「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(183)」悠久の時が流れる「石の島」の物語(備讃諸島(笠岡市・丸亀市・土庄町・小豆島町))

2020年5月8日(金) 配信

100メートル断崖絶壁の石切場(笠岡市北木島)

 高さ100メートルの石の断崖絶壁。良質の石を求め下へ下へと掘り進んでいくうちに、天空にそびえるような絶壁となった。岡山県笠岡市の沖合、北木島にある石切場である=写真上。

 瀬戸内海の笠岡諸島、小豆島、塩飽(しわく)諸島で構成される備讃諸島は、400年にわたって日本の代表的な名建築を支えてきた「石の島」である。小豆島は、古くは近世城郭の技術的頂点、大坂城の石垣を供給した。北木島は、日本銀行本店、横浜正金銀行、大阪市中央公会堂、三越日本橋本店など、数々の名建築を支え続けてきた。

 100トンを超える巨石をどうやって運んだのか。その謎は、この海を制する海運にあった。この地域の塩飽水軍による優れた操船技術と海運力がなければ、巨石を運ぶことは不可能である。丸亀市の沖合、本島はかつて塩飽水軍の本拠地であり、江戸時代には奉行所が置かれ、塩飽廻船の根拠地となった。幕末の有名な咸臨丸(かんりんまる)の乗組員の多数が、この塩飽廻船の船乗りたちであったという。

 備讃諸島の島々は、どこも街路が屈曲し、十字路のない複雑な町割りが特徴である。塩飽の中核となる本島・笠島地区の集落は狭い道路が複雑に交差し、見通しがきかない意外性が面白い。マッチョ通り(町通り)と呼ばれる中心道路に沿った町家形式の家屋の集落が、はじめて訪れる人々を魅了する。

 また、笠岡諸島の真鍋島は中世真鍋水軍の本拠地であり、山城を核とした防衛的な町割り集落が魅力的である。小豆島土庄集落も、「迷路のまち」と呼ばれ、地図がなければ方向感覚を失う。いずれも個性豊かな島の景観と町割りが大きな特色的である。

 どの島も、石切、加工、商い、出荷、海運という一連の産業を担ってきた石材産業が主産業であった。その富が、島の固有文化と娯楽を生んだのである。北木島には、石工や島民娯楽のために、学校講堂のような映画館が昭和期まであり、コミュニティーの核として再生に取り組んでいる。石工たちの労働歌である「石切唄」=写真下=や、ハレの日に石工たちにふるまわれた「石切り寿司」などが、今も島に根付いている。

シンポジウムで披露された「石切唄」

 2市2町の石の物語は、昨年5月「知ってる!? 悠久の時が流れる石の島」のタイトルで日本遺産に認定された。その活用手法をテーマに今年2月、笠岡市でシンポジウムが開かれ参加した。

 幹事の小林嘉文笠岡市長ら2市2町の首長の結束力は強く、各島を結ぶチャータークルーズなど、島文化の魅力をつなぐ、テーマ旅の商品づくりなどに取組んでいる。物語にある感動・共感をどう生かすか、島民など市民の誇りや自覚をどう促すか、一過性のイベントではなく、島の再生につなげる持続的事業をどう生み出すか。課題は少なくないが、新たな取り組みに期待したい。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~鹿児島県~

2020年5月7日(木)配信

 鹿児島県は、日本一の鹿児島黒牛やかごしま黒豚、お茶、ブリ、カンパチなど、安心・安全でバラエティ豊かな食に溢れていますが、これらの魅力を「健康」をテーマに紹介する動画です。映像では、鹿児島出身のスポーツキャスター宮下純一氏と、「ご当地アイドル」日本一に輝いた鹿児島の女性アイドルグループ「サザンクロス」のメンバーがナビゲーターとなり、鹿児島の魅力を伝えます。

 途中、地元タレントが演じる「おじさん」がユーチューバー風に、鹿児島弁で魅力を面白おかしく伝えています。コミカルでテンポの良い、通販番組のような動画で、「鹿児島県ってこんなところなんだ!」、「鹿児島県の食を“味わってみたい”」と思っていただける動画になっています。

 現在、鹿児島の逸品をお取り寄せできるキャンペーンを下のリンク先で実施中。コロナ収束後は、是非鹿児島にお越しください。

美食編【どんどん味わいたくなる かごしまのグルメ】

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(112)嘆くよりできる「考動」を 考動は勇気を与える

2020年5月7日(木) 配信 

 

 多くの人が利用するホテルや旅館、レストランには、フロントやレジ周りなどに多くの消毒液が設置されています。ただ、あまり意識もなく、使う機会はほとんどありませんでした。

 最近は意識して入店、退店時には使うようにしていますが、他の人の使用状況を見ると、残念ながらそれほど多いとは思えません。多くの人に使用する習慣がないのではないでしょうか。

 日本の宿泊施設、飲食店などは、すでに衛生面を非常に厳しく管理しています。必ずというほど使用したテーブルは布巾で拭き、食事前にはおしぼりが提供されます。当たり前の環境の中で、私たちの健康は守られていたのです。だから、設置された消毒液に意識がなかったのかもしれません。

 先日、宿泊予定のホテルにタクシーで向かいました。ホテルに入ったとき、入口に置かれた消毒液の前で「消毒にご協力をお願いします」と、スタッフから声を掛けられたのです。

 新型コロナウイルス流行初期は、ホテルでこうした対応はまだ少なかったです。チェックインを終え、エレベーターのボタンを押すときに思ったのは「安心感」でした。接触感染としてバスや電車のつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すり、スイッチなどが危険といわれていました。エレベーターのボタンなども気になっていたのです。

 過剰反応かもしれませんが、そうした接触を減らすことで、感染もしくは媒介してしまうリスクを考えると仕方のないことかもしれません。それだけに、入口で除菌された人が館内にいると思うだけでも、少しの安心感を得ることができたのです。

 航空会社のラウンジには、サービスでパンやおむすびなどが置いてあります。ある日、そのコーナーにロープが張ってありました。提供をやめたのではなく、四方から取りに行ける入口を1カ所にして、ラウンジスタッフが消毒液を持って、食事を取りに来たすべての人の手の平に散布していたのです。飲食店でも同様の行動に出逢いました。

 ただ置いておくだけで、使用はお客様任せではなく、目の前のお客様のために、他のお客様のために、そして社員のために、こうした行動こそが必要なのではないかと感じたのです。

 専門家ではないのでその効果は分かりませんが、厳しい環境を嘆くだけではなく、私たちにできることを実行していく強さが求められています。想像を超えるコロナの影響下に誰もが不安な毎日を送っているなか、考えて動く「考動」を現場で実行される姿を見掛けると、大きな勇気をもらえます。皆さんの考動が周りにいる人々を元気にするのです。

 
 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

「味のある街」「岩谷堂羊羹」――回進堂(岩手県奥州市)

2020年5月6日(水) 配信 
 

回進堂の「岩谷堂羊羹」(新中型本煉)▽岩手県奥州市江刺愛宕字力石211

 作家は羊羹好きが多いというが、明治の文豪・夏目漱石が羊羹について珠玉の文章を遺している。

 
 「…菓子皿のなかを見ると、立派な羊羹が並んでいる。余は凡ての菓子のうちで尤も羊羹が好きだ。別段食いたくはないが、あの肌合が滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。(中略)今生まれたようにつやつやして、思わず手を出して撫でて見たくなる。…」(『草枕』新潮文庫より)
 
 羊羹についてこんな素晴らしい表現をされたら、いてもたってもいられなくなる。
 
 今回は、岩手の銘菓として全国に知られる岩手県奥州市江刺の回進堂の「岩谷堂羊羹」を紹介しよう。
 
 始まりは延宝年間(1637~1681年)と伝えられ、伊達藩・岩谷堂城城主の保護推奨により、城の名を付けることを許されたと記されている。その歴史のなかで、回進堂は羊羹専門の菓匠として誕生したという。
 
 美味しさの決め手は素材選び。小豆、寒天、砂糖と材料はいたってシンプル。小豆あんには主に地元農家と契約栽培でつくる紅南部小豆や、岩手大納言と北海道産小豆。白あんはいんげん豆(北海道産手亡)。寒天は、長時間の煉り上げに耐えうる厳選した国内産を使っている。
 
 波照間産の黒砂糖など純度が高く、純粋な甘味かつあくの少ない砂糖を使うというこだわりよう。
 
 漆黒を纏った美しい艶と、切り口の鮮やかさにうっとりしながら口に入れる。漱石だったら何と表現するだろうか。
 
 「美味しい。甘すぎず、硬すぎず、柔かすぎず」今までに食べたどの羊羹よりも羊羹らしいというのが感想だ。
 
 聞けばこの店の煉り羊羹は焦がすほどの高熱を加えながら、ひたすら煉りこんで仕上げる。選りすぐりの素材と磨きのかかった熟練の技とのマッチが素晴らしい。
 
 そうそう8月下旬までの期間限定ゼリーや、水羊羹の発売が行われるので、こちらも忘れずに。
 (トラベルキャスター)
 
 
 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市~

2020年5月6日(水)配信

 薩摩國発祥の地、薩摩川内市で巡る自分の色を見つける旅。大好きな色の着物を羽織り、日本の文化や伝統に触れる。慌ただしい時間を忘れ、自分の色を見つける旅にでかけよう。

薩摩川内市で自分の色を見つける旅

「観光革命」地球規模の構造的変化(222) コロナ禍による危機の連鎖

2020年5月5日(火) 配信

 新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)は4月に入ってから欧米諸国を中心に爆発的に拡大している。世界全体の感染者数は3月26日に50万人を超えた後、4月2日に100万人、9日に150万人、15日に200万人、21日に250万人と、ほぼ1週間ごとに50万人が上積みされ拡大している。

 とくに米国は世界最多の82万人超の感染者が確認され、死者は4万5千人超に達している。米国で最も深刻なニューヨーク州は4月21日までに感染者が約25万人、死者が約1万5千人を記録。州政府は3月22日に外出制限の行政命令を発令。厳しい外出制限と共に、生活必須業種を除いて原則在宅勤務が義務付けられ、違反企業には罰金が科される。

 日本では4月21日時点で感染者は約1万2000人、死者は312人だが、安倍首相は4月7日に緊急事態宣言を発令した。対象地域は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、期間は5月6日まで。首相は生活維持に必要な場合を除く外出を自粛し、人との接触を7、8割減らすように呼び掛けた。7都府県の知事は私権制限を含む法的措置が可能になり、外出やイベント自粛要請、学校や映画館などの使用停止が行われている。

 コロナ禍は目に見えないウイルスが原因なので、万人に生存危機・健康危機をもたらす。そのために感染拡大を抑え込むことは不可欠で、外出制限、徹底的な検査、データに基づく治療法とワクチンの開発が必要だ。世界各国で緊急事態宣言が発せられ、外出制限や営業制限や就業制限などの実施によって、世界的に経済危機・生活危機が生じている。

 日本でも政府による緊急事態宣言後にコロナ感染拡大の抑制のために外出自粛やイベント自粛などが常態化し、その結果として広範囲に及ぶ経済危機が生じている。今後は企業倒産や従業者解雇などによる生活破綻が顕在化する。政府は緊急経済対策のために巨額の予算投入をはかっているが、コロナ禍による経済危機・生活危機の解消は容易でない。

 「経済は命があれば取り戻せる。病気や死という痛みを最小限に抑えるために『経済の痛み』を受け入れるべきだ」という意見もあるが、経済の痛みをできるかぎり和らげるためのさまざまな公的支援策が不可欠である。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~鹿児島県~

2020年5月5日(火)配信

 自然・温泉・食・伝統的工芸品等をテーマに高画質4Kカメラで撮影し、実際に鹿児島を旅しているような臨場感あふれる動画です。

 雄大な桜島をはじめ、指宿の菜の花畑や屋久島の白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)など、鹿児島の美しい風景はもちろん、薩摩切子や大島紬、黒豚しゃぶしゃぶなど、鹿児島の多彩な魅力が盛りだくさん。夏の風物詩「六月灯(ろくがつどう)」や奄美の「八月踊り」など、鹿児島の暮らしに寄り添ったあたたかみのある映像で、鹿児島の暮らしを味わうこともできます。

 特設サイトには撮影ポイントや地図、解説テキストも掲載しています。英語や中国語(簡体字・繁体字)、タイ語にも対応しているので、鹿児島を訪れる際はぜひご活用ください。

KAGOSHIMA Energetic Japan「Special 2min」

翻訳版旅館100選冊子 旅行新聞新社 台湾400旅行社に配布

2020年5月4日(月)配信

翻訳版旅館100選冊子

 旅行新聞新社は、昨年12月に発表した第45回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選(以下、旅館100選)」の入選施設の情報やランキング一覧を中国語(繁体字)に翻訳した冊子=写真=を発行するとともに、台湾の訪日旅行を取り扱う旅行会社に無償配布しました。

 翻訳版旅館100選冊子の発行は今回で9回目となります。誌面は本紙と提携する台湾の旅行業界専門誌「旅奇」で作成。4月中旬に台湾内の訪日旅行の取扱資格を持った旅行会社本社、営業所など400カ所に無償配布しました。

 本紙購読の皆様には、翻訳版冊子を付録としてお届けしました。

【旅行新聞新社】

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市~

2020年5月4日(月)配信

 100%絶景の島。薩摩國甑島。そこは、薩摩川内市の川内港から高速船で50分。この島の雄大な自然に映える色はこの旅の思い出のカラーに。自分の色を見つける旅にでかけよう。

こしき島で自分の色を見つける旅

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~鹿児島県南薩地域~

2020年5月3日(日)配信

 鹿児島県南薩地域振興局は、地域の素晴らしい景観素材の1つである「海」の魅力をPRし、着地型体験・交流型の観光を推進するため、PR動画を作成しました。

 枕崎市の「カツオのたたき体験」や、「行って良かった日帰りスパ&温泉施設」2017日帰り温泉&スパ部門で全国1位に輝いた指宿市の「ヘルシーランド露天風呂『たまて箱温泉』」、国道226号沿線から眺望できる雄大な自然景観や文化遺産など南さつま市の代表的な8つの景勝地の総称である「南さつま海道八景」、日本地図作成で訪れた伊能忠敬が「天下の絶景」と賞賛した南九州市の「番所鼻自然公園」などを、ドローンで撮影した迫力満点の映像です。

 南薩地域の「海」の魅力をぜひ体感してください。

ぐるりなんさつ海物語