前年から10%減、物価高など影響 阪急交通社の年末年始予約動向

2025年12月2日(火) 配信

 

 阪急交通社(酒井淳社長、大阪府大阪市)はこのほど、年末年始(2025年12月27日~26年1月5日)の旅行予約動向を発表した。これによると、国内・海外旅行ともに前年同期比10%減で推移。日並びは昨年同様9連休が可能だが、物価高や円安などから現役世代の需要に影響が出ているとみる。

 同社は年末年末年始の商品販売開始を通常よりも早め、需要促進に努めた結果、国内は沖縄や北海道が前年から伸長した。人気の旅行先ランキングは近畿が1位となり、2位が関東、3位が北陸・甲信越、4位が北海道、5位が沖縄の順。出発日のピークは12月31日(水)で、次いで1月5日(月)、12月28日(日)と続く。

 海外の人気旅行先ランキングは1位から台湾、ヨーロッパ、韓国、香港、エジプトの順。アジアは台湾、韓国が上位を維持しているが、需要は前年を下回った。エジプトは前年同期比6%増と好調に推移している。また伸び率が最も高かったのは中国。出発日のピークは12月27日(土)で、次いで30日(火)、28日(日)となり、12月下旬に集中している。

HIS 年末年始、海外旅行の予約者数0.9%減 単価は5%増の24万8000円

2025年12月2日(火) 配信

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)が11月19日(水)に発表した、年末年始(2025年12月26日~26年1月4日)の海外旅行の予約状況によると、予約者数は24年11月7日比で0.9%減となった。平均単価は同5%増の24万8000円だった。

 最大9連休と昨年に引き続き、日並びの良い年であることから、同社は「今年は、堅調に推移している。ヨーロッパと中近東の予約者数が増加したことに加え、円安や旅行先の物価高の影響で平均単価は上昇傾向だ」とした。

 旅行先ランキングでは、1位が韓国・ソウル。次いで台湾・台北、タイ・バンコク、アメリカ・ホノルル、アメリカ・グアム、フィリピン・セブ島、シンガポール、香港、フランス・パリ、韓国・釜山と続いた。
 
 出国のピークは12月27日(土)。全体の50.7%が12月26(金)~28(日)に出発する。帰国のピークは1月3日(金)。

「JALオーベルジュ富良野」が26年冬に開業へ 中富良野町×JAL×日動

2025年12月2日(火) 配信

中央が小松田清町長

 北海道・中富良野町(小松田清町長)と日本航空(JAL、鳥取三津子社長、東京都品川区)、日動(前川大輔社長、北海道札幌市)は2026年冬、中富良野町に「JALオーベルジュ富良野」を開業する。地域資源とJALブランドを融合させたオーベルジュで、JALでは初の事業。2023年に中富良野町とJALが締結した連携協定のもと、展開する。

 オーベルジュは「食」と「宿泊」体験が一体となった上質な滞在型観光の1つ。特定の季節に偏らない需要があることが期待されており、夏や冬に需要が集中しやすい北海道において、通年で人流を生み出すための新しい挑戦となる。

 販売はJALが全国のネットワークを生かして担い、運営は日動が地域密着型で行う。JALは中富良野町をモデルケースとし、今後は北海道内の他地域でも「JALオーベルジュ」の展開を目指していく。

 今回の「JALオーベルジュ富良野」の所在地は北星山森林公園エリアで、客室は自然や文化に調和した設計の全10室。レストランはミシュラン一つ星シェフ・石井誠氏(Le Musée)監修のもと、富良野市出身のシェフ・谷章太郎氏が提供する。

 小松田町長は「本町の象徴的な場所である北星森林公園エリアにJALブランドのオーベルジュが整備されることで、通年での誘客による持続可能な観光地域づくり、さらには地元産業の発展に寄与することを期待している」と力を込めた。

 また、JAL執行役員の林浩一北海道支社長は「オーベルジュを新たな文化へと育て、北海道観光の価値向上と地域経済の活性化に貢献していく」、日動の前川社長は「中富良野町の自然と食を五感で味わう新しい滞在体験を創出する」と意気込む。

 現在建設が進められており、公式Webサイトの開設と販売開始は2026年6月ごろを予定している。

観光庁「地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業」 公募1月30日まで

2025年12月2日(火) 配信

観光庁(写真はイメージ)

 観光庁は12月2日(火)、「地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業」の公募を始めた。訪日外国人旅行者が日本各地を安全・安心に訪れることができる旅行環境整備に向けて、地域における観光客を含めた危機管理体制の検討・構築、多言語での正確な情報発信、観光施設などの非常時対応機能の強化、医療機関でのキャッシュレス決済などの整備を支援する。

 災害が激甚化・多発化するなか、訪日客の増加によって、旅行中に災害に遭い、医療機関を受診するケースも増加すると想定。同事業は、さらなる地方誘客の促進に向けて、訪日客が日本各地を安全・安心に旅行できる環境を整備することが必要として推進している。

 地域における観光危機管理計画の策定補助では、各地域における訪日客を含めた観光客に対する災害時の対応方針などの計画策定を支援。また、観光施設などの避難所機能や多言語対応機能では、訪日客の一次的な安全・安心確保のため、観光施設の非常用電源装置や多言語対応AED、多言語機能の強化などの環境整備を支援する。

 加えて、医療機関の訪日客の受入機能では、訪日客が医療機関を受診する場合の利便性向上に向け、キャッシュレス決済の導入、医療機関内の多言語化などの環境整備を支援する。

 対象は、観光案内所や観光施設などの設置または管理者、観光地で店舗・事業所などの運営者、病院・診療所などの設置または管理者、地方公共団体。なお、宿泊事業や交通事業に係る施設の整備は対象外となる。

 補助率は補助対象経費の2分の1以内で、このうち、「災害時等における観光危機管理の強化」は上限500万円。

 公募期間は12月2日(火)~2026年1月30日(金)午後5時必着まで。予算がなくなり次第終了とする。

「観光人文学への遡航(66)」 外交における観光①

2025年12月2日(火) 配信

 ここまで観光教育における専門学校の制度的位置づけについて連載をしてきたが、あまりにも事態が急展開したので、専門学校に関してはいったん小休止し、観光と外交に関して述べることにする。

 私は1990年代に新卒で日本航空に勤務していたが、在職中に交渉が行われた日米航空協定の不平等性に疑問を持ったことから日本の外交政策に関心を持ち、日本航空を退職して松下政経塾で国際関係を学んだ。

 
 そのころは、ジャパン・アズ・ナンバーワンの時代が過去のものとなり、ジャパン・バッシングの時代を経て、ジャパン・パッシングの時代へと突入していた。当時のクリントン米大統領も、当初は日本には関心を持っていなかった。そこにくさびを打ったのが、ジョセフ・ナイである。彼は国防次官補として、極東アジアに米国が冷戦後も関与し続けることの重要性を説いた「ナイ・イニシアチブ」を展開した。これが現在の強固な日米同盟の再定義へとつながった。このナイが主張したのが、外交におけるソフトパワー理論である。

 ナイは、外交においては、軍事力や経済力といった相手を力でねじ伏せるハードパワーとともに、文化や価値観や理念によって相手への影響力を高めるソフトパワーが重要だと説いた。言い換えれば、ハードパワーは支配力であり、ソフトパワーは吸引力である。

 ソフトパワー理論が提唱されたことで、まさに観光は国家のソフトパワーを高めるための好材料としてみなされた。世界から観光客を受け入れることで、世界中に自国の正しい姿を見てもらい、ファンになってもらうことができる。そして、他国がどんなに理不尽で根拠のない情報を教育や報道で流したとしても、実際に訪問した経験があれば、その情報を信じたりはしない。まさに観光振興はパブリック・ディプロマシーの一翼を担うことが期待された。

 しかし、あろうことか観光はハードパワーの切り札として使われ始めた。気に入らないことがあれば、その国を名指しし、自国民の渡航を自粛させる。航空路線を止める。このやり方で観光がハードパワーとして行使されるようになった。

 ハードパワーとしての観光が厄介なのは、経済損失もさることながら、国民を観光で恩恵を受けている者と、そうでない者とに分断することができる点である。国民同士が憎み合う構図を作ることで、国民統合を阻み、国力を弱体化させることができてしまう。

 もう「観光は平和へのパスポート」なんてお花畑なことを言ってはいられなくなった。どうも観光学界において観光と外交を語っている研究者はまだこのお花畑な時代を引きずっているようで、その研究成果は今日には役に立たないが、これからは観光における「防衛」も真剣に考えていかなければならない。

 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

〈観光最前線〉徳島県が万博「感謝展」

2025年12月2日(火)配信

EXPO LEGACY TOKUSHIMA 感謝展(イメージ)

 徳島県は12月1日から2026年3月31日まで、県庁1階の県民ホールと玄関ホールで、2025年大阪・関西万博での同県の取り組みを振り返る「EXPO LEGACY TOKUSHIMA 感謝展」を開く。

 関西パビリオン徳島県ゾーンの展示物やドイツパビリオンで実際に展示・使用されたソファを展示する。

 このソファは「循環経済」をテーマに掲げたドイツパビリオンの展示の一部を構成したもので、長年続くドイツと徳島県の「交流の証」「友好の象徴」として無償提供されたという。

 12月1日の開幕セレモニーには後藤田正純知事をはじめ、万博公式キャラクター「ミャクミャク」、ドイツパビリオン公式マスコット「サーキュラー」などが登場する。

【土橋 孝秀】

鉄印帳、近畿エリア版を発売 大阪、和歌山では初めて

2025年12月1日(月)配信

鉄印帳 近畿エリア版の表紙と鉄印

 「鉄印帳」事業を共同で展開する第三セクター鉄道等協議会と読売旅行、旅行読売出版社、日本旅行は12月12日(金)、鉄印帳エリア版の第4弾となる「鉄印帳 近畿エリア版」を売り出す。

 鉄印帳は、2020年7月から鉄道利用の促進、沿線地域の活性化、鉄道会社の新しい収入源を目的として、三セク協に加盟する40の鉄道会社で開始した。現在、鉄印帳の販売冊数は7万6000冊、各鉄道会社が販売する鉄印は83万枚を超え、鉄道旅行の楽しみ方の一つとして定着している。

 近畿エリア版は、創立100周年を迎える水間鉄道や、猫のたま駅長が人気の和歌山電鐵など、大阪、和歌山では初めての“鉄印”となる。新たな鉄道会社の連携で近畿エリアにおける鉄道利用の促進をはかり、旅行者の周遊促進や滞在時間の増加を目指す。

 参加鉄道会社は近江鉄道、信楽高原鐵道、叡山電鉄、京福電気鉄道、京都丹後鉄道、水間鉄道、和歌山電鐵、神戸市交通局、北条鉄道、智頭急行――の10社。各鉄道会社の指定窓口で販売する。

 縦160ミリ×横115ミリ、中面24ページ(12社の指定ページ+フリースペース7ページ)。予価は税込1800円。

「フォーポイント フレックス by シェラトン東京渋谷」 12月1日に開業

2025年12月1日(月) 開業

テープカットセレモニーのようす。(中央が田口社長)

 ホテル運営会社のK+ホスピタリティマネジメント(田口雅博社長、東京都港区)とK+ホスピタリティオペレーションズTWO(同)は12月1日(月)、東京・池尻大橋に「フォーポイント フレックス by シェラトン」を開業した。同ブランドとしては東京では8月開業の東神田、10月の上野に続く3軒目で、全国では16軒目となる。

 同ブランドはマリオット・インターナショナルが現在注力する、ミッドスケールの価格帯のホテルで昨年誕生した。K+ホスピタリティマネジメントが運営を行い、利便性と快適性を兼ね備えたホテルとして、国内外客の出張やレジャー需要に応えていく。K+ホスピタリティオペレーションズTWOはこのなかで、東神田と上野、今回の東京渋谷の3軒を担う。

 同日のオープニングセレモニーで、田口社長は「シンプルで快適な“ちょうどいい滞在”を提供する。今回の開業で渋谷に新たな価値を生み出したい」とし、「今後もブランド理念のもと、信頼されるホテル運営をしていく」と意気込んだ。

 同ホテルは渋谷の1つ隣の駅である池尻大橋に位置。渋谷、中目黒も徒歩圏内にあり、利便性が高い。客室数は92室。価格は需要により変動するが、最低ラインの目安は1万2000~1万3000円ほどという。

 K+ホスピタリティマネジメントによると、現在、首都圏の同ブランドはほぼ満室が続くほど好調。マリオットの会員プログラム「Marriott Bonvoy(マリオットボンヴォイ)」が利用できるため、会員や外国人の予約が大半を占める。今後は、国内の一般客にも認知度を高めていきたい考え。

HISグループ4社、合同で「葬送のフリーレン」とコラボ 国内旅行の需要活性化へ

2025年12月1日(月) 配信

コラボのイメージ
 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長、東京都港区)はこのほど、グループ会社であるH.I.S.ホテルホールディングス(澤田秀雄社長、東京都港区)と、九州産業交通ホールディングス(岩間雄二社長、熊本県熊本市)、ラグーナテンボス(小寺康弘社長、愛知県蒲郡市)の4社合同で、テレビアニメ「葬送のフリーレン」とのコラボレーション企画を始めた。国内旅行の需要活性化につなげたい考え。
 
 テレビアニメ「葬送のフリーレン」は漫画を原作とした作品。第1期が2023年9月から24年3月までオンエアされた。第2期が26年1月から放送することが決定している。
 
 HISは沖縄でデジタルスタンプラリーを実施。参加客は、対象のスポットでオリジナルデザインのデジタルフォトフレームとステッカーを受け取ることができる。参加料は2000円で、沖縄本島行きのツアーや航空券+ホテル、航空券、ホテルを予約した人が対象となっている。
 
プレゼントするステッカー
 H.I.S.ホテルホールディングスは、変なホテル東京 銀座(東京都中央区)や変なホテル ラグーナテンボス(愛知県蒲郡市)、変なホテル大阪 なんば(大阪府大阪市)、変なホテル福岡 博多(福岡県福岡市)など11軒のホテルで「葬送のフリーレンコラボルーム」を発売している。イラストで客室を装飾し、宿泊客にはホテルオリジナルのクリアファイルとポストカードをプレゼントする。1部屋1泊の宿泊料金は朝食付が1万6900円から、素泊まり1万5100円から(いずれも税・サ込)。
 
コラボルーム
 九州産交ホールディングスでは、熊本市内と阿蘇くまもと空港を結ぶリムジンバスでオリジナルデザインラッピングバスを運行する。26年1⽉中旬〜3⽉8⽇(日)には、限定グッズなどを集めたポップアップショップも開く。

メキシコのサンルイスポトシ州、日本事務所を東京・品川に開設

2025年12月1日(月) 配信

日本事務所を東京・品川に開設

 メキシコのサンルイスポトシ州はこのほど、日本事務所(ロドルフォ・ゴンザレス代表)を東京に開設した。

 同州は首都メキシコシティの北約400㌔に位置し、メキシコの主要都市や国境地帯へのアクセスに優れている。自動車・製造業が盛んで、ダイキンやデンソー、トヨタ自動車、ホンダをはじめ、多くの日系企業が進出している。

 同州を含む周辺地域は「バヒオ地区」と呼ばれ、メキシコ経済でも重要な地域で、日本企業との経済的なつながりが年々と強くなっている。

 新たに開設した東京事務所では、現地の市場調査や視察、企業訪問などの調整、日本企業とのビジネスマッチング・投資相談、メキシコで行われる展示会・商談会の参加支援などを行う。各地の商工会議所や企業向けのセミナーも予定している。

 サンルイスポトシ州日本事務所の住所は、〒108ー0075 東京都港区港南2ー16ー1 品川イーストワンタワー8階 ☎03(6894)2106。Eメールinfoslpjapan@gmail.com