「津田令子のにっぽん風土記(104)」夢は文化交流の担い手に~日本編~

2023年12月17日(日) 配信

癒しのカフェで仕事をしているLICさん
3Dデザインエンジニア、イラストレーター LICさん

 3DデザインエンジニアでイラストレーターのLICさんとの出会いは、「BOOKCAFEユーカリと尨」で行われた蚤の市だ。隣同士だった出展ブースの机の上に並べられた綺麗な淡いブルーのインドシルクのスカーフや、細かい模様が印象的な手縫いのベッドカバー、高価なインド刺繍の幅広のリボン。さらにはジュータンや布に刺繍が施された肩掛けバッグなどが所狭しに並ぶ向こうにLICさんは座っていた。

 

 軽く会釈をしながら「これ欲しい~」と言うと「インドシルクです。デパートで買うとかなり高価なんですよ」と流暢な日本語で返してくれた。美しい日本語を話される方というのが第一印象だ。

 

 生まれは、イタリア・ローマ。御両親の仕事の関係で幼いころに日本に拠点を移したという。以来、日本贔屓を自認し日本文化を好んでこられた。

 

 3Dモデリング、Webtoon背景製作、イラストレーター、輸入バイヤーとかなり幅広く活躍の場を持ち、これまでに訪ねた国は20カ国に及ぶ。仕事や勉強で訪ねたというが最も印象に残った国は「トルコ」と即答。「お茶好きの私にはトルコのチャイをたくさん飲む習慣や食事も自分にとても合っていると感じています」と振り返る。「トルコのアジア部分にあった古代の国名がイタリアでは名前として使われ、その名前を考古学者の父が私に名付けました。その国の遺跡も残っていると聞いたのでいつか訪れたいと思っています」と話す。

 

 日本に来たばかりのころはカルチャーショックも大きく和食も食べられなかった。祖母から歌舞伎や書道などを教わり次第に日本文化が好きになっていったLICさん。「既に家族は日本にいませんが、日本は住みやすく伝統を感じられる国だと思います」。

 

 日本で好きな場所は沖縄だと言う。「透明感のある海が美しくとにかく楽しかった。東京以外はあまり知らないので、これからあちこち行ってみたいですね。金沢や萩など日本の古い文化が残る場所に惹かれます」。

 

 日々、寝る間も惜しんで仕事に追われているLICさん。「お決まりのカフェで仕事や読書しているときが、一番リラックスできます」と話す。

 

 「夢は日本と海外を行き来しながら双方の文化を伝えられる仕事をしてみたい。日本文化を伝えるお手伝いができたら楽しいですね。今の仕事の延長ですが装丁や挿絵などの仕事で多くの方に見てもらうのも夢です」と語る瞳がさらにキラッと輝いた。

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(12月号)」

2023年12月16日(土) 配信

https://zoomjapon.info

特集&主な内容

 フランスではさまざまな商品やサービスにも「ZEN」という言葉が使われていますが、それが日本や仏教と関係があるとは知らないフランス人もいます。一方、昨今の緊迫した世界情勢や不安定な国内事情など、さまざまなストレスから、「ZEN」の中に解決策を探す人がいます。本誌12月号では、日本本来の禅、そして現代の日本における禅について取り上げました。フランスに禅の教えが伝わった歴史や経緯を紹介し、福山市の神勝寺や兵庫県の安泰寺を訪れ、座禅が持つ意味や禅の考え方を解説しています。また石庭についても、歴史を踏まえて、「わびさび」や禅の美意識を説明しています。武道や生け花、茶道、俳句など、フランスでも知られている日本の文化も、禅とつながりを紹介しました。旅行ページでは弘前市を取材しました。

〈フランスの様子〉最新パリの都市計画

「パリ:2026年のサンマルタン運河の姿」11月23日付、ニュースメディアActu.frのウェブサイトより

 11月20日、パリ10区の区長は、2025年に開通200年を迎えるサンマルタン運河の再開発の計画を発表。◆日本人にも人気で、周辺にはおしゃれなカフェやレストランなどがある地区だが、混雑やゴミの問題があり、住民の意見も反映しての再開発となった。◆年明けから2年近くかけての開発のポイントは:運河の両側に幅5メートルの自転車専用道路を新設、歩道を1.5メートルから2メートルに拡張、1万平方メートルの歩行者スペースを確保、50本の植樹など。◆パリ市全体でも、自転車専用道路の新設も進む一方、2040年までに300ヘクタールの緑地を新設する目標を掲げる。◆日本的にいうと、東京ドーム約60個分の緑地が新たにできる計画だが、余っている土地はなく、駐車場を廃止したり、公園の柵を取り払って「歩道公園」という新しいコンセプトで、効率的に緑地を確保する。当然、自動車の場所はもうほとんどない。◆ちなみに、この目標数値は、世界保健機関が推奨している住民1人当たりの緑地面積10平方㍍をパリ市に換算した数値だ(現在は8.6平方㍍)。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

 

 

 

OpenStreetと大阪市、シェアサイクルなどの利用・促進に向けた連携 回遊性向上やCO2削減を目指す

2023年12月15日(金) 配信

2者はこのほど、シェアサイクルなどの利用・普及促進に向けた連携を結んだ

 OpenStreet(工藤智彰社長CEO、東京都港区)と大阪府大阪市は、このほど、大阪市北部ブロック・南部ブロックにおけるシェアサイクルなどの利用・普及促進に向けた連携協定を結んだ。この協定により、シェアサイクルなどの認知度向上や利用促進をはかることで、新たな交通手段としての定着と、安心・安全で利便性の高いシェアサイクルなどの利用環境づくりを目指す。

 同社は全国の自治体や民間企業と連携してシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を展開し、エリアの回遊性向上や放置自転車対策など、地域の課題解決に貢献している。

 大阪市24区では、2025年の大阪・関西万博を見据え、来街者の回遊性向上を目指すとともに、シェアサイクルなどが、隣接区同士の相互移動の利便性向上やCO2削減、放置自転車対策、SDGsなどに寄与することを検証するため、今回の事業を始めた。

東武トップツアーズ、農村RMO研究会 第2回が1月10日に

2023年12月15日(金) 配信

参加申し込みは2024年1月5日(金)の午後5:00まで

 東武トップツアーズ(百木田康二社長、東京都墨田区)は2024年1月10日(水)、農林水産省との共催で「令和5年度第2回農村RMO推進研究会」を実施する。農村型地域運営組織(農村RMO)の普及・啓発と、農村RMOに取り組もうとする関係者の知見向上をはかる。今年9月にも実施し、今回2回目。

 農村RMOとは、複数の集落の機能を補完し、農用地保全活動や農業を核とした経済活動と併せて、生活支援など地域コミュニティの維持に資する取り組みを行う組織のこと。農村地域、とくに中山間地域は高齢化や人口減少が急速に進行し、集落単体では農用地の保全や農業生産だけでなく、集落機能の維持も難しくなる状況にある。このことから、広域的な範囲で支え合う組織づくりが進むように、総合的な対策を講じる農村RMOが必要とされた。

 同研究会では、農村RMO形成に取り組む3団体による事例発表、アドバイザーや関係府省を含めたディスカッションなどを予定している。

 実施時間は午後1:30~4:30まで、オンラインで実施する。テーマは「農村RMOにおける各府省施策の活用について」(事例解剖)。参加費無料。24年1月5日(金)の午後5:00まで、セミナー専用サイト内から申し込める。

こちらのQRコードから申し込める

「受験生応援プラン」予約開始 宿泊難な受験生へ安心価格の宿泊プラン提供(イシン・ホテルズ・グループ)

2023年12月15日(金) 配信

イシン・ホテルズ・グループはこのほど、受験生応援プランの予約を始めた

 イシン・ホテルズ・グループ(孔令庸代表、東京都中央区)は12月15日(金)から、宿泊代の高騰に対応し、受験生のみが使える安心価格の宿泊プランの予約を始めた。

 コロナ禍が落ち着いたことやインバウンド需要回復の影響により、現在ホテルの宿泊料は上昇傾向にある。加えて、2024年2月は、国公立大学の2次試験のタイミングが3連休と重なることから、国内旅行の需要とも重なり、さらなる宿泊費高騰が懸念されている。

 同社は、受験生に宿泊難民が出てしまう恐れがあることを受け、「一人でも多くの受験生に無理なく宿泊してもらうため、コストが掛かる特典をカットした。ホテルとして、受験生のためになるプラン提供を行う」とし、今回のプラン発売に踏み切った。

 The b 八王子、The b 水道橋、The b 名古屋では、自習室の無料提供を行っている。また、無料貸出のドアプレートには、「受験勉強中」などの勉強に集中できるような文言や、「受験票持ってますか?」などの忘れ物防止に役立つメッセージが書かれている。このほかにも、加湿器や電気スタンド、膝掛けなど冬場の健康管理に欠かせないアイテムも貸し出し中だ。

 受験生応援プランは、シングル朝食付きが8500円から。ツイン朝食付きは1万2000円から。どちらも税込み。一部ホテルでは素泊まりも可能。

 プラン利用の際は、受験票の提示を求めている。

22年日本開催の国際会議は553件 参加者は32万5752人に(JNTO)

2023年12月15日(金) 配信

 日本政府観光局(JNTO)はこのほど、2022年JNTO国際会議統計を発表した。22年に日本で開かれた国際会議の件数は、前年比19・1倍の553件となった。参加者総数は、前年比5・9倍の32万5752人(うち外国人参加者数3万3787人)となり、着実な回復を見せた。

 一方で、19年比では、開催件数が84・7%減、参加者総数が83・7%減となった。

 月別では、22年3月の水際措置の見直し以降、対面開催による国際会議が徐々に増加し、水際措置が緩和された22年10月の件数は20年2月以来、2年8カ月ぶりに100件を超え、その後12月までの3カ月間で、319件と年間の5割以上を占めた。

 開催形態は、ハイブリッド形式で開かれた件数が420件にのぼり、全体の75・9%を占めた。

 JNTOは、「23年4月末に水際措置が撤廃されたことを受け、今後も開催件数の増加が見込まれる」とし、「23年5月に決定された『新時代のインバウンド拡大アクションプラン』で、日本における国際会議の新たな目標が明記されたことを踏まえ、国際会議の日本開催に向けた誘致活動を強化していく」と力を込めた。

HIS、福岡県・博多に無人店舗 オンラインで予約応じる

2023年12月15日(金) 配信

新店舗のようす

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)は12月15日(金)に、九州初となる無人店舗「博多マルイ オンライン接客カウンター」(福岡県福岡市)をオープンする。

 コンセプトは「好奇心を詰め込んで未知の世界へ……」。大空を描いた壁に、航空会社で使用されていた航空カーゴを再利用し、旅行相談のカウンターブースに仕上げた。ブースには端末デバイスを設置。同社のスタッフがモニター越しにオンラインで相談や予約に対応する。オープンを記念して、先着合計50組限定で新規申込に対し、1グループ3000円を割り引く。

 同社は2021 年から、店舗混雑時にも待ち時間なくスタッフによる接客を行うため、オンラインを活用した「ビデオチャット接客」を導入している。ビデオチャット接客専用の無人店舗は、北海道と青森に次ぐ3 カ所目。 

 HISは「オンライン化が進む昨今の環境に合わせて、今後も旅行申し込みの新しいツールとして活用していきたい」とした。

クラブツーリズム、混雑避けた冬の京都 JR東海「ずらし旅」共同で

2023年12月15日(金) 配信

時間・場所・旅先での移動手段・行動をずらす京都の旅

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都江東区)は、東海旅客鉄道(JR東海)と共同で「ずらし旅」ツアーを多数企画・販売した。

 JR東海が提供する「ずらし旅」は、時間・場所・旅先での移動手段・行動をずらす京都の旅を提案している。今回の共同企画では、クラブツーリズムならではの企画力で、人気の紅葉シーズンが終わり比較的混雑の少ない時期の京都を訪れるツアー。紅葉シーズンが終わると落ち着く観光需要の喚起を行い、季節を問わず京都の魅力を知ってもらうことで、オーバーツーリズム対策にも寄与する考えだ。

 企画の一例として、2024年2月18日(日)、19日(月)発の2日間のツアーでは、京都迎賓館を参加者限定で貸し切りし、参観できる時間を提供する。京都迎賓館では、壮麗な晩餐室「藤の間」の舞台で、京都五花街の1つ「祇園東歌舞会」の芸妓・舞妓による「京のをどり」を特別鑑賞できるなど、特別な文化体験も用意する。旅行代金は7万4900~7万9900円。

 また、多くの神社仏閣で特別拝観を企画しているシーズンのなか、世界遺産の7社寺の特別拝観を案内人付きで2日間で効率的に巡るコースなど、旅行会社ならではのツアーも企画。このほかにも、終日自由行動の日が必ず行程に入る、自由度の高いパッケージツアー「旅’smart」では、個人では行きづらい京舞鑑賞と京料理の昼食が楽しめ、世界遺産の3社寺に案内する4日間のコースも用意している。

KKday、モールの導入理由最多は訪日対策 日本展開1年で利用実態アンケート

2023年12月15日(金) 配信

導入理由の2位は「すでにKKdayグループのサービスを導入していたから」

 アジアでオプショナルツアー予約サイトを運営するKKday Japan(大淵公晴支社長、東京都新宿区)が12月6日(水)、体験予約のマーケットプレイス「KKdayモール」の日本展開開始から、1年が経過したことから、全国の出品事業者に行った利用実態のアンケート結果を発表した。KKdayモールを導入した理由(複数回答)への問いで最も多かったのは、「インバウンドを集客したかったから」の50%。

 KKdayモールは世界中にアクティビティや現地体験など自社の商品を販売することができる。日本語の商品説明文などは自動で英語や中国語、韓国語などに翻訳される。日本では、昨年10月にサービスを提供開始以降、400以上の事業者の2000以上の体験を掲載している。

 KKdayモールを導入したきっかけの2以降は「すでにKKdayグループのサービスを導入していたから」の19%、「国内のお客様を集客したかったから」の14%と続いた。

 「導入以降、どのエリアから予約が増えたか」(複数回答)では、1位が台湾(32%)。続いて、香港(21%)、韓国(10%)の順。

 導入当初と現在の課題については、当初は4%が決済・予約システムの信頼性を挙げたが、現在は1%ほどとなっている。同社は「安心してインバウンド対応が進められているため」と分析している。

 一方で、13%が導入当初の課題としてプロモーションと回答。現在は18%と5%増加している。これを受け、同社のマーケティング部広報の八須知美氏は「事例を紹介するセミナーを開講する予定となっている」とした。

磐田市の高校生がまちづくり研究 最優秀賞は「食と農の魅力旅」がテーマ

2023年12月15日(金) 配信

若者目線のユニークなアイデアが発表された

 静岡県磐田市(草地博昭市長)は毎年、公募で集まった高校生を対象に「いわた高校生まちづくり研究所」を開いている。このほど、その研究結果をまとめた企画発表会を開催。高校生たちが約5カ月の研究結果を発表した。

 最優秀賞は磐田農業高校のグループが考案した「食材ハンターへの道」。「食と農の魅力旅」をテーマに、市内の農業体験や飲食店を巡るガストロノミーツーリズムを通じて、市内の農業の活性化や持続的な地域社会を目指す提案を行った。

 そのほか、海洋プラごみを使ったものづくりワークショップの開催や、養殖したミジンコで開発したふりかけの資源化を目指す取り組みなど、高校生目線での提案が挙がった。

 今後同市は、市民や民間企業との協働・連携も視野に事業化を検討していく。なお、過去の提案では磐田駅北口広場のイルミネーションなどを実施している。