観光庁、「テーマ別観光による地方誘客事業」4件を継続選定

2020年5月25日(月)配信

2月23日開催した「ONSEN・ガストロノミーウォーキングin江の島・藤沢」のようす

 観光庁は5月22日(金)、今年度の「テーマ別観光による地方誘客事業」として、各地域の取り組みや今年度の取り組み計画などを踏まえ、4件の継続選定を発表した。選定されたテーマは、Industrial Study Tourism、ONSEN・ガストロノミーツーリズム、郷土食探訪~フードツーリズム~、宙ツーリズム。

 同事業は2016年度からの取り組みで、特定の観光資源を活用して地方誘客をはかることを目的とする。複数地域のネットワーク形成と、課題や成功事例を共有することによる効果的な観光振興などを支援している。

 今後、選定されたネットワーク組織などが実施する観光客のニーズや満足度を調査するためのモニターツアー経費を観光庁が支援。このほか、受入体制構築のための共通マニュアル作成、効果的な情報発信のための共同Webサイトの作成などの必要な経費を支援し、効果的な観光振興を推し進める。

airbnb、体験の新コンテンツ提供 年齢や障害などアクセシビリティを考慮

2020年5月25日(月) 配信

airbnbの目標「体験を可能な限り多くのニーズに対応させる」を実現する。画像は描画教室のイメージ

 airbnb(エアビーアンドビー)はこのほど、年齢や身体障害の有無に関係なく、だれもが必要な情報やサービスなどにアクセスできる「アクセシビリティ」に考慮し、新しい20以上のコンテンツのオンライン体験を受け付けた。情報利用におけるバリアフリー化の実施と意識を高めるグローバル・アクセシビリティ・アウェアネス・デーに合わせ、同社の目標「体験を可能な限り多くのニーズへ適合させること」を実現したい考え。

 新しく受け付けるオンライン体験として「音声で指導するカーディオボクシング体験」や「プロのダンサーによる障害者のためのヨガ体験」などを用意した。

 同社は収益を障害者の団体に寄付する体験も用意した。観衆のやる気を鼓舞するスピーチを行うモチベーションスピーカーやスポーツアナリスト、作家などとして活動する元米カレッジフットボール選手のEricLeGrand氏は、期間限定で「人までの話し方に関する特別セッション」を実施する。収益はChristopher & Dana Reeve Foundationに寄付される。

 英国の起業家兼アーティスト、テレビ司会者であり障害者の支援を行うアドボカシー活動を実施するSophie Morgan氏は、動物の描画教室のホストを務める。収益は障害者支援をする英国の非営利団体Leonard Cheshireに寄付される。

 アクセシビリティへの理解度の向上をはかりたい希望者には、手話教室をはじめ、オンラインで農場のミニチュアホースやロバと対面するコンテンツを用意。馬などの動物に対する統合的なセラピー「エクウィンセラピー」の利点に関する知識を深めることができる。

無償提供の「新型コロナ対応 多言語ピクトグラム」を紹介 JATA

2020年5月25日(月) 配信

新型コロナウイルス対策 チラシデザイン例

 日本旅行業協会(JATA)は5月21日(木)、観光事業者向けの多言語AIサービスを展開するアクティバリューズ(陳適社長、東京都渋谷区)が作成した「新型コロナウイルス対応 多言語ピクトグラム」を無償配布する情報を紹介した。

 観光事業者が実施する新型コロナウイルス対策を「見える化」することで、国内外の旅行者に安心してもらうとともに、事業者を支援するのが目的。施設内に掲示するポスターや、配布チラシ、Webサイトなどに活用できる。

 同ピクトグラムは、「施設・従業員の取り組み」と「お客様へのお願い」の2テーマに分類される。「施設・従業員の取り組み」には、接客スタッフのマスクの着用、館内共用部の消毒の強化などのほか、食事や会計のシーンに活用できるものもある。「お客様へのお願い」は、手洗いや検温など協力を呼び掛けるものがあり、2テーマ合わせて20点を超える項目を提供。今後、さらなる拡充を予定している。

 これらのピクトグラムは、素材の加工や制限、クレジットの記載などの条件は設けず、商用・非商用を問わず無償で利用できる。ダウンロードはこちらから可能(会社名、氏名、メールアドレスの入力必須)。

 同社はこれまで、観光業界向けの多言語AIチャットボット「talkppi(トーカッピ)」(英・中簡体・中繁体・韓・日)のサービスを提供している。文字と画像による案内が、施設の公式ホームページやSNSアカウントから24時間利用できるのが特徴で、宿泊施設や観光協会などで導入されている。

「きふやど」、宿泊クーポンを先払い販売 客足戻るまでの宿泊施設を支援

2020年5月25日(月) 配信

きふやど トップページ

 国際寄付機構(好岡夢貴代表理事、千葉県柏市)は、宿泊施設支援プラットフォーム「きふやど」の運営を始めた。一口5000円の宿泊クーポンを先払いで売り出し、宿泊施設に客足が戻るまでの資金繰りの手助けをする。クーポン購入時には「きふやど手数料」が掛かるが、法人の利益とせず新型コロナウイルスと戦う医療機関に全額を寄付する。

 現在、きふやどでは掲載する宿泊施設も募集している。ホテル・旅館・民宿・ペンション・ホステル・ゲストハウスなど形態を問わず、すべての宿泊施設が対象となる。

 宿泊施設に手数料や掲載料などの負担はなく、運営資金の確保にはクラウドファンディングを活用する。支援者へのリターンとしてカレンダーやトートバッグなどのオリジナルグッズ、広告バナー掲載、インタビュー型メッセージ掲載を用意。個人だけでなく企業からの支援も受け付けている。

The Wardrobe Hostel 六本木・下北沢、法人専用の1カ月連泊プラン売り出す

2020年5月25日(月) 配信

ホステルイメージ

 建築商売(田口啓右社長、東京都渋谷区)プロデュースするホステル「The Wardrobe Hostel 六本木・下北沢」はこのたび、法人専用の1カ月連泊プランを売り出した。

 新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環で、個人利用も可能。ホテルはそれぞれ六本木駅、下北沢駅から徒歩3分の立地で通勤時間の短縮がはかれる。公共交通機関の利用を最低限に抑えられるほか、家族への感染リスクも低減できるという。
 
 担当者は、同プランを公共交通機関の利用を最低限に抑え、感染リスクや心理的ストレスの軽減に役立ててほしい考えだ。

WILLER EXPRESS、6月1日から運行再開 コロナ対策講じ

2020年5月25日(月)配信

3密回避の対策イメージ

 WILLER EXPRESS(平山幸司社長、東京都江東区)は6月1日(月)から、新型コロナウイルス感染症の対策を施し、高速バスの運行を再開する。3密回避と衛生管理の対策を講じ、移動手段を必要とする乗客の移動を確保する。

 再開路線は、東京~仙台、東京~新潟、東京~長野、東京~名古屋、東京~大阪、大阪~名古屋、大阪~広島の7路線の昼行便。

 具体的な対策は、(1)5分で車内の空気を入れ替えられる外気モードを常時稼働した換気(2)隣の空席を確約する車内のフィジカルディスタンシング(3)運行ごとに使い捨てするフェイスカバーを装着した飛沫感染対策カノピーの設置(4)乗車前の検温実施による衛生管理――を実施する。

 なお、7月出発分の販売再開は、6月中旬を予定している。

HISホテルHD、テレワークプラン販売 仕事捗らないなどの声に応える

2020年5月25日(月) 配信

新しい生活様式の実践を後押しする

 HISホテルホールディングス(岩間雄二社長)はこのほど、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式と働き方のスタイル」の実践の一助として、変なホテルでテレワークを行う「ビジネスパック」と「ロボホンルーム活用プラン」を売り出した。利用期間は6月1日(月)~7月20日(月)。小さな子供がいる自宅でのテレワークが難しい、自宅のネット環境が悪く仕事が捗らないなどの声に応える。

 ビジネスパックは全国12棟の変なホテルで提供する。宿泊期間は5泊6日から最大15泊16日まで。客室は1人1室利用となる。同じ客室を長期間確保するため、客室に必要なものを置いたままにするなど、宿泊客専用のオフィスとして利用できる。価格は通常価格で1泊ごとに予約したときより、安くなっている。

 ロボホンルーム活用プランは、テレワークの際、客室に子供と一緒に入室するもの。子供はクイズの出題や名作文学の読み聞かせ、ダンスなどを行うロボホンで遊ぶことができる。同プランは、日中だけ客室を利用するデイユースと宿泊の2 種類。全国3棟のホテルで提供する。

【長崎県雲仙市】市民向けに市内宿泊を補助、1泊上限2万円

2020年5月25日(月)配信

温泉の噴気に包まれる雲仙地獄(イメージ)

 長崎県雲仙市は2020年8月31日(月)まで、市民が市内の宿泊施設に泊まると宿泊料金の半額(1人1泊あたり、上限2万円)を補助する「『地元』にとまって応援キャンペーン」事業を実施している。

 市民の協力を得ながら、新型コロナウイルス感染症拡大で多大な影響を受けた観光産業を支援する。事業予算は6500万円。5月15日(金)から8月末までの宿泊利用を第1期とし、期間中予算総額に達しない場合は2期(9月以降)も募集する。事業期間は来年2月末まで。雲仙温泉や小浜温泉など市内40軒の施設が対象。期間中、何度でも利用できる。

JTB、「Jリーグチェアマン特別賞」受賞 発達障害児向けの取り組みが評価

2020年5月25日(月) 配信

写真はイメージ

 JTB(髙橋広行社長)は5月13日(水)、発達障害のある子供たちに向けた取り組みが「2020Jリーグシャレン!アウォーズ」(主催:日本プロサッカーリーグ=Jリーグ)で、「Jリーグチェアマン特別賞」を受賞したと発表した。

 今回の取り組みは、同社と全日本空輸(ANA、平子裕志社長)、富士通(時田隆仁社長)、川崎フロンターレ(藁科義弘社長)の4社が、先導的共生社会ホストタウンの川崎市(神奈川県)とともに企画・実施し、受賞した。

 4社と川崎市は、スポーツとユニバーサルツーリズムをテーマとし、発達障害児を対象に「フロンターレ対大分トリニータ戦」のサッカー観戦と、サッカー教室交流イベントを2019年7月27日(土)、28日(日)に実施。安心できる環境下で楽しめるスポーツ観戦・体験の機会を提供したことが、心のバリアフリーの普及、合理的な配慮の概念の浸透を推進したこと、シャレンの定義(共通のテーマ×三者以上の共有)を理解し、Jリーグの代表的な活動であることが評価された。

 「2020Jリーグシャレン!アウォーズ」は、Jクラブが取り組んでいる地域課題や社会課題の解決に向けた活動など、Jクラブの持つ価値をいかんなく発揮している活動を称え、共有したい活動を表彰している。

ロゴマーク

「提言!これからの日本観光」 “不要不急”

2020年5月25日(月) 配信

 

 「不要不急の外出は自粛してほしい」と国や自治体などが2月以降、国内各地で頻繁に呼び掛けた。筆者はこれを聞いて76年前の1944(昭和19)年春を思い出す。国や都道府県などが、太平洋戦争末期の戦局悪化による国鉄旅客列車削減のダイヤ改正の際に呼び掛けた「不要不急の旅行は自粛されたい」と、今回の文言である「不要不急の外出自粛」がほとんど同じだからである。「自粛」は「要請」であるが、かなり命令に近いことも似ている。

 戦時中の「不要不急」とは軍と公務以外の旅行を指し、定義が明確だった。今回は感染症蔓延を防ぐために移動の減少をはかるもので、「不要不急」の判断は自らするしかなく、戸惑うほかなかった。「不要不急」の移動には「観光」が含まれていることは間違いないと思う。戦時中は「観光」が軍・公務以外の移動であることは明らかだった。今回は観光イベントが、相次いで中止となり、一部観光地は立ち入りも禁止。大型観光施設もほとんどが閉鎖した。今回は移動による感染症の広がりを防ぐためで、移動を伴う「観光」の自粛はやむを得ないと考える。

 しかし、誤解してはならないのは、「観光」が「不要不急」だから自粛するのではないことである。戦時中は、「不要不急」の移動の代表例に「観光」が挙げられ、時刻表の表紙、街頭などには「観光旅行をやめよう」と掲示されたほどだった。観光施策も「不要不急」とされ、国の観光局も廃局した。そのため、戦後に至るまで「観光」は「暇な人の遊び」と誤解され、観光の復興が遅れたことを忘れてはならない。

 「観光」は人間の本能に根差す重要な文化経済行動であることは言うまでもない。国は観光立国施策の重要な柱に挙げ、国内外共に促進した。しかも、近年の訪日客の急増に対応すべく、全国約130万の観光事業所も受入体制を強化、拡充してきた矢先に今回の事態となった。来年には延期された東京五輪も迫っている。感染症終息後は、速やかにV字型の観光回復を実現し、観光産業の再活性化と共に、東京五輪と観光振興を成功させる動機としたい。

 また、内外客の受入態勢を再整備しなければならない。観光が一段落している今こそ、新しい日本観光の再出発となる観光復興を目指し、施策を練り、仕込みをするべき大切な時なのではなかろうか。

 今回の感染症蔓延防止のための自粛が、戦時中のように「観光」が「不要不急」だからと再び誤解されることがあってはならない。むしろ、現在こそ「観光」の文化経済行動であるとの真の意味を理解してもらう好機と捉え、その努力を怠ってはならないと思う。そして、窮状に陥っている中小の観光事業者を公的支援で何とか維持させ、明年に備えなければならない。

 このような努力がないと、東京五輪の成功と「観光」の復興は覚束ないと思う。観光復興と地域再生のため、今を地道な努力の時と考えたい。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏