「国内9割まで回復」、消費額25兆円と過去最高(秡川観光庁長官)
2025年2月21日(金) 配信

観光庁の秡川直也長官は2月19日(水)に開いた会見で、旅行・観光消費動向調査の速報値によると2024年の日本人の国内旅行者数は前年比8.2%増の5億3925万人で、コロナ前19年比も9割程度まで回復したと報告した。1人1回当たりの旅行単価は同5.8%増の4万6579円で、19年比は24.7%増。消費額は25兆1175億円と過去最高を記録した。
25年1月の訪日外国人旅行者数では、前年同月比40.6%増の378万1200人と単月として過去最高を更新。受け止めを問われた秡川長官は「昨年11、12月は例年に比べて数字が増えてきていたので年明けはどうなるか期待と不安があったが、思っていたより良い数字だった」と話した。
増加の要因については「インバウンドの約8割を占めるアジアの国が前年1月と比べて40%以上、欧米諸国でも30%以上増えている。引き続き日本に対する需要があるということと、航空便も回復しているので来やすい状況」と説明した。
春節の動向について「アジア諸国で春節に合わせて需要が高まった」と答えた。中国現地の旅行会社によると、昨年の春節期間に比べ全体的に日本旅行商品の売上が好調に推移。主要都市に地方を周遊するプランを加えたツアーが好評で、とくに温泉など日本特有のコンテンツを含む商品が好調だったという。
続けて、日系航空会社から「春節期間の日中間の搭乗率は、それ以外の期間より高かった」との情報が上がったと報告。中国の旅行会社による市場調査でも、中国国外の海外旅行先で日本が1位になったと述べた。
訪日客が好調に伸びる一方、一部地域の混雑やマナー違反によるオーバーツーリズムに対して各地域で警備強化や駐車規制、観光マナー啓発など取り組みが進められた。これら対策や観光振興に「観光地域づくりの役割を担うDMOが中心となり、大きな役割を果たしてもらいたい」と期待感を示し、観光庁として引き続き支援するとした。
1月27日(月)、旅行会社のHISがコロナ禍に受給した雇用調整助成金の不適正受給と、連結子会社の不正受給により自主返還すると発表。秡川長官は「非常に残念」と述べ、同社に再度徹底を求め指導したと明かした。