「地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業」公募開始(観光庁)

2025年2月12日(水)配信

観光庁(写真はイメージ)

 観光庁は2月7日(金)、「地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業」の公募を始めた。訪日外国人旅行者が安全・安心に旅行できるように、地域における観光危機管理計画の策定補助、観光施設などの避難所機能や多言語対応機能の強化、医療機関での訪日外国人患者の受入機能の強化を支援する。

 同事業は、訪日客の増加によって日本で災害に遭ったり、医療機関を受診したりすることも増加すると想定。さらなる地方誘客の促進に向けて、訪日客が日本各地を安全・安心に旅行できる環境を整備することが必要として推進している。

 地域における観光危機管理計画の策定補助では、各地域における訪日客を含めた観光客に対する災害時の対応方針などの計画策定を支援。また、観光施設などの避難所機能や多言語対応機能では、訪日客の一次的な安全・安心確保のため、観光施設の非常用電源装置や多言語対応AED、多言語機能の強化などの環境整備を支援する。

 加えて、医療機関の訪日外国人患者の受入機能では、訪日客が医療機関を受診する場合の利便性向上に向け、キャッシュレス決済の導入、医療機関内の多言語化などの環境整備を支援するもの。

 対象は地方公共団体、DMO、民間事業者などで、宿泊事業や交通事業に係る施設の整備は対象外となる。補助率は2分の1で、観光危機管理のみ上限は500万円。

 公募期間は2月7日(金)~9月26日(金)午後5時必着まで。予算がなくなり次第終了とする。

阪急交通社と宮崎県が災害時の連携協定結ぶ 宮崎県は旅行会社と初の協定

2025年2月12日(水) 配信

酒井淳社長(左)と河野俊嗣知事

 阪急交通社(酒井淳社長、大阪府大阪市)と宮崎県(河野俊嗣知事)は2月7日(金)、大規模災害や感染症などに備えて「災害時等における連携・協力に関する協定」を結んだ。宮崎県が旅行会社と協定を結ぶのは初めて。

 今回の協定では、大規模災害や感染症などにより、県民の生命や健康を脅かす事態が発生した場合、迅速で円滑な対策を講じることを目的にしている。県の要請に応じて、避難所などの開設・運営や、広域避難時の避難者の輸送、緊急コールセンターや臨時医療施設の運営などの業務を行う。

 近年、日本では自然災害発生のリスクが高まっていることから、同社は2024年4月に災害発生時に自治体などに対して緊急支援を行うDHAT(Disaster Hankyu Assistance Team)を発足。全国の自治体と連携し、災害時の支援活動の推進に取り組んでいる。

日旅、ウズベキスタン3大学と協定結ぶ 日本企業による採用支援など

2025年2月12日(水) 配信

 日本旅行(小谷野悦光社長)はこのほど、ウズベキスタンの3大学(ウズベキスタン国立世界言語大学、シルクロード観光・文化遺産国際大学、タシケント国立交通大学)とパートナーシップ協定を締結した。ウズベキスタン人材の育成と、日本国内での就業機会の提供を目的としている。

 同社は、労働力の減少という社会課題解決に貢献するため、グローバル人財活用推進事業に取り組んでいる。

 今回の協定締結により、日本文化に精通するウズベキスタン人材を、日本企業に高度人材、特定技能、インターンとして紹介することで、日本の人材不足の問題や、多様な人材への需要な高まりに対応していく考えだ。

 具体的には、日本市場での人材雇用の認識向上、日本企業によるウズベキスタン人材の採用支援、技能開発に関するセミナーの共同開催、日本語教育の促進など――で協力していく予定。

E-BIKEで河津町を巡る 「KAWAZUサイクルツーリズム」モデルコースを造成

2025年2月12日(水) 配信

モデルコースパンフレット

 静岡県・河津町観光協会はこのほど、E-BIKEで域内を巡る「KAWAZUサイクルツーリズム」のモデルコースを造成した。伊豆の地形を生かした絶景のサイクリングツアー。

 町内の世界農業遺産・水わさびを栽培するわさび田や国指定重要文化財の26体の仏像群を展示する「伊豆ならんだの里 河津平安の仏像展示館」などの観光資源は、公共交通機関や自家用車でも訪れるのが難しいため、E-BIKEでの観光を提案する。E-BIKEの活用で2次交通の利便性向上と、地域の魅力再発見につなげていきたい考え。

 同事業は3月から取り組みを開始する。河津町観光協会でモデルコースのパンフレットを用意しており、同協会は「河津桜まつりにお越しの際、河津桜交流会館へお立ち寄りください」と呼び掛けている。

「観光革命」地球規模の構造的変化(279) 「楽しい日本」という幻想

2025年2月11日(火) 配信

 1月20日(月)に米国のドナルド・トランプ氏が第47代大統領に就任し、米国第一主義を掲げて「米国の黄金時代が今始まる」と高らかに宣言した。強大な権力を手中に収めたトランプ第2次政権は世界に巨大なインパクトを与えることが必至だ。

 一方1月24日(金)に通常国会が召集され、石破茂首相が就任後初めての施政方針演説を行った。冒頭で国づくりの基本軸として、故・堺屋太一氏の著書(「三度目の日本:幕末、敗戦、平成を越えて」)に基づいて、日本は明治維新の中央集権体制の下で「強い日本」、戦後復興や高度経済成長の下で「豊かな日本」を目指したが、これからは「楽しい日本」を目指すと方向づけた。

 石破首相の目指す「楽しい日本」とは、すべての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、今日よりも明日は良くなると実感でき、多様な価値観を持つ一人ひとりが互いに尊重し合い、自己実現をはかっていける活力ある国家である。

 国が主導した「強い日本」、企業が主導した「豊かな日本」に加えて、今後は国民一人ひとりが主導する「楽しい日本」を目指す方針だ。

 石破首相は「楽しい日本」を実現するための核心が「地方創生2・0」で、田中角栄元首相にあやかって「令和の日本列島改造」と名付け、その5本柱は①若者や女性にも選ばれる地方②産官学の地方移転と創生③地方イノベーション創生構想④新時代のインフラ整備⑤広域リージョン連携――。実に空疎な言葉が踊る地方創生策であり、絶望を禁じ得ない。

 この約30年間に日本は国力を大幅に減じ、ごく普通の国に成り下がっている。世界的に定評のある国際経営開発研究所(IMD)の「国際競争力ランキング」で、日本は1989年~92年に世界第1位だったが、2024年には38位に低下。とくに政府とビジネスの効率性についての低下が厳しく審査された。

 石破首相は演説の冒頭で「かつて人口増加期に作り上げられた経済社会システムを検証し、中長期的に信頼される持続可能なシステムへと転換していく」ことの必要性を指摘している。多くの国民が日々の暮らしの中で正に「苦しい日本」を実感しているのが現実であり、安直に「楽しい日本」を標榜する前に日本の叡智を結集して信頼に値する国家政策の立案をはかるべきだ。

 

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

日本専門新聞協会、新春講演会開く 北康利氏「先人から学びを」

2025年2月10日(月)配信

北康利氏

 日本専門新聞協会(入澤亨理事長)は1月29日(水)、東京都内で新春講演会を開いた。作家の北康利氏が「先人に学ぶ変化の時代に生き残る経営」をテーマに講演を行った。

 北氏は女性向けの下着などを製造するワコールの創業者塚本幸一氏や、サントリー2代目社長の佐治敬三氏、阪急電鉄の創業者小林一三氏などの経営に対する姿勢を紹介。現代の経営に生かせる具体例も話した。

 最後に「経営を成功させるために、最も重要なことは先人の人生を突き詰めて知り、学ぶことだ」とまとめた。

入澤亨理事長

 講演会後には、レセプションを開いた。入澤理事長は「AIやSNSが普及するなか、弊害として、誹謗中傷が増えた。若者は既存のメディアから離れている」と認識を示した。

 「(メディアは)原点に立ち返って、専門性や正確な情報を発信することで、読者から信頼や期待を寄せられ、必要とされるだろう」と語った。

観光庁、海外教育旅行シンポジウム2025 3月14日に開く

2025年2月10日(月)配信

観光庁(写真はイメージ)

 観光庁は3月14日(金)、「海外教育旅行シンポジウム2025」を開く。会場は渋谷ソラスタコンファレンス(東京都渋谷区)で参加無料。会場参加とオンライン参加のハイブリッド形式で行う。

 同庁は、24年度「海外教育旅行プログラム付加価値向上支援事業」で、学校関係者や旅行事業者から、教育的付加価値の高い海外教育旅行プログラムの企画を公募し、優れた企画を採択した。さらに採択された企画に対して、有識者などのアドバイザー派遣や視察費用などの補助を通じて、高付加価値なプログラムの開発支援を実施した。

 シンポジウムの第1部では、学校関係者と旅行事業者の連携によって同事業で開発された海外教育旅行プログラムの成果報告を行う。タイやラオス、カンボジア、マレーシア、韓国、アメリカ、インドネシア、フィンランドの8カ国・9つのプログラムを発表する。

 第2部では、「今後の海外教育旅行に求められることとは」と題して、プログラムを選定した有識者によるパネルディスカッションを行う。

 第3部では、外国政府観光局から教育旅行先としての魅力を紹介する交流会や、参加者と懇談する機会を設ける。

 開催時間は午後2時30分~午後6時。会場参加は100人、オンライン参加は200人まで。申し込みは3月12日(水)まで受け付ける。

北上市と西和賀町が観光物産展を開催 いわて銀河プラザ、買い物客で賑わう

2025年2月10日(月) 配信

民話語りに耳を傾ける来場客

 岩手県北上市と西和賀町は1月30日~31日の2日間、東京・東銀座にある岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」で観光物産展を開催した。

 観光ポスターや観光パンフレットも用意された会場では、北上のりんごや日本酒、西和賀町のわらび餅や西わらび関連商品などが販売され、買い物客で賑わった。

 また、両日とも午後1時30分からは「北上・西和賀の民話語り」も行われ、来場者は方言による民話に耳を傾けた。

 さらに商品を購入した人を対象に、夏の花火大会の観覧チケットや宿泊助成金が当たる抽選会(限定100本)も行った。

東武トップツアーズ、妙高市から感謝状 企業版ふるさと納税で

2025年2月10日(月) 配信

東武トップツアーズの百木田康二社長(左)、城戸陽二妙高市長

 東武トップツアーズ(百木田康二社長、東京都墨田区)はこのほど、新潟県妙高市(城戸陽二市長)から企業版ふるさと納税に対する感謝状を贈呈された。

 妙高市は、東武トップツアーズが2024年12月に全国16自治体へ行った企業版ふるさと納税の寄付先の1つ。SDGsの達成に向けて優れた取り組みを行う自治体として「SDGs未来都市」に選定され、このなかでもとくに先導的な取り組みを行う「自治体モデル事業」にも選定されている。同社は、こうした活動への評価と今後のより充実した取り組みへの支援を目的に、企業版ふるさと納税を実施した。

 両者は、20年7月に新たな人の流れの創出や地方創生に関する連携協定を結んだ。教育旅行団体の農家民泊体験プログラムの提供をはじめとした地域創生事業などに取り組むなど、地域課題解決や地方創生に関する業務の提案・立案などについて、共に推進している。

 なかでも教育旅行団体向け「SDGs探究学習プログラム」は、妙高市の米、観光、環境保全などをテーマに、事前学習や実地研修、事後学習に取り組むプログラムで、多くの学校から高い評価を得ているという。

 東武トップツアーズによると、今後も地域の魅力発掘と活性化事業をより強化、推進するとともに、持続可能な社会づくりに貢献するとした。

観光庁・文化庁・スポーツ庁、包括的連携協定を改定へ  「経済の好循環を目指す」

2025年2月10日(月)配信

(左から)室伏広治スポーツ庁長官、都倉俊一文化庁長官、秡川直也観光庁長官が署名した

 観光庁、文化庁、スポーツ庁は2月5日(水)、包括的連携協定を改定した。観光と文化芸術、スポーツの相乗効果による経済の好循環を目指し、引き続き緊密な連携を推進する方針を示した。

 3庁は2016(平成28)年に包括的連携協定を結び、これまでさまざまな連携を進めてきた。今回の締結では「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」をキーワードに、さらなる訪日外国人旅行者の増加、国内観光の活性化をはかることで、経済の好循環の実現を目指す。

 具体的には「観光立国推進基本計画」「文化芸術推進基本計画」「スポーツ基本計画」の改定に向け、連携協力事項を検討する。また、文化芸術・スポーツを活用した観光コンテンツの開発や観光地域の高付加価値化、国内での国際的なスポーツ・文化芸術イベントの開催を契機とした訪日や周遊の機会を創出する。

 さらに、観光資源の高付加価値化による消費額拡大や観光コンテンツ整備による地方誘客・地域周遊の促進に向けて、戦略的・効果的な連携事業を実施する。

 このほか、訪日外国人旅行者を地域へ呼び込むための受入環境整備やプロモーションの推進や、全国各地のスポーツ文化ツーリズムの優れた取り組みの顕彰・周知・プロモーションを推進。そして、スポーツや文化芸術を活用した観光を支える人材の育成・確保などを連携し協力するとした。