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〈この登壇者に聞く(第1回)〉宿の価値を人と地域へ戻す

2026年9月4日
編集部

2026年9月4日(金) 配信

株式会社micado 代表取締役 CEO 田代 貴彦さん

 国内で唯一のホテルマーケティングに特化した「ホテルマーケティングカンファレンス2026」が、11月10―11日に開催される(※参加費無料)。このホテルの売上と集客に特化した学びの場に登壇者として参加するスピーカー3人に話を聞いた(1回/全3回掲載)。

 近年、宿泊施設は地域文化や宿のスタッフによる体験価値よりも、立地、建物、内装、ブランドイメージによって収益化する不動産商品として開発される傾向が強まっています。

 こうした施設は、開業直後や流行している間は高い宿泊単価を実現できても、新しさが失われれば価格競争に陥りやすく、長期的に価値を維持することができません。

 さらに、建物そのものが価値の中心になると、働く人は価値を生み出す存在ではなく、運営コストとして扱われます。その結果、賃金が上がらず、人材が育たず、サービスが均質化し、旅行者がその地域を訪れる意味まで失われていきます。

 宿泊施設のコモディティ化(均質化)が進み、どこへ行っても似た体験しか得られなくなれば、日本人が国内を旅行する理由は弱くなります。

 国内旅行需要が減少した場合、宿泊施設はその不足分をインバウンドによって補おうとします。しかし、インバウンドは為替、海外景気、航空便、外交関係、感染症など、宿泊事業者自身では制御できない要因によって大きく変動します。

 さらに、日本のインバウンド消費は世界各国から均等に生まれているわけではありません。訪日外国人旅行消費額の6割以上が、中国、台湾、米国、韓国、香港の上位5カ国・地域に集中しています。(2025年 国土交通省発表資料より)

 これは、特定の国や地域で景気後退、渡航制限、航空便の減少、外交関係の悪化などが起きた場合、その影響が一部の市場だけにとどまらず、日本の宿泊産業全体へ大きな打撃として広がることを意味します。

* * *

 近代技術の成長によってDXは単なる省人化を目的とした改善ではなく、宿で働く人が旅行者に提供できる価値を増幅させるための機会です。

 その土地の文化や歴史を伝え、働く人の知識や感性によって、旅行者に新しい発見を与えることで、旅行者は不動産価値から算出された利用料以上の金額を支払います。そして、働く人が価値を生み出す存在として評価され、賃金が上がり、地域文化も継承されます。

 建物が古くなっても、人と地域によって価値が積み重なり、何度でも訪れたくなる理由をつくることが重要であり、宿泊施設の価値を不動産から人と地域へ戻すことが、地方の宿泊産業を守り、日本の旅行の価値を未来へ残すことにつながります。

■プロフィール
株式会社micado
代表取締役CEO 田代 貴彦(たしろ・たかひこ) 氏
 19歳からマーケターとしてのキャリアをスタートし、2019年に株式会社micadoを創業。現在まで700社以上の購買行動を分析。

【公式】日本最大級のホテルマーケティングカンファレンス2026|HMC2026
全国のホテルから経営者、支配人、マーケター、総勢1000人以上が参加する学びの場
開催日:2026年11月10日(火)~11日(水)の2日間
会場:KABUTO ONE(東京都中央区日本橋兜町)、参加費:無料(宿泊施設の皆様)

ホテルマーケティングカンファレンス2026特設サイト

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