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MaaSには「誰1人取り残さない」という価値観が問われている (筑波大学 石田東生名誉教授・特命教授)

2020年11月12日(木) 配信

誰もが参画しやすい基盤を

筑波大学 名誉教授・特命教授
石田東生(はるお)氏

 

 地域住民や旅行者個々の移動ニーズに合わせ、複数の公共交通や移動サービスを組み合わせ、検索・予約・決済などを一括で行う「MaaS」。観光などさまざまな分野の連携により、地域の課題解決がはかれると期待されている。筑波大学名誉教授・特命教授の石田東生氏に観光との関係や実装に向けた課題を聞いた。

 

 

 2018年6月15日に発表した「未来投資戦略2018―『Society5.0』『データ駆動型社会』への変革―」のなかで初めて「MaaS」について触れられ、国の施策としての取り組みが始まりました。そこでは、「地域の公共交通と物流について、オープンデータを利用した情報提供や経路検索の充実、自動走行など新技術の活用、過疎地域での貨客混載など多様な分野との施策連携により、都市と地域の利用者ニーズに即した新しいモビリティサービスのモデルを構築する」ことが掲げられました。

 翌年、経済産業省と国土交通省が、「スマートモビリティチャレンジ」プロジェクトを立ち上げ、今年度までに北海道の十勝地域など52地域・事業の実証実験を支援しています。

 福井県・永平寺町では、高齢者など移動弱者の移動手段の確保のため、自動走行の実用化に向けた実証実験を進めているほか、課題となっている交通・物流事業者らの不足に対し、異なる輸送交通プラットフォームを連結させた新しいモビリティサービスの構築を進めています。

 また、同時に立ち上げられた協議会には、全国の自治体や交通事業者ら257団体が参画し、情報交換や課題共有などがはかられています。

 「観光MaaS」は、日本で生まれた仕組みです。ヨーロッパで既に浸透していた「MaaS」を日本に導入するにあたり生み出された、「日本らしい」概念です。このころ大幅に増加していた外国人旅行者の言語問題の解決と、厳しい環境にある中山間地域の交通事業者や観光事業者などを連携させ地域経済を活性化させることを目的に、「観光」が重要視されました。

 現時点で最大のMaaSシステムだと思うのは、全日本空輸(ANA)や、日本航空(JAL)の既存の予約ネットワークシステムです。飛行機の予約と連動して、ホテルやレンタカーも同時に1サイトで予約、決済できます。両社とも全国をしっかりと網羅している点が優れていますが、現在はこれにとどまらず、観光地へのアプローチも積極的に検討しています。

 一方で、各地で実証実験が進むMaaSですが、2つの課題が出てきていると私は思います。

 1つは、アプリが乱立していることです。ただこの問題は、より優れたシステムに集約されて行くと考えているので解決は時間の問題だと思っています。

 もう一つの課題は、アプリを導入したり、データ連携をしたりすることがMaaSだと思う風潮があることです。

 MaaSには、「社会的包摂」といって、「誰1人取り残さない」という価値観が問われています。人と人のつながりを希薄にしては、本当のニーズを見落としてしまうことにもなりかねません。ここがMaaSの難しいところです。

 観光業関係は小規模な施設が多いので、交通事業者だけではなく、温泉宿や行政など、しっかりと核となって動くプレーヤーと、地域全体であり方を考えられる制度も必要だと思っています。人間関係を大切にし、誰もが参画しやすい基盤を整えることが大切なのです。 

 この点をうまく抑えているのが、北海道帯広市にある十勝バスです。同社はバス路線沿線住民の声を丁寧に集め、業務改革を行い、乗客を増やしました。このような視点もMaaSでは必要になります。

(構成=後藤文昭)

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