3つの“死活問題” ― 国の政策に翻弄される旅館業界

  旅館業界にとって目下、(1)改正耐震改修促進法(2)消費税外税表示(3)固定資産評価見直し――の3つの問題が“死活問題”として横たわる。

 このなかで、消費税の外税表示は、税金分やサービス料などの「込み込み」料金ではなく、しっかりと「外税表示」を行うことで、収益や利益の拡大が見込まれる案件だ。2017年3月末までの時限的な「特例措置」であっても法律で定められており、安売り競争ではない方向に導くためには、旅館業界の意識の徹底が求められる。

 全旅連の税制委員会は、宿泊料金1万円、エージェント手数料15%、消費税率8%で、消費税の価格転嫁による実質収入の違いについてシミュレーションを行った。これによると、外税表示の場合、旅館の実質収入は8500円、消費税を転嫁できなかった場合は7870円と、630円の差額が生じた。年間1億円で計算すると、630万円の利益の有無に関わる。今後10%、さらなる上乗せとなると「込み込み」料金ではとても持ちこたえられない。全旅連は約1万6千会員に外税表示の周知徹底へ、全国400カ所で勉強会を実施していく予定だ。

 外税表示のメリットとしては、「総額表示よりも安く自社のホームページに掲載できるため、料金比較サイトでも優位に立つことができる」と全旅連税制委員会は強調する。いずれにせよ、旅館は消費者に課せられる消費税を肩代わりする必要はない。3年5カ月という時限的な措置を恒久化するためにも、外税表示の徹底に旅館業界が一致団結することが不可欠だ。

 耐震診断、耐震改修費用については、地方公共団体の補助制度がまちまちであり、全国横一列の補助制度というのは難しい状況にある。どの自治体も財政難にあり、旅館の耐震診断・改修の補助金を出せる余裕のある地域は希少だ。しかしながら、和歌山県や奈良県、高知県、静岡県などは、県知事の理解もあり、3分の1の費用負担といった補助制度がすでに決まっている。和歌山県では、事業者負担部分に対する最優遇融資資金の創設など手厚い支援策を打ち出している。

 固定資産税の見直しも、旅館に重く圧し掛かる負担の軽減を求めるものだ。国が政策の柱として観光立国を目指す以上、観光事業者の負担を軽くすることは、とても重要な施策である。理解の深い観光庁の強い後押しもほしいところだ。

 商業施設や病院、旅館が耐震改修を実施した場合、2014年度から固定資産税を半減する方針を政府・与党が固めたと、日本経済新聞が9月14日の1面で報じた。11月25日に施行する改正耐震改修促進法では、耐震診断が2015年12月末まで義務化されたが、診断の結果が基準を満たしていなかった場合でも罰則規定や自治体から公表されるなどの措置はあるが、耐震工事が義務付けられているわけではない。政府は固定資産税の半減という「ニンジン」をぶら下げてでも、耐震改修工事を実施させ、地方の設備投資の活性化を目指しているようだ。

 旅館業界は固定資産税の負担減を数年来求めてきた。ミリ単位で前進する努力を重ねてきたが、別ルートで、それも耐震改修とセットという、予想もしなかった展開で大きく動き出す可能性が出てきた。複雑な気分だ。国は旅館業界をいいように利用しているような気がしてならない。

(編集長・増田 剛) 

成田―関西就航開始、1日2便で10月27日から(ピーチ・アビエーション)

乗務員に囲まれる井上慎一CEO

ピーチ・アビエーション(井上慎一CEO)は8月28日、東京都内の丸の内と表参道で、成田―関西線就航記念イベントとして、冷えたおしぼりを配布し、同社をPRした。ピーチは10月27日から同路線を就航開始。1日2往復の4便で、価格は3790円から。

同日の会見で井上CEOは、就航開始から1年半が経ち、総搭乗者数がまもなく300万人に達することを紹介。「電車のように気軽に飛行機に乗るということが、現実になってきた」と語った。2013年の現時点までの就航率は99・8%。12年は約99%で国内トップ。定時出発率が約86%であることを明かし、「ピーチはちゃんと飛ぶLCC」と強調した。

成田―関西の新規就航については「関西で起こした航空イノベーションを東京でも起こし、東京そして日本を元気にしていきたい」と意気込んだ。10月27日の初便の予約状況は7割ほどで、その他の便は数字の公表を控えたが「当初の予想を超える動き」と報告。また、成田から関西以外への就航については「今のところ何も考えていない」としたが、「常に柔軟であることがピーチのポリシーなので、状況次第」と含みを持たせた。

「ピンクリボンの日」初開催、愛知県湯谷温泉

10月1日、無料開放、湯めぐりや体験者相談会

 愛知県湯谷温泉で10月1日、「ピンクリボンの日」イベントが初めて開かれる。同温泉では9軒の旅館などが中心になり「ピンクリボン癒しの郷」プロジェクトを昨年にスタート。乳がん手術の傷跡を気にして温泉に行けないという女性のために、脱衣所や洗い場での目隠し、ライトダウンの工夫を行うなど、旅行が楽しめる環境づくりを進めている。

 昨年7月には、同温泉女将会が「ピンクリボンのお宿ネットワーク」にも加盟し、活動内容を全国に発信している。

 イベントは同温泉が人工乳房メーカーの池山メディカルジャパンの協力を得て開催するもので、乳がん経験者や家族、友人などを対象に、1日間湯谷温泉を無料開放する。人工乳房装着の入浴体験も行う。

 当日は午前11時から午後4時まで、無料参加の湯めぐりやパッド・下着相談会、人工乳房装着入浴体験、ウイッグ相談会、保険相談会、看護士によるアロマリンパドレナージ体験、美容師によるヘッドスパ、ハンドマッサージ、ネイル・メイクなどを行う。

 各旅館では特製のオリジナルランチも用意。地元農家の産直野菜販売も行う。乳房再建体験者を囲むお話し会も開催する。夜には「足湯」をピンクリボンライトアップ、宿泊者対象の「体験者を囲むお悩み相談会」なども開く。

 問い合わせ=電話:052(799)3715。

「意外と熱海」戦略開始、東京で温泉会議開く(熱海市)

開湯セレモニーを行う

 静岡県熱海市(齋藤栄市長)は8月26日、東京都墨田区押上エリアの銭湯「大黒湯」を会場に「ATAMI温泉会議」を開いた。同市は、今年度からJTB中部にプロモーション事業を委託し、「意外と熱海」をテーマに3年間の長期観光ブランド戦略を行う。今回はキックオフイベントで、浴衣をまとった齋藤市長自ら富士山の描かれた浴場内の特設ステージに登壇し、観光プレゼンテーションを行った。

 「良い意味で期待を裏切り、『思いもよらず良かった』という発見が顧客満足につながる」(JTB中部)ことを踏まえ、掲げられた3年間の統一テーマは「意外と熱海」。齋藤市長も「長期プロモーションを通し、熱海の本質的な魅力を伝えていきたい」と意気込む。

 当日は、秋のシーズンに向けた3つのキーワード、相模灘を望む絶景に建つMOA美術館をはじめとする「芸術」、伊豆山神社などの「恋愛」パワースポット、初島から望む「世界遺産」富士山を紹介し、意外な熱海の魅力をPR。今後もパンフレットの作成やメディアへの情報発信、SNSなどを活用し、四季折々の観光プロモーションを展開。効果を検証し、誘客促進へつなげていく。

トップツアー社長に坂巻伸昭氏

坂巻伸昭社長

 トップツアーの新社長に8月30日付で、東武鉄道取締役の坂巻伸昭氏が就任した。石川邦大前社長は取締役最高執行責任者として留任した。また、会長には東武鉄道社長の根津嘉澄氏が就任。坂巻社長と根津会長は東武トラベル代表取締役を兼任する。

 坂巻 伸昭氏(さかまき・のぶあき)1959年生まれ。1982年東武鉄道入社。2010年東武トラベル社長、12年東武鉄道取締役グループ事業部長など歴任。13年8月トップツアー社長就任。

 (8月30日)【代表取締役会長】根津嘉澄(東武鉄道代表取締役社長)【代表取締役社長】坂巻伸昭(東武鉄道取締役)【取締役最高執行責任者】石川邦大【取締役】旅行営業本部長 水村祐一▽経営管理本部長 長島岩夫▽福水正徳▽額賀政美▽竹内章夫(東武トラベル取締役)【監査役】松崎正昭▽中嶋直孝(東武鉄道監査役)▽吉田修平(東武トラベル監査役)

シニア旅行を考える、日本交通公社海旅動向シンポ

(左から)高橋寿夫氏、三浦展氏、黒須宏志氏

「おひとり様」消費が拡大

 日本交通公社が7月17日に東京都内で開いた第18回海外旅行動向シンポジウムの第2部で、団塊世代後のシニア旅行マーケティングを探り、シニア単身世帯による「おひとり様消費」の拡大などを紹介した。

 パネリストには、消費研究家の三浦展氏と三菱総合研究所事業予測情報センター主席研究員の高橋寿夫氏の2氏が登壇し、コーディネーターは、日本交通公社観光文化事業部主席研究員の黒須宏志氏が務めた。

 日本の人口減少・高齢化は進み、日本経済に与えるシニアの消費活動は大きな影響力を持つようになった。日本観光振興協会が実施した「国民の観光に関する動向調査」を見ると、2010年の国内宿泊観光旅行割合のトップは50―70代の53%。20代が13%、30代が18%、40代が16%と低調のなかシニア世代の好調は顕著で、市場全体を牽引していることが分かる。しかし、近年アクティブシニアをターゲットとした商品の売れ行きは当初の思惑通りとは言い難く、シニアの消費実態は掴みにくいと考えられていた。

 三菱総研が60代の男女に対して「今行っていること、今後やりたいこと」のアンケートを実施したところ、「今行っていること」は(1)温泉(2)パソコン(ゲーム以外)(3)観光・名所巡り(4)ウォーキング(5)読書――などがあげられ、「今後やりたいこと」も同じような回答が並んだ。シニアは、「既にやりたいことは実施しており、新しいことにまで手を伸ばさない」という実態が見てとれる結果となった。

 三浦氏は、アクティブシニアをミスリード(誤った解釈)していると指摘し、「これまで馬に触れたこともなかった人が、いきなり乗馬を始めたりしない」と話し、アクティブシニアに対するイメージを見直すように促した。

 総務省が11年度に実施した「家計調査」によると、1世帯あたりの所得は、高齢者(65歳以上)世帯が307・9万円、全世帯が549・6万円。貯蓄は、高齢者世帯が2257万円、全世帯が1664万円と、高齢者世帯には経済的なゆとりがあることが分かる。また、団塊世代の30%の人は貯蓄目的に旅行やレジャー・趣味をあげており、旅行への関心の高さも伺える。

 高橋氏は、「今のシニアは、モノを増やさない生活をしたいという考えなので、新たにモノを増やす(買う)ことではなく、旅行など体験することに価値を見出している」と話し、シニアの趣味や価値観にあわせた商品が必要と示唆した。

 東京在住の60代以上の単身者は10年に221万世帯となり、20年には245万世帯にまで拡大する見込み。三浦氏は、「一昔前までのシニア像は、夫婦2人で余生を過ごす姿が想定されていたが、今、夫婦で仲良く旅行している人は限られている。とくに女性は、夫よりも友達同士で旅行したいと思うだろう」と語り、業界がシニア向けに制作した「夫婦2人旅」のCMなどは、逆にネガティブキャンペーンになってしまったのではないかと自説を説いた。さらに、日本では未婚や離婚率が増加傾向ということもあり、今後「おひとり様」需要は活性化していくとの見解を示した。

 シニアのおひとり様消費の増加により、人とのつながりが希薄になったように感じるが、単身シニアは、2人以上世帯の人に比べ社交的スキルの高い人が多く、友人の数も多いことが特徴にあげられるなど、個人間のつながりは求めていることが分かる。また、60代単身世帯では男性に比べて女性のほうが趣味や教養のサークル、女子会などの参加率は高いという。

 将来的には、生涯未婚の女性有職者たちも増え、女性の単身シニアは自らが稼いだお金で、旅行やレジャーなどへの消費活動を行うと予測され、「女縁消費」はさらに加速していくと推測された。

60代以上が余暇の主役、余暇市場は64兆7272億円(レジャー白書2013)

 日本生産性本部がこのほどまとめた2013年の「レジャー白書」によると、60代以上が余暇の主役となっている現状が浮き彫りとなった。

 10年前の2002年に1人当たりの平均余暇活動参加種目数が最も多かったのは、男性の場合、10代の15・7種目、最も少なかったのは60代以上の10・2種目と、年代が上がるにつれて種目数が減少する右肩下がりの傾向だった。女性も10代が平均17・7種目で一番多く、60代以上は平均8・4種目と最少だった。しかし、12年は、とくに傾向が顕著に表れた男性は、60代以上が平均12・2種目でトップとなった。女性も60代以上が平均11・6種目と10代(13・7種目)、20代(12・1種目)に肉薄しており、過去10年で60代以上が余暇市場の主役へと移り変わっていることが分かった。

 12年の余暇市場規模は前年比0・3%減の64兆7272億円と、東日本大震災と原発事故の影響で、ほとんどの分野で売上を減らした11年と比べ、ほぼ横ばいで推移した。

 なかでも観光・行楽部門は同4・5%増の9兆6330億円と1991年以来の4%台の伸びとなり、好調さが際立った。さらに内訳を見ると、旅館は同1・8%減の1兆3990億円、ホテルは同3・2%増の9790億円、ペンション・民宿は同1・4%増の740億円、遊園地・レジャーランドは同12・0%増の6550億円、旅行業(手数料収入)は同8・7%増の6770億円、貸切バスが同5・2%増の4640億円と、軒並み堅調に推移するなか、旅館の落ち込みが目立つ。

 12年の余暇活動を具体的に見ると、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が前年から90万人増加して5670万人と2年連続の首位となった。2位は「ドライブ」(5200万人)、3位は「外食(日常的なものは除く)」(5170万人)。次いで(4)映画(5)音楽鑑賞(6)カラオケ(7)動物園、植物園、水族館、博物館(8)宝くじ(9)ビデオの鑑賞(10)園芸、庭いじり――の順となった。そのほか、「遊園地」が前年から110万人増え、2100万人となり19位にランクされた。

 また、最近5年間で余暇活動をやめた種目と、開始・再開した種目に着目すると、やめた種目では、スキーやボウリング、水泳、パチンコなどが多かった。

 一方、開始・再開した種目では、国内観光旅行や映画などの数値が高かった。

学生13人が参加、初の合同インターンシップ(JATA)

参加した13人の学生

 日本旅行業協会(JATA)は、8月19―29日に初の「合同インターンシップ」を実施した。観光庁主導のインターンシップ事業に協力したもので、JATA会員15社が留学生を含む学生13人を受け入れた。研修を終えた学生たちからは「自分に足りないことが分かった」などの声があり、有意義な経験だったことがうかがえた。

 合同インターンシップは初日、オリエンテーションとして、JATAの越智良典事務局長と日本旅行の矢嶋敏朗広報室長が観光産業、旅行産業について講演した。また、2日目は企業での実習を前にビジネスマナー研修を行った。

 現場体験は6日間の日程で、大手や中小など業態が異なる企業を1人2社ずつ体験。学生はカウンター業務から営業同行、旅行者の案内などを行い、旅行業のさまざまな実務を学んだ。

 8月29日の最終日はインターンシップの総括を実施。「若者を旅行に行かせるには?」を議題にしたグループ討論や旅行会社の若手社員が業界の魅力を語る講演などを行った。

若手社員・中村さんが学生にアドバイス

 そのなかで、2010年入社の近畿日本ツーリストグローバルビジネス支店の中村潤さんが「私が思う旅行業界について」と題し講演した。中村さんは自分の経験を踏まえながら、「学生のうちにやっておくべきこと」として(1)勉強(2)情報に触れる(3)色々な人と話す――をあげ、「旅行を売るというのは高い教養が必要」と強調した。また、「本音」としては「たくさん遊ぶ」「イベントの仕切りをやる(幹事)」「ノーと言わない人になる(選択肢をたくさん持つ)」などもあげ、さまざまな経験が社会に出てから役立つことをアドバイスした。

 すべてのプログラムを終えた学生は「旅行会社は均一なイメージがあったが、会社によってまったく違うと学んだ」と業界のイメージが変わったことや「知らないことが多いことを知った」「幅広い知識が必要だと実感した」など自分自身に対し、改めて気付いたことなどを感想として語った。なかには「この経験を生かし、ぜひ旅行業に進みたい」という力強い声もあがった。

 最後に、JATAの越智事務局長は「これまでの旅行会社に対するイメージと違う部分も同じ部分もあったと思うが、研修を1つのきっかけにしてほしい。さまざまな会社があるので、さらに業界の勉強をしてもらい、全員が旅行会社に入って仲間になってくれたらうれしい」とエールを送った。

 JATAは今回の研修を踏まえ、今後も合同インターンシップを実施していく意向だ。

現状と課題を議論、教育旅行×ニューツーリズム(教育旅行シンポ)

有識者6氏が教育旅行とニューツーリズムを議論

 日本修学旅行協会(河上一雄理事長)は8月23日、江戸東京博物館で第9回教育旅行シンポジウムを開き、「教育旅行をめぐるニューツーリズムの現状と課題」をテーマにパネルディスカッションを行った。

 河上理事長は主催者あいさつで「当協会は4月に公益財団法人となった。今後はより公益性を高め、地域・学校・関係団体の役に立っていきたい」と決意を新たに語った。

 パネルディスカッションでは、河上理事長をコーディネーターに、東海旅客鉄道相談役で日本商工会議所観光委員会共同委員長の須田寬氏、日本観光振興協会常務理事・総合研究所長で多摩大学大学院客員教授の丁野朗氏、東京都立石神井高等学校長の竹内秀一氏、大阪青凌中・高等学校入試広報部相談役で元大阪府公立中学校長会会長の前田勉氏、全国農協観光協会子ども交流プロジェクト事務局長の出口高靖氏、糸魚川市長でNPO日本ジオパークネットワーク理事長の米田徹氏が登壇。ニューツーリズムの定義から、教育旅行の在り方、教育旅行においてのニューツーリズムの現状と課題などまで、それぞれの視点から幅広く語った。

 丁野氏は、「ニューツーリズムは地域資源の編集視点」とし、さまざまな視点から地域資源を編集し、プロモーションしていくことの大切さを強調。また、「地域の総合力が試される」とし、「地域側がマーケットの需要を見えていないことが多い」と課題点を指摘した。グリーンツーリズムが教育旅行では成功しているが、一般旅行者にまで浸透していない理由については、「窓口と商品がない」ことを指摘。「個人では規模が小さすぎて旅行会社が扱えない」との問題点を提起した。

 須田氏は、(1)学習・体験を含む観光(2)地域の人と人的交流があること――の2つをニューツーリズムの特徴に挙げた。また、教育旅行との関わりでは、「ニューツーリズムと教育旅行が結びついてない」ことを指摘。「先生が企画から1歩引いてしまっているので、教育旅行の企画を先生の手に戻すべき。ニューツーリズムではなく、教育ニューツーリズムを教育関係者が作らなくてはいけない」と説いた。

観光庁19%増の114億円、東南アに集中プロモーション、14年度予算の概算要求

 観光庁は8月27日、2014年度予算の概算要求を発表した。観光庁の概算要求は、13年度予算(96億5500万円)に対し、19%増の114億4100万円を計上。国土交通省全体の前年度予算比の平均が16%増、同省内の公共事業以外の前年度予算比の平均が13%増となったことと比較すると、「観光立国を強力に推進する」という同庁の姿勢がうかがえる。政府が推進する成長戦略などの重点施策の特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」には、ビジット・ジャパン(VJ)事業とは別枠で東南アジアに集中プロモーションをかける「戦略的訪日拡大プランの推進」と、「観光地ビジネス創出の総合支援」で合計26億600万円を計上した。また、復興庁計上分の「復興枠」には、前年度予算比55%増の8億9500万円を盛り込み、観光関連の合計では同21%増の123億3600万円の計上となった。
【伊集院 悟】

 概算要求の中身は、(1)訪日外国人旅行者数拡大に向けたインバウンド政策の推進(2)観光地域づくり支援(3)旅行振興――の3本柱となった。

 「訪日外国人旅行者数拡大に向けたインバウンド政策の推進」は、前年度予算比17%増の95億9800万円を計上した。中核となる訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)は同9%減の51億5300万円となったが、VJ事業とは別枠で、政府が推進する成長戦略などの重点施策の特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」に盛り込んだ「戦略的訪日拡大プランの推進」20億600万円を足すと同26%増となる。これまでの5大市場(韓国・中国・台湾・米国・香港)にシンガポール、タイ、マレーシアを追加した8市場に対し現地消費者向けのPR事業を行い、この8市場に英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、インドネシアを追加した重点14市場には現地旅行会社向けのPR事業を展開していく。

 「戦略的訪日拡大プランの推進」は、経済成長にともない海外旅行需要が大幅に伸び、ビザ緩和などが追い風となる東南アジアを、5大市場の東アジア各国に並ぶ訪日市場へと育てるために、集中プロモーションをかける。また、1千万人達成後の2千万人目標を見据え、現在年間1万人以上の訪日外国人旅行者がいる市場で、今後大幅な増加が期待できるイタリア、スペイン、オランダ、スイス、フィンランド、ブラジル、トルコに、旅行先としての日本の認知度向上に向けたプロモーションを展開する。

 新規事業として盛り込んだ「宿泊施設の情報提供促進事業」は1200万円を計上。外国人旅行者に事前に、ホテル・旅館などの施設・設備の状況や各種サービスの有無などについて効果的に情報提供できるよう、情報提供項目の精査や関係者などへのアンケート調査、既存サイトの問題点の整理・分析、ガイドラインの策定・活用方法の検討を行う。また、「通訳ガイド制度の充実・強化」に同19%減の2千万円、「国際会議等(MICE)の誘致・開催の促進」に同22%増の4億9500万円、「JNTO運営費交付金」に同4%増の19億1100万円を要求した。

 「観光地域づくり支援」分野では、同93%増の10億5100万円を求めた。「新しい日本のための優先課題推進枠」の新規事業「観光地ビジネス創出の総合支援」は6億円。旅行メディアや地域活性化プランナーなどの「観光地づくりの目利き」と、旅行商品のバイヤーなどの「商品化の目利き」が地域の観光事業者や行政と手を組み、観光地づくりをビジネスにつなげ、自立的・継続的な取り組みを目指す。

 そのほか、継続事業の「観光地域ブランド確立支援事業」は同19%減の2億7900万円、「地域観光環境改善事業」は同14%減の8500万円、「観光地域動向調査事業」は同1%減の3800万円、「観光地域評価事業」は同1%減の4900万円を計上した。

 「旅行振興」の分野では「旅行の安全の確保・向上方策検討調査」に同1%増の2500万円、「ユニバーサルツーリズム促進事業」に同3%増の4千万円を要求。

 そのほか、観光統計の整備に同16%減の4億3300万円、「経常事務費などのその他」に同3%増の2億9400万円を計上した。

 また、復興庁に計上される復興枠では、継続事業の「東北地域観光復興対策事業」に同1%増の2億円、「福島県における観光関連復興支援事業」に同84%増の6億9500万円を要求した。