【サービス連合・櫻田あすか会長インタビュー】最高の6%賃上げ要求 誰もが憧れる産業目指す
2025年2月28日(金)配信
深刻化する人手不足を背景に、サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は昨年の春闘で最高となる賃金改善を実現した。一方、他産業も賃上げを行い、賃金格差は拡大した。こうしたなか、産業間格差を埋めようと同連合は2025春闘で最高となる6%の賃金改善を要求。労働時間の短縮やジェンダー平等など職場環境の改善も求め、総合的な労働条件の改善をはかり、誰もが働きたい産業を目指す。今年の春闘の詳しい方針を櫻田あすか会長に聞いた。
――観光業界の現状をどのように捉えていますか。
観光業は長年、低賃金などによる採用難で慢性的な人手不足状態となっていました。これが長時間労働につながり、スタッフが業界から離れる悪循環に陥っていました。このため、賃金や労働環境を改善させていくことを喫緊の課題として挙げ、春闘や秋闘などで企業と交渉してきました。
こうしたなか、2024春闘では最高の要求水準となる5%の賃上げを目標に掲げました。深刻化した人手不足や訪日需要の急速な回復によって、労使で人への投資に向けた共通認識を持つことができたため、結成以来最も高い5.28%の賃金改善を実現しました。
一方で、多くの産業が5%以上賃金を向上させました。これにより、他産業との格差はさらに広がりました。
――今年の春闘における賃金改善の方針を教えてください。
春闘では、昨年の賃上げの流れの勢いを緩めることなく、人手不足を背景とした人材確保競争を勝ち抜くために、産業間の賃金格差を改善していきます。
現在、物やサービスの製造・販売に必要なコストの上昇で、さまざまな企業が商品の価格を上げています。観光業については、付加価値の多くが、人によって生み出されています。とくに、ホスピタリティは人の内面から提供されており、ほかの産業と比べて、低い賃金や長時間労働などが常態化すれば、スタッフは疲弊し、退職する可能性もあります。このため、労働集約型である観光業は今後、販売価格に賃上げ分も必要経費として反映し、賃金の産業間格差を埋めるべきと考えます。
人への投資はモチベーションを上げ、仕事のパフォーマンスも高まります。さらに、賃金の向上によって、誰もが働きたい産業になることで、これまで以上に優秀な人材も獲得できます。
これによって、企業の業績が向上し、さらなる賃上げを実現できる好循環を生みだせるよう、今年の春闘で取り組んでいきます。
――賃上げが難しいといわれる中小や地方の会社に対する交渉の進め方は。