同)とする。
 観光業界からの期待も大きい。有識者からは「海外旅行を経験し、日本と海外の両面の良さを再認識することで観光業への就業意欲は高まっている」との声もあった。 

 若者の支援に行政や産業界(支援組織)、大学など産学官でも取り組む。留学の一歩手前の経験として、1、2週間の海外旅行を支援して留学への橋渡しを行う考え。海外の観光事情や文化視察、現地交流など多様なメニューを用意。日にちと学びのハードルを下げ、参加しやすいようにする。 

 座長の森下晶美(東洋大学国際観光学部国際観光学科教授)氏は「社会的なムーブメントを醸成するなかで、産業界へはビジネスの観点だけでなく、人材育成からの働きかけも必要になる」と述べた。

「共感」がキーワード 旅行会社の〝若者離れ〟指摘も

 日本旅行業協会(JATA)が2月26日に開いた経営フォーラムの4分科会で、「若者の心がつかめますか? ~若者の趣向から読み解く商品開発~」への参加者が最多となった。若者に響く商品づくりへの関心の高さがうかがえる。今回は20歳前後の海外旅行離れに焦点をあて、価値を見出してもらうためにはどうしたらいいかを模索。「共感」というキーワードを導き出した。

 モデレーターを務めたのは、東洋大学国際観光学部国際観光学科教授の森下晶美氏。パネリストはJTBワールドバケーションズ執行役員マーケット戦略部長兼商品開発室長兼MD・RM推進室長の縄手伸弘氏と市場調査などを行っている企業、リサーチ・アンド・ディベロプメントのビジネスプロデューサー堀好伸氏の2人。 

 冒頭、森下氏は「若者の海外旅行離れと言われ始めたのが2007年ごろだったが、いまだに解決していない」と言及。要因として「内向き志向」があげられてきたことに触れ、「毎日学生と接しているがあまりピンとこない。“ツボ”が違うのでは」と問題提起した。

 縄手氏は、現況のJTBの20―24歳への販売状況を説明。卒業旅行商品の「JTBガクタビ」と若年層の出国者数の相関関係は薄いことや、Web購入比率は2割強と突出して高くないこと、旅行先はグアムが減少し、アジアと中国で大半を占めることなどを紹介した。またここ数年……

※詳細は本紙1711号または5月1日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

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