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公への働き掛けと自助努力を両輪で JATAが25年度総会開く 

2025年6月19日
編集部:飯塚 小牧

2025年6月19日(木) 配信

JATA第69回定時総会のようす

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長、1171会員)は6月18日(水)、東京都内で2025年度の通常総会を開いた。髙橋会長は今後の方針について、「社会的意義を伴った制度改正や支援策を国や地方自治体へ積極的に働きかけていくこと、自助努力で創意工夫を凝らし、自ら市場を動かすこと」の大きく2つを挙げ、「これを車の両輪として進めることが重要だ」と力を込めた。

髙橋広行会長

 髙橋会長は「旅行業界は“活況”といえる」と国内、訪日旅行の好調さに触れる一方、「毎年、この場で海外旅行の完全復活をと申し上げてきたが、実現にいたらず忸怩たる思い。外的要因は変えられるものではないが、我われが成すべきこと、成し得ることがある」と強調した。

 国への働きかけについては、現在政府が進める第5次の観光立国推進基本計画に合わせ、将来にわたる課題や解決策をまとめ、このほど提言書として観光庁や外務省などへ提出したと報告。海外旅行については、日本人の海外旅行者数拡大による、均衡のとれた双方向交流を主軸に掲げている。具体的にはパスポートの申請手数料の抜本的な見直しや高校卒業までの国際交流の必須化などを盛り込んだ。「日本人のパスポート保有率はコロナ禍を経て約17%となっており、先進国でも最低水準。パスポートを持つことが海外旅行への第一歩となる」(高橋会長)。

 自助努力の取り組みとしては、JATA海外旅行拡大プロジェクト「もっと!海外へ」を挙げ、アーティストの岩田剛典さんをアンバサダーに迎えたことを紹介。「岩田さん出演のCM動画も撮影した。会員各社においては、店頭や説明会、商品造成に紐づけて積極的な活用で販売促進に役立ててほしい」と呼び掛けた。

 国内旅行は平日旅行促進による旅行分散化と総需要の拡大を目指すうえで、「ラーケーション」に注目する。髙橋会長は「現在は愛知と茨城、熊本、山口、徳島、沖縄が導入しており、徐々に広がりを見せている」と言及。このほど、JATAと全国旅行業協会(ANTA)、日本観光振興協会が共同で47都道府県の知事に対し、ラーケーションの積極的な推進を求める要望書を提出したという。

 訪日旅行に関しては、「白バス、白タクなど違法な行為、宿泊施設から聞く客室の転売や空売りなど不正行為が目立つ」とし、市場環境の健全化を訴える。高付加価値化の鍵を握るガイドの育成や日本の旅行会社が市場に参入しやすくなる支援を求めている。髙橋会長は「今後ますます増える訪日旅行に対し、我われは魅力的な商品を造成し、地方に分散して総客していくのが役目だと思っている」と述べた。

 最後に髙橋会長は「我われの事業活動の前提はコンプライアンス。日々のコンプライアンスの積み重ねが社会から信頼され、応援される企業と業界を作り上げる。企業トップの皆さんが先頭に立ってコンプライアンスを徹底いただくことを強くお願いする」と訴えた。

 今年度の事業骨子は①会員会社の経営強化②適正な経営③協会の安定運営④人材戦略と労働環境改善⑤商環境の変化への対応⑥DX化と協調共創による生産性向上⑦情報発信、並びに渉外機能強化⑧持続可能な観光の実現⑨高付加価値化 旅行の質の向上――の8つを掲げる。

 来賓あいさつに立った観光庁の秡川直也長官は「観光分野は好調。インバウンド客数は1~5月までの推計が昨年から25%増となり、皮算用だと11月に4000万人を突破するのでは」と述べる一方、国内旅行の重要性と喫緊の課題である海外旅行の需要拡大にも触れた。「26年からの第5次観光立国基本計画を策定しているが、次の5年間で何をしていけばいいのか議論していく。JATAからいただいた提言も盛り込み、しっかり計画を作って課題に取り組んでいきたい。観光の調子はいいが、(ステージを)もう1段2段上げていきたい」と意気込んだ。

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