地方の魅力を海外の目線で提案 英・訪日戦略コンペの優勝チームが来日
2026年2月16日(月) 配信

イギリス・ロンドン大学が運営するMBAスクール、ロンドンビジネススクール(LBS)の日本人生徒を中心とした組織「ジャパンクラブ」は昨年、「ビジット・ジャパン・マーケティング戦略コンペティション」を開催した。今回で3回目となるコンペで、日本の地方が持つ潜在的な魅力の発掘・発信を海外の目線で提案してもらうのが狙い。11月の最終選考で優勝に輝いたチームがこのほど来日し、今回のテーマとなった長野県の阿部守一知事を表敬訪問したほか、観光庁を訪れ、地域振興部の長﨑敏志部長らと意見を交わした。
同コンペはANA総合研究所(矢澤潤子社長、東京都港区)がメインスポンサーとして参画しており、ANAロンドン支店と連携して企画・運営を支援している。今年度はANA総研が事務局を担う、「北前船交流拡大機構」主催の「第36回北前船フォーラム」が長野県松本市開催だったことから、長野県への訪日観光促進をテーマに据えた。前回に続き、オックスフォードとケンブリッジ大学のチームも参加し、24チーム・96人(1チーム4人)が競い合った。
最終選考には7チームが残り、LBS学生チームの1つが優勝した。同チームは「Nagano: Japan’s Hidden Fourth Corner(長野:ガイドブックが見逃した日本の第4の奥座敷)」と題し、長野県が東京や京都、大阪に次ぐ第4の訪日観光の柱になるポテンシャルがあると定義。「精神・工芸・自然」の3つの視点で提案したことが、これまでのガイドブックにはない斬新な視点だと評価された。
コンペで得られた知見は地域への還元を目指していることから、今回、優勝チームはANA総研のアテンドで実際に現地を訪れ、提案の実効性を高めるためのフィールドワークを行った。
□長野県庁や観光庁でプレゼン

彼らは2月9、10日と長野県松本市や長野市などを訪問し、伝統工芸品の工場や歴史ある酒蔵、味噌蔵などを視察。その後の阿部知事との意見交換では、過去から伝承されている技術の素晴らしさと同時に後継者不足の課題に触れたことで「長野県の伝統的工芸品などをつなげる観光ルートを構築することにより、訪問者数を増やすことで打開策が見いだせるかもしれない」など意見を述べた。これらの提案に対し、阿部知事は「具体的な政策につなげる参考にさせていただきたい」とコメントした。
2月12日には観光庁を訪れ、チームが考える長野への訪日促進案を説明した。課題と現状認識については、日本への訪日観光客数が急増するなか、長野県への訪問は3%未満にとどまっていることに対し、認知度の欠如やデジタル・環境の障壁、言語・心理的障壁を挙げた。
一方、「本物の自然」「田舎体験」を求めている訪日客も多いことから、ターゲットは既にゴールデンルートを訪れていて自然体験を求める層、歴史文化体験を求める意識の高い層などに設定。上記の課題解決のため、予約から体験終了までを一括管理できるバイリンガル対応のオンラインプラットフォーム「クラフト・パス」の導入を提案したほか、マーケティング施策はインフルエンサーの活用やターゲット広告が有効とした。

実際に現地を訪れた彼らに、長﨑部長がアクセス面など課題について尋ねたところ、観光地が点在しており、公共交通機関の連携が取れていないため、移動が困難だったと指摘。メンバーは「新たなインフラを作るのではなく、既存の交通網の上に統合されたサービスを展開するのがいいのでは」と述べた。具体的には、箱根フリーパスのような乗り放題チケットや、プライベートガイドによる送迎付きツアーなどを提示した。ただ、システムの構築には時間がかかることから、動画やPDFなどで「セルフサーブガイド」を作成・配布することから始めることをアドバイス。「交通案内や体験の手順を英語で分かりやすく伝えるだけで、観光客の不安は解消され集客効果が見込める」と語った。

その後、ANA本社でグループ社員を前にプレゼンを行い、社員からは「長野の訪日ターゲットとなる国はどこか」など多数の質問が挙がった。メンバーは「高額消費、長期滞在の観点でヨーロッパ、オーストラリアが良いと考える。円安が訪日観光にプラス効果を生み、日本の魅力を知るいい機会である」と答えるなど、活発に意見を交わした。






