越前ガニの季節到来 臨時バスで駅から楽々

2017年12月1日(金) 配信

越前ガニのシーズン到来(写真はイメージ)

越前ガニのシーズン到来。越前町観光連盟は2018年2月28日(水)まで、同連盟加盟の越前海岸沿いの宿・食事処などの利用者を対象に、「越前海岸直行シャトルバス」を運行している。JR敦賀駅と越前海岸を結ぶ2次交通として、利用者の足を確保する。

 日本海の冬の味覚を代表するカニ。越前ガニは福井県で捕れたオスのズワイガニのこと。福井県では11月6日の解禁日を境にカニ一色に染まる。なかでも越前町は県内屈指の漁獲高を誇り、漁場まで近いのが魅力。今年の冬は、新鮮な越前ガニを楽しんでみては。

越前海岸直行シャトルバス 概要

ポスター

予約・利用方法:
 利用する宿・食事処などへ 直接申込み。対象は、越前海岸沿いの越前町観光連盟加盟施設のみで、完全予約制。乗車3日前までに申し込みが必要。

運行スケジュール(1日2往復):

行き

JR敦賀駅前 午前11:00出発 ⇒ 越前海岸 午前11:50~午後12:20ごろ 利用施設前下車

JR敦賀駅前 午後4:10出発 ⇒ 越前海岸 午後5:00~5:30ごろ 利用施設前下車

帰り

越前海岸 午前9:10~午前9:40ごろ 利用施設前乗車 ⇒ JR敦賀駅前 午前10:30ごろ着
越前海岸 午後2:10~午後2:40ごろ 利用施設前乗車 ⇒ JR敦賀駅前 午後3:30ごろ着

※交通事情により時間変更の場合あり。※2月28日宿泊での利用の場合、3月1日のJR敦賀駅午前10:30着の便のみ運行する。

問合せ先:

越前海岸観光協会連合会(一般社団法人越前町観光連盟)

TEL・0778-37-1234 FAX・0778-37-1805

E-mail/kankou☆town-echizen.jp(☆を@に替えて送信)

#戦国関ヶ原フォトコン、13の入賞作品決定

2017年12月1日(金) 配信

(左)「阪急交通社賞」nanphotograph様 (中央)「石田三成賞」double_utaha様 (右)「関ヶ原賞」えだえだ子様

阪急交通社は、2017年8月1日から、制作委員会メンバーであった映画「関ヶ原」の公開に合わせ、「戦国時代~関ヶ原」と「日本の城」をテーマにしたフォトコンテストを3カ月間開催。1400通以上の応募の中から、13の入賞作品を決定した。

 昨今、フォトジェニックな場所を訪れてSNSに投稿することが旅行の目的の1つになっている。同コンテストは、歴史好き・旅好き・SNS好きの熱い想いを醸成し、新たな旅の価値を生み出すことを目的に実施。ツイッターとインスタグラムから写真の投稿を受け付けた。

 投稿作品のなかで一番多かったのは、日本各地の城の数々。その中でも、日本の四季折々の美しい風景を写し撮ったものや、歴史と文化を物語る建物、それらを守る人々など、関ヶ原や戦国の世にまつわる旅やイベント体験を通して、「みんなに見せたくなる自慢のフォトジェニックな景色と、さまざまなコト」が集まった。同社では、今後も新たな旅の価値創造につながる取り組みを実施していく。

 なお、同フォトコンテストの結果は、下記サイトから確認することができる。

「日本の城」&「戦国関ヶ原」フォトコンテスト|阪急交通社
http://www.hankyu-travel.com/sns/cp/sekigahara/?9582
阪急交通社SNSフォトコンテストを開催!今回は「日本の城」そして「戦国関ヶ原」をテーマにしたフォトコンテスト!! 賞に選ばれた13名の方に、関ヶ原関連グッズをプレゼント! あなたのとっておきの一枚をご応募ください♪ SNS投稿で景品をゲットしよう!

「湯渡軍団」で冬の温泉をPR、宮城県

2017年12月1日(金) 配信

渡哲也さんに扮して記者発表に登場した村井知事

多くの名湯・秘湯がある宮城県は、冬の温泉を「渡るように楽しんでもらう」をコンセプトに「宮城 湯渡(ゆわたり)上手な旅」キャンペーンを2017年12月1日(金)から始めた。期間は2018年2月28日(水)まで。

 キャンペーンでは石原プロモーションの協力で、テレビドラマ「西部警察」の「大門軍団」にちなんだ「湯渡軍団」(ゆわたりぐんだん)と題したPR動画を作成し、特設サイトやユーチューブで配信している。

 動画では村井嘉浩宮城県知事が渡哲也さんに扮し、タレントのゆうたろうさんが「ボス」として登場。刑事(苗字が温泉地名)が県内各地を温泉捜査に置き換えて、その魅力をPRする。バックに流れるBGMは西部警察の主題歌。また、キャンペーン用のパンフレットもこれらの刑事が各地の温泉捜査として登場するスタイルで編集されている。

 PR動画視聴者へのプレゼント(応募締め切り2018年1月15日)や旅行割引クーポン券(応募締め切り2018年1月3日)などさまざまな企画も用意している。詳しくは特設Webサイトで。

 

ファミリービジネスの永続性へ “女性がコントロールを” 一條千賀子女将が語る

2017年12月1日(金) 配信

一條千賀子女将(中央)

 日本ファミリービジネスアドバイザー協会(FBAA、西川盛朗理事長)は11月18日、東京都内で5周年記念講演会「ファミリービジネスの永続性に向けた世界の潮流」を開いた。

 大きなテーマとなったのは、ファミリービジネスのガバナンス(統治)や女性の役割。約460年続く老舗旅館の「時音の宿湯主一條」(宮城県・鎌先温泉)の一條千賀子・20代目女将が出席し、「男性にはない女性の能力を認める寛容さと、女性に協力しようという気持ちがあれば、会社も家庭も平和になる。女性が上手くコントロールしながら(男性を)諭していくことも大事」と持論を展開した。

 講演会の冒頭、西川理事長は「日本の企業の9割以上がファミリービジネス(同族企業)。上場会社でも5割を超える」と強調する一方で、「たとえ業績が良くても事業承継で廃業するケースも増えている」と紹介。「事業承継は日本経済において最重要課題」と訴えた。

 続いて行われた基調講演「ファミリー企業が直面する世界的な課題」では、カリフォルニア臨床心理大学院名誉教授のケリン・E・ガーシック氏が登壇。事業承継計画を阻害する要因として、(1)シニアが退陣を拒んでいる(2)ジュニアの準備が整っていない(3)システム、環境、そして家族が変化を恐れている――などを挙げた。このうえで、後継者候補の経営参加の度合いを高めるためには、「女性や親戚、養子縁組などまで候補を広げることが大切」と述べた。

 「女性の役割と進化」を探る討論で、一條女将はファミリービジネスが長く存続していくうえで女性の大きな役割は「後継者を生み、育てること」と語った。また、女将の役割については「新入社員には、お客様を感動させるあなたがスターであり、女将はコーディネーターと話している」と紹介した。さらに子育てと仕事が同時並行であった経験から、「子供を持つ女性が仕事をするためにはPTAの改革は急務」と強調した。

〈観光最前線〉ブレードランナー2049

2017年12月1日(金) 配信

映画「ブレードランナー2049」鑑賞後に購入したパンフレットとポストカードセット

 待ちに待った映画「ブレードランナー2049」を観てきた。1982年に公開されたリドリー・スコット監督の前作「ブレードランナー」から30年後の世界を描いた続編だ。スコット監督が製作総指揮を務め、カナダ出身のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が新たにメガホンをとっている。

 映画「ブレードランナー」は、今でこそSF映画の金字塔と評価されているが、公開時は客の入りが悪く、わずか2週間で上映が打ち切りになった。その後、ビデオデッキの普及に伴い、マニアの間でカルト的な人気を誇るようになった。まさか35年の時を経て正式な続編が製作されるとは夢にも思っていなかった。

 続編の評価は賛否両論あるようだが、個人的には傑作と評価したい。163分という上映時間もまったく気にならなかった。

【古沢 克昌】

IoTと観光を考える 見逃し市場発掘へ “IoTはスマホ”身近に捉える

2017年12月1日(金) 配信

パネルディスカッションのようす

 11月9日に行われた全国商工会議所観光振興大会=既報=では「地域の宝を生かせ! ~地方都市の底力~」をテーマに4つの分科会が開かれた。「IoTと観光」では、見逃し市場の発掘などIoTを活用した新たな観光誘客を模索した。パネリストからは「IoTはスマートフォン」と示され、身近に、シンプルに考えることや、使うこと自体を目的にせず、あくまでツールとして捉えるべきなどの意見が出された。

【飯塚 小牧】

 IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」といわれる。ありとあらゆるものがインターネットにつながることを指し、観光業でも活用の動きが広がっている。

 分科会では前段として、日本電信電話(NTT)新ビジネス推進室地域創生担当統括部長の大西佐知子氏が、IoTやAI(人工知能)を観光、地域にどのように活用できるのか、どのような新しい風を吹かせられるかなどを語った。

 大西氏は、「スマートフォンを利用するのが大きなポイント。例えば中国人観光客がどこで何を買っているのかという実態がスマホで可視化できる」と紹介した。新たな観光資源を発掘できるほか、売れないと思っていた商品が実は人気だったというような見逃し市場を発見できる。「可視化したニーズをプロモーションし、着地側のおもてなしに役立てられるという一連の流れができ、PDCAサイクルを潤滑に回すことができる」と、データに基づく^tPRは効果が大きいとした。

 具体例として、北海道札幌市の事例を提示。台湾人旅行者が中島公園に1時間ほど滞在しているデータから、SNS(交流サイト)で調べたところ、無料のスキーレンタルがあり、雪が珍しい台湾人に人気を博していた。「理由を探るのはSNSでのつぶやきが便利。なぜそこにいるのか、困っていることは何かが分かる」。

 パネルディスカッションでは、JTB国内事業本部法人事業部観光戦略チーム観光立国推進マネージャー・日本版DMOサポート室室長の山下真輝氏が、IoTのメリットとして「合意形成をはかるために必要なもの。今まで感覚的に行っていたことがデータで裏付けられる」と語った。

 また、内閣官房日本経済再生総合事務局参事官の川村尚永氏は「人手をかけずに、自動で集まっている既存データを組み合わせて、潜在的な需要を探すことがIoTの肝ではないか」と語った。

 他方、山下氏は会場参加者からの質問に返答し、観光地ではない地域での観光の取り組み方をアドバイスした。「大切なのはプロセス。観光はさまざまな産業の人が関われる分野で、異業種交流が不可欠になる」と言及。観光はまちが抱える諸課題の解決の糸口になると示し、さまざまな人が意見を出し合う場を設けることに意義があるとした。また、そのまち自体が観光のデスティネーションになる必要はなく、周辺地域とのポジショニングを考え、連携することが有効だとした。

「もてなし名脇役 14」乳幼児が遊べる空間を 木製玩具メーカーが提案

2017年12月1日(金) 配信

キッズスペースの一例(休暇村裏磐梯)

 訪れた人が「迎えられている」と感じる。そんな空間演出につながるモノを、使われる場面も想像しながら紹介します。

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 「赤ちゃんも1人の大切なお客様」と考え、それを特徴とする宿も増えています。今回は、乳幼児連れ旅行を歓迎する宿への提案です。

 グッズの用意や貸切風呂の利用、部屋食対応など、できるもてなしの可視化も進み、安心して宿を選べるようになりました。「次の一手」を考えたとき、パブリックスペースに家族の居場所をつくるのも1つの選択になると思います。

 木製玩具と乳幼児向け食器を製造・販売するマストロ・ジェッペット(福島県・南会津町)は、企画力を生かした「遊び場」の提案も手掛けています。利用の減った2次会施設やロビーの一角などを生かし、「ここで楽しく遊んでください」という空間を作ってみるのはいかがでしょう。

 そこで活躍するのは、木肌の優しい手触りが感じられるおもちゃの数々。素材や安全性に加え、グッドデザイン賞やWONDER500を受賞するなど、インテリア性のある玩具は、きっと宿の空間になじみます。

 問い合わせ=0241(62)1600。

水上観光船 脚光浴び注目度が高まることを期待

2017年12月1日(金) 配信

水上観光船は旅の思い出を深める

 観光産業といえば、ホテルや旅館などの宿泊施設、旅行会社や大規模なテーマパークなどを真っ先に思い浮かべるかもしれない。旅の移動には欠かせない航空会社や鉄道会社、観光バス会社なども、観光産業の重要なポジションを占めている。

 ドライブインなどの土産物施設や飲食店も、観光産業の主役である。視点を変えると、バッグやカメラ、自転車などのメーカーだって観光との関わりは密接である。「観光は裾野が広い産業だ」と言われるが、実際、本当に広い。観光とまったく関係がない業種を探すことは、非常に困難である。

 観光産業のど真ん中に存在し、とても愛される存在でありながら、これまで十分に脚光を浴びて来なかった業種がある。それは、水上観光船だ。

 業界専門紙の記者として数えきれないほど、観光関係者が集うパーティーなどにも出てきた。宿泊施設や旅行会社、運輸機関などに対する期待の言葉、日ごろの努力への賛辞や貢献への謝辞は多く耳にしたが、水上観光船への言及は少なかったというのが率直な印象である。

 島国で海に囲まれ、自然豊かな日本には、さまざまな水上観光船がある。

 海辺には多島美を満喫する島めぐり観光船や、湾内クルーズなどが多く存在する。工場夜景を海上から眺めるコースも全国各地にある。南の島では、サンゴ礁や熱帯魚の群れをガラス越しに眺めることができるグラスボートもある。

 景勝地として広く認知されている湖には、遊覧船はワンセットだ。湖上のひとときをのんびりと優雅に過ごすための遊覧船が運航している。

 川下りも人気である。桜や新緑、紅葉の深い渓谷を船でゆっくりと流れていく景色を眺めるのは、日本の深部に秘する美を堪能できる贅沢な旅である。

 また、城下町など歴史的な古い町並みのお堀には、船頭さんが舟唄を気持ちよさそうに唄いながら、巧みな竿さばきで、町並みを案内するツアーも名物となっている。

 そして最近は、水陸両用船が脚光を浴びている。

 海や湖、川、お堀でもそうだが、水上から眺める体験は、歩く旅とはひと味違う。旅の思い出を重層的に深める力を有している。

 豪華クルーズ船による船旅は多くの人の憧れだ。しかし、現実には参加者はまだまだ一部の人たちに限られている。

 一方、日本各地に存在する旅先での水上観光船は、気軽に非日常を楽しむことができ、多くの人々に親しまれている。近年はインバウンドの拡大で、水上観光船に外国人観光客が楽しそうに乗船する姿もしばしば目にするようになった。

 旅行新聞新社は今年初めて、旅のプロである旅行会社に優れた「水上観光船」を選んでもらう第1回「プロが選ぶ水上観光船30選」を発表する。10月に全国の旅行会社から投票を受け付けており、12月11日に本紙ホームページで発表する。

 来年1月23日には、東京・新宿の京王プラザホテルで第43回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」などとともに、表彰式を開催する。国土交通省と観光庁も後援している。今後、注目度がますます高まることを期待している。本紙も観光業界の専門紙として、全国の水上観光船を盛り上げていきたいと思う。

(編集長・増田 剛)

若狭路に春を告げる 「お水送り」3月2日実施 福井県小浜市

2017年12月1日(金) 配信

御香水を奈良へ送る

 福井県嶺南、古代から塩や海産物を京へ届け、都の食文化を支えた「御食国(みけつくに)」として知られる小浜市で毎年3月2日、若狭路に春を告げる神事「お水送り」が行われる。

 全国的に有名な奈良・東大寺二月堂で毎年3月12日に実施される「お水取り」は、実はこの「お水送り」で若狭「鵜の瀬」から流された御香水が、二月堂「若狭井」まで届き、それをくみ上げる神事のこと。

 お水送りは752年、若狭の「遠敷(おにゅう)明神」が、東大寺の大仏開眼供養に先立つ“行”に遅れたお詫びに、本尊に供える「閼伽水(あかすい)」を若狭から送ったのが始まりと伝わる。

 見どころは、夕刻から同市の神宮寺で行われる「達陀(だったん)の行」。赤装束の僧が、長さ7㍍にもなる巨大たいまつを振り回しながら回廊を練り歩き、魔を祓う様は圧巻。

 その後、境内に設けられた大護摩壇の火をたいまつに移し、それを担いだ僧たちの行列が、約2キロ上流の鵜の瀬まで御香水を運び上げる。僧に続いて一般参加者約1500人もたいまつを手に行列に続き、鵜の瀬まで幻想的な光の道を創りだす。

 行列が鵜の瀬に着くと大護摩が焚かれるなか、住職が送水文を読み上げ、御香水を遠敷川に注ぎ込む一番の見どころ「送水神事」が行われる。この御香水が10日後に奈良へと流れ着き、東大寺の「お水取り」でくみ上げられることになる。

【楽天ライフルステイ・太田宗克社長に聞く】「特定のプレーヤー、排除しない」

2017年12月1日(金) 配信

太田 宗克 氏
楽天トラベル執行役員国際事業部長、楽天逸行(北京)信息科技董事長兼総経理などを歴任。17年より現職。

 6月の設立後、海外の民泊プラットフォーマー(仲介業者)との提携を積極的に進めてきた楽天LIFULL STAY(楽天ライフルステイ)。社長の太田宗克氏は、楽天トラベルの黎明期にも携わったオンライン旅行業界の先駆者。「徐々に段階を踏みながら、楽天トラベルと同様に規模を拡大していきたい」と力を込め、民泊業界の健全化にも意欲を示した。

【謝 谷楓】

 ――住宅宿泊事業法(民泊法)の施行(2018年6月15日)に合わせて、自社仲介サイト「VACATION STAY(仮、以下略)」を立ち上げる予定です。まずは、物件の募集開始時期について教えてください。

 物件募集は18年3月中旬、事業者の申請・登録開始日に合わせて行う予定です。我われは、行政の動きに準拠するカタチで活動をしています。同じ理由で、「VACATION STAY」のサービス開始も民泊法の施行日に合わせているのです。

 ――楽天グループとして、民泊業界で果たすべき役割について。

 民泊法の施行を皮切りに、健全なビジネスモデルの確立を果たしたいという思いがあります。

 ホテル・旅館業界関係者と意見を交わすなかで、問題は違法民泊にあるという印象を持っています。全否定ではなく、一部で蔓延する違法な取り組みを改善してほしい、そうすれば協働も実現可能だという立場の方が多数を占めていると理解しています。

 ホテル・旅館が望む、あるべき民泊市場をつくることが、我われの役目です。プラットフォーマー(仲介業者)各社が、民泊法を蔑ろにしない環境を率先して整備していきたいと考えています。民泊法の施行に合わせてサービスを開始するなど、行政の動きに沿って事業を展開する理由もここにあります。

 法施行後、違法民泊を行うホスト(宿泊事業者)に対し、「仲介業者」各社がどう対応するのかに、強い関心を抱いています。問題が起きればその都度、建設的な話し合いを続ける必要があります。

 ――ホテル・旅館業界のなかには、ホームシェアリング(民泊)と既存旅館業、しっかりと顧客の棲み分けをしてほしいという声もありますが。

 我われの使命は、旅行や宿泊の需要底上げです。民泊業界を牽引することで、旅行や宿泊需要を一層喚起できると考えています。例えば、民泊を利用して宿泊している人が、近くのホテル・旅館へ入浴や食事をしに行ったりすれば、両者間のコラボレーションも生まれ、双方の需要底上げができると思います。

 既存の市場でシェア争いをすることが、目的ではないのです。ホテル・旅館はもちろん、物件の「管理業者」など、特定のプレーヤーを排除する考えもありません。

 ――10月、鯖江市(福井県)との連携を発表しました。古民家の再生など、空き家対策の一環として「仲介業者」との連携に期待する地域が増えてきました。今後は宿泊以外でも、誘客に結びつくアイデアが求められるのではないでしょうか。

 誘客増は、地域全体で取り組まなくてはならない課題です。地域の自然そのものをコンテンツとして考えることが効果的です。

 来訪者が増加傾向にある東南アジアや台湾、香港と違い、日本には四季があり気候の変化が顕著です。グランピングなど、移り変わる自然模様を楽しめるコンテンツが興味を引きつけます。アジア圏からの来訪者数はインバウンド全体の約8割を占めるため、このビジネス機会を逃す手はありません。

 コンテナハウスやトレーラーハウスといった施設は比較的安価で、設備投資の負担も軽く済みます。古民家などの民泊物件と併用してもらうよう工夫を施すことも可能です。コテージなどの宿泊施設は、災害時にも役立ちます。

 観光資源が乏しいと悲観する地方行政関係者はぜひ、地域の自然そのものに着目してほしいと思います。

 ――「仲介業者」楽天LIFULL STAYの強みについて。

 「宿泊事業者」がワンストップで、事業を営める状況を整えています。販売面から清掃といった管理業務、家具の販売・レンタルまで、民泊物件の運営をトータルでサポートします。仲介サイトのみの利用も受け付けています。

 国内客とインバウンド、双方の取り込みを支援する用意があります。国内では、9千万人を超える楽天会員(ID数、17年9月)をターゲットにすることができます。

 ホームアウェイ(米国)や途家(トゥージア、中国)、アジアヨー(台湾)ら、各国・地域で高い知名度を誇る「仲介業者」との提携にも注力してきました。「VACATION STAY」に物件を登録すれば、インバウンドにもリーチする仕組みが完成しています。

 ――手数料などについて。

 「宿泊事業者」からは、3%の仲介手数料を募ります。「VACATION STAY」では別途、ユーザーからももらい受けます。

 提携先の「仲介業者」ごとに、手数料の募り方が異なるため、「宿泊事業者」が望む収入を得られよう、価格面の調整も行います。安心して物件を掲載できる体制づくりに励んでいます。

 物件の代行運用手数料については、物件の広さや、登録種類(マンスリー賃貸や簡易宿泊所など)によって異なります。上限は25%となります。詳細は今後、アナウンスする予定です。

 ――不動産会社を対象とした、法人営業に力を入れている印象を受けますが。

 6月の設立以降、取り組みを説明するセミナーを開いてきました。法人が個人の参加者を若干上回っています。ピンポイントでの営業活動が難しい個人「宿泊事業者」については法の施行以降、楽天会員の基盤を活用するなど、取り込みを加速していきます。

 なお、都心部では宿泊提供日数が180日に制限されているため、マンスリー賃貸や簡易宿泊所と併用した運営が活発になると予測しています。マンスリー賃貸の残室を、民泊物件として販売できるシステムも構築中です。エリアや登録種類など、各物件に適した対応を目指します。

 ――ありがとうございました。