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サービス連合が第1回ジェンダー平等フォーラム 加盟組合に取り組み浸透を

2024年3月8日
編集部:飯塚 小牧

2024年3月8日(金) 配信

櫻田あすか会長

 サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合、櫻田あすか会長)は3月6日(水)、東京都内で第1回となる「ジェンダー平等フォーラム」を開いた。男女平等参画計画(定着)の達成と中長期的な目標の達成に向け、加盟組合や組合員への浸透をはかるため、リアルとオンライン参加を用意し、広く門戸を開いた。

 櫻田会長は「ジェンダー平等は多様性を認める包摂的社会には欠かすことができない取り組み」とし、サービス連合では発足以来、あらゆる分野での女性参画推進を基本理念に活動してきたことを報告した。

 現在は男女平等参画計画をもとに、2021年から24年を定着期として位置付け、取り組みの意義が加盟組合に浸透定着している状態を目指して活動している。「今回は我われの産業として初めてのフォーラム。ジェンダー平等運動へ機運を生み出すとともに、取り組みを着実に加盟組合に浸透させることを目的に開催する。これを機により一層取り組みを推進していきたい」と意気込んだ。

基調講演「なぜジェンダー平等が組織の成長に必要なのか」

羽生祥子氏による基調講演のようす

 フォーラムでは基調講演として、日経DUAL創刊編集長、日経xwoman創刊編集長などの経歴を持ち、内閣府の有識者委員のメンバーなども務める羽生プロ社長の羽生祥子氏が登壇した。「なぜジェンダー平等が組織の成長に必要なのか」をテーマに語った羽生氏は、新たな問題が次々に発生する現代では、「色々な属性が入った方が戦いやすい」と企業経営には多様な人材が必要だと訴えた。

 多様性には「性別」や「年齢」「国籍」「LGBTQ」などがあるが、日本ではとくに遅れているのが「性別」だと言及。「日本の企業はLGBTQの取り組みを推進し、外国人人材も求めているのに、最も多く持っているリソースの女性推進が遅れている」と現状を示した。

 日本ではいまだに高度成長期の歴史的背景による男女の役割分担意識が根強くあり、ジェンダーの議論は度々“炎上”してしまう。企業の経営層からは「女性の役員登用で儲かるのか」と単刀直入に聞かれることも多いというが、「その質問がくること自体がアンバランス。逆に『男性役員継続で増益するのか』ということになる」と指摘。今や投資家は女性役員の不在を大きな経営リスクと捉えており、ジェンダー推進が企業経営に直結する事態となっている事例なども紹介した。

 羽生氏は経済協力開発機構(OECD)のデータから日本のペイギャップが大きい例として、生涯賃金と教育投資差額の男女差が国際比較で異常値となっていることを示し、「女性の活躍はマクロでみるとGDPインパクトが強い」と述べた。賃金格差に加え、非正規雇用女性の是正なども重要で、「非正規の女性を経営上の便利な調整弁としないこと」と強調したうえで、当事者の女性側にも男性と同様の責任や業務体験を経験してもらい、育成することが不可欠とした。

 若い世代ほど私生活とのバランスを重視する人が多く、「男性も必ずしも骨太の働き方を求めていない」とし、「自分たちだけの成功体験を尊重しない。ロールモデルは劣化している。管理職の評価も進化させなければならない」と管理職の多様性をはかり、イノベーションが起こる環境づくりを促すことが企業にとって重要だとした。

 また、サービス産業に向けては「すでに多くの女性が働いており、恵まれている産業。他産業はそもそも就職の段階で女性に選んでもらえず、各企業は手弁当で学校で講演を行うなど頑張っている。現場にすでに女性がいるなら、推進・育成をやるかやらないかだ」と語気を強めた。

政労使によるトークセッション

トークセッションのようす

 トークセッションは「ジェンダー平等の着実な推進にむけて真に必要なものとは何か~政労使の課題と今後について~」をテーマに、政府と労働組合、民間の3者が登壇して語り合った。

 内閣府男女共同参画局推進課企画官の中山奈津美氏は政府が掲げる、男女共同参画基本計画に基づく、女性活躍・男女共同参画の重点方針「女性版骨太の方針」などを説明した。

 また、日本労働組合総連合会(連合)総合政策推進局総合局長の小原成朗氏は、連合が進めている「ジェンダー平等推進計画」を紹介したうえで、「組合における男女平等は目的であると同時に持続可能な社会をつくるための手段でもある」と言及。現在の各組合員の多数である年配男性は働き方の面などで若い世代や女性が望む経験をしてきていないため、「我われだけの知恵ではだめ。今後女性だけではなく若い人が組合に入らなくなってしまう」と危機感を募らせた。

 民間企業からは、日本旅行業協会関東支部LADYJATA委員会委員長で日本旅行の山本綾子氏が登壇した。

 サービス連合の櫻田会長によると、旅行業は女性の労働者が多く、組合員構成も男女ほぼ半数という。山本氏は「旅行業で働く女性は多いが、意思決定権には女性がいない」と問題提起。旅行業における女性管理職の割合としてLADYJATAの調査によると、課長級の女性割合は23・0%と男性に比べ低いことを紹介した。

 このうえで、女性活躍には「経営層・社員・女性自身」の三位一体となった取り組みが重要で、キャリアアップの障壁としては「女性自身が躊躇してしまう。女性のマインドも大きい」と指摘。要因の1つとして、現実には女性は家庭を持つと家事や育児の負担割合が多いこともあり、男性が育児などに参画できるような働き方改革が必要だと説いた。自身の子育て経験なども踏まえたうえで、「幼少期からの教育も重要。家庭や会社で男女区別なく受容し、育てていくことが大切だ」と持論を展開した。

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