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健全で適正な市場へ ― 今こそ「安心・安全への原点回帰」

2016年2月1日
編集部

 私は九州で生まれ育ったため、雪は生活に密着した存在ではなかったが、それでも、たまに大雪が降ることがあった。

 幼少時のこと。父が運転するクルマに乗っていた夕刻、粉雪が降り始めたかと思うと、辺りは次第に白銀の世界へと変化していった。父は注意深くハンドルを握りながら、後ろから追突されることも恐れ、バックミラー越しに大型トラックが迫って来ると車線を変えた。不安できょろきょろしていた私は突如背後に迫る大きな影に怯え、「あっ、大型バス!」と叫んだ。父はバックミラーを覗きながら「バスの前だと安心だよ」と呟いた。「バスはどんなクルマより安全」という認識が、当時は一般的だったように思う。

 やがて自分も運転免許を取り、全国の高速道路を昼夜なく走ったりもするが、大型バスの前を走っているがための安心感は残念ながら無い。実際、猛スピードで車線変更を繰り返し、追い越していく無謀な運転をする貸切バスを何度も目撃したこともある。 

 法令を無視したバス会社が転落事故を起こし、その後もバスの事故が続いたせいもあり、バス業界全体の社会的な信頼感は大きく損なわれてしまった。

 1月22日に、旅行新聞新社主催の第25回「プロが選ぶ優良バス30選」の表彰式が行われた。今回の上位10社は(1)はとバス(2)名鉄観光バス(3)名阪近鉄バス(4)日の丸自動車興業(5)アルピコ交通(6)札幌観光バス(7)山交バス(8)新潟交通観光バス(9)三重交通(10)関鉄観光バス――の順だ。「プロ」である全国の旅行会社の投票によって選ばれた結果であり、パートナーの旅行会社からの信頼を勝ち得たことは大きな誇りだろう。一般消費者にもアピールにしてほしいと思う。

 あわせて、第14回「優秀バスガイド」、第3回「優秀バスドライバー」もそれぞれ10人ずつ表彰されたが、今年は例年以上に受賞者の表情が引き締まって映った。その表彰式会場で最も重んじられた言葉はやはり、「『安心・安全』への原点回帰」だった。

 旅行は形の無い商品なので、消費者は信頼によってツアーを購入する。けれど、安全性よりも価格重視で選ぶこともある。とくに学生は安全性に危険性を感じながらも、やむなく激安ツアーを選んでしまうことも多い。規制緩和によって市場の競争激化と価格破壊が起こり、これによって安全が脅かされる事態は、誰も幸せにしない。優秀な人材が流出し、現場が荒廃してしまう――。現在のバス業界はまさにそのような悪循環に陥ってはいないか。監督官庁は現状をしっかりと調査し、法令が遵守され、健全で適正な市場へと導く努力を求めたい。

 1月25日、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会が記者会見を開き、民泊問題について全旅連の考え方を伝えた。北原茂樹会長は「滞在型の民泊という新たな需要が大きくある」ことを認めつつも、違法な取引が行われる現状を指摘し、「生命・財産を預かる宿泊業として旅館業法の遵守は絶対」と、新たなルールができるまでは現行法の遵守を強く要求した。当然の話である。外国人観光客数が増えたとしても、地域の信頼やまとまり、協力を失うことは日本が観光立国を推進していくうえで大きなマイナスである。「安心・安全への原点回帰」という言葉を今こそもう一度見つめ直す時期だ。

(編集長・増田 剛)

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