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2017年度厚生労働大臣表彰「現代の名工」 満ちてくる心の宿吉夢(千葉県・小湊温泉)・渡邊三郎総料理長

2018年6月23日
編集部:増田 剛

2018年6月23日(土)配信 

渡邊三郎総料理長

「日本料理の文化を若い世代に」

 料理に定評のある千葉県・小湊温泉「満ちてくる心の宿吉夢」(吉田幸司社長)の総料理長・渡邊三郎氏は昨年11月、卓越した技能者(現代の名工)として、厚生労働大臣から表彰された。同制度は“その道の第一人者”と目される卓越した技能者を表彰するもので、2017年度は各分野から149人が受賞。「旅館の料理を通じて、日本料理の文化を若い世代に知ってもらいたい」と話す渡邊総料理長に、旅館料理に対する想いや、若手の育成や指導などについて聞いた。

◇     

豊富な食材を生かした夕食の一例

 「千葉には豊かな海と山があり、ほとんどの食材がそろいます」と渡邊総料理長は話す。

 吉夢に来て10年になる。栃木県・塩原温泉で生まれ育ち、20歳から千葉の外房のホテルや旅館で腕を磨いてきた。

 料理は「地産地消」を心掛ける。団体、個人客にも対応できるように多様なコースを用意している。オプショナルメニューも豊富で、食材の選択も可能だ。近年増えている個人客にも喜ばれているという。

 吉夢を訪れる年齢層は広く、料理の量を少なめにしたコースなど、細かな配慮もしている。乳製品や甲殻類など、今はアレルギーなどの問い合わせも多く、「予約の段階から細かくお聞きし、できる限りの対応を行っています」と話す。

 焼き物や揚げ物などは“出来立て”にこだわる。「朝食会場はビュッフェ形式ですが、私もお客様の目の前でオムレツを焼いています。お客様の方から声を掛けていただいたり、こちらからも夕食の感想を聞いたり。帰りに「『おいしかったよ』という言葉をいただけるのが一番うれしいですね」。

 吉夢では、渡邊総料理長が「現代の名工」を受賞したことを機に、秋以降に新たなメニューも考案している。

日本料理はダシが命

 東京オリンピックが迫るなか、吉夢にも日本料理を求めて訪れる外国人の宿泊客が増えているという。

 「日本料理はダシが命。いいダシを使って外国のお客様にも日本料理の奥深さを味わっていただけるよう、本物の日本料理を提供していきたい」と語る。客室係ともコミュニケーションを取りながら、料理の説明をしっかりとしている。

 「料理には『これで完成』というものがなく、日々研究あるのみです。日本料理の伝統と歴史を基本に、食材をいかに現代風にして提供するか。料理の原点を大事にしながら、新しい時代に合った現代性も取り入れていくことを心掛けています」と話す。さらに「料理は真心をこめて、芸術作品を作る感覚でお出しすると、お客様は感動してくれます。お客様の立場に立って盛り付けをすることを若い世代にも教えています」と強調する。

人材育成について

 渡邊総料理長は若手の指導にも力を入れている。西千葉にある調理師学校の講師も務めており、週1回指導に行っている。毎年、卒業生を迎え入れ、育てている。「決して甘やかすわけではないですが、褒めて伸ばすことを心掛けています」と語る。自身も研究・勉強しながら引き出しを増やし、技を鍛えてきた。この経験を伝えている。一方、今も時間があれば、自ら山から青竹を切ってきて器を作ったり、氷細工で華やかにしたり、季節感も演出する。

 「若い世代が育つと、日本料理も盛り上がっていく。旅館の料理を通じて、日本料理の文化を若い世代に知ってもらいたい」と将来を見据え、日本料理の発展に取り組んでいきたいと力強く語る。

貴賓室やジャグジー客室をリニューアル

 満ちてくる心の宿吉夢は今年4月21日、一部客室をリニューアルオープンした。

和室露天風呂付特別室(ジャグジー浴槽)

 最上階の8階にある眺望のいい特別室を貴賓室に一新。また5階部分の露天風呂付きの和室にローベットを入れ、ジャグジーを付けた部屋に変えるなど、個人客が増えていくなか、時代のニーズに合わせて家族連れや若いカップルにも利用できるように配慮した。

 

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