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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(133)違和感を持ったお客様をそのまま帰してはいけない 素早くリカバリーを

2022年2月4日(金) 配信

 

 東京にあるとても有名なレストランを、久しぶりに訪ねました。3時間を超える食事はどの料理も美味しく、フロアースタッフの動きも自信に満ちあふれ、テーブルの間を流れるように歩く姿に、カッコ良さを感じました。各テーブルには笑顔があふれていました。

 十分に満足しての帰り際、コートを預けたレセプションに立ち寄りました。数人のスタッフがコートの手渡しに忙しく、しばらくその場で順番を待ちましたが、一向に私に声が掛かりません。

 ふと気付くとレセプションカウンター横のデスクに、私のコートが置いてありました。それを自分で手に取って羽織り、お願いしておいた土産の紙袋もあったので「これは私のものですか」とスタッフに尋ねると「違います」と否定されました。

 「では、私が預けたものをお願いします」と伝えると、しばらく台帳を調べた後に、バツの悪そうな顔で先ほどの紙袋を持って「申し訳ありませんでした」と差し出してきたのです。

 せっかく楽しい時間が過ごせたのに、この出来事でとても残念な想いとなってしまい、寂しい気持ちでレストランを後にしました。そしてタクシー乗り場まで無言の案内を受け、ホテルに戻りました。

 最も大切なことは、お客様のようすに何か違和感を持ったら、そのまま帰してはいけない、ということです。何に対して不快な想いをしているのか分からなければ、同様のことがまた現場で起きてしまいます。

 私が残念に思ったのは、スタッフが土産品を間違えたことではなく、10分以上も待たされ、私に声すら掛けてもらえなかったことです。さらに、その後に連絡もなく、終わったことになってしまったことです。

 こうしたお客様に気付かなければ、日々の仕事を一生懸命に実行しても、リピーターを創り出すことはできないし、企業文化も育ちません。

 失敗は誰にでもありますが、大事なのはその瞬間のスピーディな対応です。

 あるホテルで、入口で違和感を持ってチェックイン手続きしていると、そのようすの報告を受けた上司がやってきて、「ぜひ私にお部屋までご案内させて下さい」と申し出ました。

 部屋に着くと、「先ほどは入口で不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。お話を伺わせて下さい」と、完璧な対応をされて感動したことがありました。

 時には、自分でリカバリーできない問題もあります。だからこそチームワークが必要で、それを強くするには、問題を見過ごさず、感じた違和感を直ぐに報告してシェアする。そこにお客様への想いが育つのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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