「国立アイヌ民族博物館」新館長に野本正博氏 「新たな価値観を築く場所へ」
2025年7月2日(水) 配信

アイヌ民族文化財団(常本照樹理事長、北海道札幌市)が運営する「国立アイヌ民族博物館」(北海道・白老町)は7月1日付で、新館長に民族共生象徴空間(ウポポイ)運営本部副本部長の野本正博氏が就任した。
同館の構想から携わり、運営を指揮してきた佐々木史郎氏は名誉館長となった。
野本新館長は就任にあたり、「5年前のウポポイ開業は、コロナ禍による自粛ムードのなかでの静かなスタートでした。園内に建ち並ぶ国立アイヌ民族博物館などの各施設や、伝統的コタンの茅葺きのチセは、開業当時の真新しさが落ち着き、今はこの土地の風景に少しずつ馴染んできたようです。次の10年を見据え、新たな価値観を築く場所として活動して参ります」とコメントしている。
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野本 正博氏(のもと・まさひろ) 1963年3月生まれ、白老町出身。62歳。1985年からポロトコタン(財団法人アイヌ民族博物館)に勤務。事業部学芸課長を経て、2012年に常務理事兼館長に就任。ポロトコタンの旧アイヌ民族博物館は地元白老のアイヌが設立・運営した博物館で、アイヌ文化の伝承と人材育成の基盤を作った。
12年から国立アイヌ民族博物館の構想づくりに委員として携わり、18年4月から公益財団法人アイヌ民族文化財団民族共生象徴空間運営本部文化振興・体験交流部長、23年6月から同財団理事兼民族共生象徴空間運営本部副本部長。
国内外のアイヌ文化展の企画・制作に携わり、自ら展示作品を制作。スミソニアン国立自然史博物館特別展「AINU:Spirit of Northern People」(1999 年)の展示制作部門に参加。現在も同館の北太平洋諸民族の文化と交流史の参考資料として、アイヌの交易船「イタオマチㇷ゚(板綴舟)」が展示されている。