鳥取の梨は〝災い無し(梨)〟、知事自ら東京で情報発信

地震に耐えた王秋梨
地震に耐えた王秋梨

 鳥取県は10月21日に発生した鳥取県中部地震で被害を受けた、農業や観光業を応援しようと、10月27日から「鳥取県中部地震復興がんばろうプロジェクト」を開始した。同日、東京都・新橋にあるアンテナショップ、とっとり・おかやま新橋館で行われた「風評被害払拭・被災生産者応援トッププロモーション」には、平井伸治知事らが出席。全国からの支援に対する感謝と、現状について報告し、鳥取県の名産品である梨をPRした。

 21日に発生した地震は、鳥取県中部地方でこれまでに発生した地震の記録のなかでは、最も大きな揺れで1494ガル(瞬間的な揺れの強さを示す)と、4月に発生した熊本地震で甚大な被害を受けた、熊本県・益城町と同じ大きさだったという。

 平井知事は、地震発生以降、風評被害の影響で、ズワイガニ解禁により1番観光が盛り上がる、11―12月の予約キャンセルが相次いでいる現状を伝え、「お客様の笑顔が私たちの応援なんです。お客様の笑顔を見たいんです。会いたいんです。ぜひ、鳥取に遊びに来てください」と力いっぱい呼びかけた。

(左から)上田まりえさん、みょーちゃんさん、平井知事が梨をPR
(左から)上田まりえさん、みょーちゃんさん、平井知事が梨をPR

 地震の影響で、収穫前の多くの梨が、地面に落ちてしまうなどの被害を受けたことについて平井知事は、「残念ながら地面に落ちた梨は市場では売れないですが、味は美味しいです。皆さんのまごころで買っていただけませんか。そして、地震を乗り越えた梨を〝災い無し(梨)〟のお守りとしてぜひとも買っていただきたい」と述べた。プロモーション後の梨の試食では、同館を訪れた人たちに、知事自ら鳥取県の梨について情報提供を行った。

 なお、鳥取県では来年の2月28日まで、県内の対象施設に宿泊し、応募はがきに「宿泊証明スタンプ」を押して送ると、毎月100人にカニが当たる、「蟹取県ウェルカニキャンペーン」を展開。また、11―12月は、「もっとウェルカニキャンペーン」として、通常月の倍となる200人にカニが当たるキャンペーンを実施している。

冬のキャンプ場 ― “未知の余地”が大きく存在する

 小さな新聞社であるが、毎日のように郵便物や、FAX、メールによる情報が届く。

 その数ある郵送物のなかで、封筒を開封するのが楽しみなものの一つに、日本オートキャンプ協会が毎月15日に発行している「オートキャンプ」がある。

 「オートキャンプ」には、現在のキャンプ動向や、最新のアウトドアグッズの紹介、海外のキャンプ事情なども、有益な情報として得られる。また、巻末の小さなコラム欄も好きだ。

 キャンプの思い出は、楽しい記憶しかない。

 小学生のころは、毎年夏になると、最低でも1、2回はキャンプ場に行っていた。テントで寝ることもあったし、バンガローで雑魚寝状態のときもあった。たくさん蚊に刺されたし、飯ごうで炊くごはんがベチョベチョ
でも、とにかく大勢で泊まるのは楽しかった。キャンプファイヤーも、花火も、綺麗な映像として残っている。中学生になっても、高校生になっても何度もキャンプをした。

 大人になってからも、何度かキャンプをした。とても楽しい思い出だ。だけど、最近キャンプをしていない。

 キャンプといえば、夏のイメージが強い。そして、実際夏休みは多くの子供たちや家族連れでにぎわう。

 秋の、晩秋に向けたこの季節、たまに青空が広がる日などは、オフィスのあるビルの隙間から青空を眺め、「あ~キャンプがしたいなぁ」という気持ちが日増しに強くなっている。

 自宅から2時間くらいの場所が理想だ。少し厚着をしてオートバイに乗って、静かなキャンプ場に行く。そして6畳1間くらいのバンガローに1人で過ごしたい。温泉露天風呂があれば、最高である。今は、温泉施設が備
わっているキャンプ場も増えた。10年くらい前に買ったお気に入りの黒い革で巻かれたフラスコにスコッチを満たして、葉巻も数本鞄に入れて、美味しいチーズやサラミなども持って行きたい。夢想は膨らむ。

 なぜ、ホテルや旅館ではなく、そして夏ではなく、晩秋から冬にかけての、キャンプ場のバンガローに心が惹かれるのだろう、とよく考える。

 理由はさまざまに思い浮かんでくるが、日々の生活では不可能であるが、想像力をより広げることができるからだと思う。

 多くのホテルや旅館は、宿泊する前からなんとなく旅の想像ができてしまう。予定調和的な旅である。客室をすごく豪奢にリニューアルした施設のニュースリリースが毎日のように集まってくるが、その綺麗な写真を
眺めるだけで、9割くらい旅が終わった気分になってしまうのだ。

 一方で、キャンプ場で私が過ごしたいと思うバンガローには、快適さはほぼ欠落しているが、その一晩に自分がどのようなことを考え、思想するのかまったく予想できない。つまり、未知の余地が大きく存在する。

 旅先の宿で、自分の頭の中の価値観が一変させられるような大きな衝動が感じられたら、素晴らしいことである。それは、宿の主人の思想が込められた空間――例えば、椅子と窓の位置関係という、何気ないこだわり
かもしれない。旅をしているのは肉体の移動だけでない。頭の中も旅をしている。ただ無思想に高級で、豪奢な空間からは、新しい衝撃を受けることは、私にはこの先、もうないだろうと思う。

(編集長・増田 剛)

【特集No.445】クア・アンド・ホテル 小さなことを少しずつ改善する

2016年11月1日(火) 配信

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の第7回は、山梨県笛吹市、静岡県静岡市、長野県塩尻市で健康ランドを経営するクア・アンド・ホテルの三森中社長が登場。小さなことを少しずつ改善していく「小変」に取り組むなかで、現場からさまざま提案や、工夫が生まれてきた過程を語り合う。

【増田 剛】

   ◇

 内藤:どのような経緯で健康ランドを始められたのですか。

 三森:県庁に勤めていた父(現・会長)がのちに、不動産やレストランを経営していましたが、1979年に甲府にビジネスホテルを開業し、会社組織にしました。
 89年に、当社のビジネスモデルとなる石和健康ランドを建てました。現在、健康ランドは石和(山梨県笛吹市)、駿河(静岡県静岡市)、信州(長野県塩尻市)と3施設ありますが、この年を「第2の創業」と位置づけています。
 私は東京の不動産会社に就職していましたが、健康ランドオープンの準備段階から、いきなり社長としてスタートしました。温浴施設のノウハウがまったくなかったのですが、それが良かったと今になれば思います。
 当時、健康ランドが名古屋で生まれ、私は父と視察に行きました。家族連れなどでにぎわい、楽しそうに過ごしているのが印象的でした。「この健康ランドのスタイルに、当社がやっているビジネスホテルをくっつける」という発想になりました。

 内藤:一緒にやってどのようなメリットがありましたか。

 三森:ビジネスホテルの主な稼働は、平日の夜です。一方、お風呂はどちらかといえば昼間と土・日曜日が忙しい。このため、建物全体も、駐車場も稼働が高められると考えました。フロントも一つにして、あらゆるサービスを一緒に使ってもらえば、利益につながると思い、設計を進めていきました。
 もう一つ大きかったことは、「下に大浴場があるのだから、部屋のお風呂は使わない」と、客室からお風呂を取ったことです。ムダをなくして、大浴場の魅力を高め、お客様が喜ぶサービスを提供しようと考えていました。効率化と、お客様の満足度を高めるという両方の発想があったと思います。
 以来約30年間、これが当社のビジネスモデルとなりました。ホテルとお風呂を稼働の中心にして、この2つに合うサービスとして、食事処やマッサージ、フィットネスなどをどんどん付け足し、磨くことに力を注ぎました。食事であれば美味しいもの、マッサージも垢すりやエステなども入れて、膨らませていきました。信州も駿河の施設も、規模や部屋タイプは異なりますが、発想はまったく同じです。
 岩盤浴が流行れば取り入れるなど、常に新しい魅力をお客様に提供できるよう心がけています。当社には「とにかく変えよう」という考えが強く、常連のお客様から「前の方が良かった」と言われることもありました。また、毎年改装を行っています。長いときには1カ月ほど休館し、施設の改善をしています。
 一方、おもてなしや、清潔さなどは変えずに取り組んでいます。

 内藤:お風呂が大きいというのはいいですね。今はビジネスホテルチェーンも大浴場を備えています。お風呂の設計はどうされたのですか。

 三森:名古屋の健康ランドを視察して、それを参考に設計事務所に頼みました。

 内藤:工夫されたのはどのあたりですか。

 三森:とくにサウナは電気サウナ、スチームサウナなどさまざまな種類を用意し、温度も幾つか変えて、充実させています。お風呂については、ジェットバスや漢方をしみ込ませた湯など、36度から43度まで色々な温度帯のお風呂を提供するというのが当社の大きな特徴です。誰もが好きなお風呂を見つけられるように、バリエーションを広げています。広い空間で、開放感を味わっていただく、露天風呂もさまざまな種類を作っています。

 内藤:健康ランドは全国でどのくらいの数があるのですか。

 三森:スーパー銭湯を含む温浴施設、健康ランド、スーパー銭湯は2万7千程度です。一般公衆浴場は年々減ってきていますが、ヘルスセンター、健康ランドなど郊外の大型レジャー浴場などに加え、娯楽施設を併せ持つスーパー銭湯の増加が目立ってきています。

 内藤:成熟したビジネスモデルになっているということですね。

 三森:当社は常に新しいものを取り入れながら、一方で変えない部分として、安全性、清潔、おもてなしの3つの約束を実行しています。
 とくにお風呂は清潔感がとても大事で、湯船からお湯が少しあふれるようにしています。清掃は最も大事にしています。一番恐いのがレジオネラ菌などの発生です。信州と駿河の施設は自動塩素投入機を導入し、24時間塩素が一定基準を下回らないような工夫も徹底しています。

 内藤:働き方の改善にも積極的に取り組まれていますね。

 中村:人時生産性の取り組みでは、労働効率を上げることと、お客様に喜んでもらうサービスをしっかり提供するようなかたちで、お客様との位置・時間・情報を近づけていく「リアルタイム・サービス法」に取り組んでいます。おもてなしに関することでも、スタッフがお客様にどんどん近づいていくようにしています。
 業務の標準化と単純化に加え、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)も進めています。
 労働時間を前年から削減したら成果報酬を出すという会社の事業計画によって、15年度の労働時間は14年度に比べると、全体で約4%削減することができました。単に労働時間を削減していくのではなく、小さなことを少しずつ改善していく「小変」にも取り組んでいます。色々な工夫が生まれてきますが、そのなかで一番大きかったのが、備品関係の小ロット発注です。月に1回しか発注していなかった備品を、今は週に1回程度に変えました。まとめて発注すると、在庫が増えてしまい、作業スペースを圧迫することもありましたが、細かく在庫をチェックして発注することで、スペースを有効に活用できるようになりました。最初は欠品を恐れて取り組みが進まなかった部分もありましたが、いざやってみると、業務がとてもスムーズに流れるようになりました。
 おもてなしについても、数字を見える化し、すべての作業プロセスにおいて、「時間」「位置」「情報」が、お客様がいる最終工程により近づいていく「リアルタイム・サービス法」を取り入れるなかで、「お客様にどうしたら近づいていけるか」と、業務の棚卸しを各部署で始めました。これによって、「今までこの業務にどれくらい時間がかかっていたか」と、それぞれの業務のムダな点について話し合いができるようになりました。数字化することによって、見える化をはかり、小変の取り組みで改善をしていくという流れができてきました。

 内藤:業務の棚卸しでムダだったものは、具体的にはどのようなものがありましたか。

 中村:とくに温浴施設では、お風呂のロッカーなどに忘れ物をされていくお客様も多く、忘れ物の処理にどれくらいの時間がかかっているかを数字で出すと、1カ月間で信州の施設で100時間ほど費やしていました。
 お客様から問い合わせがあったときにすぐに答えられるように、全部イラストなどに落とし込んで、貴重品などの忘れ物も、中身の金額などを全部ノートに転記していましたが、問い合わせがあるお客様は、全体1割程度でした。貴重品などは今まで通り転記を続けていますが、それ以外の靴下などは、日付別に忘れ物を保管しておいて、お客様から問い合わせがあったときに袋を見るというやり方に変えました。そうすると、これまで1日あたり2―3時間ほどかかっていたのが、30分まで作業を短縮することができました。

 内藤:削減した時間を、お客により近づけていくことが大切です。空いた時間でどのようなサービスを考えているのですか。

 中村:フロントではバックヤードに行って会議の資料を作ったりしていました。しかし、「できるだけお客様に応対しよう」と、フロントにいる時間をより多く持ち、人時生産性に取り組むことによって、他の部署への繁忙時の手伝いをする多能工も進めています。フロントやバックヤードのスタッフが忙しい時間帯の部署に応援に行ったり、客室の清掃に回ったりしています。

 内藤:お客様とコミュニケーションを積極的に取ろうとされているのですか。

 中村:そうですね。お客様との時間を多く取りたいというのは、どの事業所でも共通しています。フロントのレジのスタッフ以外にも「玄関係」が1人立ってお客様のお出迎えや、ご案内をしています。

 内藤:清掃も色々と工夫していますね。

 中村:とくに人時生産性に取り組むなかで、5Sに取り組んでいます。
 小ロット発注にも関わってきますが、ホテルの客室の掃除もこれまで清掃に入るとき、ドアのストッパーを1部屋ずつ人が配って歩いていました。それだと効率が悪いので、ドアの下部にストッパーを各部屋に取り付けて、ドアを引っ掛けられるようにして、人が配る時間を削減したのが大きかったですね。全フロア分に配っていたので、1時間以上短縮できました。
 清掃面においては、今まで和室の部屋はお茶のセットをあらかじめ用意して、ポットを置いていました。これを電気ケトルに変更しました。アメニティを変えることによって労働効率を上げるなど、清掃に関する部分の小変も少しずつ取り入れています。
 業務の棚卸しを行うなかで、作業ごとの時間が把握できるようになってきました。
 このため客室の清掃スタッフは自分たちで目標を立てて、お客様が予定よりも早く到着されても、客室を提供できるようにしています。 どうやったらお客様に喜んでもらえるかという工夫が清掃面や、おもてなしの部分で見受けられるようになってきました。

 内藤:ベッドメーキングも随分変わりましたね。

 中村:シーツの3カ所を折り込んで、首元の所だけ出していたのですが、顧客視点で見ると、これではつま先が窮屈でベッドに入り込みづらい。このため、足元のシーツを折り込まないように、ベッドメーキングの方法も変えました。お客様も違和感なく、ゆっくりと休めますし、メーキングだけでなく、シーツを剥ぐ作業も時間短縮が可能になりました。1つを少し変えたことによって、派生してさらに時間短縮につながっていきました。
 これまでは和室については、すべて布団敷きの係が伺っていたのですが、「部屋に入ってほしくない」と思われるお客様もなかにはいらっしゃるので、予約のときなどに布団を敷くためにスタッフが客室に入るか、どうかを聞いています。今、和室に宿泊されるお客様の約25%が「自分で布団を敷く」と答えられています。これによって、お客様の満足度を高めつつ、スタッフの労働時間の削減も同時に行っています。

 内藤:今は1部屋の清掃時間はどのくらいですか。

 中村:最初は平均30分くらいかかっていましたが、27分くらいです。

 内藤:業務を棚卸しして、一つひとつを見ていっているのですね。

 中村:あと、客室の清掃係に付随して、チェックイン時間よりも少し前に来られたお客様が、客室の清掃が終わっていれば早めにお部屋に案内できるように、業務の棚卸しのなかで清掃時間を計りました。
 しかし、日によって急ぎ部屋の清掃時間になぜかブレが生じていました。予約状況を見ると、アーリーチェックインのお客様がエレベーターから遠い客室にアサインされており、清掃係がわざわざエレベーターから遠い部屋を清掃をしてから、通常の業務に戻るので、そこに労働時間のムダが発生していました。エレベーターの近くに備品などもありますので、作業効率を上げるように工夫しています。

 内藤:小変は、最初からスタッフ全員に理解されましたか。

 中村:最初は浸透しづらかったですね。今までやってきたことを変えようと言ったときに、どうしても固定概念にしばられる傾向にありました。忘れ物の件に関しても、何回も議論があって、「お客様から問い合わせがあったときに、すぐに答えられないと困る」という意見もありました。小変のことも実際にやってみると分かることが多くありました。やはり、実行に移す一歩がとても大事ですし、それを継続していくことも非常に大事だなと実感しています。スタッフも小変の効果を、数字の見える化によって気づくことが増え、今では以前に比べ、「変えてみようか」という意識がスタッフ全体に浸透しています。
 お客様への影響がある部分などは、会議で決めたりしますが、小変でみんながすぐにできるようなものは、「早速やってみよう」というスピード感を持ってすぐに実行するようにしています。

 内藤:業務の棚卸しで、労働時間も部署ごとに把握し、振り返りを行っているのですか。

 中村:人時生産性のプロット図のなかで、1日の来館者数と目標とする来館者数と労働時間を毎日スタッフが付けています。部署ごとのミーティングで、「昨日はお客様の来館数が少なかったのにどうしてこんなに労働時間が長かったのか」や、「もう少し手待ち時間を使ってほかの部署にお手伝いに行けなかったか」、「館内の清掃にもう少し時間をかけられたのでは」など、以前と比べて話し合われるようになりました。
 お客様との対話のほかに、スタッフ同士の対話でも色々な問題点が明らかになるため、とても重要だと感じています。

 ――1つの事業所の改善が、他の施設にも伝わるようになっているのですか。

 中村:人時生産性の会議も石和、信州、駿河の全体で行っていますが、横展開は他の事業所の事例を聞きながら、取り入れていくように努力しています。

 三森:確かに事業所が異なると難しい部分もありますが、少しずつ取り組みが進んできていることを実感しています。
 毎週、改善会議を開き、各事業所の幹部が集まり、その週の改善点やお客様の声、スタッフの声などをまとめて、情報を共有し、今後の方向性を決めていきます。
 お客様の声をいただいて改善すると、次に来られたときには必ず確認されます。指摘した点が改善されていると、大変喜んでくれます。
 これはスタッフも同じで、小変が進むと「私も会社を変えられるんだ」という意識に変わります。上の者が指示しても続きませんが、自分がやろうとして実行すると初めて参加した気持ちになれるのだと思います。

 内藤:どこの会社でもそうですが、改善が自発的に進む仕組みを作りたいのだけど、なかなかできないのでどうやったらできるのかという声を聞きますが、どうして御社では上手くいったのですか。

 三森:まだまだだと思いますが、人時生産性の取り組みを始めたのが大きなきっかけになったと思います。そもそも人時生産性というのは、自分たちが働く1時間あたりにいかに利益を稼ぐかということで、それは自分たちの給料にも返ってくるし、会社が続くためには絶対に必要なことでもあります。数字も見える化し、みんなでこの数字を作っていく。そのためにはみんなで変えていかなければならない。それをこの3年間、ずっと続けています。「やれ」と指示を出すと、一時的にはできると思いますが、それを継続していくには全員が同じ目的、目標を持つことが大事です。ですから時間がかかると思います。

 中村:400人のうち3割が社員、7割がパートです。現場ではパートさんが多いですが、変えていこうと意識は高いですね。最初は「人時生産性って何?」というところから始まって、具体的に業務の標準化と単純化や、5S、人時生産性の視点と目的を説明しました。目的を共有できたのが一番良かったと思います。

 内藤:5Sも徹底してやられていますね。

 中村:「お風呂甲子園」の取り組みも大きな効果がありました。覆面調査が入るのですが、早めに改善できるところはないかと話し合い、自分たちで館内のチェックを始めました。意識して見ることによって、ポップがはがれているものなど、これまで見えなかったものも、意識して見えるようになってきました。これによって覆面調査が入った時も高評価をいただけるようになりました。

 三森:テナントを含め、厨房からほぼすべての部署を月に1回、2日間ほどかけて写真を撮り、写真付きの3段階評価で事業所に返して、ほかの事業所も参考にできるようにしています。
 とくに整理・整頓の部分は、仕事の効率に大きな影響を与えるので、今年は力を入れてやっています。

 内藤:効果はどうですか。

 三森:昨年から取り組んでいますが、大きな効果が出ています。チェック日以外でも整理・整頓されている状態になっていますし、意識がやはり変わりました。いずれは抜き打ちでやることも考えています。悪い部分も写真で表れますので、厨房も清潔な状態を心がけるようになっています。

 内藤:時短の取り組みによって休日も増やされたのですか。

 中村:稼働対応労働時間制を導入してからは、お客様が少ないときには、1時間早めに帰し、お客様の多い週末などは1時間多めに働くといった工夫が見受けられるようになってきました。今は週休2日制となっています。有給休暇制度の活用も進め、お客様も満足し、従業員も満足するような体制が整ってきました。
 プロット図を作ることによって、お客様の来館者数の予測を立てられるようになったというのが、とくにフロントやバックヤードの部署では大きかったですね。これまで予測を立てたシフトコントロールが行えてなかったので、シフトを組む段階である程度来館者数を予測して、この日は何人と細かく組み立てられるようになりました。多能工も進められるようになったなかで、ほかの部署とのシフトのコントロールの情報共有ができ、話し合いによって、ある程度計画立ててシフトコントロールができるようになりました。
 また、業務ごとに落としたサービスプロセスを部署ごとに見直しを実施しました。新人のアルバイトの方でも、ベテランのアルバイトの方と同じような働きができるように、業務の棚卸しを行ったものをプロセスに落とし込んでいく流れを作っています。
 人時生産性に取り組むにあたって見えてきたのが、教育スケジュールの見直しです。教育期間もある程度しっかり目標や目的を把握したうえで、3日程度で仕事を覚えてもらい、1週間経ったらこの仕事をやってもらうなどのスケジュールを組むことが可能になったので、比較的人の入れ替わりの多い部署に対しては、そのような工夫も行っています。

 ――料金設定はどのようにお考えですか。

 三森:常に同じ料金にしています。繁忙期には少し高くするような戦略は取らずに、いつでも基本的には同じ料金にしています。平日はインターネットの割引料金を設定していますが、料金はあまり変えず、同じ料金で気持ちよく泊まっていただくという方針です。

 ――館内で飲食を含め、消費をしてもらうような工夫もしているのですか。

 中村:飲食部門では、ロッカーキーで注文を受けているので現金のやり取りが発生しません。このため、お客様のお出迎え、お見送りなど、しっかりとあいさつをするようにしています。また、スタッフからおススメ商品を案内する声かけもしています。飲み物が残り少なくなってきたら「おかわりいかがですか?」などの声かけも行っています。スタッフには名札を付けていますが、名札に「私がオススメするメニューは焼肉丼です」などと書いてあります。そうするとお客様との会話のきっかけになります。
 これは、1つの店舗がやっていたのを横展開して全店舗で行っています。また、チェックアウトのときには、次回の来店動機につなげるチラシをお客様にお渡しするようにしています。チラシは飲食全体のマップのようになっており、季節のオススメメニューなども紹介しています。

 内藤:次の改善点はどのあたりですか。

 中村:今期は人時売上高に目標を変え、みんなで取り組んでいければと思っています。これまで取り組んできたことを継続していくことが大切だと思います。
 今は目標を少し変えて、次は売上を高めつつ、お客様の満足を高めていくために、どのようなかたちで館内を喜んで使ってもらえるかを各部署でスパイラルアップしていければいいかなと思っています。

 内藤:将来的な展開はどう考えていますか。

 三森:今年、石和健康ランドのホテル棟を増築する予定です。現在100室程度ですが、さらに100室増築します。
 駿河から1時間ほどのところにある磐田市に4千坪の土地を買収しており、新たな施設の計画を立てています。小変を続けていますが、さまざまなノウハウを積み重ね、利益をしっかりと出し、強い会社として新しく出店できればいいなと考えています。小変を継続してきたことで、30年前にオープンした石和の施設も大きく変わっています。ビジネスモデルを一気に大きく変えて軌道に乗せるのは難しいですが、みんなの力で小変を続けていけるような強い組織となることで、新しい施設も増やせると思いますし、今はその過渡期にあるのではないかと思っています。

※ 詳細は本紙1648号または11月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

民泊問題 危機を共有、桑田体制“集大成の場”に

桑田雅之部長が開会のあいさつ
桑田雅之部長が開会のあいさつ

全旅連青年部、前橋で全国大会

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の青年部(桑田雅之部長)は10月13日、群馬県前橋市のグリーンドーム前橋で第23回全国大会を開いた。2015年4月からスタートした桑田体制の集大成の場として、各委員会が分科会を行った。今期の最重要課題の民泊問題について、桑田部長は民泊問題の危機を共有し、「青年部が決起大会を起こそう」と呼びかけた。また、次期青年部長の西村総一郎政策担当副部長をステージ上で紹介し、2人は握手を交わした。
【増田 剛】

 今回の全国大会は民泊問題に重きを置いた。桑田部長は「私は昨年9月ごろから“民泊王子”と言われるほど、調べている」と語り、「(民泊先進都市)のフランス・パリでも、当初は『民泊など大したことはないだろう』との認識だった。しかし、いつの間にか宿泊業を圧迫。今ではパリのホテルは1日に1軒の割合で潰れている」と紹介。昨年11月にパリで発生したテロの首謀者らが民泊を利用していたことを例に挙げ、誰がどこに泊まっているかわからない“匿名性”の危険も強調した。桑田部長は「政府も匿名性を排除するために一生懸命取り組んでいる。この全国大会を機に47都道府県の皆さんが一つの想いになって、我われの目の前にある脅威と戦うことを決意してほしい」と訴えた。一方、「ホームステイ型の民泊については安全安心がしっかりと担保できるため、我われも推奨してもいいと思っている」との認識を示した。さらに、「政府や国会議員、各省庁にも民泊問題について説明してきたが、残念なことに『地元から声が上がっていない』と言われることが多い」と報告。「地元選出の議員に直接会ってお願いをしてほしい。賃貸不動産業は賃貸住宅対策議連に猛烈な政治活動を行い、180日以内での営業範囲という閣議決定をくつがえそうとしている」と語り、「我われ青年部が決起大会を起こすべき」と呼びかけた。

西村総一郎次期部長(左)と桑田部長
西村総一郎次期部長(左)と桑田部長

 大会では桑田部長が西村総一郎次期青年部長を紹介。西村氏は「国も観光に大きな目標を掲げ、支援もしていただいている。日本を活性化していくのは、観光を支える宿泊業の私たちだ」とあいさつした。

 その後、宿の未来事業創造委員会の「宿は人なり! 旅館から日本を元気に!」、流通対策委員会&インバウンド対策委員会の「どうなる? 海外OTAが見たこれからのニッポン!」、旅館アカデミー委員会の「今こそ学ぶ事業継承~知っておかなければいけないこと」――の3分科会が開かれた。

青年部長賞(グランプリ)の熊本県・阿蘇支部青年部
青年部長賞(グランプリ)の熊本県・阿蘇支部青年部

褒賞グランプリは熊本県・阿蘇支部

 全国の青年部活動で優れた取り組みを表彰する「全国大会褒賞」の発表と表彰も行われた。今回は、事前の褒賞審査会で得点の高かった2地域がプレゼンテーションを行い、5人の審査委員が投票。この結果、熊本県・阿蘇支部青年部の「外国人に優しい街づくり Flat内牧事業」が青年部長賞(グランプリ)の栄冠を手にした。

 準青年部長賞(準グランプリ)は福島県・土湯温泉支部青年部の「土湯温泉 若旦那図鑑」が受賞した。

 このほかにも、青年部OB賞、マスコミ各社賞、優秀賞も発表。旅行新聞新社賞は、山形県青年部の「『個』を鍛え、和を学び、地域を伝える! ワンフォアやまがた・オールフォア若旦那プロジェクト」が受賞した。

旅行新聞新社賞の山形県青年部
旅行新聞新社賞の山形県青年部

外客消費額が減少、影響受けにくい構造を(田村長官)

 田村明比古観光庁長官は10月19日に行った会見で、7―9月期の訪日外国人旅行消費額が前年同期比2・9%減の9717億円と、19四半期(2011年10―12月期以来)ぶりにマイナスになったことについて、「日本円ベースでの1人当たりの旅行支出の減少には、為替の円高傾向が影響している。今後、為替に影響されにくい観光消費構造をつくるためには〝日本でしか買えないもの〟を売り出していかなければならない」と語った。

 また、費目別に訪日外国人旅行消費額を見たときに、前年に比べ宿泊料金や飲食費の構成比が拡大していることについて田村長官は、「それぞれの地域が、その土地の食材を使った料理を提供したり、各観光施設が、その場所に長く滞在してもらうために、見せ方や解説の仕方などを工夫したりなどの努力をしていく必要がある」と述べた。

 9月から1カ月にわたり行ってきた「ジャパン・トラベル・マンス」の今後の課題などについては、「今年はキックオフとして捉え、来年以降は地域イベントなどを旅行商品に組込んでいくことが重要」と話した。

9月の訪日19%増、中国中心に寄港数増加

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 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)がこのほど発表した9月の訪日外客推計値によると、9月の訪日外客総数は前年同月比19・0%増の191万8200人となり、9月として過去最高を記録した。台風の影響によりキャンセルが重なったが、中国を中心に70隻以上のクルーズ船の寄港があったことが、訪日外客数の増加の下支えとなった。

 市場別では、韓国が同42・8%増と熊本地震の発生以降、初めて40%を超える高い伸びを記録。そのほか、インドネシア、タイやフィリピンでも伸び率が30%を超えるなど、東南アジアも総じて好調に推移し、ロシアを除く19市場で9月として過去最高を記録した。

 9月の重点市場の動向をみると、韓国は同42・8%増の43万600人で、9月として過去最高を記録。秋夕(旧盆休暇)で外国旅行者数全体が増える傾向にあるなかで、航空路線の新規就航などによる座席供給量の増加が、訪日需要増加に結びついた。

 中国は同6・3%増の52万2300人と9月として過去最高を記録し、1月からの累計で5百万7200人となり、昨年の年計499万3689人を3カ月早く超えた。9月は台風の影響などで、伸び率は1ケタ台にとどまった。

 台湾は同14・7%増の34万7500人で、9月として過去最高を記録。今年は中秋節が昨年よりも長い4連休であったことが、外国旅行重要を押し上げた。

 香港は同13・6%増の13万900人で、9月として過去最高を記録した。海外旅行のオフシーズンだが、中秋節の3連休や、航空路線の新規就航・増便が、訪日旅行の需要増加の追い風になった。

 そのほか、東南アジア諸国は、タイが同30・0%増、シンガポールは同17・0%増、ベトナムは同24・0%増、インドは同11・0%増などと軒並み大幅増。

 ベトナムは9月として過去最高を記録。国慶節が昨年よりも長い3連休だったことや、LCCの新規就航などが訪日需要を押し上げた。

 なお、出国日本人数は同1・3%増の154万5千人となった。

ONSEN RYOKAN山喜

 一度泊まってみたかった栃木県・那須塩原市の板室温泉「ONSEN RYOKAN山喜」に宿泊してきた。現代建築の外観で全8室という小さな温泉宿だが、館内のあらゆるところに「こだわり」が感じられた。

 泉質の違う2種類の自家源泉を持つ温泉は、露天と内湯以外に板室温泉古来の伝統的な入浴法「立湯」を再現。地元の旬の素材を活かした料理も絶品で、食後にはラウンジ奥にあるプライベートバーで同館の主である山口忠孝社長と語り合いながら飲んだバーボンの美味しかったこと!

 可能であれば、源泉かけ流しのビューバス付き客室をお薦めしたい。湯が溢れ出る音を聞きながら眠りにつくのは最高の贅沢。目が覚めたらそのままザブンと入浴でき、目を閉じれば至福の瞬間が待ち構えている。

【古沢 克昌】

インバウンド観光のベンチャーピッチ、日観振

久保成人理事長
久保成人理事長

 日本観光振興協会(山口範雄会長)は10月18日に、インバウンド観光ベンチャーピッチを東京都内で開いた。当日は、ベンチャーの支援に尽力するトーマツベンチャーサポート(吉村孝郎社長、東京・八重洲)が、進行役を担当した。プレゼンテーションを行ったのは、百戦錬磨とシュアール、ナイトレイ、Nextremer、MATCHA、Paykeの6企業。民泊から聴覚障がい者対応まで、情報通信技術(ICT)を活用したソリューション提供を担う注目のベンチャーが集まった。

 日本観光振興協会の久保成人理事長は、「今回は、ベンチャーピッチという形で企業連携を深める場を設けることができた。ぜひ積極的な交流を行っていただきたい」とあいさつした。

 合法民泊の先駆者として有名な百戦錬磨の上山康博代表は、「Web上でのマーケティングをしっかり行っていくことも大切。外国語で発信される趣味嗜好に関するワードを、丁寧にリスティングしていく必要がある」と語った。民泊解禁新法の提出は、2017年の通常国会へと先送りされたが、インバウンド取り込み増を狙うためにも、民泊への期待は依然大きい。

シュアールの大木洵人代表
シュアールの大木洵人代表

 厚生労働省認定の手話通訳士による遠隔手話通訳サービスを提供するシュアールの大木洵人代表は、「現在、ホテルや駅、金融機関などでサービスが利用されている。インバウンド対策にも対応していきたい」と語った。同サービスは、コールセンターにいる通訳士と、手話利用者をWebカメラ搭載の端末を使いオンラインで結ぶもの。通訳士を通じて、自治体や企業は、手話利用者と円滑なコミュニケーションを行うことができる。JR東京駅でも同サービスは活用されている。

 現在国連が中心となって、手話通訳サービス事業者の連携を促す取り組みが行われており、例えば、タイ語の手話からタイ語、日本語の順番で翻訳を行うことも可能だという。

 高度な位置情報データの解析技術を有するナイトレイの石川豊社長は、インバウンドの行動傾向を可視化する“inbound insight”を紹介した。

 MATCHAの青木優社長は自社のWebマガジンを、Paykeの古田奎輔CEOは、既存の商品バーコードをスキャンするだけで、商品情報を利用者の母国語に翻訳できる技術について解説した。

東京グッドを世界へ、マナー向上PJ始動

(左から)左京氏、伏谷氏、古田氏、 伊藤氏、新津氏、岡島氏、渡辺氏
(左から)左京氏、伏谷氏、古田氏、
伊藤氏、新津氏、岡島氏、渡辺氏

 国際都市・東京を舞台に、新しいかたちのマナー向上プロジェクトの推進母体として、9月1日Tokyo Good Manners Project(TGMP)が設立した。TGMPは、東京で暮らす一人ひとりが自分たちのグッドマナーに誇りを持ち、東京を訪れる世界中の人々に文化としてのグッドマナーを楽しんでもらうべく、〝TOKYO GOOD〟をコンセプトに掲げ、さまざまなアクションを実施する。

 TGMPの具体的な活動内容として、コンセプトである〝TOKYO GOOD〟を具現化する施策として、東京をかたちのない美術館に見立て、東京のグッドマナーやそれらを構成するヒト・モノ・コトを「作品」と定義して収蔵し、世の中に発信する活動「TOKYO GOOD MUSEUM」を展開していく。

 東京にあるグッドマナーを作品としてコンテンツ化し発信。都民や訪日観光客などからの推薦や投稿によって作品化を行う「マナーキュレーション」、マナー課題を解決するアイデアを創発し、グッドマナーを生み出していく「マナークリエーション」の2つをミュージアムという枠を通して世の中に提示していく。同ミュージアムの作品ナンバーワンに認定されたのは「羽田空港」。同空港は2013年、14年、16年の計3回、世界で最もきれいな空港に選ばれており、空港で働いているスタッフ全員が同じ志を持ち、常にきれいな空港を保つため、日々業務を行っているという。

 発足記者会見には、ディレクター・編集者の伊藤総研氏と、タイムアウト東京社長の伏谷博之氏、TGMP理事で丸の内朝大学プロデューサーの古田秘馬氏、シブヤ大学学長の左京泰明氏、自由大学事務局長の岡島悦代氏、日本橋街大學事務局の渡辺健太氏、日本空港テクノで環境マイスターを務める新津春子氏が登壇した。同プロジェクトには現在朝日新聞社と、ウィラーエクスプレスジャパン、産経新聞社、シブヤ大学、自由大学、タイムアウト東京、東京新聞、日本空港ビルデング、日本経済新聞社、日本航空、日本たばこ産業、日本橋街大學、日本旅行業協会、毎日新聞社、丸の内朝大学、三菱地所、読売新聞社がプロジェクトパートナーとして参加。TGMP理事で丸の内朝大学プロデューサーの古田秘馬氏は、今後の展望について、「来年の4月からは、プロジェクトパートナーである4つの大学が連携して、マナーについて考える、マナークリエーションを行っていく」と今後の活動に意欲を見せた。

初の装着確認機能、100台まで拡大し標準車両へ(クラブツーリズム)

新型クラブツーリズム号
新型クラブツーリズム号

 クラブツーリズム(小山佳延社長、東京都新宿区)は10月13日に東京都内で、「新型クラブツーリズム号」の試乗会を行った。日本初の「シートベルト装着確認システム」を導入。安全性を追求した。現在、多くの観光バスは11列55席だが、快適性を求め9列36席で1席の空間にゆとりを持たせた。バスツアーの標準車両を目指し、2018年度に100台まで拡大する予定だ。

 「ラグジュアリーでなく、あくまで安全性と快適性を追求した」と担当者。観光バス車両初の、前方に座席が動く「電動リクライニング機能」も取り入れた。後部座席を気にすることなく、簡単に座席を倒せる。

 同日に記者向けに試乗会を開催し、10分ほど運行。車内の床は木目調で、段差をなくしフラットにした。座席はシートピッチが90センチと広く、全席が3点式シートベルト。車内最後部に、化粧台付き化粧室を設置した。主要顧客層のシニア女性へ厚く配慮した車両となっている。

赤と青のランプで着脱が一目で分かる
赤と青のランプで着脱が一目で分かる

 同社は今年、社内規定で「国内貸切バス安全運行基準」を改めて見直し、強化をはかった。安全なバスツアーが求められるなか、客に見えない部分でも取り組みを強化した。衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報装置、運転注意力モニター、車間距離警報装置など最先端の安全機能を搭載している。

 10月15日からは、新型クラブツーリズム号(運行委託)でバスツアーを始めた。安全性と快適性を担保し、バスツアーの品質を高め、バスツアーの楽しさを提供していく。