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〈観光最前線〉三橋節子作「三井の晩鐘」

2025年2月2日
営業部:鈴木 克範

2025年2月2日(日) 配信

近江八景の1つ「三井の晩鐘」

 35歳の若さで生涯を終えた日本画家・三橋節子さんの没後50年回顧展が、5月25日まで、滋賀県大津市の三橋節子美術館で開かれている。

 がんで利き腕を失い、余命わずかななか、絵筆を左手に持ち替え、近江の昔話を題材に描いた三橋さん。その作品群は、誤解を恐れずに言うと怖い印象。と同時に、静かに人を惹きつけるものがある。

 術後半年で完成させた100号の大作「三井の晩鐘」は、龍神の娘が子と別れ、びわ湖へ帰る姿に、幼子を残して逝かねばならない自身を重ねて描いたとされる。知るほどに、深みが増す絵だ。

 美術館からも近い三井寺の梵鐘は、音の美しさから「天下の三名鐘」に数えられる。冥加料800円で、撞くことができるので、三橋さんも耳にしたであろう鐘の音もぜひ。

【鈴木 克範】

【本紙1950号または2月6日(木)以降日経テレコン21でもお読みいただけます。】

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