【第50回旅館100選】山梨県・甲州西山温泉 「全館源泉掛け流しの宿 慶雲館」

2025年10月6日(月) 配信

桶型の源泉掛け流し展望野天風呂

ギネス世界記録に認定された、世界で最も歴史のある旅館

 約1300年前の開湯以来、西山温泉は早川渓谷の秘湯として多くの人に愛されてきた。なかでも、705年創業の「全館源泉掛け流しの宿 慶雲館」は、2011年に「世界で最も歴史のある宿」としてギネス世界記録に認定された老舗だ。館内は日本建築の美を集結した純和風の造りで、数寄屋造りの客室は気品が漂う。

幽玄のたたずまいを見せる外観
展望大浴場「桧香の湯」

 歴史を重ねた源泉掛け流しの温泉は、湯量毎分1632ℓと掘削源泉として日本随一の量を誇り、6つのお風呂はもとより給湯やシャワー・客室風呂にいたるまで加温・加水なしの全館源泉掛け流しを贅沢に楽しむことができる。

露天風呂付特別客室

 食事は、一品一品運ばれる彩り豊かな深山会席料理。渓流のヤマメやイワナ、地元の山菜など南アルプスならではの旬の食材がアレンジされ、美しい和の伝統を感じさせてくれる。

会席料理の一品「西山温泉名物-どんぐり麺」

身延山 久遠寺

 鎌倉時代に日蓮聖人によって開かれた日蓮宗の総本山、久遠寺。建立から約750 年の歴史を誇り、宝物館では国宝・重要文化財・指定文化財を数多く所蔵している。境内の祖師堂(写真)前と仏殿前に立つ樹齢約400年の2 本のシダレザクラは、県内有数の花見スポットとして知られている。

 

交通:《車》中部横断自動車道「下部温泉早川IC」から県道37号線を通って約60分、 P50台(無料)
   《電車》JR身延線 身延駅から山梨交通バス奈良田行で90分、西山温泉下車※送迎バス有(13:40、要予約)
チェックin15:00 out10:00
食事:《夕・朝食》個室会場または宴会場
部屋:全22室
風呂:露天風呂、サウナ、大浴場
泉質:ナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉
料金:2万8,600円~6万6,000円

〒409-2702 山梨県南巨摩郡早川町西山温泉
☎0556(48)2111 FAX0556(48)2611
https://www.keiunkan.co.jp/
Wi-Fi:使用可 外国語対応:英

 

 

 ※この記事は、旅行新聞新社主催「第50回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」に選出された施設で、書籍「2026年度版 プロが選んだ日本のホテル・旅館100選&日本の小宿(BEST100 HOTELS&RYOKANS IN JAPAN)」(自由国民社)に収録されている内容を紹介しています。

【旅行新聞 創刊50周年メッセージ】 日本旅館協会 会長 桑野 和泉 氏

2025年10月6日(月) 配信

 本紙は今年、創刊50周年を迎えた。共に歩みを重ねてきた観光関係団体や提携紙のトップから、これまでの労いや今後への期待を込めたメッセージをお寄せいただいた。順不同で紹介する。

                    ◇

宿に寄り添った50年

日本旅館協会 会長 桑野 和泉 氏

 

 創刊50周年という素晴らしい節目を迎えられたことに、心よりお祝いを申し上げます。この半世紀の間、観光産業のありようも大きく変化してきたなかで、貴紙が観光業界の専門紙として、適宜適切に情報を発信してこられたご功績に対し、深く敬意を表する次第です。

 私ども宿泊業界は、コロナ禍という経験したことのない困難に見舞われ、未だ、難しい舵取りを迫られている施設も多くあります。現在、私どもでは、コロナ禍を克服し、世界に通じる「ミライのリョカン」像を追求すべく、各施設それぞれの立場で、夢のある旅館づくりに向けた取り組みを進めているところです。

 こうしたなか、貴紙におかれましては、業界が抱える課題解決のための取り組みを紙面で取り上げていただくなど、常に私どもに寄り添っていただいております。

 以上、観光業界、とりわけ、宿泊業界に寄り添って下さった50年間の取り組みに改めて感謝を申し上げるとともに、これからも共にありたいと心から願い、私からの寄稿とさせていただきます。

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(249)」 祈る皇女斎王のみやこ(三重県・明和町)

2025年10月5日(日)配信

祈る斎王像(斎宮歴史博物館蔵)

 伊勢神宮に至る三重県・明和町には、かつて「幻の都」と呼ばれた斎宮跡とその復元遺跡がある。その物語が2015年、初の日本遺産に認定された。9月中旬、その認定10周年を記念するシンポジウムにお声掛けいただいた。

 20年に一度の伊勢神宮式年遷宮を9年後に控え、「斎宮と伊勢神宮のストーリーが紡ぐ持続可能な観光地域づくり」と題して、地域活性化計画とこれからのまちづくりの方向性をテーマに熱心な討議が行われた。

 伊勢神宮は知っていても斎宮は意外と知られていない。斎宮は「いつきのみや」とも呼ばれ、斎王の宮殿と斎宮寮という役所のあったところである。

 斎王は、天皇に代わって伊勢神宮に仕えるため、天皇の代替りごとに皇族女性の中から選ばれ、都から伊勢に派遣された。最初の斎王は、天武天皇(670年ごろ)の娘・大来皇女で、制度が廃絶する後醍醐天皇の時代(1330年ごろ)まで約660年間続き、その間記録には60人余りの斎王の名が残されている。

 斎宮跡は、1979年に国史跡に指定された。以来、県の斎宮跡調査事務所の開設とともに本格的な調査も開始された。斎王の森周辺地区のポケットパーク整備や斎宮歴史博物館、いつきのみや歴史体験館の開館などが続いた。明和町歴史的風致維持向上計画の認定など、保存と活用に向けた積極的な活動も展開されてきた。

 こうした活動に加えて、近年は明和町全体の地域ブランド化の取り組みも始まった。その中心が2019年に発足した明和町観光商社(登録DMO)である。「神宮ゲートウェイプロジェクト(斎宮・外宮・内宮)」を掲げ、明和町への観光客誘致や伊勢街道沿いの賑わいづくり、神社を軸にした地域活性化、子供たちの郷土愛育成など力を入れている。

 神宮と明和町を結ぶ伊勢街道沿いには、かつて多くの往来客があり、そのなかで盛んになった擬革紙や松阪木綿の御糸織など、多様な資源が残る。擬革紙は表面に皺や凹凸、色を付けて革のような風合いに加工された和紙である。動物性の革を嫌う伊勢神宮土産として発展したとも言われている。

御絲織(松阪木綿)の工場

 また松阪木綿はこの地域を代表する地域産業だが、そのルーツも伊勢神宮と深いつながりがある。伊勢神宮では毎年春と秋、天照大御神に和妙と呼ばれる絹と荒妙と呼ばれる麻をお供えする神御衣祭が行われている。神御衣は、隣の松阪市との境界にある神服織機殿神社と神麻続機殿神社で奉織されている。これら機殿の技に改善が加えられ、この地方一帯の機業は盛んとなり、これがのちの松阪木綿へとつながっていったといわれている。

 シンポジウムでは、こうした地域の歴史とともに、これらを次の時代にどう生かすのか。斎宮という唯一無二の歴史遺産を地域活性化に生かす戦略とその実現に期待したい。

(観光未来プランナー 丁野 朗)

【旅行新聞 創刊50周年メッセージ】  全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 会長 井上 善博 氏

2025年10月5日(日) 配信

 本紙は今年、創刊50周年を迎えた。共に歩みを重ねてきた観光関係団体や提携紙のトップから、これまでの労いや今後への期待を込めたメッセージをお寄せいただいた。順不同で紹介する。

                    ◇

持続可能な地域づくり

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 会長 井上 善博 氏

 創刊50周年をお祝い申し上げます。貴紙の質の高い報道に接し、宿泊観光業界の関係者一同、多大なる学びと示唆を賜っております。

 さて、当初は衛生水準の維持・向上を目的に設立された全旅連も、この50年の社会経済情勢の変化に伴い役割を拡充し、21世紀に入ってからは、観光立国・日本の実現に尽力して参りました。

 近年、我が国においては地方創生が喫緊の課題となっています。宿は歴史的にも地域に支えられ、また地域を支えてきた存在であり、持続可能な地域づくりを実現すべく、全国各地の宿が地域課題の解決に努めております。また、宿が地域の公的インフラの一翼を担うべく、各都道府県組合が自治体と災害協定を締結し、自然災害時には2次避難者を受け入れるなど、復旧・復興においても重要な役割を担っております。

 これまでの50年は観光そのものに価値が見出されてきましたが、これからの50年は観光を通じて社会にいかなる好影響をもたらすか、その意義が一層問われる時代になるのではないでしょうか。

 こうしたなか、全旅連としても貴紙と共に力を合わせ、宿泊観光業界の健全な発展と持続可能な地域づくりに邁進して参る所存であります。

【第50回旅館100選】山梨県・富士山石和温泉 「華やぎの章 慶山」

2025年10月5日(日) 配信

岩大露天風呂「六花仙」

贅沢な自家源泉と太鼓ショーで楽しい旅のひとときを

 駅から徒歩5分の好立地に建つ「華やぎの章 慶山」は、湯量豊富な大自噴温泉が自慢の宿だ。大浴場のほかに檜、岩の2つの露天風呂で楽しめる湯は柔らかな感触が特徴で、肌がつるつるになると大人気だ。

「慶山」全景
客室一例

 2024年2月には、ポーラ・オルビスの肌科学研究で「バリア・オアシス温泉」と認定。肌本来の保水力を活かしたモイスチャー温泉で、うるおいを与えながら健やかな肌を保つことができる。この温泉は、露天風呂付客室「昌客殿」、露天風呂・サウナ付特別室「~和~」でも満喫できる。

地元の食材にこだわった絶品料理

 評判の会席料理や種類豊富なバイキングは、地元の旬素材を生かしたここだけの味。牛鉄板焼処「千」や、板前割烹「昌」では、また一味違うおもてなし料理がいただける。食後には、毎晩開催中の「慶山太鼓ショー」を満喫。一心に打ち鳴らす太鼓は迫力満点で必見だ。(中止の場合あり)

慶山太鼓ショー

慶山オリジナル商品

 お客様の“美味しい”をお土産にした慶山オリジナル商品。人気の「慶山漬け」や「鶏そぼろ」、ドレッシングなど、すべて手作りの逸品。「慶山」の本格的な味を家庭でも気軽に堪能できる。売店で購入、商品の発送も行っている。

 

交通:《車》中央自動車道 一宮御坂ICより国道20号を経由し約10分、P有(無料)
   《電車》JR中央本線 石和温泉駅から徒歩5分※無料送迎有
チェックin15:00 out10:00
食事:《夕食》個室、広間
   《朝食》バイキング会場
部屋:全116室
風呂:男女別大浴場各1、男女別露天風呂各1
泉質:アルカリ性単純泉
料金:1万3,000円~5万円

〒406-0031 山梨県笛吹市石和町市部822
☎055(262)2161 FAX055(262)4162
https://keizan.com/
Wi-Fi:使用可 外国語対応:英

 

 

 ※この記事は、旅行新聞新社主催「第50回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」に選出された施設で、書籍「2026年度版 プロが選んだ日本のホテル・旅館100選&日本の小宿(BEST100 HOTELS&RYOKANS IN JAPAN)」(自由国民社)に収録されている内容を紹介しています。

【旅行新聞 創刊50周年メッセージ】日本観光振興協会 会長  菰田 正信 氏

2025年10月4日(土)  配信

 本紙は今年、創刊50周年を迎えた。共に歩みを重ねてきた観光関係団体や提携紙のトップから、これまでの労いや今後への期待を込めたメッセージをお寄せいただいた。順不同で紹介する。

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時宜を得た情報発信を

日本観光振興協会 会長 菰田 正信 氏

 

 旅行新聞の創刊50周年、心よりお祝い申し上げます。長年にわたり、観光・旅行業界の専門紙として業界の発展に多大なるご尽力いただいたことに、心より敬意を表します。

 昨年、訪日外国人旅行者による消費額は過去最高の8兆1000億円を記録し、観光産業は、主要品目の輸出額と比べると自動車に次ぐ第2位の規模へと成長を遂げました。一方で、人手不足や訪日外国人旅行者の一部地域への集中といった課題にも直面しています。

 当協会では、こうした諸課題の解決と、地域と観光産業の持続的成長に向けて、「観光地域づくり」「観光人材育成」「観光DX」の推進を事業の3本柱に掲げ、活動して参ります。

 今後も、観光が地方創生を支える重要な産業として我が国の経済成長に貢献するために、観光の価値を高めるとともに、積極的な情報発信を続けることが重要だと考えています。貴紙には、今後とも時宜を得た的確な情報発信に期待・お願い申し上げるとともに、さらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。

「観光革命」地球規模の構造的変化(287) 対米80兆円投資の怪

2025年10月4日(土) 配信

 今夏は記録的猛暑が続いたので、私のような高齢者には辛い日々であった。かつての日本では夏には怪談が付きものだった。日本の夏の年中行事である「お盆」には、あの世から死者の霊魂が帰ってくるだけでなく、恨みを抱く怨霊も帰ってくると考えられていた。日本の夏は祖先の霊魂と交感する季節だけでなく、怨霊の無念を語る季節でもあったために夏には怪談が付きものだったと民俗学者は解釈している。

 私は子供のころから怖がりだったので怪談が苦手だ。そのため今夏の日米関税交渉で赤澤亮正経済再生相がラトニック商務長官との協議の結果、5500億㌦(約80兆円)の対米投資を約束したという報道に接したときに強い不可解を感じた。私には詳しい内容が不明であるが、単純化すると、トランプ大統領の任期中(あと約3年)に大統領が選定する米国プロジェクトに日本側が約80兆円を投資する。日本はプロジェクトを拒否する権利を有するが、その場合、米国は日本からの輸入品に関税を課す。投資額を回収するまではプロジェクトの利益を日米で均等に分配するが、その後は利益の90%を米国に、10%を日本に分配するとのこと。

 この対米投資は、タテマエとして民間主導の投資とされているが、現実には日本の政府系金融機関の資金や日本貿易保険(100%政府出資の公的輸出信用機関)の保証付きなど、公的資金による投資にならざるを得ない。そういう意味で、あたかも日本が米国の属国であるかのような不平等な協定に基づく対米投資で、真夏の怪談のようなおぞましい内容で驚愕している。

 対米80兆円投資を含めて、日本はいまさまざまな内憂外患を抱えており、優れた国家指導者の存在を必要としている。そういう危機的状況の中で新しい自民党総裁を選出するプロセスが進行中だ(10月4日投開票)。5人の総裁候補者による討論を見聞きしていても、日本の国益を守り、地域の繁栄を実現して、国民を確実に幸せにしてくれる中央政治家の不在を思い知らされるだけで、日本の未来に不安を感じるばかりだ。

 80兆円もの膨大な投資資金の余裕があれば、日本国内のさまざまなプロジェクトにこそ有効活用すべきであり、それによって明るい未来を切り拓くことができるはずだ。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

【第50回旅館100選】山梨県・富士山石和温泉 「銘石の宿 かげつ」

2025年10月4日(土) 配信

風格あるたたずまいが美しい「かげつ」

美しくさりげなく、伝統ある寂の心を伝える

 落ち着いた数寄屋造りの和風建築、手入れの行き届いた日本庭園、敷地内に配された銘石の数々が調和する「銘石の宿 かげつ」。

錦鯉が泳ぐ情緒あふれる日本庭園
1階の全ての客室から池の鯉に餌をあげることができる

 松やサツキなどが美しい庭園には、1万匹余りの鯉が泳ぐ池や20カ所もの滝があり、湯上りの散策を楽しませてくれる。露天風呂もこの庭園の中に位置し、緑と巨石に囲まれた美しい造りとなっている。

男性用露天風呂
広々としたロビー
テラス付 温泉半露天風呂付客室「天下和洋室」

 ゆったりと広い客室は、庭園を囲んで建つ「西殿」、「東殿」、「中殿」、「南殿」にある。

和洋室一例

 通常和室が新たに和洋室へと改装され、次の間付客室が2室、露天風呂付客室が3室となった。

彩り豊かな懐石料理(一例)

 夕食は、食材をはじめ、器などの細部までこだわった旬の逸品を味わえる。新たに完成した食事処「桃源亭」では堀座卓室や高座椅子対応室が備えられており、より幅広い客層にも対応できるようになった。

 

「かげつ別邸~ The ONE ~」オープン

 「かげつ」の奥の殿が2024年8月に、愛犬と泊まれる宿「かげつ別邸~ The ONE ~」としてリニューアルオープン。自慢の日本庭園を眺めながら、広々としたお部屋でペットと一緒に特別な時間を過ごすことができる。

 

交通:《車》中央自動車道 一宮御坂ICから10分、P100台(無料)
   《電車》JR中央本線 石和温泉駅からタクシーで5分 
チェックin15:00 out10:00
食事:《夕食》部屋、食事処(個人)、宴会場(団体)
   《朝食》部屋、食事処(個人)、グリル(団体)
部屋:全36室[露天風呂付客室8室(内3室和洋室)、次の間付客室17室(内2室和洋室)、一間客室9室、かげつ別邸~ The ONE ~ 3室]
風呂:男女別大浴場、大露天風呂、サウナ風呂
泉質:アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
料金:2万2,400円~

 

〒406-0024 山梨県笛吹市石和町川中島385
☎055(262)4526 FAX055(263)2205
https://www.isawa-kagetsu.com/
Wi-Fi:使用可 外国語対応:英・中

 

 

 ※この記事は、旅行新聞新社主催「第50回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」に選出された施設で、書籍「2026年度版 プロが選んだ日本のホテル・旅館100選&日本の小宿(BEST100 HOTELS&RYOKANS IN JAPAN)」(自由国民社)に収録されている内容を紹介しています。

復興支援の感謝伝える 加賀屋レプラカン歌劇団、台湾で特別公演 加賀屋など3社が協業

2025年10月3日(金) 配信

加賀屋レプラカン歌劇団

 加賀屋(石川県・和倉温泉)、JTB、アサヒビールは、3社で協業する能登半島地震の復興支援に関する取り組み第2弾企画として11月27~30日の4日間、台湾北投温泉で「加賀屋レプラカン歌劇団」による特別公演を実施する。同公演を通じて、能登半島地震における台湾からの復興支援に感謝を伝えるとともに、北陸の魅力を発信していく。

 「加賀屋レプラカン歌劇団」は、ディナーショーやイベントショー、インバウンド向けショーなど、あらゆるジャンルのショーを加賀屋内の会場で公演し活躍する歌劇団。被災により休演状態にあったが昨年10~12月、3社によるナイトタイムエコノミーを通じた北陸復興支援の一環として東京で特別公演を行い、好評を博した。

 今回はその第2弾となるもの。台灣藝起公益協會や温泉博物館と連携し、よりスケールアップした公演を届けるとともに、七尾商工会議所や和倉温泉商店連盟とも連携し、和倉や能登からの恩返しの想いを伝える。公演会場の1つである台湾・日勝生加賀屋が、今年12月に創業15周年を迎えることから、これまでの感謝を伝える意味もある。 

日勝生加賀屋の会場イメージ

 「謝謝!台湾 加賀屋レプラカン歌劇団 特別公演」は3会場で全8回公演。日勝生加賀屋では4日間とも実施。館内利用者が対象で、時間は11月27、28、29日が午後8時から。30日は午前11時から。

 北投温泉博物館では27、28日に実施。いずれも午後3時からで観覧は無料。定員は各回100人(自由席)。七星公園では29日午後2時からと、30日午後5時30分からの2回行う。こちらも観覧は無料。

 3社は、今後も継続的な情報発信を通じて、能登半島地震の復興支援に取り組んでいくという。

TEJでスタジオジブリの中島副社長が講演 ジブリパーク「皆の思い出が残る場所に」

2025年10月3日(金) 配信

スタジオジブリ副社長の中島清文氏

 日本観光振興協会と日本旅行業協会、日本政府観光客が9月26日から愛知県常滑市で開いた「ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸」では、初日の業界日に基調講演が行われた。登壇したのはスタジオジブリ副社長の中島清文氏。東京・三鷹の森ジブリ美術館のキャッチコピーである「迷子になろうよ、いっしょに。」をテーマに据え、同社の沿革や地域とともに展開してきた事業などに触れた。とくに、愛知県長久手市の「ジブリパーク」については、地域住民と観光客も訪れる都市公園として、「皆の思い出が残る場所にしたかった」と想いを語った。

 スタジオジブリは、高畑勲、宮崎駿両監督のアニメーション映画制作を目的に、徳間書店の子会社として1985年6月から活動を開始。1997年6月に徳間書店と合併したのち、2005年4月にスタジオジブリのアニメーション作品と徳間書店スタジオジブリ事業本部のすべての事業を引き継ぎ、新たにスタートした。2023年10月からは、株式譲渡により日本テレビ放送網株式会社の子会社となっている。

 中島氏は2004年にジブリ美術館の管理・運営を担う徳間記念アニメーション文化財団の事務局長に就任。05年6月から12年間にわたり、ジブリ美術館の館長を務めた。22年にはジブリパーク取締役開業準備統括に就任し、開業に向けて奔走した。

 なぜアニメーション会社が美術館や公園などの施設を手掛けたかについては、その都度「宮崎駿監督の引退宣言」があるとし、主要コンテンツがないなかでの事業継続、新規事業の開発などの観点から歩みを紹介した。

 ジブリ美術館は当初、作品のキャラクターグッズを販売するための集客目的で計画されたが、妥協を許さない宮崎駿監督は全国の美術館を視察したうえで、それとは真逆の施設を構想したという。中島氏は「ジブリ美術館は子供のための美術館」とし、かわいいだけのキャラクターを前面に出すのではなく、「ホンモノを見せてモノづくりを伝えたい」と意義を語った。

 じっくり見学してもらうためにジブリ美術館は予約制で人数制限を設けている。近年は海外からの観光客にも人気で、需要と供給がアンバランスになっていたところに、ジブリパークの話が持ち上がった。

 ジブリパークは2005年の国際博覧会(EXPO)「愛・地球博(愛知万博)」の跡地である愛・地球博記念公園内に位置する。同社は愛・地球博で「となりのトトロ」に登場するサツキとメイの家を手掛け、閉幕後も記念公園に継続して設置された家を見ようと、年間10万人が訪れていたという。

 こうしたなか、愛知県から記念公園の活用の相談があり、ジブリのテーマパークを展開することになった。同公園は万博以前より、地域住民が校外学習などで親しんでいた土地だったことから、中島氏は「皆の思い出が残る場所にしよう」と決意。来訪すると、またジブリが見たくなる懐かしさを誘うような施設に仕上げたことなどを語った。

 来訪者は「東海エリアで30%。そのほか、国内の観光客は50%、インバウンドは20%」と明かし、遠方からの観光客の割合が多くを占める。「愛知県は『ジブリパークのある愛知』を掲げている」と県が施設を通して魅力を発信していることにも触れ、今後も地域と連携した集客や施設の活用に努めていく考えを示した。