山梨県 やまなしの美酒・美食を推進 “フルコースイベント”を実施

2023年3月14日(火) 配信

やまなし美酒美食フルコースを提供する豊島シェフ

 山梨県(長崎幸太郎知事)は、同県の豊かな食材を活用した新たな食ブランドの確立と、「食」を目的とした誘客促進及び観光産業の収益向上をはかるため、2022年度「ワイン県やまなし」美酒・美食推進事業を実施している。事業の一環として、豊かな土壌から生まれる野菜や雄大な自然の中でのびのびと育ったジビエ、そしてワイン、日本酒、地ビール、ウイスキーといった県産酒を使用した、美酒美食のペアリングイベント「やまなし美酒美食フルコース」イベントを昨秋に開いた。

 同イベントでは「北杜エリア」と「河口湖エリア」の県内2カ所において、それぞれの地域の特色を生かした料理を「やまなしグルメコンソーシアム」メンバーをはじめとする料理人が手掛けた。

(左から)豊島シェフ、加藤シェフ、窪田シェフ

 11月30日に開催された河口湖エリアのイベントでは、和・洋・中の3人のシェフ、フレンチ「TOYOSHIMA」の豊島雅也氏、中国料理「NIGRAT」の加藤亮平氏、和食の窪田帆貴氏が担当。

 豊島氏と加藤氏は山梨県内にレストランを構え、窪田氏も山梨での店舗開業に向けて準備中と山梨にゆかりのあるシェフが集合した。

 22年に河口湖に誕生した「7c|seven cedars winery(セブンシダーズワイナリー)」のファーストビンテージワインとともに、河口湖の風と土を感じるスペシャル土窯コースメニューを提供した。名称のseven cedarsは、河口浅間神社に存在する「7本の千年杉」に由来しているという。

醸造チーム統括の鷹野ひろ子氏

 フルコース料理に先立ち、7cワイナリーの栽培・醸造責任者である鷹野ひろ子氏から新しいワイナリーの施設と設備について紹介があり、河口湖エリアでワイン造りに取り組む背景や狙いについて説明が行われた。

 同日のフルコースは、7cワイナリーの屋外テラスに設けられた特設コタツ席で料理が振る舞われた。

 フルコースの内容は、

【前菜1】鹿肉ジャーキーのおもてなし+よだれ鶏(7cワイナリー/シャルドネスパークリング)

【前菜2】富士の介 薪のオイル(7cワイナリー/甲州バレルファーメンテーション)

【椀】銀杏すりながし ナマズの炭火焼き(笹一酒造/純米大吟醸)

【点心】スッポン焼売&富士桜ポーク腸詰め(井出醸造/大樹海)

【肉】富士山麓鹿肉縄文焼き(7cワイナリー/プティ・ヴェルド)

【〆】鹿+牛肉麻婆豆腐(BRIGHT BLUE BREWING/スパイスエール)

 すべてのコース料理が提供されたあと、調理を担当した豊島シェフに話を聞くことができた。多くの料理に使用された鹿肉は豊島シェフが河口湖エリアで自ら猟をして捕ったもので、どれも臭みがまったくなく、しっとりした食感が魅力的だった。山梨県の食材やお酒のもつポテンシャルの高さを垣間見ることができた。

 山梨県産のワインや日本酒とともに、普段は簡単には口にすることができない貴重なジビエ料理をいただき、参加者から感動と感謝の言葉が多く発せられた。

 これを機会に「ワイン県やまなし」の美酒美食と美しい風景、山梨の豊かな魅力を今後も堪能していきたい。

【古沢 克昌】

 

JTB、NearMeと提携 2次交通の課題解決に向けて

2023年3月13日(月)配信

NearMeは「相乗りサービス」を開発・提供している(写真はイメージ)

 JTB(山北栄二郎社長)はこのほど、AIを用いた相乗りサービスを開発・提供するNearMe(ニアミー、髙原幸一郎社長)と資本業務提携契約を結んだ。これにより、JTBが進める「持続可能な観光地づくり」において、2次交通の課題解決をはかるべく協業を進める。

 ニアミーは、地域が抱える移動・交通の課題解決に向けて、空港送迎シャトル「ニアミーエアポート」などを提供する「スマートシャトル」を展開。今回の提携によって、JTBの観光型MaaS「Tourism Platform Gateway(TPG)」の交通サービス機能としての活用や、タクシー事業者のDX支援につなげることを可能にする。そして、相乗りサービスによるタクシーの効率的な運行により、CO2削減につなげ、地域の人やニアミーとともにSDGsの実現を目指す。

 協業による今後の取り組みとして、TPGとの連携による2次交通サービスを拡充し、観光地の拠点間移動時の電車・バス・タクシーに次ぐ「第4の公共交通機関」として交通サービスを提供。大会・イベント時の空港・駅・ホテルなどの拠点から会場までの効率的な移動サービスを開発する。また、タクシードライバーの減少や、稼働率改善などに資するタクシー事業者へのDX支援やソリューションを提供。JTBグループでの旅行商品購入者への移動サービスを提供し、国内旅行や海外旅行へ出掛ける際の自宅から空港まで、空港から観光拠点までの移動を支援する。

 このほか、高齢化による運転免許証自主返納が増加するなか、主に地方での交通弱者向けのソリューションを提供するなど、新たな共創サービスを開発する予定という。

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(146)サービス業を自分たちで盛り上げて行こう 小さなことも一生懸命

2023年3月13日(月) 配信

 

 出張で航空機を利用する機会が多くあります。チェックインカウンターでは機械化が進み、人と接する機会も少なくっています。接客を受けることが大好きな私にとっては、大変残念です。

 チェックインカウンターのスタッフと話したことが、客室乗務員に伝達され、驚くような機内サービスを受けたこともあります。お客様に関わるすべてのスタッフが、お客様から得た情報という宝をバトンリレーして創り出される最幸のおもてなしです。

 しかし、このような感動サービスを受ける機会が少しずつ失われています。人手不足と業務効率化から人による接客機会が減っているのです。「不快な想いをするなら、機械相手の方が良い」という声もありますが、これではサービス業の価値がありません。

 先日、羽田から大阪まで日本航空のファーストクラスに搭乗しました。私がこのクラスを利用するのは一番早く乗り降りできるからです。荷物を近くの棚に収納し、到着して素早く降りられれば、次の予定もスムーズに進められます。

 機内では、次の業務に向けて少しでも寝ることにしています。その日もそのつもりで搭乗したのですが、客室乗務員から掛けられた、とても素敵な言葉に感動しました。

 その乗務員は機内食のメニューを案内してくれましたが、私は最初、「おそらく寝ますので、食事は結構です」と答えました。普通は一旦ここで終了ですが、その乗務員は「かしこまりました。ただ、今日のデザート菓子は私も気に入った新しいものですが、それだけでもお召し上がりになりませんか」と勧めてくれました。非常に上手な話し方で、そのデザートにも興味が湧き、お願いしたのですが、つい寝てしまって目を覚ましたのは着陸時でした。

 降りるとき、乗務員から「お休みでしたので、お話ししたデザートだけでもお持ちになってください」と、袋に入った菓子を渡されました。後で食べてみると本当に美味しいお菓子で、後日通販で購入しました。小さな行動でもお客様に喜んでもらうことに一生懸命な人が現場にいることがうれしくなりました。

 ときには、理不尽で厳しい声を浴びるサービス業界ですが、「ありがとう」と素敵な笑顔を見せてもらえるお客様に出逢うと、勇気と元気が湧いてきます。良いサービスを提供し続けられるサービス業を残していくためにも、サービスを受ける側が良いお客様になることが大切です。

 私たちは、サービスの提供者であると同時に、立場が変わればサービス受ける人にもなります。そのときこそ、顔晴れというエールを、目の前でがんばるサービス提供者に送れる人になりたいものです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

津田令子の「味のある街」「びわのしずく」――ピース製菓(千葉県館山市)

2023年3月13日(月) 配信

ピース製菓「びわのしずく」5個入り1箱837円▽千葉県館山市北条1866▽☎0470(22)0699。

 東京都心からわずか90分で海と山の両方のリゾートを満喫できる千葉県館山市。東京ではまだまだ寒い時期に訪ねてみると、既に菜の花や、梅など冬から春への花があちらこちらで見ごろを迎えていた。寒さしらずのハウスの中での、イチゴ狩りは、既に暑さを感じるほどだ。大粒で甘みも強くお土産にも買ってきた。    

 

 今回は館山銘菓の1つ、種をとりのぞいた枇杷の果実をまるごと使い、ひと口サイズのゼリーに仕上げたピース製菓の「びわのしずく」を紹介しよう。

 

 はじけるようなみずみずしさと、枇杷の甘酸っぱい風味が口いっぱいに広がり、1つ、2つつとあっという間に平らげてしまう。ゼリーにも枇杷エキスをたっぷり使用したこだわりようだ。常温保存可能なのでお土産や持ち運びにも便利。家に帰って冷蔵庫で冷やして食べるとさらにうまみが増したように感じる。店主によると、「枇杷のみずみずしさを、季節を問わずいつでも気軽に味わっていただきたい」という思いから生まれた商品だという。

 

 店の創業は1948(昭和23)年。「房州の季節と歴史を御菓子にこめて、郷土の香りを全国へ」との思いを今も受け継いでいる。1994年には第22回全国菓子大博覧会菓子博栄誉賞受賞を皮切りに、翌年には全国商工会議所会頭努力賞、2002年には全国菓子大博覧会菓子博栄誉大賞受賞、翌03年には第54回全国植樹祭の折に、天皇皇后両陛下にお買い上げ賜ると記されている。

 

 「平和な世界になるように」の願いを込めてピース製菓と名付けて以来75年余り、地元に根ざし、買っていただいた方々が笑顔になれるような菓子作りに専念してきたという思いと手作りならではのぬくもりを感じながら、爽やかなお菓子を味わっていただきたい。店は館山駅東口交差点を右折して徒歩3分ほどの場所にあるので帰途に就く前に立ち寄っていただければ。

 

 今、枇杷から生まれた館山の銘菓「びわのしずく」を個包装から取り出し、再び味わっている。口に入れた途端、風光明媚で心に響く館山の風景が甦ってきた。

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

九州初サイクルバス 自転車分解せず持込可 西日本鉄道

2023年3月12日(日) 配信

4月運行開始のサイクルバス

 西日本鉄道(林田浩一社長、福岡県福岡市)が4月1日から、自転車を分解せずに、そのまま車内に持ち込める貸切バス「CYCLE CARGO」の運行を九州で初めて開始する。

 自転車が手軽な移動手段というだけでなく、アウトドアレクレーションとしても人気を集め、自治体でもサイクルツーリズムへの取り組みが活発になっている。

 同社でも、既に西鉄電車で「サイクルトレイン」を導入。23年度に予定の「ツール・ド・九州」をはじめとするサイクルイベント需要の高まりに合わせ、九州初の「サイクルバス」導入に踏み切った。

 車両は、既存の55人定員の貸切バスを改造して、車内前方を自転車積載部分として、最大18台を積み込める。車内後方はサロン席にも変更可能な客席となり、21人乗車できる。

 広いトランクルームも備え、大きな荷物も収納できるため、空港や駅から直接サイクリングツアーに参加できる。

 同社では、サイクリングレースの選手輸送や団体での貸切利用、 旅行会社、自治体などと連携した、九州各地への長距離のサイクリングツアーなどの利用を見込む。

【精神性の高い旅~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その23-観世音寺&太宰府天満宮めぐり(福岡県太宰府市) 1300年の歴史を持つ観音様の古刹 学問と文化の天神様の聖地

2023年3月11日(土) 配信

 悲しいときや苦しいとき、ここぞという心の拠り所となる神社仏閣が1カ所でもあると、心の平安を招いて、再スタートすることができます。神社仏閣にお参りすることは「心の苦しみや不安を解放し、心を安定させて、浄化する」といわれています。「祈り」とは、私たち人間が心の内と外にいらっしゃる神仏に向かって語りかけるコミュニケーションとのこと。

 

 さて、今回の舞台である観世音寺&太宰府天満宮は、西鉄福岡(天神)駅から太宰府駅まで、特急や急行などで約20分程度という、交通の利便性が高いのです。博多への観光とセットで訪れるにも、最適。

 

 

 太宰府市は、奈良時代から平安時代にかけて、九州全域を統轄する「大宰府」という役所が設置されていました。かつて太宰府市は、外交や行政の場所であり、文化の中心地でもありました。

 

 西鉄の太宰府駅は、太宰府天満宮の朱色に彩られ、太宰府市の花である「梅」をモチーフにした照明やベンチ、ホームには太鼓橋風の欄干を作るなど、太宰府の世界や歴史を感じさせるつくりになっています。

 

 その太宰府駅から徒歩20分程度で、1300年の歴史を持つ、観世音寺へ到着。観世音寺は別世界に来たような静けさに満ちた、天台宗の古刹です。7世紀後半、天智天皇の発願で、母の斉明天皇のご供養のために創建。以前この地に大宰府政庁があり、学びの施設、外国使節を支える館もあり、そのなかにこの観世音寺もありました。

 

観世音寺・講堂

 観世音寺といえば、境内の西側にある戒壇院。「戒壇」とは、修行中の僧に対し、きちんと戒律を守って仏教の学びをしているかどうか、国家が試験を行ったうえで、キャリアとして認めることです。奈良県の東大寺、栃木県の薬師寺、そして観世音寺が「天下の三戒壇」と呼ばれています。

 

 その戒壇院の隣にある講堂は、観世音寺にあたるお堂。内陣の須弥壇には、ご本尊の聖観音立像が安置。別名、「杵島観音」と呼ばれています。観音様は、あらゆる願いを叶えてくれる慈悲深い仏様です。一心に、ご自身の祈りをお伝えしましょう。

 

 最後には、講堂近くの宝蔵にも立ち寄ってみてください。「九州第一の仏教美術の殿堂」とも。宝蔵の2階には、巨大で大らかに私たちを漏れ落ちなく救ってくださるような、仏像がお迎えしてくれます。不空羂索観音、十一面観音、馬頭観音、いずれも5㍍前後の仏像が3体あります。地蔵菩薩、阿弥陀如来、大黒天など大きな仏像も、そろっています。少しの時間、これらの仏像と向き合うことで、心身の落ち着きが取り戻されて、スッキリされるでしょう。

 

太宰府天満宮

 太宰府天満宮は、太宰府駅からすぐ近くにあり、参道では名物の梅が枝餅をいただくのも、お楽しみの1つ。平安時代前期に、「学問や文化の神様」である菅原道真公が中央から、この太宰府へと赴任し、その後、天満宮の神様としてお祀りされました。太宰府天満宮、京都の北野天満宮、山口の防府天満宮を「三天神」と呼ばれています。

 

 参道を抜けて出迎えてくれる「御神牛」と呼ばれる牛の像が、境内に11頭もあります。道真公がお亡くなりになったとき、お亡骸を乗せた牛車を進めると牛が座り込んで動かなくなりました。そこにお墓を立て、お社を建てたのがのちの天満宮です。

 

 道真公は丑年生まれで、牛は天神様のお使いとなり、全国の天満宮で神獣としてお祀りされるようになりました。この御神牛の頭を撫でると知恵が授かり、自分の病気やケガをしているところを撫でたあと、御神牛の同じ部分を撫でると、悪いものが牛にうつって、快復するようです。帰りには、天満宮の隣にある、九州国立博物館で知性のパワーを満喫してみてください。

 

 

旅人・執筆 石井 亜由美
東洋大学国際観光学部講師、カラーセラピスト。精神性の高い観光研究部会メンバー。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。

〈観光最前線〉沖縄離島初のヒルトン

2023年3月11日(土) 配信

ヒルトン沖縄宮古島リゾートの全景イメージ

 沖縄県の離島に進出する初のヒルトンホテル、「ヒルトン沖縄宮古島リゾート」が6月に開業する。

 みやこサンセットビーチに隣接し、客室などからは〝宮古ブルー〟と称される宮古島の海やサンセットの絶景が見渡せる。地上8階建ての全329室。部屋数が最も多いデラックスルームで35平方㍍以上の広さがあり、ゆったり寛げる空間だ。最上階にはエグゼクティブルーム、スイートルームを設け、専用ラウンジも開設する。

 パブリック施設では開放感溢れるダイニングレストランや、ルーフトップバー、スパ、チャペルなどをそろえる。3つの屋外プール、2つの屋内プール、完全個室のトリートメントルームもあり、ファミリーやカップルなどあらゆる層のニーズに対応する。

「津田令子のにっぽん風土記(95)」犬も猫も家族とハッピーに~ 巣鴨・滝野川編 ~

2023年3月11日(土) 配信

16歳のわんちゃんと朝5時のお散歩
ペットシッター 菊地 昌子さん

 「巣鴨、滝野川を基点にペットシッターとして活動を始めたのは昨年です。その前は専業主婦でした。1人でお留守番をしている子(わんちゃん、猫ちゃん)のご飯やトイレ、そしてお散歩などのお世話が中心です」と菊地さんはおっしゃる。

 

 「私自身、愛犬をホテルに預けたことがありますが、旅行から帰ると精神的に参っていたことがありました。ペットの気持ちを考えたら1人の時間は多くても、いつもの環境で過ごせることのメリットの方が大きいと思います」と語る。

 

 この職業を志したのは「愛犬が闘病の末に他界して、私と同じように辛い思いをしている人がいるのではないか。犬猫ちゃん、そして飼い主様を励ましたり一緒に悩んだりすることはできないかと考えているときに、この仕事と出会いました」と話す。「私にとって4人目の子供(と言って過言ではないです)で誰より心の優しい子で、悲しいときは寄り添ってくれて、うれしいときは一緒にはしゃいでくれて、亡くなって1年半になりますが今も家のどこかにいる気がします」。

 

 現在、東京と千葉県上総一宮の2拠点生活をしている菊地さん。「千葉に行くと、うちの子がとてもうれしそうにしていました。お散歩は長いリードで田んぼの畦道を自由に歩けるし、家族みんなが居間にいて『誰のとこに行こうかな』って楽しそうにくしゃみをしながら(うれしいと鼻がむずむずする子でした)ぐるぐる回って最終的に家族みんなの中心に鎮座していました。彼にとっても私たち家族にとっても楽しい思い出です」と振り返る。「滝野川では、桜の花びらを蹴散らしたり花びらの中にお鼻を入れたりしていました。私は彼の後ろから片付けて歩いていました。くんくんと春の匂いを嗅いで楽しそうに石神井川に真っ直ぐ向かって行く姿が今も鮮明に思い出されます」。

 

 滝野川へ移る前には、ご主人の仕事の関係で9回も引っ越しをされてこられた。そのなかでも現在の家が一番長く住んでいるという。「住んでみて気づいたのは西巣鴨という場所がものすごく便利だということ。この辺の人は『西巣鴨最強説』を唱えています」と地元愛を語る。

 

 「夢の夢ですがパピーティーチャーになりたいと思っています。パピーのときに社会性を身に着けることができれば、わんわん人生が素晴らしいものになると思うからです。そのお手伝いができたらしあわせです」。菊地さんの弾けるような笑顔が印象的だった。

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

ANA新ブランド「AirJapan」 中距離国際線、まずは東南アジアへ

2023年3月10日(金) 配信

ANA系列国際線新ブランド「AirJapan」は3月9日(木)、サービス発表会を開いた

 ANAホールディングスは3月9日(木)、国際線新ブランド「AirJapan」のサービス発表会を開いた。シートや機内食、機内BGM、客室乗務員の制服などについて紹介。就航地は東南アジアを中心とし、成田空港を拠点に段階的に路線を拡大していく考え。就航時期は2024年2月を予定する。

 ブランドコンセプトは「Fly Thoughtful」。峯口秀喜社長は、「フルサービスキャリアでもLCCでもないハイブリッドキャリア」としての位置付けを目指すと話した。また、「ほかのLCCや、タイ航空、シンガポール航空など、アジアのフルサービスキャリアと勝負していかなければならない。価格設定は手ごろな価格を用意する予定」とした。

 全席エコノミークラスで3列324席の座席を備えている。黒を基調とした座席に、ブランドカラーである曙色をスティッチで施している。広めの足元と深めのリクライニング設計をすることで、中距離国際線の7時間前後のフライトでも快適に過ごせる居住性を重視した。モニターが備え付けられていない代わりに、利用者個人のスマートフォンやタブレットを設置できるタブレットホルダーを装備し、Type―AやType―CのUSBポートを備えた。機内Wi―Fiを通じて、映画やビデオプログラムなどの機内エンターテインメントを楽しむことができる。

左・膝が前方座席に当たらない広さを確保、右・タブレットホルダー横にUSBポートを備える

 また、機内食は事前予約メニューと機内で注文できるメニューの2つを用意する。コンセプトは「フードロスの削減」と「空から日本の美味しさを発信」とした。

 機内BGMは東京藝術大学との産学連携プロジェクトで選ばれたもの。和楽器と洋楽器のアンサンブルで構成された曲「あい」は、機内でお客を迎える際に流される。

 客室乗務員の制服は「すべてにやさしい制服」として、現役の客室乗務員が関わり製作した。ブランドカラーの藍色と曙色をあしらい、日本の伝統である「結び」や「重ね」をデザインに取り入れた。

 25年までに関西国際空港から東南アジアまで伸ばしていく予定で、「ターゲットが訪日観光需要であるため、ANAグループとして、関西国際空港における国際線路線網の拡充につながる」との認識を示した。

 LCC航空のPeach(ピーチ)と連携協定を結んでいるため、コールセンターの共有などの準備を進めている。「成田・関西の両空港において、ピーチの国内線ネットワークによる日本各地への乗り継ぎ需要の創出も行う」とした。

【特集 No.629】室蘭市「白鳥大橋」魅力倍増プロジェクト インフラ活用“地域が稼ぐ観光”へ

2023年3月10日(金) 配信

 インフラツーリズムによる新しい北海道観光の活性化を目的に、北海道室蘭市(青山剛市長)では「白鳥大橋」魅力倍増プロジェクトが進んでいる。1月21日には、北海道開発局が“稼げる”観光地への可能性を探るシンポジウム「東日本最大の吊り橋・絶景の白鳥大橋の観光資源化」を開催した。西胆振地区の登別市、伊達市の首長も登壇し、自然や温泉など豊富な魅力と連携した広域観光についても推進していくことを確認した。

【増田 剛】

広域連携で競争力高める

 室蘭市は天然の良港に人とモノが集まり、古くから工業都市として発展した「鉄のまち」。大自然と工場群がコンパクトに共存する室蘭市を象徴するシンボルとして、勇壮な白鳥大橋がある。

 一般国道37号白鳥大橋(橋長1380㍍)は1998年、馬蹄型をしている室蘭市の両端を結ぶ東日本最大の吊り橋として誕生した。市内の企業が有する新しい技術や、製品も数多く使われているのも大きな特徴だ。

 開通から20周年を迎えた2018年に開催したシンポジウムで、室蘭市の青山市長は、「船でアクセスして主塔に登ることができるツアーを実施すると面白いのでは」と、公共施設を活用した大胆なインフラツーリズムの提案を行った。

 この提案をきっかけに、室蘭市と、国土交通省北海道開発局室蘭開発建設部は、白鳥大橋という公共施設を活用した“稼げる観光”を目指して、さまざまな検討がスタートした。

インフラツーリズム

 国土交通省は、インフラツーリズムの理念として次のように定義している。

 「インフラへの理解を深めていただくため、普段訪れることのできないインフラの内部や、日々変化する工事中の風景などの非日常を体験するツアーを展開することにより、地域に人を呼び込み、地域活性化に寄与することを目指すもの」。

 代表的なインフラツーリズムの例としては、2020年4月から運用を開始した八ッ場ダム(群馬県)や、巨大な「防災地下神殿」になぞらえられる「首都圏外郭放水路」の内部を巡るツアー、世界最長の吊り橋「明石海峡大橋」の高さ300㍍の主塔の上から体感するツアー、湯西川ダム(栃木県)に水陸両用バスで直接ダイブして遊覧するツアーなどがある。

 2020年8月には、国交省から「インフラツーリズム魅力倍増プロジェクト」の社会実験モデル地区(全国で7カ所)に選定された。

 民族共生象徴空間「ウポポイ」や、北海道を代表する温泉地・登別温泉、クルーズが人気を集める室蘭港などとの地域連携モデルとして、連泊客の増加やインバウンドの誘客も視野に入れ、「地域が稼ぐ観光」への取り組みが本格化していった。

高さ100㍍の主塔へ

 白鳥大橋は自動車専用道路のため橋上で駐停車できない。このため、主塔に登るには船に乗って主塔が建つ人工島に向かうことになる。主塔の「中間梁」と呼ばれる、海面から約100㍍の場所へは、エレベーターで昇る。そこは羊蹄山や駒ヶ岳も眺望できる360度の大パノラマが広がる絶景ポイントとなる。

 現在は地元のクルーズ運営会社「スターマリン㈱」(伊藤京香社長)が室蘭港内を船で一周し、主塔登頂と室蘭の工場群を海から間近で見学できるコースをいくつか設定している。……

【全文は、本紙1895号または3月14日(火)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】