東武トップツアーズ、新入社員139人迎える 百木田社長「全力で向き合う覚悟」

2026年4月2日(木)配信

新入社員の門出を祝う百木田康二社長(右)

 東武トップツアーズ(百木田康二社長、東京都墨田区)は4月1日(水)、東武ホテルレバント東京で新入社員139人を迎えた入社式を行った。

 新入社員に向けて、百木田社長は「自然災害や感染症の影響を受けやすく厳しい環境と言われる旅行業界に、強い意志と信念を持って飛び込んでくれたことを大変誇りに思い、頼もしく感じている。当社への入社を後悔することがないよう、経営陣も全力で向き合っていく覚悟」と語った。

 あわせて、新入社員には「非凡なる凡人であってほしい」と強調。そのうえで、①夢をもって、会社を自己実現の場にしてもらいたい②困ったとき、悩んだときには周りを頼ってもらいたい③観光業が日本の基幹産業であることに誇りを持ち、変化に果敢に挑戦してほしい――の3点を呼び掛けた。

 また、今年の経営方針は「The Next One~高みへの挑戦~」、基本指針には「挑戦と共創」を掲げると説明。「旅行業を生業として大切にし、新たな領域へも積極的に関わり、東武トップツアーズが社会になくてはならない唯一無二の存在となるよう、一緒に夢を追いかけていこう」と歓迎の言葉を送り、これからの成長と活躍を祈念した。

リゾート専門の人材紹介 「リゾマッチ」を開始【ビーグッド】

2026年4月2日(木) 配信

福島崇司社長

 リゾート専門人材サービス「ビーグッド」(福島崇司代表、東京都中央区)は創立以来、リゾート地の宿泊・観光施設に特化した人材サービスを行っている。そのため一般求人サービスと違い、宿泊・観光業で働きたい人材だけが集まるため、効率的な求人が可能という。

 2025年11月に、派遣料金よりも圧倒的にリーズナブルな宿泊・観光施設向けの新サービス「リゾマッチ」を開始した。派遣でもない、求人広告でもない、リゾート人材採用の新たな選択肢で業界に精通した派遣会社があえて始めた新サービスだ。
 「派遣よりもコストを抑えたい」「でも人材の質は妥協したくない」多くの宿泊・観光施設のそんな要望に応えるという。

 派遣より圧倒的にリーズナブルな人材紹介サービス。派遣と同じように必要な時に必要な人数だけリゾートバイトスタッフを紹介するが、派遣よりも大幅に低い料金を実現した。現在、派遣を利用している施設であれば、どんなお客でも必ずコストダウンできる。派遣の利用状況にもよるが、例えば年間10人規模で派遣を利用している施設の場合、年間で500万円以上のコスト削減も十分に可能だ。

 リゾマッチの3つのメリットは、1つ目が大幅なコスト削減だ。マージンを徹底的に抑え、派遣やスポットワークと比べても明確に低コストな人材サービスを実現。2つ目は優秀な人材の安定的な確保。信頼とサポート力で優秀な人材が集まる。3つ目は紹介料の課金期間が「最大1年間」であること。派遣の場合、スタッフが期間を延長して長期で働いてもずっと派遣料金が発生するが、リゾマッチでは1スタッフあたりの課金期間は最大1年間のみとした。

 ビーグッドの福島代表は「この業界に約30年携わり、派遣事業を中心にビジネスを行ってきました。できる限り派遣料金を高騰させないよう努力してきました。しかし近年、コロナ後の給与水準の上昇や最低賃金の引き上げなど、そして何より同一労働同一賃金をはじめとした派遣法の改正により、派遣料金を以前よりも上げざるをえない状況です。その結果、派遣料金が高すぎて使い続けられない、という声を多くいただくようになりました。だからこそ、派遣に代わるもっと負担の少ない人材サービスが必要だ。そう強く感じ、リゾマッチを始めました」と説明する。「派遣よりもリーズナブルに優秀なスタッフを確保したい、そうお考えの施設はぜひリゾマッチをご検討下さい。このサービスが宿泊・レジャー業界の皆様の力になることを心より願っています」と語る。

 問い合わせ=☎03(6661)9151。

奥飛騨温泉郷の「白樺荘」、破産手続き開始へ(帝国データバンク調べ)

2026年4月2日(木) 配信

 奥飛騨温泉郷の温泉旅館「白樺荘」(荒井進代表、岐阜県高山市)は3月11日(水)に岐阜地裁高山支部から破産手続き開始決定を受けた。帝国データバンクよると、負債は約1億6000万円。

 同社は1970(昭和45)年創業、81(昭和56)年5月に法人改組され、奥飛騨温泉郷の新平湯温泉で温泉旅館「白樺荘」を運営していた。

 大広間や大浴場などを備え、家族連れや団体の需要に対応し、89年ごろには年間収入高約1億5000万円を計上していた。

 しかし、それ以降は景気の悪化やレジャーの多様化により稼働率が低下。2004年4月期から06年4月期にかけて年間収入高1億円を割り込み、営業赤字を計上していた。

 稼働率の低迷を受け、18年4月に旅館の営業を停止。実質的な最終年度となる18年4月期の年間収入高は約1500万円に落ち込み、債務超過に陥っていた。「旅館営業の再開を見通せなかったことから不動産の売却準備に入り、19年8月ごろには海外の投資会社との売買契約が内諾に至ったものの、コロナ禍で観光需要が急減したため、本契約に至らず白紙化」(帝国データバンク)したという。

 事業の再開と不動産の売却がともに見込めないなか、負債の処理が問題となり、25年12月25日に自己破産を申請していた。

イーグルバス、川越観光アプリ「小江戸巡回MaaS」 3月27日からテスト運用開始

2026年4月2日(木) 配信

はじめての川越観光にもおすすめ「小江戸巡回MaaS」

 イーグルバス(谷島賢社長、埼玉県川越市)は、川越の周遊観光の利便性を高める新たな取り組みとして「小江戸巡回MaaS」(以下、本アプリ)を開発、アプリで利用者のニーズに合わせたお得な旅行プランを提案する。本アプリのテスト運用を小江戸川越春まつりの時期にあわせて3月27日(金)から開始した。

 本アプリの最大の特徴は、小江戸巡回バスを活用した「効率的でお得な川越観光」をサポートする点。利用者が気になるスポットを選ぶだけでバスの時刻に合わせた最適な観光モデルコースを提案する。さらに1日フリー乗車券(600円)の提示で特典が受けられる「小江戸協賛店」を表示し、お得となる特典金額をアプリ内で見える化できる。これにより特典の合計でコースによっては乗車券代の元が取れるようなお得感を直感的に実感してもらえるという。

 現在、100以上の協賛店と連携しており、川越観光の満足度向上とバス利用の促進を目指す。

小江戸巡回バス

 利用方法は、スマートフォンでダウンロードや登録不要で利用できる。「小江戸巡回MaaS」にアクセスし、希望の乗車日やスタート地点、今日の気分や行きたい場所や食べたいものを選ぶと、それに合わせたバスの時刻付きの観光モデルコースが表示される。対象路線は「小江戸巡回バス」で、川越駅西口発着、川越氷川神社や蔵の街、菓子屋横丁、喜多院など川越の観光地を結ぶ路線バス。環境にやさしいEVボンネットバスや運転士による川越観光案内が人気。

 また、1日フリー乗車券の提示でお得な特典が得られる100以上の小江戸協賛店があり、協賛店を検索するウェブもある。1回乗車は220円で交通系ICカードやタッチ決済対応のクレジットカードも利用できる。

 同社は「本アプリは試験的な運用として開始し、利用者の声をもとに機能改善をはかっていきます。まずは多くの方にご利用いただき、川越観光の新たな楽しみ方として体験いただくことを期待しています」と発信している。

大江戸温泉グループが水上温泉・松乃井の運営事業譲受 群馬県内で2施設目の出店

2026年4月2日(木) 配信

水上温泉 源泉湯の宿 松乃井

 大江戸温泉物語グループを運営するGENSEN HOLDINGS(川﨑俊介社長、東京都中央区)は、2026年4月1日(水)に、群馬県・水上温泉の新規物件を運営事業譲受したと発表した。物件名は水上温泉「源泉湯の宿 松乃井」(群馬県利根郡みなかみ町湯原551)。

 新規運営物件は改修工事を行い、26年8月ごろに大江戸温泉物語Premiumシリーズとしてオープンを予定。同Premiumシリーズは家族の楽しい時間も、大人のくつろぎ時間も諦めることなく満喫できる宿として全国で展開している。大江戸温泉物語グループとして群馬県での出店はPremium 伊香保に続き2施設目となる。

 群馬県北部の谷川岳の麓に位置する水上温泉は、首都圏から約2時間弱とアクセスも良く、江戸時代から続く豊富な湯量と柔らかな泉質が魅力の温泉地。周囲には四季折々の自然が広がり、春の新緑や夏のラフティング・キャニオニング、秋の紅葉、そして冬のスキーや雪見風呂など1年を通して多彩な楽しみ方が可能。近隣には谷川岳や諏訪峡といった絶景スポットも多く、温泉とアクティビティを組み合わせた旅先として人気がある。

 大江戸温泉物語グループでは、この素晴らしいエリアを多くの人に知ってもらい、足を運んでもらえるよう、引き続き運営を行う。予約開始日及びオープン日が決まり次第、公式サイト・プレスリリースなどで発表する。

JTBグループ、新入社員は409人 山北社長「人が将来の価値に」

2026年4月2日(木)配信

新入社員に向けて話す山北栄二郎社長

 JTBグループは4月1日(水)、東京都渋谷区のヒカリエホールで2026年度合同入社式を実施した。グループ会社19社を一堂に集め、新入社員は計409人。今年1月に10年後を見据えた長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」を発表後、初の入社式となった。

 新入社員に向けて、JTBの山北栄二郎社長は「One JTBとしてそれぞれの力を発揮し合いながら切磋琢磨し、グループ全体の力を高めていく」と述べ、全社一体で取り組む推進体制であると強調。同社が現在に至るまでの歴史を振り返り、会社の未来に向けて策定したグループブランド体系「The JTB Way」を共有し、新入社員にJTBグループの存在意義と進むべき方向性を示した。

 入社式では「交流創造事業」を基盤として、ツーリズムをデジタルで有機的につなぐ、ビジネスモデルの革新への取り組みを説明した。旅行サービスのデジタル化を推進する一方で、山北社長は「人の価値をどれだけ磨き上げるかが、JTBの将来の価値になる」と指摘。AIが進化する時代のなか、「どれだけ信頼を構築できているかが、最終的な選択のポイントになる」と述べ、新入社員の今後の成長に期待を寄せた。

グループ各社の代表者が決意表明を行った

 新入社員の決意表明では、グループ各社の代表者19人が登壇し、それぞれ想いを乗せた決意を熱く語った。JTBの米田隼輔さんは「デジタル社会が急速に発展している今だからこそ、五感を生かしたリアルな体験価値をつくりだせるように挑戦を重ねていく。交流創造事業では、人と世界の新たなつながりを生み出す」と力を込めた。

サプライズゲストの「CANDY TUNE」と、JTBの「じぇいとん」(右)

 式典後半には、女性アイドルグループ「CANDY TUNE(キャンディーチューン)」がサプライズ登場した。所属するアソビシステムとJTBが今年3月、合弁会社「アソビJTB」を設立したことを背景に、壇上で代表曲「倍倍FIGHT!」をダンスとともに披露。会場は大歓声で盛り上がり、新入社員に向けて、メンバーそれぞれからエールの言葉が送られた。

マップトラベルと港都つるが観光協会、欧米客向け敦賀まつり参加ツアー 深い文化体験と住民交流でリピーター化へ

2026年4月2日(木) 配信

ツアーのイメージ

 旅行会社「マップトラベル」(大道哲平社長、福井県敦賀市)と港都つるが観光協会(刀根荘兵衛社長、福井県敦賀市)はこのほど、日本の伝統文化に強い関心を持つ欧米の富裕層を主なターゲットとして、氣比神宮例祭(敦賀まつり)の伝統行事である神輿渡御、山車巡行、民謡踊りに参加する体験プランを売り出した。

 地域特有の文化に深く触れ、地域住民との交流も充実させることで、敦賀市へのリピーター増加を目指す。年間を通して敦賀まつりをはじめとした日本の伝統文化を体験してもらおうと、祭の開催期間外でも体験できるコンテンツも造成した。

 敦賀まつりは、神輿や6基の山車が引かれるほか、趣向を凝らしたおまつり広場やカーニバル大行進、民謡踊りなどを行う。街は祭り一色に染まるという。今年は9月2(水)~5日(土)に実施する。

 プランのうち、神輿渡御体験では、参加者はつるがみこしの会会⻑から神輿の意義や作法を学ぶ。その後地元の神輿の担ぎ⼿と出発前に昼食を共に食べ、神輿を担ぐ。

 地区別の法被や法被下の着るTシャツ、白短パン、足袋が支給される。 希望者は神輿を担ぎ終わった後、慰労会にも参加できる。

 山車巡行体験では、住⺠と共に⼭⾞の曳き⼿として参加する。山車に神の依り代(よりしろ)である松を入れる「松入れ」の見学も可能になっている。

 民謡踊り体験では、参加者は市内中から毎年3000⼈ほどの⽼若男⼥が集まる敦賀の⺠謡踊りに、オリジナル法被を着て加わる。事前の練習を行うオプションも用意している。

 通年型のツアーとして販売している山車会館特別プランでは、「みなとつるが⼭⾞会館」(福井県敦賀市)で戦国武将や⼭⾞の曳き⼿になった気分での写真撮影や、敦賀まつりで使⽤される⼭⾞を保管するバックヤードを巡る。山車保存会会長が、敦賀まつりの歴史や山車を伝承していくための想いを語る。さらに、山車会館オリジナルの手拭いや、山車ペーパークラフトなどのオリジナルグッズがプレゼントされる。

 山車スペシャルディナープランでは、ライトアップされた氣比神宮を⼀望できる場所で、⼭⾞をモチーフにした食器で用意されたスペシャルディナーを提供する。

阪急交通社、新入社員103人迎え入社式開く 山川社長「『個』の力高めて」

2026年4月2日(木) 配信

入社式であいさつする山川豊治社長

 阪急交通社(山川豊治社長、大阪府大阪市)は4月1日(水)、大阪市のヒルトンプラザウエスト・オフィスタワーで2026年度入社式を行った。山川社長は、新入社員103人に向けて訓示した。

 あいさつ全文は以下の通り。

                   ◇

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。本日より阪急交通社の仲間として、共に働くことになる皆さんを心から歓迎いたします。まずは、数ある企業の中から阪急交通社を選び、この日を迎えられたことに会社を代表して感謝申し上げます。

 阪急交通社は1948年の創業以来、「人と人の交流を通じて、新たな価値を創造し、豊かな平和社会の発展に貢献する」を経営理念として、日本と世界、日本国内をつなぐ存在として成長してきました。

 2020年に発生したパンデミックの危機では、国内旅行が制限され、海外旅行が消滅しました。このような困難のなか、社員一丸となり力を合わせ、新たな事業の取り組みや、自治体との連携による観光事業の推進により、社会に貢献してまいりました。

 こうしたなかで、私たちは「チャレンジする会社」としての姿勢を強く育んできました。今日から始まる皆さんの社会人としての生活も、チャレンジの連続になるでしょう。どうか、会社とご自分の成長を通じて地域社会に貢献する気概を持ち前向きに明るく歩んでください。

 2026年、阪急交通社は新たな時代へと大きく踏み出します。投資を行い、開発した次世代基幹システムを導入します。2026年はテクノロジーを活用し、これまでのやり方を変革する年にしたいと思います。

 阪急交通社は毎年利用いただく数百万人の大切な皆様に支えられています。先ほどは変革すべきことをお伝えしましたが、変えてはいけない守るべきこともあります。それは、お客様一人ひとりを大切にすること、そして、阪急交通社の旅行に参加されたお客様の満足度の維持・向上をはかり続けることです。お客様を大切にする気持ちを常に持ち続けながら、それぞれの仕事に取り組んでもらいたいと思っています。

 当社は、2028年に創業80周年を迎え、2030年には長期経営構想の区切りの年を迎えます。目指す姿として「常に変化を求め、お客様の声に応える『旅』の創出で、社会に必要とされる企業を目指す」を掲げています。その原動力は言うまでもなく人材であり、多様性と自律性を備える「個」の力を高めていくことが重要です。本日入社された皆さんが、それぞれの個性を発揮していただき、阪急交通社に新しい風を吹き込むことで、新しい強みが生まれます。皆さんと共に、阪急交通社の次のステージを目指していきたいと私自身強く願っています。

 皆さんの入社を心から祝福し、私からの歓迎のあいさつに代えさせていただきます。あらためて、本日は入社おめでとうございます。

〈観光最前線〉ジャングリアに新アトラクション

2026年4月2日(木)配信

新アトラクション「やんばるトルネード」

 沖縄県北部のテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」に4月29日、新大型ライドアトラクション「YAMBARU TORNADO(やんばるトルネード)」が開業する。大型連休初日に合わせた投入により、繁忙期の集客力強化とパーク全体の回遊性向上を狙う。

 やんばるトルネードは、直径約16㍍の円形の空中ブランコのようなアトラクション。回転しながら傾斜が増し、頂点では乗客が逆さまになる構造。最大高度約20㍍まで到達するという。

 同パークは2025年7月の開業以降、アプリによる整理券導入や午後入場券の導入など運営面での改善を継続。年末年始には開業期並みの来場者を受け入れながら待ち時間の短縮を実現している。

【土橋 孝秀】

金太郎温泉(富山県) 滞在中、宿と地域を“奥深く”案内

2026年4月2日(木) 配信

 金太郎温泉(木下荘司社長、富山県魚津市)は、旅行新聞新社が取材などを通じて見聞きした観光業界の取り組みのなかから、創意工夫の見られるものを独自に選び表彰する「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2025」(2025年12月1日号発表)の優秀賞を受賞した。同館は、温泉管理施設を見学する「温泉の裏側全部見せますツアー」や「大人の遠足ぶらり旅」を実施し、地元の一員として深い関係を生かし、地域のさらなる発展を目指している。木下社長と浦崎将寿取締役支配人に話を聞いた。

【木下 裕斗】

温泉管理施設を巡るツアー 入浴の価値高め単価向上へ

 ――金太郎温泉の歴史からお話しください。

 木下社長:金太郎温泉は1964年の東京オリンピック選手村を移築し、翌65年に日帰り温泉施設「金太郎温泉天神山健康センター」として設立しました。創業者の石黒七平氏が「金太郎のように全身に力が溢れ、元気一杯で、健康になるように」という願いを込めて、名付けています。

 開業当初は日帰りのみを受け入れる入浴施設として、大規模な食事処や休み処などを併設していました。こうしたなか、宿泊需要も高まり同年、大衆向けの温泉宿もオープンしました。82年にはお客様の満足度を高めるため、本格的な温泉旅館として金太郎温泉光風閣を竣工。収容人数の拡大へ、88年には光風閣別館も建てました。宿泊施設を開業した当時から周辺に温泉旅館がまったくない一軒宿として営業しています。

 2005年には地下1千㍍まで掘削し、約75度の温泉を毎分1500㍑自噴する3本目の源泉を開発しました。

 現在は旅館「光風閣」と、日帰り温泉施設「カルナの館」を営業し、両館において加水・加温を一切行わない源泉100%掛け流しの大浴場を備えています。

 ――泉質の良い温泉が魅力の1つとなっています。

 木下社長:金太郎温泉は、酸化の元となる活性酸素を消去する還元系温泉で、食塩泉と硫黄泉が混合している国内でも珍しい泉質です。美肌のほか、冷え性や貧血などの改善を期待できます。お客様アンケートでは「温泉に浸かった翌日、肩の痛みが軽減した。友人の膝も楽になった」「血流が改善し、体が温まった」など健康維持につながった声も挙がっています。

 また開業当時、高知県の仁淀川から銘石を取り寄せ、大浴場などに設置しました。現在でも活用しており、総面積約800坪のカルナの館には、魚津市内から見ることができる立山連峰をイメージした「立山連峰パノラマ大浴殿」を設けています。

 光風閣の約300坪の大浴場には、石川県出身で文化勲章を受章した浅蔵五十吉氏による九谷焼陶板の壁画を飾っています。浅蔵氏の作品において壁画ほどの大きさの作品は珍しく、温泉に浸かりながらダイナミックな芸術鑑賞をゆっくり楽しめる空間を提供しています。

 このように、温泉施設には大変力を入れてきました。

個人客への対応

 ――個人化への対応はどのように進めていますか。

 木下社長:光風閣は開業から長年、団体向けの温泉旅館として営業してきました。旅行の個人化に対応するため、10―22年の「リ・ボーンプロジェクト パート1」では、畳を残したうえで、個人客からの要望が高まっていたベッドを設けた和風ツインの客室「別邸『峰の界』」をオープンするなど、約10億円を掛けて改装を行いました。

 個人化へ一層対応するため、24年には「リ・ボーンプロジェクト パート2」による改修が完成しました。大宴会場「瑞兆」は24年、個人客用ダイニングとしてリニューアルしています。

温泉の裏側全部見せますツアー

 ――宿泊者を対象とした温泉管理施設を巡る「温泉の裏側全部見せますツアー」を始めた理由は。

 浦崎支配人:現在、光風閣のお客様は個人客が約7割、団体は3割ほどとなりました。個人旅行については、宿泊以外の旅行計画を立てずに訪れるお客様が多くいます。こうしたお客様からチェックイン前やチェックアウト後、連泊中に楽しめる観光スポットの問い合わせをいただくことがあります。

 この際、お客様の満足度を高めようと、約20年前からさまざまなツアーを実施してきました。この1つとして25年6月、温泉の裏側全部見せますツアーをスタートしました。

 ツアーでは、金太郎温泉の代名詞でもある温泉を支える地下の管理室を中心に、源泉から大浴場まで続く配管や75度の源泉と水を熱交換し、温度を調整しながらシャワーへ適温に届ける装置、源泉の熱を暖房の温風に変える機器、浴槽への湯量で温度調整する機械などを巡っています。温泉管理施設への道中、旅館の業務で使用する洗濯機置場や物置なども通ります。

 所用時間は約40分で、1日10人ほどの個人旅行のお客様が参加しています。申し込みがあれば、1人でも行います。お客様にはチェックイン時やフロントロビーの案内看板、ホームページなどでアピールし、申し込みを促してきました。団体旅行については、お客様の人数に応じて、複数のグループに分けて実施しています。ツアー料金は無料です。

 参加者には、何回も温泉に入ったことがある地元のお客様も多くいます。当社の温泉設備は日本最大級の規模で、見学後「これは本当に良かった」と目を輝かせて話す人もいます。

 木下社長:温泉の裏側全部見せますツアーを通じて温泉の価値をより深く理解していただき、ブランド力を高めることで、宿泊単価の向上につなげています。リピーター化や口コミの拡散で新規顧客を獲得することもできました。SNSで宿泊施設の魅力を調べる消費者が増えるなか、口コミは自社で情報を発信するよりも、信用があり効果的だと考えています。

 さらに普段、温泉施設を管理し、接客を行わないスタッフも積極的にあいさつするようになりました。お客様を想う気持ちが高まり、仕事にも表れています。

 多くのホテル・旅館が温泉の管理を高度なコンピューターなどで自動化しているなか、当社では温泉を強力なセールスポイントとしているため、機器に不具合が生じた際、早急に対処し通常運転へと復旧させるべく、熱交換や浴槽への湯量の調節による温度管理については、メンテナンスが容易な手動によって操作する設備で行っています。

大人の遠足ぶらり旅

 ――このほかのツアーとして、宿泊施設の周辺を周遊する「大人の遠足ぶらり旅」も実施しています。

 浦崎支配人:「大人の遠足ぶらり旅」は、私や当社スタッフが観光地ではない地元に住んでいるからこそ知っている、旅館周辺の奥深い魅力的な場所を中心に案内します。ありのままの地域を案内することがお客様の印象に深く残り、特徴ある旅を楽しめる旅館として、リピートにつながると考えています。

 具体的には漁船やレジャーボートを留め置く船溜まりの隣にあり、立山連峰と能登半島と一望できる釣り桟橋や、地域内のさまざまな場所に湧く水「清水(しょうず)」、昆布店「四十物(あいもの)昆布」などを巡っています。予め数カ所の候補を決めたうえで、当日のお客様の反応や状況を見極めながら、最適な行き先を柔軟に追加しています。

 さまざまなツアーを展開することで、館内での必要な滞在時間が延び、連泊も増やすことにつながっています。

 ――ツアーを通じた地域活性化へ、どのような想いで臨んでいますか。

 木下社長:当社は「宿泊施設から地域を活性化する」という一方的な立場でなく、街の一員として我が街を発展させていく想いで旅館を経営しています。

 これは、当社が多くの地域住民に株主となっていただき、少しずつ出資してもらうことで設立されたからです。現在も、約1300人の株主の多くが地域住民となっています。私をはじめ、多くのスタッフも地域で暮らしています。このため、地域との関わりの深さが当社の特徴です。

 資源である温泉や住んでいるからこそ知っていることを生かして、地域全体がさらに活気づくよう努めています。

ビジネスホテルの宿泊客カルナの館に

 ――市内のビジネスホテルの宿泊客を日帰り温泉施設「カルナの館」に誘客し、旅館「光風閣」への宿泊需要の喚起につなげています。

 浦崎支配人:ビジネスホテルへ宿泊した人にも温泉に入浴し、地域での滞在をより楽しんでもらおうと、毎日夕方から夜に、市内のビジネスホテル3軒とカルナの館を結ぶ無料シャトルバスを3便運行しています。

 3軒のホテルによる宣伝協力も得ながら、入浴や食事などを通じて、当社の売上増加につながっています。さらに、ビジネスホテルへの宿泊需要の拡大に加え、後日、家族や友人などを連れて金太郎温泉に宿泊してもらうことも目指しています。

 ――今後の方針を教えてください。

 木下社長:現在、4本目の源泉の掘削に向けて調査を実施しています。3本目の温泉は75度ですが、4本目の源泉は100度程度の高温源の確保を目指します。これによって、温泉を活用したバイナリー発電やビニールハウスでのイチゴの栽培など、新たな事業を始めることが可能になります。入浴だけでなく、温泉を活用した新たな観光コンテンツを提供し、地域全体の魅力向上に貢献していきます。

 発電については、電気の供給のほかに、見学場所や施設の解説パネルなどを設け、ツアーを実施する予定です。イチゴ狩りも行うことを考えています。

 ビジネスホテルへのバスや送迎バスなどにおいて、自動運転バスの導入も検討しています。労働者の減少に対応していくことが目的です。

 完全無人運転のバスについては、現状では法規制や安全面の課題があり、実現までにはまだ数年を要します。今後、国や自治体、地域の事業者などの関係機関と連携しながら、進めていきます。

 また、バスの車内では多言語対応のイヤホンガイドを通じて、温泉の効能や地域の観光情報、食文化などを紹介するサービスも構想しています。お客様が興味に応じて情報を選択できるようにすることで、旅の体験をより充実させることが可能です。

 こうした取り組みは、機械化や自動化によって効率化できる部分と、人が行うことで価値が生まれる、おもてなしを上手く組み合わせ、地域全体の観光体験をさらに向上させることを目指しています。

 そのうえで、今後も金太郎温泉のブランド力を高め、入浴するために訪れるお客様を増やし続けていきます。さらに、街の一員として、地域を一層活性化してきたいと考えています。