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JTB、訪日強化の新ビジョン策定 3つの改革とデータ基盤を構築

2025年9月4日
編集部:長谷川 貴人

2025年9月4日(木)配信

山北栄二郎社長

 JTB(山北栄二郎社長、東京都品川区)は9月1日(月)、訪日旅行市場のさらなる成長と持続可能な観光立国の実現を目指す新たな事業戦略「訪日インバウンドVISION2030」を発表した。訪日旅行事業を強化する「3つの改革」を柱に、それを支える基盤として新たなデータプラットフォームを構築。地域共創やデータの戦略的な利活用により、持続可能な観光地域づくりを目指す。

 山北社長は同日にJTB本社で事業戦略発表会を開き、訪日外国人旅行(インバウンド)客の適切な地方分散を行い、オーバーツーリズムの解消と、地方経済の活性化につなげることが重要である考えを示した。そのうえで「世界トップレベルの観光立国になるためには、旅行者向けのサービスだけではなく、地域自体をしっかり良くしていく流れをつくっていきたい」と力を込めた。

 地域やステークホルダーと共に「共創」と「創客」に取り組み、インバウンドに関する地域課題の解決とリピーターにつながる魅力的な体験を創出する。これら取り組みを通じて、訪日外国人旅行者受入数や観光収入の拡大をはかるとした。

「3つの改革と基盤」、地域課題の対応向上

3つの改革と基盤イメージ

 新たな戦略では、地方自治体や観光事業者などとの共創により、訪日旅行事業を強化する「3つの改革」と、それを支えるデータ基盤の構築、活用推進に取り組む。

 改革1つ目の「戦略的事業領域(6+1)の策定」では、「既存事業6領域」と「+1領域」に推進領域を明確化し、JTBグループ全体で横断的に同戦略を推進する。対象市場ごとに、既存事業を①BtoC②提携販売③旅行会社・ランドオペレーター④BtoBコーポレート⑤プロモーション⑥BtoG――の6つの領域に整備。新たに「+1領域」として、「訪日旅行者が『日本を訪問する目的』を創出できるサービスやコンテンツの開発・開拓・投資の実行」を設定し、社内の機能を超えて連携を強め、地域課題への対応力を高める。

 2つ目の「積極的な投資による、課題解決力の強化」では、JTBグループ全体で同戦略を推進する組織体制を整備し、国内での組織力と対応力を強化する。首都圏、関西圏に加え、エリアごとに訪日インバウンド推進個所を新たに設定し、地域に根差した取り組みを強化。これまで地域交流事業を推進してきた全国の拠点「47DMC」に、150人のインバウンド従事者を配置し、地方自治体や企業と共に訪日旅行市場に向けた課題に取り組み、持続的な経済の発展を目指していく。

 3つ目の「訪日旅行の目的となるサービス・コンテンツの創出」では、パートナーとの連携や積極的な投資による共同事業などに取り組む。一例で25年2月に提携したアソビシステムとは、ナイトタイムエコノミーの創出や「KAWAII」カルチャーの世界発信に向けた共同事業開発などを進めていると紹介した。

新プラットフォーム、26年度に本格運用へ

これら改革を支える基盤として、訪日インバウンドデータプラットフォーム「JTB Tourism HUB」を26年度内の本格運用を目指し、構築を進めていると発表した。地方自治体や観光事業者にはオペレーションの整備や行動・購買データを基にしたコンサルティングを、宿泊施設や飲食店、交通機関などには新たに流通チャネルを提供する。このほか、国内外の提携販売チャネルには、新たなソリューションを提供する計画としている。

 同プラットフォームの活用により、各地域のインバウンド事業の推進力向上につなげ、JTBが保有するデータと公的な外部データを掛け合わせ分析することで、インバウンド市場における新たなターゲット開拓なども支援する方針を示した。

 訪日インバウンドビジネス担当の山田仁二常務は、それぞれの海外市場と日本の地域ごとに異なる課題やニーズを相互で理解することが重要と強調。「発地と着地を丁寧につなぎ、グローバルレベルでの課題解決を実現したい」と語った。

  今回の事業戦略を通じて、2030年のインバウンド事業取扱額を25年度比で約2.7倍、売上総利益は約2.9倍にする目標を設定した。

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