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「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(218)」 バイオマス発電と産業観光(山形県新庄市)

2023年3月27日(月) 配信

東北各地商工会議所職員によるワークショップ

 

 地域には、一見、観光とは無縁と思われる多様な資源がある。今回訪ねた山形県新庄市は、豊かな森林資源を育みながら、これらを生かした木質バイオマス発電と、その視察や体験を産業観光プログラムとして展開するユニークな取り組みを行っている。

 新庄市は、四方を山で囲まれた新庄盆地の中心に位置し、北は秋田県湯沢市に接する。古くから交通の要衝として栄え、西南端を流れる最上川の舟運で栄えた。かつては新庄藩の城下町として栄えたが、1871(明治4)年に山形県に参入されてからは、最上地方の政治・経済の中心都市として発展した。

 観光面では、最上川右岸の丘陵地に新庄温泉があり、また江戸時代以来、東北一といわれる約20台の山車が繰り出す新庄まつり(ユネスコ無形文化遺産)などがあるが、他には大きな集客資源は少ない。

 今回の会議・視察は東北ブロック6県の商工会議所、観光担当の若手・中堅職員の研修会であった。新庄商工会議所の佐藤亜希子専務理事の活動報告、もがみバイオマス発電の鈴木洋一専務理事からの事業説明などを受け、現地を視察した。

 もがみ木質バイオマス発電は、柿崎力治朗新庄商工会議所会頭が経営する企業で、この活動を通じて、地域への多様な経済波及効果とともに、教育旅行(産業観光)を通じて、地域の新たな観光交流を促そうという事業である。その木質バイオマス発電は、2017(平成29)年から森林保全のための育種(植林)事業を開始するとともに、伐採した木材から、良質なA・B材を地域製材所に、また小径丸太や梢端など、放置していた未利用のC・D材をチップ化し、発電用燃料としている。

産業観光を受け入れるもがみバイオマス発電所

 木を育てることは森の水を育み、国土保全やCO²吸収など、地球温暖化対策に効果がある。この効果は日本全体で約70兆円超の経済効果があるといわれる(日本学術会議)。

 一方、バイオマス発電は、18(平成30)年末から操業、1日200~230㌧のC・D材をチップ化して燃焼し、年間330日稼働で、6800㌔㍗アワーの発電を行っている。これは一般家庭約1万2000~1万3000世帯のエネルギー消費量に相当するという。

 当日は、木質チップの製造工場と巨大なボイラー(流動床式)、ここで発生する蒸気によるタービン、発電電力の送電設備などを見せていただいた。

 この工場では、既に教育旅行として地元の中・高校生の受け入れをしているが、今後はインバウンド観光客を含む、一般の産業観光客を受け入れていく意向である。

 観光は「すそ野の広い産業」とよく言われるが、各地の商工会議所には製造業や商業など幅広い産業・事業所が会員になっている。これら多様な産業・事業所の連携が可能になれば、新たな観光を創造する大きな可能性が広がるものと思われる。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)

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