2026年5月21日(木) 配信

観光庁の村田茂樹長官は5月20日(水)に開いた定例会見で、旅行会社と観光事業者間でのBtoB決済のキャッシュレス化の遅れについての問いに、現状の認識と今後の対応を報告した。訪日外国人旅行者の地方誘客や消費拡大に向けてキャッシュレス決済を推進する一方、観光業界としては「旅行会社と観光事業者間の支払いに現金精算が求められ、キャッシュレス化が遅れているという声がある」との認識を示した。
観光産業のBtoB決済のキャッシュレス化を推進するため、昨年10月に旅行会社や観光事業者などが「観光産業キャッシュレス推進協議会」を設立したと紹介。関連する諸課題の検討のほか、同協議会に添乗員問題対策分科会も設立し、観光業界のオペレーションの効率化などに取り組み、観光業界の生産性向上や添乗員の業務負担軽減などに向けて議論していくと聞き取りを報告した。
観光庁としては、同協議会の取り組みが「BtoB決済のキャッシュレス化に伴う観光事業者への迅速な支払いにつながり、観光産業全体の業務効率化や生産性向上に資するものと期待している。関係者とも連携しながら必要な取り組みを検討していきたい」と述べた。
□燃油サーチャージの影響、「現時点見通しづらい」
中東情勢の緊迫化や航空会社の国際線燃油サーチャージの引き上げが訪日需要に与える影響について、「現時点でどの程度の影響が生じてくるか見通すことは難しい」と言及した。観光庁としては、政府目標である2030年訪日客数6000万人に向け、航空運賃などの外部環境が変化しても、戦略的な訪日プロモーションに引き続き取り組んでいく考えを示した。
他方、海外旅行の動向も継続して注視する考えを示した。地方空港間で連携した国際線の誘致や、海外教育旅行のプログラム開発の促進、日米観光交流促進キャンペーン2026に基づく米国へのアウトバウンド促進などに取り組んでいく。「パスポート発行手数料の引き下げの機運も活用しながら、アウトバウンド促進をはかっていきたい」と力を込めた。
□JATA要望を受け、「検討進めていきたい」
日本旅行業協会(JATA)が今年4月に観光庁へ提出した「訪日旅行の持続的発展に向けた要望書」の施策から、「訪日版デスティネーションキャンペーン」について受け止めを問われた。村田長官は「提言を踏まえて適切な検討を進めていきたい」と述べた。
そのうえで、今年度から開始するDMO総合支援事業を通じて、広域連携DMOが策定する広域連携観光戦略に基づく滞在コンテンツの企画開発や、プロモーションなどの取り組みを支援する。さらに、日本政府観光局(JNTO)による広域連携プロモーションも推進していくとした。
□国内旅行消費額が増加、1~3月期は5.9兆円
26年1~3月期の旅行・観光消費動向調査の速報値によると、日本人国内旅行消費額は前年同期比4.8%増の5兆9136億円と報告した。観光庁では、国内旅行消費による経済波及効果を約12兆円と推測している。
日本人国内延べ旅行者数は同0.4%増の1億2036万人で前年同期並み。日本人国内旅行1人1回当たりの旅行単価は同4.4%増の4万9133円となった。
□国際会議の開催件数、世界6位で過去最高
国際会議協会(ICCA)の統計に基づく25年の国際会議開催件数によると、日本は491件で世界6位と報告した。前年の第7位から上昇し、ICCAの統計基準を採用した17年以降で過去最高の順位となった。
都市別では東京が119件で世界10位となった。アジア太平洋地域では東京は3位、京都が10位、大阪が19位だった。
第5次観光立国推進基本計画では、国際会議の開催件数を2030年にアジア最上位、世界5位以内を掲げている。村田長官は「関係者と連携しつつ、国際会議の日本への誘致を推進していきたい」と意気込んだ。
このほか、全国各地でクマの出没が相次いでいることを受け、訪日客を含む観光客への注意喚起を発信した。
観光庁では、ウェブサイトやSNSを通じた多言語による情報発信のほか、観光地における多言語看板の設置などを支援している。観光客や観光関係者に向けて、村田長官は「地方自治体が発信するクマの出没情報などに十分注意を払ったうえで観光を楽しんでほしい」と呼び掛けた。



