「女将のこえ216」河原 千晶さん、不動口館(大阪市犬鳴山温泉)

2018年11月24日(土) 配信

河原千晶さん 不動口館

女将から兼経営者へ

関西国際空港から車で30分。泉佐野市の犬鳴川渓流沿いに不動口館はある。客室や大浴場からは、「大阪府緑の百選」に選ばれた借景が望め、国内外の顧客を楽しませている。

 千晶さんは、7年前に女将兼代表取締役になった。夫で社長の孝俊さんが、若くして病で他界。大学生だった長男の政幸さんは、もともと継ぐ気でいたが、さすがにまだ早い。「中継ぎをする」と千晶さんは決意し、「僕がいなくなっても、時代に取り残されないように改装計画を進めてほしい」との遺志を継ぎ、大規模改装をやり遂げた。

 経営者になったうえに、借金も抱えた不安はいかばかりだったろうか。しかしこの時期、心強い仲間を得られたという。大阪JKK(女性経営者の会)で出会った不死王閣の岡本尚子さん、大和屋本館の石橋利栄さん、南天苑の山﨑友起子さんだ。「気兼ねなく細かいことも相談できて、互いに応援し合える、この巡り合わせがどれだけ心の支えになったか分かりません」。

 千晶さんは少しずつよりよい旅館づくりを進めていった。顧客に対しては、無料で選べる色浴衣の提供、夕食のデザートを水菓子からデザートプレートへ、乳幼児向けグッズの貸し出しなど、スタッフに対しては週休2日制を導入し、半期に一度は1人30分ほど割いてスタッフ面談を行う。そうした効果が表れているのだろう、離職率は少ないという。

 「人の出入りが激しいと旅館の雰囲気が悪くなりますから、そうならないよう人を大切にしています」。

 「何か困っていることはない?」と耳を傾け、希望を受けて導線にクーラーを設置したり、家庭の事情に配慮したシフトに組み替えたり、来年からネイルの学校に行きたいという若い人にはエールを送り、早めに人材確保に動く。

 「主人がいてくれたときは、私は今日のお客さまのことだけを考えていました。でもいまは、スタッフの働きやすさや地域のことも考えます」。

 インバウンドも初の試みだ。「せっかく関空の近くなのに何してんのん」と女将仲間に背中を押され、恐る恐るインバウンド登録をした。「どないなるんやろと思いましたが、スタッフは意外と平気で、身振り手振りでやってくれる。さすが大阪のノリやと感心しましたね(笑)」。

 この取材後、千晶さんは泉佐野の観光会議に出かけた。関空近くの立地を生かし、市全体で観光需要を育もうとしている。今夏、4年間他社で修業した政幸さんが戻り、安心して出掛けられるのだと嬉しそうにほほ笑んだ。

(ジャーナリスト 瀬戸川 礼子)

住所:大阪府泉佐野市大木7▽電話:072-459-7326▽客室数:10室(45人収容)、一人利用不可▽創業:1932年▽料金:1泊2食付14,000円~(税別)▽温泉:単純硫黄冷鉱泉▽3つの宴会場があり、最大で70人収容。夕食は部屋食。市内全体で観光を活性化しようと、(一社)泉佐野シティプロモーション推進協議会にも積極的に参加している。

コラムニスト紹介

ジャーナリスト 瀬戸川 礼子 氏
ジャーナリスト・中小企業診断士。多様な業種の取材を通じ、「幸せのコツ」は同じと確信。働きがい、リーダーシップ、感動経営を軸に取材、講演、コンサルを行なう。著書『女将さんのこころ』、『いい会社のよきリーダーが大切にしている7つのこと」等。

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(166)」観光地から感動地へ(福島県会津若松市)

2018年11月23日(金)配信

松平家14代松平保久さんも参加された第3分科会

平成の年号が終わろうとする今年は、きしくも明治改元150年の節目の年となった。

 先月来訪ねた地域だけでも兵庫県朝来市の生野鉱山、横須賀市・呉市・佐世保市・舞鶴市など旧海軍鎮守府の4都市。

 そして直近は、会津若松市である。もっとも、会津若松では明治維新とは言わず「戊辰戦争150年」という表現になる。

 その会津若松では、11月5―7日まで、全国商工会議所観光振興大会が開催され参加した。人口12万人ほどの地方都市に、全国から1300人を超える関係者が集合した。大会テーマは「観光地から感動地へ」であった。

 観光に「感動」は不可欠である。その感動を生むには一連の「装置」が必要だ。観光インフラなどのハードはもとより、観光者を楽しませるさまざまな物語やプログラム、そして何よりも観光客をお迎えする心、つまりソフトとハートである。しかしながら、これら「装置」は陳腐化も早い。かつての団体客が激減し、個人客やテーマ客、そして多国籍の外国のお客様の増加に対して、古い装置のままでは絶えずミスマッチの危機に直面する。この傾向は、観光地としての歴史の古い地域ほど顕著である。

 では、「感動地」とは何か。これはなかなか難しいテーマだが、私のイメージはこんなものである。1つは観光地である前に、地域固有の地勢や歴史を踏まえ、持続的な地域創造への取り組みがあること。地域の生業を刷新し、観光地としての景観を維持する環境保全などの息長い取り組みなどである。

 この持続的な取り組みが観光地としてのブランドにつながる。つまり2つ目はブランドの維持・形成である。 
 3つ目は、地域が歴史のなかで紡いできた多様な地域との連携である。観光はある意味ご縁である。そのご縁を大切にした持続性の担保という言い方もできる。

 そして4つ目は、観光客の感動を生む先進的な取り組みや価値再生。つまり不断のリノベーションである。

 会津は福島県を代表する歴史的観光地である。
 その分、既存の観光に安住している部分も否めない。2日目の第3分科会に登壇された会津松平家14代、松平保久さんは、先月号で紹介した北海道・標津町の会津藩番屋での北海道開拓とロシアとの交易、米カリフォルニア州ゴールド・ヒルの「会津コロニー」の話に触れながら、会津が地域と結んできたご縁などをもっともっと大切にしたいと発言された。同時に「会津観光史観」に潜む固定概念化を克服し、伝統と革新を繰り返す京都観光のようなしたたかさ、レジリエンスといった話も展開された。

 会津が新たな感動と、訪れる人々の共感を得るためには、さらなる革新が不可欠である。これは全国の観光地に共通する普遍的テーマでもあり、今回の観光振興大会の目的でもあった。

紅葉まっさかりの会津東山温泉

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

旅行で生産者にファンを 畑のレストランで福島応援(孫の手トラベル)

2018年11月23日(金)配信

一日限りのプライベートレストラン

 今年5月、福島県須賀川市にある「おざわ農園」のイチゴ畑の真ん中に、ダイニングテーブルが突如現れた。席についた人たちの前には、「苺とヨーグルトのスープ」が運ばれる。1日限りのプライベートレストラン「Food Camp!(フードキャンプ)」の始まりだ。テーブルに並ぶ、ナイフやフォーク、食器はすべてホテルのレストランで使われているもの。イチゴを豚肉で包んだメイン料理にナイフを入れた参加者からは、驚きの歓声が上がった。孫の手トラベル(山口松之進社長、郡山市)が企画するフードキャンプでは、毎回このような光景が見られるという。

「おざわ農園完熟苺尽くしツアー」(今年5月)

人結ぶ企画の発芽

 震災後、福島県内では食の風評被害を払しょくする取り組みが多数行われている。食大学というWeb上の仮想大学もその1つ。県内の優れた農産物や生産者の情報を発信するほか、直接購入できる場として郡山市内で開成マルシェを開いてきた。この取り組みにアル・ケッチァーノ(山形県鶴岡市)の奥田政行シェフが加わり、2014年3月には復興レストラン「Fuku che cciano(福ケッチァーノ)」も開業した。

 山口社長も一連の取り組みを応援するなか、「顔が見えるホンモノの生産者は、信頼回復も早く、震災前以上に消費者に支持されている」と実感した。そこに震災前、鶴岡市内を訪ねた経験がつながった。

 日本調理技術専門学校(日調、郡山市)の社会人講座で鶴岡市を訪問。奥田シェフとともに農家を訪ね生産者の話を聞いた。その後アル・ケッチァーノで食べた野菜のおいしさが忘れられない。「モノがコトに変わった瞬間だった」(山口社長)と振り返る。

 「旅行というカタチで生産者にファンをつけられないか」。生産者と消費者とを結びつける、フードキャンプの原点となるアイデアが発芽した。 

2種類の試行錯誤

 北海道で行われていた「畑でレストラン」という企画を、郡山でも開けたら。そう生産者と話していたとき、偶然中古のキッチンカーを見つけた。「買ってから考えよう」(山口社長)と即座に購入。今から3年ほど前のことだ。

 日調の助言も受け、改造した2㌧車は、電気だけでなくガスも使える設備、100㍑の水タンクも備える。キッチンカー改め「フードカート」の誕生だ。これ1台で何もない場所でも調理できるようになった。

 ただ営業許可は煩雑を極めた。フードカートは食品衛生法上、移動販売車に区分され、通常「単品」で調理の許可が下りる。コース料理を出すという取り組みに「前例がない」という壁が立ちはだかった。さらに場所(農場)も変わるため、届け出る保健所も都度違った。メニューの提出から、調理法の確認など、開催の度に煩雑なやり取りが続いた。

 保健所の手続きは、消費者の安全を第一に考えたもの。丁寧にやり取りを続けていくなかで、「(フードキャンプとは)こういうことなんだ」という理解も得られた。

 フードキャンプ事業に昨年、震災前まで郡山市内で飲食業に携わっていた寺井昌美さんが加わった。まず、取り組んだのが新たな場所を探すこと。県内くまなく歩くなか川内村にあるワイナリーを見つけた。

 景色の素晴らしさに、「いつかはここで」と思い巡らせていたところ、村からオファーが舞い込む。「以降2回も開催させていたただきました」(寺井さん)。当日は買い物もしたいという参加者のために、軽トラックに野菜や特産品を積んだ「マルシェ」も用意。即興で何かが生まれることも多いという。自身も2年前まで参加者だったという寺井さん。フードキャンプの醍醐味を一言でいうと「非日常感」と表現する。

 同じ試行錯誤でも、楽しさが苦しみに勝ってきたようだ。

地元誇り地方創生へ

 3年目を迎えた今シーズンはWebサイトの開設やNHKあさイチでの放送もあり、取り組みが広く知られるようになった。8月にはコピーライターの糸井重里さんが社長を務める「ほぼ日」とも協業した。「県外からの参加者が増えるなか、風評被害払しょくの一端を担っていきたい」(寺井さん)と前を向く。酒蔵での開催など、福島ならではの新しい試みも始まった。

 孫の手トラベルではフードキャンプを、目的でなく地方創生に取り組む手段と考えている。福島に来る人が増えれば、住んでいる人たちも誇りに思える。寺井さんは「地産地消を通じて、福島を盛り上げたい」という。ツアーは入り口。「取り組みが新しいビジネスを生むこと」(山口社長)にも期待を寄せる。

【鈴木 克範】

山ノ内町観光連盟、来年長野県初のONSEN・ガストロノミーウォーキングを開催

11月22日(木)配信

来年の観光情報を提供した

長野県・山ノ内町観光連盟(山本聡一郎会長)はこのほど、東京都内でメディア関係者を対象に観光懇談会を開いた。同町は来年10月、長野県初のONSEN・ガストロノミーウォーキングを開催する。約10㌔のコース上に、1㌔間隔でガストロノミーポイントを設置。地元で人気の「うずまきパン」などを提供する。山本会長は、「地元の人が日常食べているものを、味わってもらい、地域の新しい魅力を発見してほしい」と語った。

 

 山ノ内町の竹節義孝町長は、「最近はスノーモンキーを中心に、海外からも多くの旅行者が訪れるようになった。しかし、宿泊客は全体から見るとかなり少ない。国立公園満喫プロジェクトなどとも連動し、他のエリアのPRも強化する」と語った。

 観光懇談会には、竹内町長と山本会長のほか、湯元義則専務理事(山之内観光商工課長)ら9人が出席した。志賀高原旅館組合青年部が行う「志賀高原天空フェス」や、湯田中渋温泉郷の湯巡りなどの話題を紹介した。

秋から冬の岐阜を楽しむ「女子旅★ぎふ」 来年3月まで展開

2018年11月22日(木)配信 

養老天命反天地(養老町・養老公園内)

岐阜県内のホテル・旅館の女性スタッフの企画で、旅の鉄板スポットや旬のおすすめを女性目線でセレクトした宿泊プラン「女子旅★ぎふ」が、旅行予約サイトのるるぶトラベルと連携し展開している。期間は2019年3月31日(日)まで。

女性目線に徹底的にこだわった宿泊プラン

奥飛騨温泉郷

 秋も深まるこれからの季節。里山も多く残る岐阜県内では、心和ませる紅葉をはじめ、秋の風景や温泉に、栗や柿、キノコなどの秋の味覚も堪能できる、ぽっこりゆったりした時間が訪れる。風情豊かな秋から冬にかけての岐阜は、「旬なスポットやおいしいものを心行くまで堪能したい」「旅先では思いっきりリラックスしたい」といった、旅にはちょっと欲張りな女性にも、満足頂けること間違いなしだ。

 新しくスタートした「女子旅★ぎふ」は、そんな女性がさらに旅を満喫して頂けるよう、おもてなしの達人である県内のホテル・旅館の女性スタッフが選りすぐってセレクトした絶景ポイントや世界遺産などの観光スポット、手しごと体験、ご当地グルメや旬の味、そして、色浴衣や着物、マニキュアセットのレンタルなど女心のツボにはまるおもてなしも盛り沢山。女子目線の“ときめき”が詰め込まれた贅沢なプランだ。

下呂温泉花火物語(下呂市・阿多野谷周辺)

 奥飛騨や下呂などの名泉あり、里山のほっこり癒される風景あり、楽しい体験ありと、それぞに、地元ならではのとっておきの過ごし方が用意されている。

県内の洋菓子店で使えるスイーツクーポンプレゼント

 「女子旅★ぎふ」対象宿泊プラン利用のさらなる特典として、県内の洋菓子店51店舗で使えるスイーツクーポンをプレゼントする(先着500枚限定。規定枚数に達し次第終了)。配布期間は2018年11月1日(木)~2019年2月28日(木)まで。

素肌美人スイーツ(下呂市)

 女子旅には欠かせないご当地スイーツをあわせて楽しめる!

「女子旅★ぎふ」概要

<名称>

 「女子旅★ぎふ」(じょしたび★ぎふ)

<概要>

展開期間:2018年10月30日(火)~2019年3月31日(日)

展開エリア:長良川・西美濃、下呂・郡上・東美濃、高山・奥飛騨

価格帯:1万~3万円(税サ・入湯税抜き)

概要:県内各地の女性宿泊施設スタッフが、女性自線で企画した宿泊プランをるるぶトラベルサイトで販売

・特設WEBサイト「女子旅★ぎふ」をあわせて開設

・スイーツクーポン発行

 ※12月からは、和菓子店で利用できるスイーツクーポンを発行予定

<参加宿泊施設、おすすめスポットなど>

<参考> プラン例:

◎「ドリンクが全て半額★色浴衣&ケーキセット他特典たっぷり女子旅プラン♪飛騨牛鍋付」

<特典>

 ・お好きなレンタル色浴衣を1枚無料貸し出し

 ・チェックイン午後2時(通常は午後3時)、アウト午前11時(同午前10時)

 ・タ食時の飲み物すべて50%OFF

 ・ロビーラウンジにてフレーバーティー&ケーキセットサービス

 ・長良川温泉若女将会オリジナル紅茶「長良川~風の香り~」プレゼント

 ・長良川温泉オリジナル入浴剤「美の薬泉」プレゼント

 ・アロマポット、マニキュアセットの無料貸し出し

◎「女性ひとり旅プラン♪エステ&飛騨牛Dinner&湯上がりSweets」(1日1組限定)

<特典>

 ・お食事◆ごタ食は高級ブランド牛“飛騨牛”ディナーコース

 ・エステ◆最上階エステサロンでの“オイルトリートメント”(40分)

 ・湯上がりの一杯◆ラウンジ特製の美肌スイーツ“甘酒シェイク”

特設WEBサイト「女子旅★ぎふ」

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JTB、欧州旅に革命を 新たな観光バス「ランドクルーズ」来春運行へ

2018年11月1日(月) 配信 

井上氏との会見は11月21日に東京都品川区のJTBビルで行われた。

 JTBは11月21日、FIT(個人旅行)向けに現地発着の周遊型観光路線バス「ランドクルーズ」を、来春に欧州で運行すると発表した。スペインからドイツ、イタリアなど主要12カ国を走らせる。約130区間あるルート上で、乗り降りする場所を自由に設定できる。運行区間の総延長は1万4千㌔を超え、欧州旅の新たなインフラを作り上げたカタチだ。年間運行コストは約4億円にも上るが、「欧州旅革命。」をスローガンにこれまでにない旅のスタイルを提供していく。

 「お客様は好きなように旅を作り上げていくことができる」。JTB取締役グローバル事業本部長の井上聡氏は21日の会見で自信をみせた。最大の特徴は欧州を網羅する路線網を整えたこと。各地域にある9つのコースを走るバスは、それぞれのコースを約1週間かけて円を描くように定期運行する。隣り合うルートが接する場所に、同じ日にバスが到着するため、客はそこで次のバスに乗り移ることができる仕組みだ。

ランドクルーズ路線網(イメージ)

 周遊するだけでなく、1つのコースの1区間からでも楽しめる。1区間の平均料金はホテル宿泊付きで2万2千円ほど。現地集合・現地解散で1人でもバスは動き催行中止の心配はない。現地の係員が同乗し、案内は日本語となる。

 web販売では全区間から1区間でも選べ、自分好みの旅を組める。特設サイトを29日に開設予定で、予約から決済までできるようにする。店頭は人気コースに絞った全80コースを取り扱う。ともに11月29日から販売を始める。

 一方で、JTBだけでなく、日本の旅行会社は約50年間、日本発着で往復航空券付きのパッケージツアーに力を入れてきた。現地発着が軸のランドクルーズでこの流れから大きく舵を切る。莫大なコストをかけながらも、従来の体制から脱却をはかる考えだ。

旅行環境への対応策

 ランドクルーズは急変する旅行環境への対応策でもある。航空座席不足と客のFIT化が近年課題となっている。

 大挙する訪日外国人は今年、初めて年間3千万人超える勢いをみせている。このため、旅行会社は航空座席を確保することが難しくなっている。

 さらにオンラインで旅行を組むことが個人でも容易になり、客のFIT化が顕著になってきた。「現地に着いてから場所を決めたい」「自由に回りたい」などの声も増えているという。

 旅行会社は多かれ少なかれ同じ悩みを抱えている。井上氏は「だからこそ、ランドクルーズは他社も販売してもらえる」と、ランドクルーズのインフラ機能を業界に開放する考え。

 他社からすれば自社で採算割れのリスクを負うことなく、欧州周遊ツアーを造成できるようになる。130区間の組み合わせほぼ無数になるため、各社独自の商品を客へ提案が可能となる。「お客様と旅行会社でウィンウィンの関係ができる」(井上氏)。

 将来的には日本だけでなく全世界で販売する見通し。さらに「欧州以外の地域でも、同じようなたてつけで挑戦していきたい」(同)とさらなる市場開拓も狙う。

ふるさとチョイスアワードで「しんじょう君とふるさと納税でまちが変わる」(高知県須崎市)が大賞に

2018年11月22日(木)配信 

ふるさと納税の優良事例を発表する「ふるさとチョイスアワード2018」で高知県須崎市の「しんじょう君とふるさと納税でまちが変わる」が大賞を受賞した。

 アワードは、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクが主催した。大賞を受賞した須崎市は、ふるさと納税を財源に、ゆるキャラブームにのって人気を得た「しんじょう君」によるシティプロモーションを積極的に取り組んでいる。現在、SNSを活用した情報発信や大規模なキャライベント開催、アジア圏でのアニメ化を進めて、海外にも進出するなど、しんじょう君をフル活用して、市を元気にしている。

 ふるさと納税の制度が始まって10年が経ち、返礼品競争が関心を集める一方で、ふるさと納税により集まった寄附金が子どもへの支援、動物支援、自然保護、さらには災害支援など様々な地域の取り組みに活用されている。また、ふるさと納税を通じて、自治体職員だけでなく地域の事業者・生産者が、その地域ならではのお礼の品を開発し、域外に発信をする過程で、地域が自立するきっかけが生まれている。

 トラストバンクは、5年前から地域(自治体)で起きている変化や寄附金の使い道の大切さを発信するため、日本最大規模の全国1788自治体の合計1万2千点以上の使い道や様々な取り組みの中から、地域活性や地域の課題解決に繋がった優良事例を厳選し、表彰する「ふるさとチョイスアワード」を毎年開催している。

 今年は、「STORY」をテーマに、表になかなかでてこない、ふるさと納税によって地域が変わった様々な出来事を発表した。全国からエントリーされた54事例のなかから、事前審査で8つに絞り込んだ。11月21日(水)に東京都内で開かれた表彰式会場で、自治体職員が自らの取り組みをプレゼンテーション形式で発表、5人の審査員および約120名の来場者の投票により大賞が決定した。

イベントの概要

イベント名:ふるさとチョイスアワード2018
日時: 2017年11月21日(水)午後1:30~
会場: スパイラルホール 東京都港区南青山5-6-23 スパイラル3F
内容:ノミネートされた8自治体の職員による取り組みのプレゼンテーション 、審査・表彰
イベント参加費:無料
主催:トラストバンク
エントリー自治体数: 54
審査員:
・藤田 和芳 氏(オイシックス・ラ・大地 代表取締役会長)
・小黒 一三 氏(木楽舎 月刊「ソトコト」統括編集長)
・磯山 友幸 氏(経済ジャーナリスト)
・鵜尾 雅隆 氏(日本ファンドレイジング協会代表理事/ファンドレックスCEO)
・須永 珠代(トラストバンク 代表取締役)

ノミネート自治体のエントリータイトル・内容

青森県三戸町:オンリーワンのお礼品から始まった三戸町のSTORY
 11ぴきのねこのまち、ずっと応援します!寄附者メッセージの半数以上が、当町出身の漫画家、故・馬場のぼる氏の代表作『11ぴきのねこ』ファンからのもの。この想いに応えるため、オンリーワンのお礼品開発を一昨年度から続けている。寄附金の使い道は、11ぴきのねこの石像設置や人形劇開催など、聖地・三戸町ならでは。

埼玉県:自治体連携で感動体験を提供 ~ライバルから仲間へ~
 観光名所がなくても「地元の日常」を「誰かの特別」に変えればいい。今年3月、県の呼びかけで市町村が連携し、体験型返礼品で地域振興を図る会議を設立。10月には複数市町村を周遊する体験コースを3エリア(7市町)で作った。例えば、大豆畑から醤油蔵へつながる物語があり、けん騒に疲れた貴女を癒す瞑想ヨガと焼きイモがあります…。市町村連携で生まれた魅力的なストーリーで、寄附者の方に感動を提供していく。

東京都墨田区:地域へ、世界へと北斎の魅力を発信!成長し続ける美術館を目指して
 すみだで生まれ、その生涯のほとんどをすみだで過ごしながら数多くの名作を残した葛飾北斎。墨田区では、この郷土の偉人を顕彰し、観光や産業へも寄与する地域活性化の拠点として、「すみだ北斎美術館」を平成28年に開設した。すみだ北斎美術館では、展覧会だけでなく、様々な事業を展開し、いつまでもすみだと北斎の魅力にあふれ、地域の人、世界中の人々に愛され続ける美術館を目指していく。

東京都文京区:子ども宅食プロジェクト「とどく、つながる、みらいのために」
 経済状況が食生活に影響するリスクがある家庭の子どもに対して、企業等から提供いただいた食品等を直接手渡しで配送している。配送をきっかけに、子どもとその家庭を必要な支援につなげ、地域や社会からの孤立を防いでいくことも目的になっている。本事業は区、NPO団体等が対等な関係でパートナーシップを組み、事業に取り組むコンソーシアム(共同体)形式を採用し、各団体の強みを活かしてプロジェクトを推進している。

高知県須崎市:しんじょう君とふるさと納税でまちが変わる
 須崎市では、ふるさと納税を財源に、しんじょう君によるシティプロモーションに取り組んでいる。SNSを活用した情報発信や大規模なキャライベント開催、アジア圏でのアニメ化を進めている。地元高校生と漁業者と共にクラウドファンディング実施や、返礼品事業者と海外イベントへ出展し、海外販路開拓やインバウンド観光のキッカケ作りに取り組む。

高知県日高村:寄付実績0件!ふるさと納税は、内部コミュニケーションツール
 「村民に弟子入り体験しよう!」をコンセプトにして、村民の日常を体験できるサービスをふるさと納税で始めた。きっかけは、村のおじいおばあの普段の生活が魅力的だから。ふるさと納税で提供できるようになるまで、地域事業者や東京メンバーの協力、村民との調整に文字通り協力隊が四苦八苦して作ったサービスだが、残念ながら申込実績はなかった。ただ取組んだことで地域の繋がりは強くなった。寄付額や件数じゃなくて、まずはやってみる。

福岡県赤村:唯一の『赤』をお届けさせていただきます。
 福岡県赤村は炭鉱で栄えた筑豊地方に位置し、炭鉱ではなく農業一筋に培ってきたどこにでもありそうな村。この村にも日本で唯一のものがあった。それは日本で唯一、自治体名に色のみを冠していることです。その昔、正義のヒーローの主人公は必ず『レッド』が担っていました。私たちは『赤』にこだわったふるさと納税の返礼品をお送りすることで、皆さんのヒーローになれればと・・・。

鹿児島県長島町:町の子どもをみんなで支える「ぶり奨学金」
 ぶり奨学金制度とは、出世魚で回遊魚のブリにちなみ、学校等卒業後、地元リーダーとして活躍してほしいとの願いを込めて名づけられた長島町の新しい奨学金制度。具体的には、金融機関からぶり奨学ローンを借り、返済した場合に、元金相当額については卒業後に長島町に戻って居住している期間分を、利子相当額については全期間分をぶり奨学基金から補填する仕組みだ。自治体が独自に運営する奨学金制度はあったが、自治体と金融機関が共につくった制度は全国で初めて。ぶり奨学金の原資には、町の一般財源から1億円を拠出し、それに町民や事業者からの寄附金やふるさと納税で運用している。

トラストバンクについて

 2012年4月設立。地域に「ヒト」「モノ」「おカネ」「情報」を循環させることで持続可能な社会の実現のため、主に自治体支援サービスを提供。2012年9月、ふるさと納税総合サイト『ふるさとチョイス』を開設。同サイトは、約1億4,400万の月間PV数(2017年12月)、契約自治体1,400自治体超(2018年10月)、お礼の品登録数20万点超(2018年10月)を有する国内最大のふるさと納税総合サイトに成長。

 2013年9月、ふるさと納税の制度を活用したプロジェクト型課題解決支援「ガバメントクラウドファンディング」をスタート。ふるさと納税市場におけるリーディングカンパニーとして、寄附金の「使い道」を明確にする「ガバメントクラウドファンディング」の普及活動を積極的に展開。

 2014年9月には有事の際にふるさと納税制度を通じて被災地を支援できる「ふるさとチョイス 災害支援」の仕組みを立ち上げ、全国すべての自治体に無償でプラットフォームを開放。この仕組みで累計約50億円(2018年10月)を超える寄附金が集まり、寄附金は寄附先である被災自治体に直接届けられ、復興・復旧に活用されている。

 また、自治体職員を対象にしたセミナーなどを全国で多数実施。2016年7月、都心にいながら「ふるさと」を身近に感じられる場所として「ふるさとチョイス Café」(有楽町)をオープンした。

 

横浜DeNAベイスターズ、オフィシャルショップ「BAYSTOREランドマークプラザ」を期間限定オープン

2018年11月21日(水) 配信

オープンをPRする山﨑投手

横浜DeNAベイスターズ(神奈川県横浜市)は来年4月中旬まで、ランドマークプラザ4階にオフィシャルショップ「BAYSTOREランドマークプラザ」を期間限定でオープンした。横浜みなとみらい21エリアでのオフィシャルショップの出店は初めてとなる。スポーツの力で地域の活性化をはかる「横浜スポーツタウン構想」の一環で、今年3月には「BAYSTORE横浜ジョイナス」を横浜駅に隣接するジョイナスにオープンし、横浜駅へ訪れる人と球団の接点を生み出している。

 店舗ではオフィシャルグッズの販売に加え、フォトスポットにもなるシンボルマーク「B」のモザイクアート(横約7㍍×縦約2・8㍍)を店舗内に展示。モザイクアートは、球団オフィシャルカメラマンの2018年シーズン公式戦写真を約3万枚使用している。このほかにも、横浜スタジアム内で人気のUFOキャッチャーとガチャガチャを同店に集結させるなどさまざまなコンテンツを用意した。また店内5カ所には、横浜DeNAベイスターズ山﨑康晃投手のサインが隠されている。

さまざまなオフィシャルグッズを取り揃える店内

 オープン当日の11月17日(土)には、ランドマークプラザ1Fにある「サカタのタネ ガーデンスクエア」でトークイベントが開かれた。ゲストとして登壇した山﨑投手は、「とても広くてびっくりしました。全選手の選手名タオルがあるのは嬉しいです。たくさんの写真が使われているモザイクアートも、ぜひ見てください」とPRした。

約600 人がイベントに集まった

BAYSTORE ランドマークプラザ 概要

期間:~2019 年4 月中旬ごろ

営業時間:午前11:00~午後8:00

※年末年始はランドマークプラザ営業時間に準ずる

所在地: ランドマークプラザ4 階

定休日:ランドマークプラザの定休日に準ずる

那覇市に食のテーマパーク「琉球王国市場」 12月1日開業

2018年11月21日(水) 配信 

NIPPONの魅力を琉球から世界に向けて発信

ユイマーケット(大橋央貢社長、沖縄県那覇市)は、那覇市の人気観光名所である国際通りに新たな商業施設「琉球王国市場」を2018年12月1日(土)にオープンすると発表した。

 琉球王国市場のコンセプトは、「美味しいと楽しいを結ぶマーケット」で、バラエティ豊かな日本の「美味しい」「楽しい」を集めた食のテーマパーク。青い外観の入り口を通り抜けると活気あふれる空間が広がり、市場には威勢のいい掛け声が飛び交うマグロの解体ショーや、厳選された新鮮な食材がズラリと並ぶ。

 横丁には縁日もあり、その場で飲み&食べ歩きが楽しめる。店内にはステージを併設し、物産展や体験型のイベントを随時開催する。提灯や鳥居が飾られた多彩なスポットは、笑顔あふれる思い出作りを演出する。

「琉球王国市場」概要

開業日:2018年12月1日(土)

名称:琉球王国市場

店舗数:50店舗(一部店舗は、開業後順次オープン)

所在地:

 〒900-0013 沖縄県那覇市牧志2丁目2番30号 地下1階、地上1、2階

アクセス:ゆいレール線「牧志」駅 徒歩約5分 国際通り沿い

営業時間:午前11:00~午後11:00

定休日:不定休

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早朝6時半から出発 旅先での時間有効に 「ツーリストタクシー」第2弾始まる

2018年11月21日(水) 配信 

第2弾をスタート

ウィラー(村瀨茂高代表)は11月20日(火)に、複数の観光地をタクシーで巡るサービス「ツーリストタクシー」の第2弾となる新コースの提供を始めた。早朝と夜の2コースを設定し、旅先で持て余しがちなスキマ時間を有効活用していく。観光客が集中する昼間からの分散をはかり、混雑緩和も狙う考えだ。

 1つ目は「早朝コース」で、朝の空いている時間に有名観光地に向かい、朝食後に昼間の観光に向かうもの。朝6時半に出発するなど、ついのんびりとしがちな旅先での朝の時間を有意義に楽しめるようにした。

 2つ目は「ナイトコース」で、夜景やイルミネーションなど夜の観光地を複数巡り、食事処まで案内する。夜に郊外の観光地に向かうとき、公共交通機関が動いていないといった不安も解消できる。

 第1弾の「ツーリストタクシー」は今年9月から運行している。公共交通機関だけでは行きにくい場所や、今まで注目を浴びていなかったコアな観光地を結ぶ新たな観光スタイルとして始めた。

 タクシーを用いて複数の観光地を回ることで、乗り換え不要、手ぶらで楽に移動できるようになる。ドライバーからは地元ならではの情報を聞けるなど、より充実した個人旅行を楽しめる。

 同社は今後も「ツーリストタクシー」のエリアやコースを拡大していく方向だ。

ツーリストタクシー
http://travel.willer.co.jp/tourist/
ツーリストタクシーは旅行者の、かゆいところに手が届くような乗り物です。