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正社員での採用率17・9%、早期退職と向き合う、PBL型卒論で就業力養成を

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香取幸一教授
香取幸一教授

 JATA研修・試験委員会は9月23日に行われた、ツーリズムEXPOジャパン2016において、「入社後の早期退職にどう向き合うか~ベテラン人事担当者が本音を語る~」と題し、ツーリズム・プロフェッショナル・セミナーを開いた。第1部では玉川大学観光学部長の香取幸一教授による基調講演「大卒正社員の3年以内の早期退職の実態とその対応策」が行われた。 

 近年、旅行業を希望する学生の数は年々増加している。若年層の採用率では、16業種中、第2位(生活関連サービス業、娯楽業)の位置につけており、一見採用率が安定している業界であるように思われる。ところが、産業別雇用形態の実態で見ると、正社員での採用率は、16業種中11位(17・9%)と、ほとんどの場合が、正社員以外での採用であることがわかる。

 早期退職者の主な退職理由として、若年労働者全体では、「仕事が自分に合わない」という理由が3位に上がっているのに対し、大卒者では「仕事が自分に合わない」が2位、「ノルマや責任が重すぎる」が5位と、業務に関連する退職理由が2つも入っているのが現在の状況である。このような現状に対して、企業側は入社後の、人事施策の一環として社員研修を行い、社員の定着に向けて施行錯誤しているが、入社後3年以内の退職が後を絶たない状況が続いている。

 香取教授は、入社後3年以内の早期退職が相次ぐ原因として、「内定を得てからの学業が、卒業要件を満たすための消化試合のようになっていることが問題である」と指摘。大学側として、卒業生の質の保証をはかるべく、内定取得後に就職先企業と連携し、内定者研修も兼ねたプロジェクトベースドラーニング(PBL、問題発見・解決型学習)型の卒業論文を導入し、在学中に就業力の養成に取り組むべきであるとし、「就活中に行った企業研究は、自分にとって都合のいいことだけを調べている傾向が強いが、PBL型卒業論文では、企業・大学・学生とでテーマ設定を行うため、企業の本当の姿が見えてくる」と改めてPBL型卒業論文の必要性について語った。

 第2部ではモデレーターをジェイアール東海ツアーズ社長の吉田修氏が務め、JTB、阪急交通社と、名鉄観光サービスの採用・人事担当者を交えたパネルディスカッションを行った。

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