2025年5月20日(火) 配信
SANUの福島弦CEOら(右から4人目)
シェア別荘サービス「SANU 2nd Home」を手掛けるSANU(福島弦CEO、東京都目黒区)は5月19日(月)に東京都内で会見を開き、現在国内31拠点で展開している同サービスを今年度中に40拠点、28年までに100拠点、さらに35年には全世界500拠点へ拡大していく考えを示した。これらを実現していくため、“都市と自然を行き来する暮らし”の社会実装に向け、産業や地域を横断する共創基盤「SANU Lifestyle Partners」を始動。会見には、参画する日本航空(JAL)やANAグループなど6社が登壇した。
福島CEOは2021年に2拠点5室からスタートした事業が3年を経て、ユニークユーザーは2万3000人、合計宿泊数は7万泊と急速に拡大している背景などを紹介。暮らし方が多様化するなか、同社の調査によると約30%の首都圏居住者が2拠点居住へ関心を寄せている。一方、日本では「別荘」や「移住」はハードルが高い現実がある。そのなかで、同社のサービス展開により、手軽に自然のなかで「もうひとつの家」体験ができることが共感されているとした。若年層の利用も多く、「子供を自然に触れさせたいという都会の人のニーズに応えるもの」とした。
今後は積極的に拠点やサービスの拡大をしていきたい考え。「我われが売っているのは別荘ではない。その先の自然との触れ合いやライフスタイル。自然との関わりは一部の人だけではなく、誰でも享受できるものとして広げていきたい」と意気込んだ。
また、「ライフスタイルの確立は1社ではできない」とし、今回の共創基盤設立の趣旨を語った。参画するのはザ・ノース・フェイスの国内販売などを手掛けるゴールドウインと大丸松坂屋などを展開するJ.フロントリテイリング、不動産事業の日鉄興和不動産、JAL、ANAグループ、金融業界からクレディセゾン。会見では各社の担当者が意気込みや期待を語った。
そのなかで、ANA Xの徳田智昭副社長は「SANUのサービスは非日常と日常のブリッジ的な位置づけと考えている。我われの航空移動との相乗効果で新しい体験価値の提供に寄与していきたい」と力を込めた。JALマイレージ・ライフスタイル事業本部マイレージ事業部の杉山寿英部長は「我われは関係人口の創出に取り組んでいる」とし、「海外では富裕層でなくても2拠点居住を日常的に行っている。日本ではハードルが高く、1社では決してできない。まさに共創が重要だ。拠点の共同開発など、SANUと一緒に取り組むなかで1つでも2つでも課題を打破し、日本での2拠点居住実現の社会風潮を作っていきたい」と展望した。
このほか、SANUはサービス拡充のため、自然共生型建築をリードするADX(安齋好太郎社長、福島県二本松市)を子会社化したと発表。「設計から製造、運営、管理まで一気通貫で行う」(福島CEO)とし、今年中を目途に新体制に移行する。併せて、設計から加工、組み立て、施工まで工場で建築プロダクトを生産する自社拠点「SANU FACTORY」を進め、デジタル技術の活用やロボティクスによる一部自動化を導入することで、28年には年300棟生産の木造モジュール建築体制の構築を目指していく。