阿蘇駅には朝食レストラン、「ななつ星」専用バス完成(JR九州)

 JR九州が10月15日から運行するクルーズトレイン「ななつ星in九州」の専用バスが、このほど完成した。車両をデザインした水戸岡鋭治氏がデザインしたもので、天井から床まで木をふんだんに使用した空間になっている。

 座席は横4席、縦8列の32席で、シートピッチは920―950ミリ。最後部にトイレが設置されている。

 また、熊本県阿蘇駅のホームには、ななつ星の旅行最終日に、地元の食材を使った朝食を味わってもらうためのレストラン「火星(かせい)」も新設。10月15日から営業を始める。

 設置場所は阿蘇駅2番乗り場ホーム上で、庭付きの本格レストラン。ガラス張り構造で、オープンテラスも設置するという。席数は30席。一般客の利用も可能という。

中韓以外にもマイナス拡大、ハワイのみ力強い伸び

黒須宏志氏

日本交通公社 海旅動向シンポ

 日本交通公社は7月17日、東京都内で「第18回海外旅行動向シンポジウム」を開き、第1部では日本交通公社主席研究員の黒須宏志氏が「2012―2013・海外旅行マーケットの現状と今後の展望」と題し、海外市場について解説した。

 13年の旅行市場は引き続き堅調で、国内旅行は景況感の改善から旅行意欲がさらに上昇すると見通した一方で、海旅市場は中韓の回復への兆しが見えないだけでなく、中韓以外にもマイナスが拡大していると報告した。黒須氏は、海旅の減速要因は不透明としながらも、「外部環境が改善すれば海旅の需要回復は期待できる」と予測した。

 12年の海外市場は、旅行者数が過去最高人数の1849万人と記録を更新。9月以降には中韓の大幅な減少があったが、その他の方面は好調で、合計旅行者数はプラスに寄与した。また、(1)震災以降の旅行全体に対する意欲の高まり(2)海旅リピーターの増加(3)羽田国際化による供給量拡大(4)アウトバウンド座席の取りやすさ(インバウンド需要の弱さの反動)――などいくつかの条件も重なり、過去最高人数の結果となった。これらの要因から、昨年時点では13年の海旅市場に悲観的な見方はなく、中韓の減少についても一過性であり、環境が改善すれば需要も回復すると判断していた。

 しかし、13年に入ってからも中韓は回復せず、逆にその他の方面の寄与度まで大幅に縮小した。黒須氏は、「その他の方面が12年度と同じ伸び率を維持していれば、中韓のマイナスは減殺されていた。サーズ(SARS)や9・11のときのような『海外へ行くこと自体が危ない』という考えで旅行への意欲が減少したわけではない」と分析し、「中韓の特殊要因がその他の方面に波及したとは考えられない」と述べた。

 13年の海旅の航空座席供給量は、1―6月が前年同期比3・9%増と予測されていたが、現状は1・7%増と圧縮され、昨年ほどの伸びは見られず、航空仕入環境は徐々に厳しくなると予測した。

 アウトバウンド・インバウンドの寄与度は12年9月を境に反転し、現状は、アウトバウンドのマイナスをインバウンドの旅客が埋めるかたちとなっている。

 インバウンド旅客の現状は、韓国・台湾・香港・東南アジア発を中心に予想を大きく上回るペースで回復しているが、需給関係が逼迫するまでには至っていない。今後、アウトバウンドが復調すれば状況は急激に変わると推測された。

 12年9―12月の出国率変化を性年代別でみると、男性のシニア層よりも女性のシニア層の方が減少は大きく、とくに女性の60―64歳は大幅に落ち込んだ。また、13年1―4月の出国率変化では、男性の15―19歳、20―24歳を除いて、全体的にマイナスとなり、海旅市場の低迷が伺える結果となった。

 休暇・観光目的の旅行における短距離方面(北東アジア、東南アジア、グアム・サイパン)と長距離方面(その他)の比率の推移をみると、2004年には完全に長距離方面から短距離方面へと海旅の人気は変わった。

 12年度、13年度の上期・下期の方面別キャパシティ動向をみると、12年度に高い伸びを示していたオセアニアやグアム・サイパンが13年度の上期・下期ともにマイナス。13年度はハワイのみが力強い伸びを見せる結果となり、短距離方面のなかでも人気が分かれた。

 総務省の「消費者動向調査」、内閣府の「景気動向指数」をみると13年1月以降、景況感の推移は上昇し、国民の意識も後追い的ではあるが良い方向に向かっており、13年5月に実施されたJTB総研の「消費者意識」の調査では、「やりたいことを後回しにしない」という回答が約6割と、震災後に消費者の意識が変化したことが表れている。また、JATAのDI値の推移では、国内が久しぶりにプラスとなり人々が旅行へ行きたいという意欲が感じられる結果となった。

 第2部は、パネリストに消費研究科の三浦展氏と三菱総合研究所事業予測情報センター主席研究員の高橋寿夫氏を招き、「これからの団塊世代後のシニア旅行マーケティングを考える」をテーマに講演。つかみどころがないと言われるシニア世代の旅行の今後について考察した。

シティプロモ協議会設立、戸田市・神保市長が会長に

会長の神保国男市長

 JTBコーポレートセールスの呼び掛けで8月9日、シティプロモーションに取り組む自治体や民間団体などのプラットフォーム「シティプロモーション自治体等連絡協議会」が設立した。同日開いた設立総会で、戸田市(埼玉県)の神保国男市長が会長に就任した。設立時の会員は3自治体・5企業。

 同協議会の設立趣意によると、自治体間競争が活発化しつつあるなか、自治体が行う取り組みの1つにシティプロモーションがある。一方で、中小規模の自治体が単独で実施していくには限界があることに加え、シティプロモーションは自治体にはない「営業」の要素が多く、民間団体などの活動から学ぶ要素が多いという。このため、自治体と民間団体などの相互交流をはかる場を設けることで、シティプロモーション活動を推進し、魅力ある地域づくりに寄与することを目指す。

 あいさつに立った神保会長は「全国の自治体が、より効果的なプロモーションを展開していけるよう努めていきたい」と就任の意気込みを語り、「協議会の活動をより確実なものとするためには1つでも多くの自治体に加盟してもらい、一丸となってシティプロモーションを推進していく必要がある。ぜひ積極的に加盟していただきたい」と呼び掛けた。

 事務局を務めるJTBコーポレートセールスの本社営業部第五事業部・町田忠部長は「なかなかプロモーションの効果が上がらない」という自治体の声も紹介し、協議会では情報や課題をお互いに共有し、解決策を導き出すとともに、住民などのステークホルダーに発信していくことも目的にすることを示した。

 また、総会後はセミナー・情報交換会も実施。28の自治体から担当者が参加し、現状や課題を語り合った。

入場者6千万人を達成、スパリゾートハワイアンズ

フラガールがレイをプレゼント

 福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズは、1966年1月創業以来の累計施設入場者数が8月20日で6千万人を達成した。

 今年1月の累計宿泊者数1500万人突破に続く快挙。同施設は日本初の温泉テーマパーク「常磐ハワイアンセンター」として66年1月に創業し、同年に宿泊施設も営業を始めた。90年3月には、水着で入る温浴施設「スプリングパーク」を開業し、名称も「スパリゾートハワイアンズ」に変更した。

 以降、顧客ニーズの多様化に合わせ、97年にはギネスワールドレコーズ認定の世界最大の浴槽面積を誇る露天風呂「江戸情話与市」、99年には美と健康をテーマとした滞在型宿泊施設「ウイルポート」、01年には屋外の温浴施設「スパガーデンパレオ」をオープンした。さらに、東日本大震災による休館から全面営業再開した12年2月、新ホテル「モノリスタワー」を開業した。

 6千万人目の入場者となったのは、福島県福島市から家族3人で両親と来場した渡邉歩太君。フラガールがレイをプレゼントし、鷺隆一支配人が「6千日間(16年6カ月)入場フリーパス」を贈呈した。

旅行業界の課題をテーマ別に議論、当日申し込み受付も可能

昨年の国際観光フォーラムのようす

JATA旅博国際観光フォーラム2013

 日本旅行業協会(JATA)は9月12―15日までの4日間、東京ビッグサイトで「JATA旅博2013」を開催する。このうち、13、14日は「国際観光フォーラム2013」を開く。フォーラム2日目となる14日(土)は、平日に休みが取りにくい現場担当者にも参加しやすいように、土曜日に設定。「MICEマーケティング」「旅行会社の危機管理」「広域プロモーション」など多彩なプログラムが用意されている。

 特設セミナールームKでは、午後から各種シンポジウムが開かれる。

 正午から午後1時30分までは「MICEマーケティング」をテーマに、航空新聞社取締役編集長石原義郎氏がモデレーターを務め、パネリストには近畿日本ツーリストECC事業本部カンパニー第7営業支店支店長の香川晴美氏、日本コンベンションサービスMICE都市研究所執行役員所長の廣江 真氏、横浜市文化観光局 観光コンベンション振興部長の赤岡謙氏が登壇。国際会議のみならず、MICE全般の振興に取り組んでいる各地のMICEプロモーションにおける戦略、さらに「旅行業界はその戦略にどのように関わっていくべきか」など、具体的な事例からその可能性を探る。

 午後2時から3時30分までは、「旅行会社が主催するツアーの安全安心をどう確保するのか」をテーマに、近畿日本ツーリスト海外旅行部部長の菅野貴氏をモデレーターに、パネリストはグローバルユースビューロー営業部取締役部長の柴崎聡氏、ユーラシア旅行社取締役企画旅行事業本部長の川畑宏氏が登壇する。安全・安心であるはずの旅行会社による主催ツアーで、旅行者が思わぬ事故に見舞われる事象が世界各地で発生している状況で、アウトバウンドにおける中堅旅行会社の取り組みを紹介しながら、災難を未然に防ぐための対策について議論する。

 午後4時から5時30分までは「広域ディスティネーションのプロモーションを考える」をテーマに、フィンランド政府観光局日本代表の能登重好氏がモデレーターを務め、ブランドUSA日本事務所日本代表・アジア地区担当ストラテジーディレクターの早瀬陽一氏、クロアチア政府観光局日本代表のエドワード・トゥリプコヴィッチ・片山 氏、国土交通省中部運輸局企画観光部長の村田 有氏がパネリストとして参加。行政上の国境・県境に関わりなく存在する観光の魅力は、地域としての競争力を高め、旅行業界、そして受入地の発展に欠かせない戦略のひとつである。市場主導のプロモーションと、受入地主導のプロモーションを検討し、マスタープランの在り方やその立案について模索する。

 なお、国際観光フォーラムへの参加は、事前登録がなくても、当日会場での申込みが可能だ。

「バニラ・エア」で再始動、敗因は路線展開の遅さ(エアアジア・ジャパン)

石井知祥社長

 親会社のANAホールディングスとエアアジアの合弁解消で10月までの運航となったエアアジア・ジャパン(石井知祥社長)は、8月20日に会見を開き、12月以降ANAグループの1つとして運航開始するLCCの新社名と新ブランド名を発表した。社名は「バニラ・エア株式会社」、新ブランド名は「バニラ・エア」とし、再始動する。ロゴも同時に発表され、ブランドカラーはブルーとイエローになった。

 バニラ・エアは引き続き成田国際空港を拠点とし、国際線に比重を置いたプレジャー・リゾート路線を展開していく。エアアジア・ジャパンでの運航は10月26日までで、バニラ・エアの運航開始は12月下旬を予定。路線や商品概要などの詳細は9月下旬に発表、航空券の販売開始は11月下旬を予定している。機体は当初2機で運航を開始し、13年度中には3―5機に増やすという。また今後は、14年度中に8機、15年度中に10機を目指す。価格帯は「大手の半額」を想定しているという。

 石井社長は「競争力がある手ごろな運賃と、利用しやすいシステム、安心・安定感のあるサービスで、新しい価値を生みたい」と語った。エアアジア・ジャパンが利用率や収益を上げられなかった理由について、現在社内プロジェクトを立ち上げ課題を抽出中という。課題の1つに営業開始まで短期間の準備だったことを挙げ、「エアアジア本隊の販売のシステムや制度をそのまま取り入れたが、日本の基準にあわなかった。Web販売が日本人客に使い勝手がよくなく、安定性がなかった」と話した。現在システムを構築中で、Web以外での販売も行うという。また、同時期に運航開始したジェットスター・ジャパンの機材投入・路線展開の速さを挙げ、「エアアジア・ジャパンは機材投入と路線展開が遅く、他者に競争力で劣った」と分析した。

 なお、エアアジア・ジャパンの社員420人にはそのままバニラ・エアへ残ってほしいとの希望を述べたが、一部、本人希望により退職者がいることも明かした。

VJC10年、観光庁発足5年の節目、ビザ緩和の東南アジアに焦点

久保 成人(くぼ・しげと)観光庁長官

 8月1日に4代目となる観光庁長官に就任した久保成人長官は、8月21日の会見で、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)が始動して10年、観光庁が発足して5年になる今年について、首相をトップとする観光立国推進閣僚会議やそこで出されたアクションプログラムを挙げ、「観光が、政府が本気で取り組む成長戦略の重要な柱の1つになった節目の年」と語った。

 上半期の訪日外客数が前年比22・8%の495万人となり、13年目標の1千万人達成が見え、さらにその先には「20年に2千万人」を掲げるインバウンド政策について、久保長官は(1)訪日需要の掘り起こし(2)訪日の決定と実行(3)出入国手続き(4)訪日満足度――の4つに分け方針を語った。

 訪日需要の掘り起こしでは、焦点をしぼった訪日プロモーションの重要性を強調。「ビザ緩和が追い風となる東南アジアに集中プロモーションをかける」と話した。今後のビザ緩和については、7月の緩和時に含まれなかったミャンマー、ラオス、カンボジアを次なるターゲットに見据え「議論に参加していきたい」とした。尖閣問題以降落ち込む中国については、個人旅行は回復してきているとし、「FITにターゲットを絞ったプロモーションを行っていく」という。

 出入国手続きについては、クルーズ船観光を例に挙げ、「出入国手続きなど出入り口のスムーズ化が重要」と語った。また、訪日客の満足度については、課題点として、道路・交通・観光施設などでの多言語化、免税、ムスリムの受入環境整備強化、観光地域づくりなどを挙げた。

 旅行業に関わる現行制度の見直しなど、4月に出された観光産業政策検討会の提言については、「広範な議論が必要なので、9月中に有識者会議を開き議論を深め、制度的見直しが必要なものは見直していく」と語った。また、旅行業、宿泊業など関係業界について「現場で働いている方がいるから観光が成り立つ。現場の声を謙虚に聞いていきたい」と述べた。

No.349 日田市豆田町 ホテル風早 - レストラン・宿泊・宴会を連携

日田市豆田町 ホテル風早
レストラン・宿泊・宴会を連携

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿がある。なぜ、支持されるのか、その理由を探っていく「いい旅館にしよう!」プロジェクトのシリーズ第15弾は、大分県日田市豆田町で「ホテル風早」を経営する武内眞司社長が登場。工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏との対談で、レストラン、宿泊、バンケット(宴会場)の3部門をバランス良く経営する武内社長の緻密な経営手法について語り合った。

【増田 剛】

〈「いい旅館にしよう!」プロジェクトシリーズ(15)〉 ホテル風早

■内藤:「ちょっと良い日常」をテーマに、敷地内のレストラン・宿泊・バンケット事業を上手く連携させて、安定した経営をされている武内社長のこれまでの経緯からお話し下さい。

■武内:東京の大学を卒業後、福岡のホテルで5年ほど働いたあと、27歳のときに日田市に帰り、100年続いていた家業の本屋を継ぎました。そのころ、「少年ジャンプ」という雑誌を車に積んでこの辺り(豆田町)を配達していました。当時は寂れた町でしたが、雛人形でまちを活性化しようという時期でもありました。「私もここで何かをやりたいなぁ」と考えていたときに古い酒蔵が目に止まり、「これをレストランにしよう」と思い立ち、1988年に約4千万円を投資してこの酒蔵を改装し、レストラン「欧風懐石 秋子想(ときこそう)」を創業しました。

 

※ 詳細は本紙1514号または9月3日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

心機一転「本社移転」 ― 観光業界のコミュニティーの中心に

 心機一転。本紙「旅行新聞」の東京本社が9月2日から、新しい事務所で営業をスタートする。この原稿を書いている8月下旬現在、慌ただしい移転準備の真っ只中なのである。

 旧事務所から横丁の角を曲がった新事務所まで歩くと、駐輪自転車が邪魔で少し大回りしたものの203歩だった。心機一転には違いないが、同僚の顔ぶれも、利用する最寄りの地下鉄駅も、昼メシを食べる店も、たぶん以前と変わらない。それにしても引っ越しとは身辺整理であると再認識した。机の周りに積み重なった資料の山は、ほぼすべて捨てた。「今まであったことすら気づかなかったのだから、これからも同じように重要ではないはずだ」との信念によるものだ。それに、今は紙のみの資料はほとんど存在しない。何らかのかたちで、パソコンの中にデータとして残っている。

 先日、本紙と提携関係にある台湾「旅奇週刊」の記者とイタリアンレストランで会食した。そのときに、日本では営業マンが商談などの際に初対面の相手に取り出す会社概要(パンフレット)が、台湾ではほどんど使われないという話をしながら、台湾は、随分ペーパーレス化が進んでいることを知った。新聞社としては複雑な思いだが、日本でもペーパーレス化はどんどん進行していくはずである。

 そして、IT化が可能にしたペーパーレス化を、さらに突き詰めていくと、「事務所もいらないのではないか」という考えに至る。つまり「オフィスレス」である。記者はノートパソコン1台あれば、原稿はどこでも書けるので仕事場は選ばない。職種にもよるが、部分的にオフィスレス化が進んでいくことが予想される。IT社会によって便利になる一方で、文明の利器の囚人にならぬようにしたい。時間的、空間的にも、より自由になれることを望んでいるが、人間は自らが発明した道具に縛られていく動物でもあるからだ。

 そして今夏は、猛暑や、「経験したことのない大雨」が頻発した。大荒れの8月が終わり、9月1日は「防災の日」。大地震や大型台風、集中豪雨など、近年凶暴化しつつある自然災害への備えが必要である。

 例えば首都圏で大災害が発生した際、危険度の極めて高い都心にスシ詰め状態の満員電車が一斉に向かうのは、防災や危機管理の考えとは真逆の行動のはずである。新型インフルエンザなど、国家的危機の“パンデミック”が発生した際も同じである。データ通信によって、危険地域から分散して個人が仕事ができる環境整備も必要だ。

 近い将来、この国でオフィスレス化が拡大したとしても、人々は個々に分散していく一方向ではなく、自発的に集合できる空間を今以上に求めるのではないか。旅行会社で上手くこのコミュニティーを取り入れているのがクラブツーリズムである。定年後、会社という“居場所”を失った世代にも、新しい自発的なコミュニティーの場を提供している。今後、さらに細分化していくであろうコミュニティーの場に、旅行会社や観光産業がどのように深く関わり合っていけるかが勝負になる。

 旅行新聞は今秋から、台湾「旅奇週刊」の紙面を月1回のペースで掲載していく。また、宿泊業界で最大の関心事である「耐震問題」の連載もスタートさせる。本紙が観光業界の自発的なコミュニティーの中心となれるよう、紙面づくりに努めていきたい。

(編集長・増田 剛) 

高速路線バス運行へ、ISO39001認証取得(ウィラー)

ISO39001の認証式

 ウィラーエクスプレスジャパン(村瀬茂高社長)は7月31日から、高速バス「WILLER EXPRESS」を高速路線バスとして運行を開始した。また同日、高速路線バス業界で初めて、道路交通安全マネジメントシステム・ISO39001の認証を取得し、新たなスタートを切った。

 東京・新宿の同社バスターミナルで開いた開業式で、村瀬社長は「本日から高速ツアーバスと高速路線バスが1つになり、新たな高速バスが始まる。今後も顧客主義で今まで以上に快適で便利なバスを提供していく。価値の創造で新たな市場をつくり、業界の発展に寄与していきたい」とあいさつ。また、安全についてはISO39001をもとに徹底的に追求するとし、「顧客サービスと安全の確保を同時に確立する」と強調した。

 今後の展望はグループミッションの「世界中の人の移動にバリューイノベーションを起こす」を紹介したうえで、「2地点間の移動だけではなく、観光交通インフラを構築したい。バスとバスを乗り継いで日本を移動できるような高速バスネットワークを作るため、乗り継ぎのビジネスモデルを研究していく」と語った。

 WILLE EXPRESSはグループ路線9社、共同運行会社1社、運行委託会社13社で、全国22路線201便を運行するが、開業式にはグループ7社の代表が登壇。共同作業で「安全第一顧客主義」と書き初めし、安全運行に邁進することを誓った。

 また、ISO39001の認証式も行い、審査団体の日本海事協会から村瀬社長に認証が手渡された。