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電動船が本格運航 4月1日定期運航開始 島根・松江の堀川遊覧船

2024年4月2日
関西支社:土橋 孝秀

2024年4月2日(火)配信

(左から)ホンダの福田蔵磨部長、上定昭仁市長、能海広明理事長

 島根県松江市の松江城の堀で「堀川遊覧船」を運航する同市観光振興公社(能海広明理事長)は4月1日(月)、電動推進機を搭載した電動遊覧船2隻の定期運航を始めた。

 毎日3―6便運航する。運航時間は毎週、堀川遊覧船のホームページで発表する。乗船料金(1日乗船券)は、ガソリンエンジンの船外機を使用する通常船と同じ、大人1600円、中学・高校生1300円、小学生800円。定期運航のほか、団体向けの予約便や船内で飲食などを行う企画船としても活用する。

 同船は松江城の堀の1週約3・7㌔を約50分かけてめぐる。国宝に指定される松江城の天守閣や武家屋敷が並ぶ町並みの風情が味わえる松江観光の人気メニューだ。本紙主催の「プロが選ぶ水上観光船30選」では創設した2018年から7年連続でトップ10入りし、今年は過去最高位の4位を獲得している。

 電動遊覧船の導入をめぐっては、環境省の脱炭素先行地域に選定され、「カーボンニュートラル観光」を掲げる同市が、電動推進機のコンセプトモデルを2021年11月に発表した本田技研工業(三部敏宏社長、東京都港区、以下ホンダ)に声をかけ、23年8月に同船を使った実証事業がスタート。周回運航を繰り返し動力性能や操作性、バッテリーの持ち具合などを検証してきた。

 電動推進機は低騒音、低振動のため運航時、船頭さんがガイドする声や水鳥の鳴き声、水をかく音などがクリアに聞こえる。電動推進機は二酸化炭素排出ゼロだが、バッテリー充電や冬期の豆炭こたつ運用にかかる年間二酸化炭素排出については、中国電力(広島県広島市)が松江市内なで創出したJブルークレジットを購入し、実質ゼロ(相殺)とする。

 定期運航開始を前にした3月13日(水)、ふれあい広場乗船場で上定昭仁市長や能海理事長、ホンダマリン事業本部の福田蔵磨部長、中国電力の天野浩一常務執行役員島根支社長らが出席し、引渡式を開催した。

 上定市長は「電動遊覧船の定期運航開始は、松江市の魅力を発信していくうえでシンボリックなことだ。松江城が築城された1600年代当時の手漕ぎ船の趣が味わえ、インバウンド誘客の魅力的なコンテンツとなる。カーボンニュートラル観光、エコツーリズムなど欧米の方が感心を寄せる観光スタイルを我われが発信できるようになる」と話した。

 ホンダの福田部長は世界で唯一実証事業を行う場所を同市に選んだ点について、「CO2排出ゼロに向けた思想が一致していることに加えて、堀川遊覧船は1日8時間運航、そして寒い冬も運航することから事業検証するうえで効率が良いと判断した」と述べた。その上で、「電動遊覧船のメリットは圧倒的な静粛性と操船のしやすさだ。今後欧州での市場拡大も視野に入れるが、まずは松江でしっかり性能を確認することが重要だ」と強調した。

 引渡式終了後、電動遊覧船を試乗した。「乗り比べると一番よく分かる」(同公社)ということで、まずはガソリンエンジンの船外機を使用する通常船で遊覧開始。当然、エンジン音はするが、それほど大きな音には感じない。思いのほか静かという印象さえあったが、電動遊覧船に乗り換えて驚いた。

 浮き桟橋から出発すると、スーと囁くような音とともに水面を進んでいく。すぐに、振動を感じないことに気づいた。通常船はあぐらをかいて座っていると、お尻にポツポツと振動を感じたが、電動遊覧船はそれがない。音もさることながら、この振動のなさが快適な乗船につながると感じた。

 そして、船頭さんの声がよく聞こえる。通常船はマイクを使用しているが、電動遊覧船は生の声がよく通る。これにより、船頭さんと乗船客のコミュニケーションが活発になるのだという。

 電動推進機の開発責任者であるホンダパワープロダクツ事業統括部の高橋能大チーフエンジニアに話しを聞くと、「開発過程で、モーター駆動の静粛性が高いため、ギア音が気になるようになった。通常エンジンではかき消されていた部分で、ここの処理が苦労した」と振り返る。

 同公社によると現在50人の船頭さんが在籍するが、電動遊覧船を操船できるのは6人。操船が難しいというわけではないが、通常船と操作が異なるため一定の訓練が必要なのだという。

 また、現在はこれまでの船体に電動推進機を搭載しているが、将来的には専用船の造船も見据えているという。

 「もはや別の乗り物!」。環境に配慮したカーボンニュートラル観光の推進は、松江観光を発信する有力な一手になると感じたのだった。

電動遊覧船を操船する船頭さん

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