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第160回旅館大学セミナー 龍宮城スパ・ホテル三日月で開く (1日目)

2017年12月15日
編集部:平綿 裕一

2017年12月15日(金) 配信 

リョケンセミナー開く

リョケン(佐野洋一社長、静岡県熱海市)は2017年12月12日(火)に千葉県・木更津三日月温泉の「龍宮城スパ・ホテル三日月」で、通算160回の旅館大学セミナーを開いた。宿泊施設の関係者ら200人ほどが集まった。経営方針やマーケティングなど「ホテル三日月の『個性化』と成長戦略」をテーマに講演を実施した。新たな挑戦で、改めてベトナム・ダナンへのグローバル展開も発表。7月に亡くなった前会長の遺志を継ぎ、グループ一丸となり歩みを進める志を語った。

 創業から56年の歴史を持つ。10室から始まったが、千葉県の勝浦と鴨川、木更津、栃木県鬼怒川の4ホテルの客室を合わせると、1千室を超えるまでに成長。法人として、3つのホテルを運営する勝浦ホテル三日月(小髙芳宗社長)のほか、太陽光発電所など、グループ全体で9社1組合を組織する。木更津にある龍宮城スパ・ホテル三日月の敷地面積は3万2千坪で、ホテル部門の直近売上は約54億円と規模が大きい。

佐野社長があいさつ

 佐野社長は開会のあいさつで、「『三日月グループは規模が大きく、自館とは違う』ということではない。大変強い経営意思と、卓抜な経営センスがある。むしろこの大きな組織を統率する求心力や組織能力、経営思想が、価値ある情報だ」と、開催の意義を語った。

「56年の一貫した方針」

小髙芳宗社長が講演

 セミナーでは小髙芳宗社長と小髙秀元専務、藤縄光弘総支配人の3人が講演を実施。同グループを1代で急成長させた、小髙芳男前会長(享年87歳)の跡を継いだ小髙芳宗社長が登壇。会長の傍でその手腕を学んできた。「投資遍歴を見れば、すべからく内部留保を得た後、経済情勢が一致したときに次の投資を行ってきた。これが56年の一貫した方針だった」と振り返る。

 「旬な税制がある。知らなければ損をする」とし、さまざまな税制を紹介。細かな税制を駆使し、内部留保を溜めてきた。次なる投資でグループをさらなる成長へ導くため、小髙社長は海外展開も視野に入れている。

 現在、ベトナムのリゾート地のダナン市で、レジャー施設を併設した複合型リゾートホテルを計画。日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を受けて進行している。一部で開業が報じられているが「絵は描けているが、決定ではない」(小髙社長)。現地の行政組織の人民委員長から投資研究許可証を受け、金融機関からの内諾は得ているものの、地主との交渉を継続して行っている段階。18年の5月ごろに最終的な決定がなされる見通しだ。

 計画では約100億円の投資をし、オーシャンフロントの約13㌶の土地を開発する。19年にアトラクションプールや温浴を楽しむ「スパドーム施設」、20年に20階建500室規模の「リゾートホテル」を建設。ルームチャージで170㌦(約2万円)ほどを設定している。

 ベトナムは経済成長率が高い。一人当たりGDPは2200㌦を超え、ダナンでは3千㌦を超えている。ただこのエリアはすでに5つ星クラスの外資系ホテルが17軒ほど先行し、競合が多い側面がある。小髙社長は「レジャー施設を併設したものは1つもない」と市場を分析。これまでのホテル三日月のビジネスモデル「スパ&ホテル」で培った知見、ノウハウを強みに、既存のホテルとは一線を画す考えだ。

 同計画では人手不足の課題解決もはかる。ベトナムで育成した人材を日本のホテルに登用し、人材の交流も狙う。小髙社長は「できるか、否か、挑戦しなければわからない。挑戦すれば何かを得ることができる。見えてくる課題の対策を練ることもできる」と力を込める。「三日月グループ一丸となり、会長の意思を継いで邁進する」と強調した。

「社長を守り立てて、全力を尽くす」

小髙秀元専務が講演

 小髙秀元専務は同グループの設備投資の経緯を説明。1998年から用地取得に動き、翌年に取得。神奈川と千葉を結ぶ東京湾アクアラインは1997年に開通した。しかし同ホテルがある内房エリアは、通過ポイントとして、「インフラが良くなったにもかかわらず、賑わいがなかった」という。同ホテルの敷地は3万2千坪。旅館事業用地としては広すぎる向きがあるが、眼前に広がる東京湾や、その向こうに広がる東京の景色、富士山など「ロケーションとしては良かった」と振り返る。

 2000年に龍宮城スパ棟をオープン。延床面積は1万7488平方㍍、総工費33億円。当時は大規模の日帰りの温浴施設はなかった。これがうけた。一方で季節波動が大きかった。

 その後、2002年に龍宮城のホテル棟を新築。延床面積が1万4500平方㍍。10階建てで260室を用意。スパ棟開業から僅か2年でホテルを用意。小髙専務は「日帰りだけでなく、宿泊などの需要増大もあり、早期にホテル建設に移った」と述べた。

 55周年事業として、新館の富士見亭の建築を行った。総投資額は120億円、延床面積2万5870平方㍍で、219室。コンセプトは、他館とかぶらないようワンラク上の高級路線に据えた。和モダンを取り入れ、客室は顧客満足度向上を考え、全室露天風呂を付けた。小髙専務は「社長を盛り立てて、投資に前向きに、全力を尽くしていく。このことが業界全体を明るくしていくことの、一因になるかもしれない」と今後の意気込みを語った。

藤縄光弘総支配人が講演

 その後、藤縄総支配人は地域社会に持続可能な貢献活動を展開していく考えを発表。「複合型リゾートはほぼ完成した。統合型リゾート(IR)も進めていく」と新たな構想も提示した。このほか、「今期は売上を73億円の達成を狙う。富士見亭の新たな魅力の発信などをはかり、利益を最大化する」と語った。

館内見学のようす

 当日は館内見学も行い、客室から大浴場、普段は見ることのできないバックヤードも視察。小髙芳宗社長は「裏導線も見てもらったのは、旅館業の皆さまに少しでもお役に立てればと思ってのこと」と述べた。

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