test

「観光革命」地球規模の構造的変化(265) インドの著しい台頭

2023年12月3日(日) 配信

 もうすぐ波乱の2023年が終わりを迎える。この1年間を国際面で振り返ってみると、インドの著しい台頭が印象的であった。

 今年4月にインドは中国を抜いて世界一の人口大国になったと報道され、世界的に注目された。8月にはインドの無人探査機(チャンドラヤーン3号)が月面着陸に成功し、米国と旧ソ連、中国に続いて4カ国目となった。

 とくに月の南極への着陸は世界初で話題になり、水の氷の探査によって将来的に人類の月での生活の可能性を探った点が高く評価された。9月にニューデリーで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議でインドは議長国を務め、グローバルサウスの盟主としての存在感を世界に示した。

 今年はグローバルサウス(アジア、アフリカ、中南米、オセアニアの途上国)の存在が注目された。ロシアによるウクライナ侵攻に対して先進7カ国(G7)はロシア軍の即時撤退を求めているが、グローバルサウスの多くの国々は中立的立場を取り続けている。もはやG7が世界を牛耳る時代ではなく、米国の影響力低下に伴うG0(リーダーなき世界)が現実化している。

 インドはグローバルサウスの盟主だけでなく、BRICS(ブラジルと露、印、中国、南アフリカ)の一員としてロシアや中国と連携する一方で、米国主導の「日米豪印戦略対話(Quad)」の一員として合同軍事演習に参加している。

 人口14億人超のインドは貧困問題を抱えているが経済的に急成長しており、経済大国への道を歩んでいる。世界銀行の新総裁にインド人が就任すると共に、欧米の優良企業のトップにインド人が相次いで就任している。

 旅行分野では、今年2月にインド財閥タタ・グループ傘下の航空会社エア・インディアがボーイング社とエアバス社に対して航空機計470機を発注して注目を浴びた。契約総額は約800億㌦(約10兆6千億円)、民間航空史上で最大規模だ。インドは経済成長に伴って世界最速ペースで航空旅行市場が拡大している。とはいえ、パイロットの不足や貧弱な国内インフラ施設、外国航空会社との厳しい競争などのハンディキャップもある。

 世界一の人口大国となったインドは日本のインバウンド観光に大きなインパクトを与えることが必至なので、周到な対応が必要だ。

 

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

いいね・フォローして最新記事をチェック

コメント受付中
この記事への意見や感想をどうぞ!

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。